597.2008年12月31日(水) この1年はどうだったか。

 今年もあっという間に大晦日を迎えることになった。

 まず、自分自身にとって果たして納得のいく1年だったろうか。健康面では血圧が上がり気味だったが、それほど心配する1年ではなかった。食欲もまずまずだった。

 活動面では、一応満足することができたと自分自身で納得している。いつのことになるかと心配していた「停年オヤジの海外武者修行」も何とか早稲田出版から上梓することができた。おまけにこの売れ行きが頗るいい。すでに来年1月10日をメドに重版が決定している。2月には出版記念会も控えている。加えて、前著「現代・海外武者修行のすすめ」を「新・現代海外武者修行のすすめ」と改題して12月に文芸社から再販することができた。

 講演では、従来の定期的な講師のほかに、新たに海外の活動が加わった。11月の韓国・束草(ソク・チョ)市におけるシンポジウムの参加である。そのほかに国内でも新しい講演活動が加わった。岩手県の気仙広域連合、東京交通短期大学、新宿法輪会ほかである。その間隙を縫って小論やエッセイを書いた。

 セミナーや大学の公開講座にも足しげく通って、その道の多くの先達やプロの話を聞くことに努めた。4月から始まった週1回の多摩大学・寺島実郎「現代世界解析講座」、5月から始まった週3時限の駒沢大学・マスコミ研究所公開講座、そして12月に4回の岩波市民セミナーの原寿雄氏の「ジャーナリストとして生きて」等は、既定の「構想日本」、ふるさとテレビ、JN協会のセミナーと併せて、脳軟化症に陥りがちの頭脳に刺激を与えてくれ、新たな知識を涵養させてくれて大いに向上心をステイミュレイトしてくれたと思っている。その他にもほぼ毎週パソコン教室で個人指導を受けて、とても完璧とはいかないまでも、ある程度力がついたと思っている。ホームページも若干手直しすることができた。来年はもう少し手を加えてみたい。このブログにしても一年半の間休むことなく継続して今日597回目を書き込むことができた。ある程度続けていくことに自信を持つことができた。省みて不十分だったり、納得のいかない点も多々ある。両膝が少し回復してきたので、もっと海外にも出かけるべきだったとの思いも強いし、もっと厳しい目で現実を見つめた社会評論を書くべきだったとも思っている。それでも全般的にはまずまずだったと言えるのではないかと思っている。

 来年は今年の反省を踏まえて、もっと外へ向かって実績を誇れるような仕事をしようと考えている。

 外の世界では、イラクやアフガニスタンの戦争の行方も定まらない。年末になってから始まったイスラエルのガザ地区に対する激しい空爆は、2千年の怨念の篭った恨みを露呈するものだった。イスラエルの攻撃は休む間もなく、5日間に亘って続けられ、すでに死者は400人近くに達している。国連事務総長が何度も自制を訴えているが、イスラエル、ハマス両者とも一歩も後へ引かない。こうしている間にも犠牲者は増えている。ガザは今や世界中で一番激しい戦火が交わされている地となっている。益々複雑な道へ入り込みそうな気配である。

 国際経済面では、不況に終った1年だった。北朝鮮の核問題も何ら前進することはなかった。それにもまして世界的な景気後退は一体全体どうなってしまうのだろうか。来年も早々からあまり展望の開けない状態が続く気がする。

 今晩は例年通りNHK紅白歌合戦を観ることになった。終るともう新年である。来年こそは私自身は勿論であるが、周囲も、外の世界も事態が好転することを願って、問題の多かった1年を送りたい。

2008年12月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

596.2008年12月30日(火) 終わり悪けりやすべて悪いか。

 年末の大掃除というのは、師走13日から始める習慣になっているそうで、いよいよ押し詰まってくると、静かに年神様をお迎えする気持ちと状況を作ることになっていて、普通大掃除はやってはいけないらしい。だが、その中で1日だけ掃除をやってもいい日というのがあって、それが今日30日だそうである。そんなことはあまり意識しないが、一応新年を迎える準備だけはしておくべきと、掃除の序に松飾りを門扉から玄関にまで飾った。これで形だけは年神様を迎える準備ができた。各室内は妻が片付けて、以前と違い老夫婦だけになるとあまり整理することもない。

 そして、書き残した年賀状と郵送物を持って近くの特定郵便局へ行ったが、局内には一人も客がいなくて拍子抜けだった。局員に聞いてみると彼らも意外なほどの閑散ぶりに意外だと言っていた。昨日訪れた時は行列だったので、或いは今日は休日だと思っているのかも知れない。

