832.2009年8月23日(日) 横浜市が来春から歴史教科書を採用

 亡父の元部下で、私自身子どものころからよく存じ上げている横浜市内在住の正木清幸さんからメールをいただいた。もう90歳近い年齢にも関わらず、PCを駆使するポジティブな方で、戦時中は経理部員として従軍され、ビルマ戦線で大層ご苦労された。先日もその従軍苦闘記録を名古屋・中京大学の機関紙に寄稿され、改めてそのご苦労をお労いする思いだった。

 いただいたメールには、神奈川新聞によると横浜市教育委員会が来春から「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した歴史教科書の使用を決定したと知らせていただいたものである。実際に戦争に関わった元戦士として、以前から昨今の日本の右傾化を心配されておられたが、横浜市教育委員会の決定はそういう心配を裏付けるものである。

 ところでやはりと言うべきであろうか、今朝の朝日新聞社説も早速「つくる会教科書・横浜市の採択への懸念」として取り上げている。それによると4年前に採択した当時は、つくる会の歴史教科書の採択率は全国で僅か0.4%だった。今では、東京都杉並区、栃木県大田原市が継続して使用することを決めているが、政令指定都市では横浜市が初めてだそうである。リベラルな都市と見られていた横浜市だったが、どうしてこうなったのか、いかにも時世を象徴しているように思える。

 30年以上前に私たちが居住していたころの横浜市は、安保反対闘争で国会議員の先頭に立った元社会党委員長・飛鳥田一雄氏が市長を務めていただけに、革新都市として市民からも信頼されていた。それが、今では中途半端で市長が市長職を投げ出すような保守看板の都市に変った。

 今更つくる会の教科書についてコメントするのも憚られるが、天皇や神話を重視し、近現代史を日本に都合よく見ようとする歴史観が色濃く、中国への侵略、朝鮮半島の植民地支配については不十分で、沖縄戦の集団自決にも触れていない。内容は明らかに義務教育の中で右寄りの教育を行おうというものだが、問題視しなければならないと思うのは、委員会の採決が僅か6人の委員の無記名投票で採用が決まったということである。こんなに大事な問題をそんな少数の人だけで簡単に決めて良いものだろうか。6人の委員に採決の権限はあるが、実際に使うのは教師と生徒であり、30日の横浜市長選に立候補している各候補者にも考えを聞きたいというのが、朝日の意見だ。

 それにしても日本では国民的議論が真剣に成されない間に、一方の方向にぐんぐん引っ張られる流れがいつのまにか出来てしまう傾向がある。それが怖い。

2009年8月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

831.2009年8月22日(土) 外務省のノー天気外交とパンナム機爆破事件の行方

 ビルマ国内に軍事政権の翼賛組織で「連邦団結発展協会(USDA)」といういわくつきの政治グループがある。2003年に民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんを襲撃した一派である。そのUSDAは今では国際社会の鼻つまみものである。アメリカやEUでもその幹部を制裁対象として入国ビザ発給停止や、資産凍結の対象となっているくらい敬遠されている。

 それが何の意図があるのか分からないまま、日本の外務省はその有力幹部であるUSDA総書記ティ・ウー農業環境相を日本に招待したのである。世間知らずの小野啓一・外務省南東アジア1課長は「農業灌漑相として招待した。日本の農業を視察してもらうことは重要だ」と国際事情を考えない発言で、自分たちの対応は正当性があると言わんばかりで、反省の言葉もない。外務省の幹部がこれでは話にならない。外務省は国際社会のビルマに対する厳しい目をどれだけ分かっているのか、ビルマの実情や国際社会の反応を承知したうえで、このような外務省的唯我独尊ビルマ外交に乗り出したのか。

 ビルマの軍事政権がこれまで行ってきた非民主化政策や、国際世論を敵に回した行為、民主化運動を封殺した取り締まり、国連安保理非難決議、とりわけスー・チーさんを長年に亘って拘留、自宅軟禁してきた実態を考えれば、誰が考えても今回の外務省のビルマ閣僚招待には首を傾げるだろう。ビルマ事情通の秋元由紀氏も「スー・チーさんに有罪判決が出た直後に招待する日本政府の意図は理解に苦しむ」と述べている。

