367.2008年5月15日(木) 先輩の八百昭典さん逝く。

 多摩大学・現代世界解析講座第4回講座は、沈才彬多摩大教授による講演「中国の台頭と世界の潮流」だった。中国出身の中国問題専門家で、㈱三井物産戦略研究所出身らしくふんだんな資料を駆使しながら、得意の分野について持論を展開された。中国の今後の動向、米中関係、日中関係の行方、中国とのビジネスチャンスとリスク等について、独自の分析をされ、持ち時間の1時間半を甲高い声で淀みなくしゃべり続け、そのエネルギーにも感心させられた。

 寺島実郎氏の講義では、毎度たっぷりいただく資料を講義内容の補足に充てているが、三井物産戦略研究所で15年間も寺島氏の薫陶を受けた沈教授らしく、数値資料はなかなか得難く参考になるものである。

 中国台頭の例として、携帯電話、乗用車、株式の伸展具合を説明されたが、携帯電話普及台数が資本主義を導入した1989年の政府予測を、11年間で百倍も上回ったこと、1989年には中国には株式市場もなかったが、2007年の上海株式市場総資産(4兆2千億$)が世界4位となり、第2位の東京市場(4兆6千億$)を射程圏内に捉えたこと、等は面白い比較だった。やはり三井物産戦略研究所グループのスタッフの使う資料は、三井物産のネットワークを活用して世界中から収集したものであり、斬新で効果的なものだ。それにしても、沈教授の話し方は、第1回の司会役の印象からするとあまり期待できそうに見えなかったが、中々どうして説得力があり、熱意も感じられて中国に関して良い話を聞いたと感じた。

 サラリーマン時代にお世話になった、会社の先輩で元同僚の八百昭典さんが昨晩亡くなられた。3月25日に入院先の東海大学病院へお見舞いに伺ったときは、手術も終え結構元気そうでいろいろな話もしたので、突然の訃報にまさかという思いである。私より10歳年長でいながら、得意のセールス力を活かし、嘱託としてまだ働いておられた。お得意様に対する接遇に見る、頭が下がるくらいの徹底したセールスマンシップには随分教えられた。私自身は海外業務を主に取り組んできたが、国内・海外両分野を取り扱った部署でともに働いた時には、顧客の気持ちをつかむ極意のようなものを教えてもらった。八百さん自身が長い営業活動の中から自分で習得したもので、とても他の人には真似のできないことばかりである。八百さんと国内の僻地や、離島に一緒に出かけたおかげで、全国各地に足を踏み入れることもできた。テレビで利尻・礼文、隠岐、五島列島、屋久島等の画像を見ると、いつも八百さんと一緒に訪れたことが懐かしく思い出される。それらの土地へ行くことができたのは、本当に八百さんのおかげである。思い出は尽きないが、いまはただご冥福をお祈りしたい。  合掌

2008年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

366.2008年5月14日(水) HP開設1周年、アクセス数は7120でした。

 昨日に続き、今日も駒沢大学マス・コミュニケーション研究所の公開講座に出席した。マスコミ志望の学生と一緒で20名足らずの受講生である。科目は「マスメディアの役割と将来」で、元毎日新聞記者、元講談社「日刊げんだい」編集長の赤羽紀元講師が、「ジャーナリズムとは何か」について話された。昨日の二人の講師と同様、取材現場の経験が豊富な方で、話に厚みと深みがある。新聞業界の金言、戒め、心得、専門的な言葉、種別、カテゴリー等について内部の人が知りうる話をされた。知らなかった話も多く、これからもどんな話をしてもらえるか楽しみである。幸い興味のあるマス・メディア関係の話ばかりなので、自分自身の著述活動のうえにも参考になる。昨日片山講師も話されていた報道現場見学について、今日赤羽講師も触れておられたので、通信社や新聞社の見学を久しぶりに、子供のころとはまったく別の視点で観察できることはありがたい。

