364.2008年5月12日(月) 「グリーン・ツーリズム」セミナー

 テレビニュースでは、今日もビルマのサイクロン被災の様子を伝えている。やりきれない思いである。些少ではあるが、今日近くの郵便局から日本赤十字社へサイクロン被災の義捐金を送った。女性係員からビルマとサイクロンについて尋ねられたので、知る限りで説明してあげたが、ビルマが一般的にあまり知られていないことを痛感した。

 この後毎月定例のJN協会観光立国セミナーへ出かけた。

 財団法人「都市農山漁村交流活性化機構」専務理事・斎藤章一氏による「グリーン・ツーリズムから見た観光立国」がテーマで、実績、実例を挙げて中々興味深い話をされた。財団の狙いとしては、こどもたちに農山漁村で体験学習をしてもらうこと、グリーン・ツアーを企画することによって各地域で頑張っている「おかあさん」民宿を紹介する、等々を心がけていることを知った。農山漁村を核に、町おこし・村おこしを仕掛ける試みだと理解した。推薦する民宿には外国からも多くの観光客が押し寄せて、思うように予約が取れないほど盛況らしい。初めての農山漁村におけるミーティングに参加したこどもたちが感激したとか、地方の温かいホスピタリティーに接して癒され、グリーン・ツーリズムが顕在化してきたと、めでたい話ばかり聞かされたように思ったが、一方で手放しでは喜べない点もあるのではないかと考えざるを得ない。

 グリーン・ツーリズム自体の発想は大いに結構だが、それはいま健全に発展している農山漁村が、これからも時代の流れに後れないように援助、支援していこうとするプロジェクトのように見える。過疎化が進む農山漁村や、廃村化した農山漁村はまったく対象にはなっていないと思う。これらの地域に対しては前者に対する理念でどう対応するのかが描かれていない。

 このプロジェクトのために、国家がらみで財団まで作り、自治体や農協、その他の団体と手を携えながら、グリーン・ツーリズムを推進する目的がいま少し分かりにくい。加えて、はたして国がそこまでやる必要があるだろうかと疑問も感じた。

 質問するのは差し控えたが、次の点ははっきりしている。わが国の農政は完全に失敗した。それは一過性ではなく、失政の影響はいまも全国的に尾を引いている。米の減反政策は、まさにその典型であろう。わが国の食糧自給率は40%を下回り、先進国の中でもその割合が極端に低く、中でも主食の米すら外国産米を輸入している。これら今に至る食糧不足の元凶は、明らかに米の減反政策の結果である。それを国策として指導したのは、この財団の親分格の農水省ではないか。講師の斎藤氏は、99年1月の農水省退職前は、関東農政局長の要職を務めた方であり、農政大失政を担った中心人物のひとりだったのではないだろうか。講師に対して斯様な私見を抱くのは、申し訳ないと思いつつ、どうも違和感が拭えない。いま自分たちの失政のツケを、農水省と財団ともども、その万分の一でも返そうと考えているとしたら筋違いではないかとつい邪推してしまうのである。

 今日午後中国四川省でM7.8の大地震に襲われ、死者は6千人を超えたという。まだ、多くの犠牲者が出そうだ。

2008年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com