 一昨年5月の反政府デモの際、デモに参加した市民に暴行し、警察当局の逮捕に協力したとされるほどの軍政シンパサイザーの幹部を、よりによってこの微妙な時期に招待しなければならない事情とは何なのだろうか。敢えて考えるなら、ビルマに深入りしつつある中国を牽制するために、小さな楔を打ち込んでおくぐらいのことしか思い浮かばない。しかもティ・ウー大臣は悪名高い軍政の閣僚である。日本の農業を見てもらうなんて、本音を隠すための言い訳にしか過ぎないことは明らかである。そういう空気を読めず国の外交を壊すことを責務と考えているような外務省のノー天気外交官ぶりからは、これから日本とビルマの関係をどのような方向へ導いて行こうとしているのかまったく予測がつかない。

 現代は多重派外交時代と云われる中で、アメリカやEU諸国から非難を浴びるであろう日本の対ビルマ外交が、このまま突き進められるとはとても思えない。

 日本のマス・メディアももう少し詳しく調査して、報道すべきであると考える。それにしても、気になる世襲議員のひとり、中曽根外務相はこの件に関してどれほど関与しているのだろうか。

 昨日スコットランド司法当局は1988年のパンナム機爆破事故の犯人である、アルメグラヒ・リビア元情報機関員が、末期癌で余命3ヶ月であることを理由に釈放しリビアへ追放した。リビアへ帰ってきた犯人を首都トリポリで出迎えたのは、国家の最高指導者・カダフィ大佐と国民の熱狂的な歓迎ぶりだった。まるで英雄扱いである。スコットランドがいくら余命3ヶ月とは言え、何ゆえにこの時期に270人もの命を奪った残虐なテロ事件犯人をアメリカの非難が予想される中で、国外追放したのか。これでは事故による遺族の気持ちはたまったものではない。スコットランド司法当局に対して強い不満を漏らしている。

 この爆破事件は、この当時頻発した一連の反米テロのひとつで、私自身強い関心を持ち、拙著「停年オヤジの海外武者修行」の中でも、ニューヨーク9.11テロ事件の伏線のひとつとなったと書いた。それほど大きな影響を与えたテロだった。

 案の定、今日アメリカのオバマ大統領が「極めて不愉快だ」と怒りを露わにした。大統領報道官も「言語道断。愛する人を失った遺族への著しい侮辱だ」とアメリカ政府は、スコットランド、リビア両政府に対して抗議の気持ちを表した。

 昨年11月リビア政府はアメリカに対して事故の賠償金として、15億$(1480億円)を支払った。事故から20年経ち、アメリカとリビア両政府の間にも緊張緩和の空気が生まれ、リビア政府が絡んでいるとみられた疑念をリビアが認めた形でこの事件は収束するかに見えた。

 一方、AFP通信によると、リビアの最高指導者カダフィ大佐の次男セイフルイスラム氏が、この釈放はイギリスの石油権益と関連していると言い出した。もちろんイギリス政府は否定している。外野から見れば面白いかも知れないが、アメリカ、イギリス、スコットランド、リビアのメンツと利益が絡んだ奇妙な事件に発展しそうな雲行きになってきた。

2009年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

830.2009年8月21日(金) アフガニスタン大統領選挙は大丈夫か。

 昨日から行われているアフガニスタン大統領選挙が世界中の注目を集めている。現職のカルザイ大統領にとっては2期目の選挙である。この国の選挙制度そのものがどうも分かりにくい。第1に直接選挙制であるが、ひとりの大統領に対して30人を超える立候補者の多さも異常である。加えて今回は投票率が問題だ。前回2004年に行われた選挙では、70%の投票率だったが、今年は勢力を盛り返してきたタリバンが各地で激しい選挙妨害を繰り返している。住民もタリバンから投票したら、危害を加えると脅かされているというから物騒である。実際各地の妨害テロで多くの犠牲者が出ている。