 さて、昨年の5月15日、5・15事件記念日にホームページを開設したが、今日でちょうど1年になった。当初このブログ「ご意見番の意見」も果たして毎日続けて書いていけるかどうか随分気になっていたが、何とか1日も欠かさず1年間を通して書き続けることができた。僭越だが、自分の忍耐力と継続力、自己啓発力がさして衰えず、いまだ発展途上にある証明でもあると思っている。いま話題のチベットへ旅行した折にも、PCを持参して、チベット鉄道の車内でも書き続けたことは、いまにして思えば良い想い出になった。HPの体裁や内容自体は、率直に言ってやはり素人臭さが抜けていないと感じている。今後「写真自分史」を始め少しずつ更新していきたいと考えている。自分が書いた文章をどんな形にせよ、発表し残せるというのは、嬉しいことであり、ひとつのモチベーションになる。友人も結構見てくれているようだし、見ず知らずのデンマークの日本人ガイドさんからもメールで相談を受けた。コミュニケーションの幅が自分の知らないところでもどんどん広がっているようだ。アクセス数は7,100を超えたが、これが個人HPへのアクセスとして多いのか少ないのかは分からない。しかし、これだけ多くの方々に、拙いHPを覗いていただいているということは励みになり、正直嬉しいことである。いまは素直にHPを公開して良かったというのが本音だ。これからはもう少し工夫して個人のHPとして、ここまでやるかと言われるまでに興味深いHPに磨き上げていきたい。

 一昨日発生した中国・四川省の大地震は、その後時間の経過とともに惨状が明らかになってきた。震源地近くの山間地には河川があり、道路はその河川に沿って走っているために、陥没したり、めくれ上がったり、道路が完全に決壊している。このため救援隊が被災地へ辿り着けず、被害を大きくしている。軍隊も船と徒歩で救援に向かっている。チベットで挫折し、五輪聖火リレーで躓き、ここで大地震に遭遇し、いま中国政府は正念場を迎えている。しかし、国民の批判の矛先を逸らそうと救出の感激的シーンを率先して放送させるなど、マス・メディアを通じて「やらせ」らしきパフォーマンスを奨励したり、相変わらず中国政府のやることはせこい。これまでに、12,000人以上の死者、24,000人以上が生き埋めになり、行方不明者は8,000人以上と言われている。まだまだ被害は増えそうだ。

 もうひとつの自然災害であるビルマのサイクロン被害は、昨日時点で死者34,000人、行方不明者28,000人と発表された。しかし、アメリカ政府は軍政当局の発表を信用せず、死者は10万人以上と言っている。

2008年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

365.2008年5月13日(火) 駒沢大学公開講座始まる。

 今日から近くの駒沢大学マス・コミュニケーション研究所で開講される公開講座の最初の授業に出席した。立地的には自宅から比較的近いので、多摩大学に比べて助かる。往路は徒歩で25分かけ、復路は大学キャンパス前から東急コーチのデマンドバスで自宅近くまで帰ってきた。

 キャンパスの場所、設備ともに申し分ない。特に、施設の旧所有者は三越だったが、それを買い取り、その後新しい6階建ての校舎を新築したものだ。初めて建物内部へ入ってみてそんじょそこらの安普請のビルとは少々違うと感じた。とても大学の建物とは思えないほど、全体的に格調高い。内部の雰囲気、建物の素材、空間スペース、高級感、AV設備など、大学でもこんなに金をかけて立派な施設を作るのかと感動してしまった。

 この公開講座は、大学のマス・コミュニケーション研究所というところが、学生と一般社会人を対象に、マスコミについて基本的な知識を授けようと公開したものだ。、毎週4日というのは少々きついので、今日の授業内容も検討して選択授業を絞りたいと考えている。