 兜町の東京証券取引所は、例年通り今日が大納会だが最悪の年末を迎えることになってしまった。日経平均株価は8,859.56円で年初に比べて過去最大の42%の落ち込みである。東証上場企業の時価総額は1年間で200兆円が消失したことになる。外為相場も円高の傾向は衰えず、1$=90円で、年初の112円に比べて20%も上昇している。この調子だと当分輸出産業の景気が復活しないのではないか。外国へでも行かなければ、普通の庶民にはぴんとこない円高だが、これが輸出企業にとっては想像以上にきつい。トヨタの赤字決算予想もその原因はそもそも円高によるものだ。今日の今年を振り返るニュースの中でも営業不振、不正規社員解雇等について、次々と報じていたが、一方的に企業側の発表を信じ、黙っていて良いのかと思う。どうも本質とか正論が議論されていないような気がする。

 例えば、ソニーはつい最近国内外の事業所で正社員8,000人を含む16,000人の従業員を解雇すると発表したが、これだけ多数の従業員を一気に、しかも突然解雇するのはいかにしても強引で、無責任な気がする。営業計画、雇用計画、成長予測等々についてソニーのような世界企業なら、独自の調査網を駆使して早めに手を打てる情報をいくらでも取れたと思う。そうすれば、これほど酷な解雇問題を表面化させることはなかったと思う。これは明らかに経営者に大きな責任があると思う。いずれにしても嫌なことの多い1年だったように思う。

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595.2008年12月29日(月) 「文明の衝突」のハンチントン教授亡くなる。

 昨年までハーバード大学教授だった政治学者サミュエル・ハンチントン教授が亡くなった。81歳だった。何と言っても同氏を世界的に有名にしたのは、1996年に喧々諤々の議論を巻き起こした著作「文明の衝突」の発表だろう。その当時「ニュース・ステーション」のキャスターだった久米宏が、番組の中で実物を手にとって、民族間の問題点と本音を抉って極めて面白いと異例の紹介までしたので、興味をそそられ読む気になった書である。実際読んでみて考えさせられ、特にオーストラリアが大洋州という地勢に満足できず、アジア圏に入るべきか悩んでいる心情とか、トルコがアジアとヨーロッパの間で心が揺れ、本音はヨーロッパでありながら、宗教的にヨーロッパたりえず、宙ぶらりんの状態にあるとの、ユニークな論旨と指摘が興味を惹いた。それでは私自身の感覚で探ってみようと思い立ってトルコへ出かけたのが1999年の夏だった。そのトルコでは思いもかけぬ大地震に遭い、地震を通して文化の違いをつくづく思い知らされたのだった。その旅行記については近著「停年オヤジの海外武者修行」にも書いた。その意味では異文化への興味を一層掻き立ててくれたハンチントン氏は、多種多様な文化へ気持ちを誘ってくれたという意味でも私にとっては恩人である。カーター大統領時代に政策スタッフとして、政界入りした多彩な経歴がありながら、その割に17冊と比較的著作は少ない。まだまだ彼なりの視点や見方を啓発して欲しかった。惜しい人を亡くした。

 さて、現在の経済界は不況風邪をどう避けるかという一点から、いろいろ対策を考えているようだが、そのひとつが、企業同士の統合合併だろうか。三井住友、あいおい、ニッセイ同和の損保三社が統合検討を始めているようだ。これが実現したら業界トップになる。しかし、我々が社会人となった45年前には、三井、住友、あいおいの前身東京火災と千代田火災、日生、同和火災と言えばそれぞれが選りすぐられた一流会社だった。それが一心同体になるとは、思いがけない事態である。そうしなければこれからの乱世を生き抜いていけないということだろう。この大同団結によって、確かにムダは省かれ組織としては強力になるだろう。強いものは益々強くなり、弱いものは弱くなり淘汰されていく。その弱くなったものが今問題視されている非正規社員などではないだろうか。経済発展のためには、企業が強くなることが求められ、そうなればしわ寄せは最下層に寄せられる。やるせない現実だ。

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594.2008年12月28日(日) ちらつく中東戦争の影

 世界の国家対立、民族紛争の中で日本人には分りにくいが、恐らく最も長く、激しい戦いを続けている地域はパレスチナ地区だろう。根っこにキリスト教とイスラム教の根源的な宗教対立があることが問題を複雑にし、解決を難しくしている。