 これを証明するように、今朝の朝日新聞1面に驚くような写真が掲載されていた。頭から頭巾を被った老婆が示した右手人差し指の先端部から第1関節と第2関節の間まで、紫色の液が付いている。投票を終えた証拠だそうである。これでは、タリバンの標的になるではないか。しかも、どうも野蛮な感じである。投票所の場所でさえ、予定していた場所に設置されたわけではないようだ。こう言っては身も蓋もないが、現状を考えると果たしてこの国に選挙制度そのものが受け入れられる土壌があるだろうかと考えてしまう。仮に問題の選挙が滞りなく行われ大統領が選ばれても、組閣に当って有力閣僚にはそれぞれ思惑があるようで、順調に内閣が発足し、内政、外交を期待通り行っていくことが出来るだろうか。

 新聞評によれば、選挙はカルザイ大統領が過半数を獲得出来ず、決戦投票に持ち込まれて再選され、その過程でアメリカと距離を置く政敵と取引が行われ、カルザイ政権の対米協調路線に多少異変が起きるのではないかと予想されている。アメリカとしては今後も兵力を注ぎ込んでもう少し治安を安定させたいところだ。

 ところで、今ベルリンで開催している世界陸上で男子短距離走が話題をさらっている。昨日200m男子決勝が行われ、ジャマイカのウサイン・ボルト選手がダントツの強さで優勝を遂げた。100mと併せて北京五輪に次いでダブル・チャンピョンとなった。すごいのは、その記録である。200mは19秒19の世界記録で、100mは9秒58の世界記録だった。しかも2位に大差をつけた楽勝であり、見ている人を驚かすのは、その底知れない馬力で、過去にこれほど圧倒的な力で勝利を収めた短距離選手はいなかったのではないか。

 勝てると思ってゴール近くでは手を抜いていわゆる「流す」のである。もう少し真剣に走れば、もっとすごい記録を出るだろうにと思う。本人は決勝では最後まで本気で走って楽勝して、そのうえ世界記録も破るというのだから破天荒な選手である。まあ性格的に生真面目すぎる日本人には馴染めないだろうが、それにしてももの凄い選手が現れたものである。

2009年8月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

829.2009年8月20日(木) 新型インフルエンザが流行しそうだ。

 5月に流行しかかった新型インフルエンザが、ここへきて急速に感染拡大しつつある。数日前日本では初めて沖縄で死者が出てから連続的に3人もの死者が出た。一昨日舛添要一・厚労相は、国内に流行しているとの認識を示した。

 現在甲子園で開催中の高校野球でも学校によっては選手がインフルエンザに罹って大変だ。島根県代表チームの立正大淞南高校は、昨日の試合で登録18人選手中4人が欠場するという苦難を味わわされた。PL学園でも選手が一人欠場した。プロ野球でも北海道日本ハム・ファイターズの4選手が感染しており、選手とファンの交流を当分の間取り止めるという。大相撲にも感染者が発生した。

 インフルエンザが今年の冬に流行すると警戒されてはいたが、この夏に流行するとは、誰も予想していなかったようだ。予防ワクチンの製造を急いではいるが、とても必要量を充足できない。約2,500万人分が手当てされるとみていたが、どうも1,500万人前後しか用意できないようで、不足分は輸入するらしい。それが、流行が早まったために必要量が益々足りなくなる。

 今日厚労省は専門家や患者団体との意見交換会で、ワクチンをどういう基準で接種させるか打ち合わせをして、どういう人にその機会を与えるか、その優先順位を決めようとしたが、決められない。予防接種も、公費負担のある定期接種と全額自己負担の任意接種かも決まっていない。結局9月に決定することになった。子ども団体では身体の弱い子どもを優先的にワクチン接種をと要望し、妊婦や高齢者では彼らにと、また医師会では、患者を診るために、そして患者へ移さないためにも医師と看護師を優先的にとそれぞれの立場から要望して、まだ話がまとまらない。しかし、決まったところで最初の接種は10月からになるという。なぜか打つ手が後手後手に回っている感じがする。いつも通りのノロノロ仕事で、実際に大流行になったらどうするのか。いつもながら、お役所仕事にはうんざりである。