 今日の2科目はいずれも実際にマス・メディアの現場で取材、報道活動をされた元記者で、体験談や考え方に現場出身者ならではのリアル感があり、感銘を受けた。いずれの授業も、多摩大のような大講堂で一方的に講義をするのではなく、日本テレビ出身の菱山郁朗講師による「現代メディアと報道論」は受講生約40名、共同通信出身の片山正彦講師による「報道メディア論-体験的マスコミ入門講座」の受講生は約20名と割合ゼミ的規模で、双方向コミュニケーションが図れるサイズである。有名で偉い先生の講演ならやむを得ないが、じっくり話を聞こうとするなら、やはり少人数に限る。その点では、この公開講座は講座規模に併せて、受講料も安く理想的である。両講師とも自己紹介と質疑を通じて話をする機会があったが、こちらの求めるものと講師の望むものが割合近いように感じた。菱山講師には、1月の韓国・利川地区における倉庫爆発事故が日本で報道されない理由をぶつけてみた。とりあえず受けてもらっているので、次回どういう考えを話されるか、楽しみにしている。聴講学生は、マスコミ志望者が多いようだ。

 さて、昨日起きた中国・四川省の大地震は、死者が1万2千名を超えた。温家宝首相が現地で救援活動を指揮している。それだけ、中国政府としてもこの災害を重視していることが分かる。倒壊した建物は、トルコ地震の際見たように、ほとんど鉄骨にレンガを重ねただけで、耐震構造にはなっていないようだ。それが、昼間の災害にも拘らず、ビル内部の人たちが逃げ遅れた原因だと思う。

 一方で、ビルマのサイクロンは、死者・行方不明者が6万人を超えた。コレラ患者が現れた。にも拘らず、軍政は、支援活動に当る外国人の入国を拒んでいる。国連も苦りきっている。

2008年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

364.2008年5月12日(月) 「グリーン・ツーリズム」セミナー

 テレビニュースでは、今日もビルマのサイクロン被災の様子を伝えている。やりきれない思いである。些少ではあるが、今日近くの郵便局から日本赤十字社へサイクロン被災の義捐金を送った。女性係員からビルマとサイクロンについて尋ねられたので、知る限りで説明してあげたが、ビルマが一般的にあまり知られていないことを痛感した。

 この後毎月定例のJN協会観光立国セミナーへ出かけた。

 財団法人「都市農山漁村交流活性化機構」専務理事・斎藤章一氏による「グリーン・ツーリズムから見た観光立国」がテーマで、実績、実例を挙げて中々興味深い話をされた。財団の狙いとしては、こどもたちに農山漁村で体験学習をしてもらうこと、グリーン・ツアーを企画することによって各地域で頑張っている「おかあさん」民宿を紹介する、等々を心がけていることを知った。農山漁村を核に、町おこし・村おこしを仕掛ける試みだと理解した。推薦する民宿には外国からも多くの観光客が押し寄せて、思うように予約が取れないほど盛況らしい。初めての農山漁村におけるミーティングに参加したこどもたちが感激したとか、地方の温かいホスピタリティーに接して癒され、グリーン・ツーリズムが顕在化してきたと、めでたい話ばかり聞かされたように思ったが、一方で手放しでは喜べない点もあるのではないかと考えざるを得ない。

 グリーン・ツーリズム自体の発想は大いに結構だが、それはいま健全に発展している農山漁村が、これからも時代の流れに後れないように援助、支援していこうとするプロジェクトのように見える。過疎化が進む農山漁村や、廃村化した農山漁村はまったく対象にはなっていないと思う。これらの地域に対しては前者に対する理念でどう対応するのかが描かれていない。

 このプロジェクトのために、国家がらみで財団まで作り、自治体や農協、その他の団体と手を携えながら、グリーン・ツーリズムを推進する目的がいま少し分かりにくい。加えて、はたして国がそこまでやる必要があるだろうかと疑問も感じた。

 質問するのは差し控えたが、次の点ははっきりしている。わが国の農政は完全に失敗した。それは一過性ではなく、失政の影響はいまも全国的に尾を引いている。米の減反政策は、まさにその典型であろう。わが国の食糧自給率は40%を下回り、先進国の中でもその割合が極端に低く、中でも主食の米すら外国産米を輸入している。これら今に至る食糧不足の元凶は、明らかに米の減反政策の結果である。それを国策として指導したのは、この財団の親分格の農水省ではないか。講師の斎藤氏は、99年1月の農水省退職前は、関東農政局長の要職を務めた方であり、農政大失政を担った中心人物のひとりだったのではないだろうか。講師に対して斯様な私見を抱くのは、申し訳ないと思いつつ、どうも違和感が拭えない。いま自分たちの失政のツケを、農水省と財団ともども、その万分の一でも返そうと考えているとしたら筋違いではないかとつい邪推してしまうのである。

