358.2008年5月6日(火) 胡錦濤国家主席来日とビルマのサイクロン

 胡錦濤・中国国家主席が来日した。チベット問題と北京五輪が話題になっている折柄、世界中が主席の言動を注目しており、日本政府としてもその対応が中々難しい。日中両国間には、東支那海ガス田開発と毒入り冷凍ギョーザ事件の未解決問題がある。いずれも中国側に問題があると思えるが、日本はそこをずばっと突くことが出来ない。外交交渉がまったく下手で、外交の何たるかが分かっていない日本の政治家と外務官僚では、いつまで経っても解決は無理だろう。

 胡錦濤主席は4日間ほど滞在するようで、その間に福田首相と会談するが、チベット問題で事を荒立てたくない日中両首脳は、肝心の点をぼかすのではないかと思う。10年前に江沢民主席来日の折には、江主席は過去の歴史問題ばかりを取り上げて、日中関係をこじらせた経緯もあり、今度はあまり踏み込んだ話し合いにはならないだろうというのが専門家の見方だ。ということは、中国側の立場を容認することになりかねず、海外から日本を見る目が厳しくなる心配がある。

 それよりいま私が個人的に気になっているのは、ビルマのサイクロンによる被害状況である。ビルマ駐在の外国人マス・メディアが少ないので、詳しいニュースが伝わりにくいが、今月3日に襲来以来毎日被害者数が増え続けている。最初が死者350人、翌日には3,000人になり、昨日10,000人になり、今朝15,000人から夕刻には22,500人になった。加えて約4万人の行方不明者が出ている。細々と写る映像を通して見える、吹き飛ばされそうなラングーンの街が哀れである。この国の一途な外交の背後に、中国の影があるのも皮肉である。

 意地を張ったビルマ軍政は、国連救援部隊の入国を拒否していたが、ビルマ国内のライフライン停止、道路輸送の途絶、食糧不足、衛生薬品不足など国民生活の停滞により、ついに国連の援助を受け入れると発表した。10日に新憲法承認のための総選挙実施が危ぶまれていたが、軍政は意に介することなく予定通り選挙を実施する予定だった。しかし、さすがに国内にこれだけの被害を蒙ると、選挙に拘ってもおれず、とりあえず被災地区では選挙を延期するらしい。新憲法と総選挙に世界中の厳しい目が注がれている折に、このような災害を蒙るのは、天罰とも言える。軍政はもっと素直になって、ビルマ国民と国際社会の声を聞き入れ、民主化を進めなければ国際社会が国家として認めないだろう。いまの状況では、ただ優しい国民が哀れに思えて仕方がない。

2008年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com