2009年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

828.2009 年8月19日(水) 国立追悼施設建設をどう考えるのか。

 今度の総選挙ではマニフェスト品評会の感がある。新聞紙上に紹介された限りで各党の内容を比較してみると、自民、民主、共産を含めて全党が割合一致しているのは、「非核3原則の堅持」「高齢者を支えるため現役世代の負担が重くなるのは避けられない」「外国人労働者の受け入れ」「官僚の天下りの全面的禁止」「国会議員の世襲禁止」などである。

 まあ当然と言えば当然のことである。議員自身の本音は果たしてどうなのか。中でも国会議員の世襲禁止に関しては、自民党は少々距離を置いている。まあ現状から察して当然だろうと思う。しかし、この問題は最近になって浮上してきた。かつては誰もが検討事項であると承知していながら、手がつけられなかった。それは、自民党内の実力者が揃いも揃って世襲議員だったからで、ここへきて漸く世襲実力者の影が薄くなってきたせいであろう。

 ところで、マニフェストには公表されていないが、戦没者の霊を祀る、新しい国立追悼施設の建設についてはどう考えているのか。民主党は党として建設に前向きで、候補地として千鳥ケ淵戦没者墓苑を考えている。共産党、社民党も前向きである。では自民党はどうだろうか。麻生首相は3年前の外相時代に「宗教法人としての靖国神社に解散してもらい、特殊法人化して国立の追悼施設とする」案を公表した。これに当の靖国神社や日本遺族会が反発して、すでに合祀されているA級戦犯の分祀も認めないと言い出した。これに手を焼いた「ぶれる」首相は、最近では「追悼施設を作ったら、靖国の話がなくなるのか」と言っている。つまり、新施設建設反対派に変身したのである。こんな好い加減な考えで、戦没者のことを考えているのだとしたら、戦没者も遺族もたまったものではない。

 問題はそう単純なものではない。こういう永年の懸案、かつ国のために殉死された戦没者を祀る施設に対する考え方が長い間放置されて検討もされず、宙ぶらりんであることが問題なのである。天皇・皇后両陛下が参拝出来る色のつかない、遺族はもちろん国民誰でもが気軽に参拝出来る施設建設について、真剣に議論すべき時はもうとっくに来ているのではないだろうか。

2009年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

827.2009年8月18日(火) 金大中・韓国元大統領は何を残したか?

 韓国の金大中・元大統領が今日ソウル市内の病院で肺炎により亡くなった。享年85歳だった。金氏の名はかなり以前から軍事政権下の韓国国内の民主化運動とともに、日本国内にも薄々洩れ伝わっていたが、その名を一気に有名にしたのは、1973年8月、金氏が九段のグランド・パレスホテル滞在中に、韓国KCIAに通ずる一味によって強引に拉致され韓国国内へ移送された、国境を越えた拉致事件発覚である。この事件は当時あまりにもショッキングな出来事として、国内はもとより、海外でも話題になった。私はその当時ちょうどインドからエチオピア、スーダン、エジプトを巡って帰ったら日本で蜂の巣をつつくような大騒ぎになっていて、しばらく何が何だか事情がよく分からなかった。むしろ、高校野球で作新学院の江川卓投手の豪腕ぶりが話題になっていたので、その結果が気になったのを覚えている。

 韓国政府は日本国内において日本の法規を無視して、韓国国内の捜査権を行使して韓国政界の大物を力づくで逮捕して秘密裏にこっそり自国へ連れ戻すという国際法上断じて許されない暴挙を犯した。しかし、韓国政府はこの拉致事件を知らぬ存ぜぬの頬かむりで押し通し、政府はまったく関知しないとのスタンスを取った。結局それは嘘だった。国家が隣国に無断で隣国の自治、法律を蹂躙したのである。その点はとても許されざるべき越権行為である。