 今日午後中国四川省でM7.8の大地震に襲われ、死者は6千人を超えたという。まだ、多くの犠牲者が出そうだ。

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363.2008年5月11日(日) 再びビルマへの熱い想い

 部屋をリメイクしようと先日デパートで机と本立て2竿を買ったが、今日配送されてきたので、早速部屋を整理する。本を買っては書斎内に手当たり次第に積み重ねていたので、いつの間にか大分溜まって足の踏み場もなくなっている。本立ては五段のものを二つ購入したのだが、それでも足りずどうすべきか考えあぐねている。どうもいま流行の「整理術」がうまくない。まったく同じ書が2種類も出てきて、そのうかつさと無駄遣いに自分でも呆れている。

 整理していた小物類の中で、サイクロン被害により、いま世界中の人々からお見舞いの気持ちを受けているビルマの民芸品が、いくつも出てきて、ついビルマへの郷愁が募ってくる。年々ビルマの友人、知人との連絡も細くなっている。いまコンスタントに手紙のやり取りをしているのは、たった2人になってしまった。あとニューヨークにひとりいる。

 一説には、被災者は150万人とも言われている。国民生活が危機に瀕している最中、やはり一部の地域を除いて新憲法案の是非を問う国民投票が強行された。この結果が出るのは、延期された地域の結果を待つので、相当遅くなるとは思うが、結果的にはどう出ようと意味のないものになるだろう。いまのところ、日本の援助は最高額のようである。いまでこそ軍政体制でお互いにあまり友好的な付き合いではないが、かつては極めて良い互恵的な関係にあった。特に、戦時中日本軍がビルマに迷惑をかけたというお詫びと反省の意味から、戦後賠償を奮発して、率先してビルマには援助を惜しまなかった。それを憶えているビルマの人たちは多い。ビルマを訪れて嫌な印象を持つことはまずない。少し滞在すると、ビルマという牧歌的な大地と素朴なビルマ人の良さがじわっと分かってくる。それが「ビルキチ」(ビルマ狂いの意)が、いっぱいいる理由である。いまのタン・シュエ政権は強引で独裁的な統治で、ビルマの国際的なイメージをどんどん壊している。国際的にビルマという国が、このように独裁的で、他国の忠告を一切聞かず、悪い意味の唯我独尊の国家との固定観念が定着するのが残念であり、それが一番心配だ。

2008年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

362.2008年5月10日(土) ビルマの被災民が気の毒だ。

 今月2日、3日にビルマ南部を襲ったサイクロンの被害が、想像もできないほど酷いものだったようだ。ビルマ政府が外国人ジャーナリストの受け入れを頑なに拒絶しているため、中々真実を伝える正確な映像が入ってこないが、断片的な映像では目を覆いたくなるようなシーンばかりだ。

 ビルマ軍政の無情な対応は、当初海外から支援物資は一切断るというものだった。しかし、あまりにも甚大な被害が明らかになるにつれて、物資の援助は受け入れるが人的支援は必要ないというもに変わった。だが、とても普通の感覚ではない。それでいて、被災現場で援助活動に精出すビルマ軍人の姿は皆無である。こうして、被災者はどんどん増えていく。食糧が不足し、疫病が流行り、住むところがなく、家族を亡くして将来への希望を失い、それでもなお国家は国民を見捨てたままにしまうのか。あまりにもむごい。しかも、海外からの援助物資を政府の人間がネコババしているらしい。被災に遭った人々があまりにも気の毒である。さすがに見るに見かねてアメリカも、サイクロン被災者の援助を優先的に行うようビルマ政府にお願い?しているありさまである。

