午前中皇居で天皇、皇后両陛下が胡錦濤・中国国家主席を歓迎する式典が中継放送され、その後両国首脳会談が行われ、記者会見、そして夕べには天皇主催宮中晩餐会が行われた。この間両国が話し合った内容が断片的に伝えられた。実質的な成果があったのは、中国側がパンダの1つがいを日本に貸与するという政治とはまったく関係ないものだけだった。
両国の首脳が会談しながら、何がゆえに実質的な成果をあげさせないのか。お互いへの奇妙な遠慮である。かつて初めて田中角栄首相が中国を訪問したとき、最後に田中首相と会った毛沢東主席は、「もう喧嘩は済みましたか?」と尋ねたことが当時話題になった。つまり、良き友人は相手にとって厳しい意見やアドバイスを言い、解決した後は喧嘩を水に流してお互いに友情を育てるという中国古来の格言に倣ったものだ。
それに比べると、胡錦濤主席も福田首相も籠の中の儀式で、しゃべる言葉もブレーンが作成したものをそのまま読んでいる感じだった。これでは、いま両国間に横たわっている①東支那海ガス田開発、②冷凍ギョーザ問題、③チベット問題、④北京五輪開会式福田首相出席、ほかについて腹を割って話し合ったということにはならないのではないか。
日本は、胡錦濤主席にうまく利用されているのではないかとの考えがある。ヨーロッパ諸国から厳しい見方をされている中国が、日本と外交的に良い関係にあって日本の支持を得ているというPRではないかとの声である。
したたかな中国と日本が渡り合うのは、中々大変であるし、現在の力関係とか個人的な能力を考えると日本には分が悪い。日本の外交下手は、政治家がほとんど世襲議員で、自ら苦労した体験がなく、周りにすべてのお膳立てをやってもらう環境の中で育ってきた人たちだからである。
日本滞在中にどんなサプライズがあるのか。
ロシアでは、今日プーチン大統領が8年間の大統領職を退き、メドベージェフ新大統領が就任した。明日プーチンが首相に就任して、いよいよわけが分からない二頭立て政治がスタートする。この国も何を考えているのかよく分からない国である。