 日韓両国間では、過去の事件としてお互いにほじくり返さないという灰色で、曖昧な決着をしてしまった。韓国政府の対応は非礼、かつ傲慢であるが、日本政府の態度も腰が弱く、何ゆえにそこまで卑屈なのかまったく理解に苦しむ。その意味ではこの事件は、いまだ未解決のまま、その主役が亡くなってしまった。真相解明は一層難しくなるだろう。

 金氏は韓国民主化のために、かけがえのない活動をされた。それが、初の南北会談を実現した北朝鮮との緊張緩和を演出し、それによってノーベル平和賞を授与されるという栄誉を得た。しかし、金氏の太陽政策は北朝鮮の裏切り的外交により、金氏の政策に対する韓国国民の反発も強かった。今もなお評価は分かれている。金氏の本音はどうなのか。金氏は拉致について、日本の対応についてあまり多くを語っていない。後味の悪さが未だに尾を引いている。

 ソウル市内の自宅軟禁中の金氏を突撃取材して、韓国警察から目をつけられ追われるように帰国した小中陽太郎さんに、その時どんな話をされたのか一度伺ってみたいと思っている。

 さて、今日総選挙が公示された。30日の投票まで毎日マス・メディアの格好のテーマとなり、さぞや小煩いことだろう。麻生首相と鳩山民主党代表は早くも舌戦を繰り広げている。小選挙区、比例代表区を合せて480議席に対して、1369人が立候補した。

2009年8月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

826.2009年8月17日(月) ウェブ上院議員の行動はまともか?

 3日間ほどビルマに滞在したアメリカのジム・ウェブ上院議員は、その間民主化運動指導者・アウン・サン・スー・チーさんに会ったり、軍事政権の最高権力者タン・シェ国家平和発展評議会議長と会談して、スー・チーさん宅へ侵入して逮捕されていたアメリカ人ジャーナリストを国外追放処分してビルマから追放し、アメリカへ帰国させることに成功した。結果的にアメリカのメンツを立て、アメリカの希望に沿った対応をしたことになったのである。ジャーナリストの独断的不法行為により、スー・チーさんに迷惑をかけ、その咎ゆえにスー・チーさん自身は自宅軟禁期間を延長され、民主化が遅れる結果になったのであるが・・・。

 ところでこのウェブ議員のパフォーマンスはどこかおかしくないだろうか。アメリカだけが勝手な振る舞いにより国際社会を騒がせただけに過ぎない。:

 先月国連事務総長・潘基文氏がビルマを訪れ、ビルマの頑なな態度を何とか和らげ、手詰まり状態の外交関係を打開しようと試みたが、ビルマ軍政側の強硬な姿勢でスー・チーさんと会うことはもちろん、タン・シェ議長とも会うことが叶わなかった。国連事務総長がビルマ軍政から玄関払いされてコケにされたのである。赤っ恥をかかされたのである。これは国連の存在自体が鼎の軽重を問われる結果となって、国連の威信と権威の低下をも曝け出したようなものである。

 実際この前後にアメリカ議会では、子どもの使いのような潘基文・事務総長のビルマ行きをあげつらい、事務総長の力量を疑問視する声があったのも事実である。ウェブ議員の行動は、オバマ大統領や、民主党リベラル派議員の了解のうえなのかどうか判然としないが、あまりにもアメリカの自己都合的なやり方ではあるまいか。国連事務当局は、果たしてウェブ議員の独断専行を事前に承知していたのか。それにしてもアメリカのひとり外交はいただけない。

 いずれにせよ、アメリカは口では北朝鮮に対しても、6ヶ国協議がすべての交渉の前提と言ってはいるが、実際やっていることは、同盟国を欺く抜け駆け外交ではないだろうか。

 クリントン元大統領の電撃的な北朝鮮訪問しかり、今回のウェブ議員のビルマ訪問しかりである。自国民が生命の危機に瀕したとなると、他国との同盟外交関係を2の次にして単独行動に走る。困ったものである。