 そこへ今日非常識にも、新憲法案の可否を問う国民投票が、被災地を除くビルマ各地で行われた。悪評さくさくの新法案である。多分軍政の思惑通り、新憲法案は承認されるのだろう。

 それにしても、サイクロン被災の現場周辺に軍関係者、政府関係者の姿がほとんど見られないのは、どういうことだろうか。援助活動の指揮は誰が担っているのか。国家として成り立っていないのではないだろうか。あのビルマが酷い国に成り果てたというのが実感である。

 多くの国の中でも、最も国民性が素晴らしいと思っているビルマだが、国のトップが機能不全を曝け出し、これだけ無責任、無能、非情、非民主的、私利私欲だと国民があまりにも気の毒で可哀想である。

 さて、今日は結婚記念日だったので、妻と車で玉川高島屋へ出かけディナーで祝った。いつの間にやら39回目になった。25周年のときは、カナダへ銀婚旅行に行ったので、来年の40周年には、またどこかへ行こうかと思っている。

2008年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

361.2008年5月9日(金) この世はおかしなことばかり。

 ロシアも、中国もどうもおかしなことをやっている。昨日ロシアではプーチン前大統領が首相に就任した。メドベージェフ新大統領に任命されたものであるが、大分前からきな臭い動きはあった。大統領職を禅譲されたメドベージェフ政権は、実質的にはプーチン首相による院政で、プーチン首相自身がかつてほしいままにした強大な大統領権限を、次から次へ封鎖して首相権限へ移行し、思い通りに政治を操っている感じである。昨日の日経紙に依れば、プーチン大統領は離任直前に州知事など地方自治体首長の人事権を、事実上大統領から首相に移す大統領令にも署名していた。これも明らかにプーチン氏のしたたかな計算によるものだ。これで地方の政治家が忠誠を誓うのは、メドベージェフ氏ではなく、プーチン氏だということがはっきりした。まあ、よくやるなぁと思う。こんなことまでされても、メドベージェフ氏は大統領になりたいのか。げに恐ろしきは、名誉欲と権力欲である。

 一方、中国も北京五輪成功のためには何でもありだ。問題の聖火リレーが海外で終わり、いよいよ国内で始まったと思ったら、あっという間にチョモランマ頂上の聖火リレーとなった。中国国内では、中国ナショナリズムが盛り上がり6時間も生中継をやっていたという。しかし、本当かな?というのが、実は率直な感想である。頂上の聖火をどうも手放しでは祝福できない。下衆の勘ぐりかも知れないが、本当に約10名のリレー走者チームが一辺に登頂したのだろうか。チョモランマというのは、仮にも世界最高峰・海抜8,848mの英名エベレストであるが、そんなに簡単に登れるのかという疑問がある。たった1人でも登頂するのが至難な英雄的偉業であるのに、団体で聖火を携えたパフォーマンスをやって、団体でいとも簡単に(?)登頂成功である。本当かなぁ? しかも、頂上で聖火を点した(された)のがチベット人女性というのが、何やら怪しい。「中国の、中国による、中国のための北京五輪」成功のために、国家総動員で田舎芝居を演じているように思えて仕方がない。

 どうも、近年は普通で、ごくまともな社会がどんどん消えつつある。嫌らしい傾向である。

 さて、今夕のテレビニュースで報道されたが、広島県の公立高校入学試験で、学業成績、内申書は合格点に達していたが、県教委は面接の態度が悪いとの理由で不合格になった受験生の入学を一転して認めることに決定した。現在すでに他校へ通学している1年生に対して当初の希望校入学を許可するらしい。

 よく考えてみると、この対応はどこかおかしく、筋が通らないのではないか。これでは面接試験をやる意味がないと思う。家庭の事情のようなプライバシーの理由で不合格にしたなら、その理不尽さは糾弾されてしかるべきである。だが、このケースは、学力以外の人物評定の場で、受験校の教育関係者がその学校のカラーに合わない行儀の悪さに不合格の烙印を押したのだ。それにも関わらず学校側が下した面接評価は認められず、逆に態度の悪かった生徒が合格になるという。この措置はやはりおかしい。その生徒がいまさら入学し直したところで、学校、同級生、保護者の間にしこりが残り、教育的な見地から好ましくないのではないかと思う。それより何より、その生徒にとって一旦拒否された高校へ入りなおすことが、本人にとって幸せなことなのかどうか、県教委は考えたことがあるのだろうか。それと肝心要の入学を認めた基準と根拠は何なのか、はっきりさせる必要がある。ご意見番としては、どうも納得がいかない。

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360.2008年5月8日(木) 酒井啓子教授によるイラク講座

 多摩大学・現代世界解析講座第3回は、イラク問題に詳しい酒井啓子・東京外大大学院教授の「イラクを巡る国際情勢」と題する講義である。酒井講師は、アジア経済研究所主任研究員として、イラク戦争勃発の際、連日テレビに出演されていたので、いまも知名度は抜群だし、当時は歯切れの良い解説に随分理解を深めさせてもらったものである。

 80年代に3年間も研究者としてイラクに滞在し、戦争直後にも現地を訪れているので、現地情勢に詳しく、現地の人と同じ目線でイラク情勢を観察し、アメリカに対しても真っ当で、結構きつい意見を持っておられる。いま読んでいる岩波新書「イラク・戦争と占領」でも、戦争直前に戦争へ向かう段階的なイラク内外の動きについて詳細に分析している。

 今日の講義で、特に印象的だったのは、隣国同士ではあるがアラビア人のイラクと、ペルシャ人のイランの異質な点を挙げて、両国民の民族的な違い、イラク人のイラン人に対する考え、等について話された。イラク人は戦後アメリカが去った後に、国内でイラン人につけ込まれることを心配している。現在のマリキ政権の要人は、ほとんどイランとつながっている。彼らはフセイン政権下でイランへ亡命し、何十年間もイランで生活し、イランの協力も得た人々であり、イラン的思考に染まっている。イラク国民としては、イラク人とはいえ、そういう人たちに支配されることと、しばらくアメリカ軍が駐留することのプラス面を天秤にかけている。

 変わったところでは、フランス・サッカーのジダン選手と日本ハムのダルビッシュ投手のイスラム教徒論まで話され、中々面白かった。

 ささいなことだが、2点気になった。ひとつは、質問を受けるということを多摩大学学部長が開講前に突然言われたが、その時間はほんの10分。これだけの講義内容でたった10分とは常識的には考えられない。こんな僅かな時間では、最初から中身の濃い質疑は無理に決まっている。案の定質問者は1人だけだった。受講している飯田ゼミの遠藤靖子さんも、イラクの女性について質問したかったと言っていたくらいだ。

 もう1点は、酒井講師から事前に配布されたレジュメが、「11月7日、龍谷大学」とタイプされていた。いくらなんでも半年前他大学で行った講義のレジュメをそのまま配る、無神経はちょっと理解できない。この表示を削除するとか、タイプし直すとか、もう少し気を遣ってもらいたい。

 しかし、講義内容はさすがにイラク専門家で充分期待に応えるものだった。お陰であまり聞けない専門的な知識を直接仕入れさせてもらった。この後のセミナーにも期待が持続される。

2008年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

359.2008年5月7日(水) 胡錦濤・中国国家主席の本音はどこに?

 午前中皇居で天皇、皇后両陛下が胡錦濤・中国国家主席を歓迎する式典が中継放送され、その後両国首脳会談が行われ、記者会見、そして夕べには天皇主催宮中晩餐会が行われた。この間両国が話し合った内容が断片的に伝えられた。実質的な成果があったのは、中国側がパンダの1つがいを日本に貸与するという政治とはまったく関係ないものだけだった。

 両国の首脳が会談しながら、何がゆえに実質的な成果をあげさせないのか。お互いへの奇妙な遠慮である。かつて初めて田中角栄首相が中国を訪問したとき、最後に田中首相と会った毛沢東主席は、「もう喧嘩は済みましたか?」と尋ねたことが当時話題になった。つまり、良き友人は相手にとって厳しい意見やアドバイスを言い、解決した後は喧嘩を水に流してお互いに友情を育てるという中国古来の格言に倣ったものだ。