 それにしても、事務総長からも、6ヶ国代表からも、安保理国からも一向に「不快の念を覚える」声が上がってこないのが、これまた不思議である。やはり、国際外交というのは魔界の闇に巻き込まれているのだろうか。

 今日の歩数は11,000歩だった。何とか1万歩になった。このペースを守ろう。

2009年8月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

825.2009年8月16日(日) 屋上テレビ・アンテナを取り除く。

 電気工事屋がやってきて屋根の上のテレビ受信用アンテナを取り外してくれた。現在の自宅を建ててから28年余りになるが、それ以来ずっとテレビ鑑賞のために役立ってくれたアンテナも我が家では役目を終えた。序に衛星放送用のパラボラ・アンテナも外してもらった。

 再来年の地デジ放送本格開始に備えて、先月新たに対応テレビを買った。その際受信アンテナの代わりに光ファイバー通信利用の光フレッツテレビに加入したので、受信用の無線アンテナが要らなくなった。屋根の上に異物が乗っかっているような不細工な光景も消え、外見上も見映えが良くなりすっきりした。台風などによる破損、映像障害もなくなるだろう。時代はどんどん進歩していく。

 いま政府の景気及び環境対策の一環として、環境に優しい製品の購入についてエコ・ポイントという制度があるが、今回購入したテレビ、並びにエアコンがエコ対象商品に当っていたので、申請すればエコ・ポイントがもらえることになっていた。

 ところが、その申請方法が中々一筋縄ではいかないくらい複雑で、うんざりする。先日エコ・ポイント申請方法を確認のために、わざわざ買い求めた店へ出かける有様だ。お年寄りなんかほとんど申請用紙までお店で書き込んでもらうということだった。折角始めた制度なのにこれでは逆効果ではないか。政府は点数をくれてやるなんてでかい顔をしないで、もっと簡単で分かりやすい制度を考えるべきだと思う。それでないと利用者からありがたいと思ってもらえないだろうし、制度そのものもそのうちに利用されなくなるだろう。どうも頭が良いとされる役人が考える制度というのは、一般消費者のことを考えていない。自分たちさえ分かれば、それで良いと考えている節がある。これだから、役人は嫌われるわけだ。

 昨日から万歩計を使って歩いた歩数を記録することにした。これは、先日整形外科医の松本先生からアドバイスされたものだ。運動不足を心配された先生から、毎日散歩するようにして歩数を計れば励みになるので、続けてみてはどうかとのお勧めだった。そんなことから昨日から駒沢公園への散歩を復活させた。一時毎日習慣づけていた散歩を最近止めているので、これを機会にまた続けたいと考えている。万歩計も買った。準備は出来たので、あとはやる気だけだ。とりあえず、今日のところは6,600歩だった。

2009年8月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

824.2009年8月15日(土) 終戦記念日に思う。

 64回目の終戦記念日を迎えた。正午には日本武道館で天皇・皇后をお迎えして全国戦没者追悼式が行われた。毎年総理大臣の挨拶は、「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」ことに「深い反省と犠牲者への哀悼の意を表明」して、国際社会へ向け「不戦の決意を新たにして」声を上げていくというものである。

 しかし、過去64年間不戦の決意をどういう形で表したのか、世界へ向け日本として積極的な声明とか、行動を起こしただろうか疑問に思う。いつも掛け声倒れに終っているような気がする。戦地へ赴いて辛い体験をした元兵士とその家族の切実な声は次第に小さくなり、反戦の空気も風化しつつあるように思える。

 その理由のひとつは、遺族の高齢化であり、今日の追悼式でも世代交代が一層進んで、親はすでになく、戦没者の妻も僅かに1.3%だった。この中で今年は政権交代が予想されるため、民主党鳩山代表が靖国神社の替わりに、新たな国立追悼施設の建設に前向きな態度を表明した。一方、今日の靖国神社参拝者は、小泉元首相、安倍元首相以下、現役閣僚では野田聖子・消費者行政担当相ただ一人である。この目立ちたがり屋の野田大臣は、私人として参拝したと言っていながら、肩書きに国務大臣として記帳している。この大臣は典型的な世襲議員であるが、8月15日は野田家として毎年参拝することになっているような発言をしていたが、これでは信念も何もあったものではない。大臣なのだから、参拝する以上自分の考えを堂々披瀝するべきではないか。こういう点で甘やかされた世襲議員の浅はかさと幼稚さを感じる。

 靖国神社では首相並びに全閣僚の靖国参拝を求め、新しい国立追悼施設建設に反対する集会があった。追悼施設建設の賛成、反対を問わず、どちらも戦争そのものには反対を唱えているが、その考え方はまったく正反対である。戦争について国として真剣に検証も反省もせずに、世論の成り行きに任せてきたきらいがある。それが、戦争を知る人々が年々少なくなってきた近年になって、漸く今の内に戦争の悲惨さを後世に伝えなければと慌て出した。国が反省し、検証することを怠ってきたのである。そのツケのひとつが、戦争をまったく知らない野田大臣の独りよがりの靖国参拝となるのだ。総選挙が終って新しい政権が誕生したら、真剣に国立追悼施設建設や、国際社会への反戦アッピールを含めて、一国家としての確たる方針を検討し打ち出すべきである。

2009年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

823.2009年8月14日(金) 戦死は無駄な死だったか?

 直木賞作家でスポーツのノンフィクションものでも知られている海老沢泰久氏が十二指腸癌で亡くなった。59歳の若さだった。先日も女優の大原麗子さんが62歳で亡くなったばかりである。大原さんの場合はギラン・バレー症候群という聞きなれない難病で亡くなった。そして今日、とかくの行動癖があった俳優の山城新伍さんが肺炎のため町田市内の特別養護老人ホームで亡くなった。何と私と同じ70歳である。徐々に死というものが、身近なものになりつつある。

 そんな死というものが、別の視点から切実に考えられるテレビ番組が終戦記念日前日の今日放映された。NHK「忘れないで私たちの戦争」と題する、戦争体験者から戦争を知らない若者が話を聞く(取材は事前録画)番組だった。SMAPの中居正広が、若者数十人を集め、詩人・金子兜太、女優・奈良岡朋子、作家・五木寛之各氏を招き、外地と内地で個人的に戦争と関わった体験談を聞きながら、戦争体験者への取材ビデオを観て番組を進めるという趣向だった。

 ビデオで悲惨な場面を語る気の毒な運命に翻弄された人たちは、なんとか目の前に展開された状況とその時の気持ちを語らなければこの後も後悔することになると観念して、テレビに向かい語っているシーンの連続だった。ビデオで語るのは、ほとんどが外地出征者で90歳前後の元軍人さんである。この録画後に亡くなられた人もいた。この方は、部隊員200名の兵士のうち、生き残った兵士はたった4名だった。罪の意識に苛まれ、復員後自宅からまったく外出しないという。温泉に入ったり、遊んだりすることは苦しんで戦死した部下に対して申し訳ないとまで思いつめておられた。行軍中戦友が餓死するのを目の当たりにしたり、敵兵を刺し殺したり、傍で聞いている奥さんにとっても初めての話だったり、あまりにも生々しい話だった。

 この戦争に意味がないという話の中で、戦争で亡くなった人の死も意味がないということに対して、自分は絶対そうは思いたくないと語った元兵士の直後に、五木氏がそれでも戦争による死は無駄であると明言したことは、人によっては異論があろう。しかし、戦場で仲間を失った元兵士の気持ちから言えば、気持ちはよく理解出来る。

 しかし、五木氏が述べたように、時代の空気や感情に流されて戦争に借り出された兵士や、その犠牲になった家族にとっては、つまるところ国家戦略によって強引に徴用された戦地における望まざる死であり、それは無駄な死だという五木氏の主張もよく理解出来る。

考えさせられる番組だった。

2009年8月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com