 それに比べると、胡錦濤主席も福田首相も籠の中の儀式で、しゃべる言葉もブレーンが作成したものをそのまま読んでいる感じだった。これでは、いま両国間に横たわっている①東支那海ガス田開発、②冷凍ギョーザ問題、③チベット問題、④北京五輪開会式福田首相出席、ほかについて腹を割って話し合ったということにはならないのではないか。

 日本は、胡錦濤主席にうまく利用されているのではないかとの考えがある。ヨーロッパ諸国から厳しい見方をされている中国が、日本と外交的に良い関係にあって日本の支持を得ているというPRではないかとの声である。

 したたかな中国と日本が渡り合うのは、中々大変であるし、現在の力関係とか個人的な能力を考えると日本には分が悪い。日本の外交下手は、政治家がほとんど世襲議員で、自ら苦労した体験がなく、周りにすべてのお膳立てをやってもらう環境の中で育ってきた人たちだからである。

 日本滞在中にどんなサプライズがあるのか。

 ロシアでは、今日プーチン大統領が8年間の大統領職を退き、メドベージェフ新大統領が就任した。明日プーチンが首相に就任して、いよいよわけが分からない二頭立て政治がスタートする。この国も何を考えているのかよく分からない国である。

2008年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

358.2008年5月6日(火) 胡錦濤国家主席来日とビルマのサイクロン

 胡錦濤・中国国家主席が来日した。チベット問題と北京五輪が話題になっている折柄、世界中が主席の言動を注目しており、日本政府としてもその対応が中々難しい。日中両国間には、東支那海ガス田開発と毒入り冷凍ギョーザ事件の未解決問題がある。いずれも中国側に問題があると思えるが、日本はそこをずばっと突くことが出来ない。外交交渉がまったく下手で、外交の何たるかが分かっていない日本の政治家と外務官僚では、いつまで経っても解決は無理だろう。

 胡錦濤主席は4日間ほど滞在するようで、その間に福田首相と会談するが、チベット問題で事を荒立てたくない日中両首脳は、肝心の点をぼかすのではないかと思う。10年前に江沢民主席来日の折には、江主席は過去の歴史問題ばかりを取り上げて、日中関係をこじらせた経緯もあり、今度はあまり踏み込んだ話し合いにはならないだろうというのが専門家の見方だ。ということは、中国側の立場を容認することになりかねず、海外から日本を見る目が厳しくなる心配がある。

 それよりいま私が個人的に気になっているのは、ビルマのサイクロンによる被害状況である。ビルマ駐在の外国人マス・メディアが少ないので、詳しいニュースが伝わりにくいが、今月3日に襲来以来毎日被害者数が増え続けている。最初が死者350人、翌日には3,000人になり、昨日10,000人になり、今朝15,000人から夕刻には22,500人になった。加えて約4万人の行方不明者が出ている。細々と写る映像を通して見える、吹き飛ばされそうなラングーンの街が哀れである。この国の一途な外交の背後に、中国の影があるのも皮肉である。

 意地を張ったビルマ軍政は、国連救援部隊の入国を拒否していたが、ビルマ国内のライフライン停止、道路輸送の途絶、食糧不足、衛生薬品不足など国民生活の停滞により、ついに国連の援助を受け入れると発表した。10日に新憲法承認のための総選挙実施が危ぶまれていたが、軍政は意に介することなく予定通り選挙を実施する予定だった。しかし、さすがに国内にこれだけの被害を蒙ると、選挙に拘ってもおれず、とりあえず被災地区では選挙を延期するらしい。新憲法と総選挙に世界中の厳しい目が注がれている折に、このような災害を蒙るのは、天罰とも言える。軍政はもっと素直になって、ビルマ国民と国際社会の声を聞き入れ、民主化を進めなければ国際社会が国家として認めないだろう。いまの状況では、ただ優しい国民が哀れに思えて仕方がない。

2008年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com