 昨日パレスチナ自治区ガザをイスラエル軍が空爆した。今朝の新聞では死者が195人、負傷者は300人以上と報道されていた。一日の死者としては1967年の第三次中東戦争以来である。この第三次中東戦争直後に中東地域を訪れ、戒厳令下の厳しい治安情勢や、シナイ半島を列車で走り車窓から破壊された戦車群を見て、乾燥した土地に流れるウェットで熱い感情を知ったことを今更の如く思い出す。あのころは自分自身も若くて、言動も少々無鉄砲だった。あの当時中東諸国に対する事前知識もほとんどなく、新聞情報だけを頼りに中東を訪れた。中東諸国が他の国や地域とはまったく異質だと知ったのは、実際自分がその土地を訪れ、そこで臨場感を感じた時である。今日国際問題に関心を持ち続けていられるのも、あの時の危機一髪の実体験があるからである。そういう意味では、今のジャーナリスティックな自分を育んでくれたのも、あの第三次中東戦争直後の荒れた現場である。あれから40年が経ち、世界はもちろん中東情勢も大きく変わった。感慨無量である。午後になって空爆による死者の数は益々増えて遂に300人近くに達し、1948年の第一次中東戦争以来最大の犠牲者を産む悲惨な結果となった。

 今回のイスラエル空軍のガザ地区にあるイスラム過激派ハマスの拠点地区に対する攻撃は、全面戦争に発展する可能性を秘めている。これだけ一方的にイスラエルが停戦協定の失効を待ちかねていたかのような攻撃を見ていると、そう簡単に停戦が再成立するとは思えない。アラブ連盟は緊急声明を出してイスラエルを非難し、国連に安全保障理事会の開催を求めた。一時的解決、いわゆる停戦協定までは多分かなり時間がかかるだろう。

 昨日何とか年賀状を書き終え、565通を投函した。何とかノルマを果たした心境である。元旦には知人や友人からどんな年賀状をいただけるか、楽しみである。

2008年12月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

593.2008年12月27日(土) 数少ないまともな政治家・与謝野馨氏

 政治家の中で与謝野馨・経済財政担当相は、周囲の雑音に煩わされることなく、筋の通った論理を展開する、その考え方と姿勢には以前から敬意を表している。今朝の日経新聞のインタビュー記事「次の世界」によれば、「世界同時不況を克服するためには、アメリカの貿易赤字と財政赤字、家計の過剰消費を止めることが必要」「日本経済の立ち直りには潜在的な成長力の高い新興国との協力が欠かせない」「機軸通貨のドルを支えることが我々の利益」「市場経済のメカニズムで決まる価格や資源配分が善であるという市場経済の原則は守る。(現在の経済不況は)バブル発生を阻止できなかった制度の欠陥を手直しすればいいだけの話で、自由主義経済の思想はきちんと守らなければならない」と自民党の政策通らしい主張をしている。

 ただ、良い家柄に生まれ豊かな生活環境の中で育ったせいか、主張することは結構だが自らは動かないというのが弱点であり気に入らない。「民主党の言っていることもいいところがあると思う。連立とかではなくて、きちんと政策的な話し合いをしたらいいだろう」なんて、大臣という重要ポストにありながら、他人ごとのような発言はいただけない。この辺りがこの人の限界ではないかと残念に思う。与謝野氏は前々から消費税増税には積極的な立場に立ち、その論旨も理解されやすいし的を射ているので、この機会に堂々正論を戦わせて、もう少し存在感を訴えて欲しいものである。

 このほかにも今朝の日経は中々歯ごたえのある記事が多く、小宮隆太郎・元東大教授に「私の履歴書」の中で、前川リポートの功罪について骨のある持論を開陳させている。

 さて、忘年会シーズンも昨日辺りが最後だろうが、今日は小中陽太郎さんを囲む「ヨタロウ会」忘年会。神田の「樽平」に32名が集まった。こういう会合に出ると知り合いに会うことが多い。今日も服部さん父子、瀧澤洋子さんご家族、知研からは久恒啓一・理事長、八木哲郎・会長、秋田英澪子・事務局長、樋口裕一・多摩大教授、日本ペンクラブの西原健一さん、滞米27年の北岡和義さん、目黒区議の須藤甚一郎さんらである。驚いたのは、昨夏小田実さんの葬儀当日の追悼デモが朝日新聞社会面に大きく掲載されたが、その写真のド真ん中に私が映っていることを須藤さんが発見されたと語られたことである。あまたある新聞掲載写真の中で、特定の人物を見つけられるとは凄い目利きだと感心してしまった。恥じることをしているわけではないので、気にすることもないのだが、それにしても行動には充分気を配らなければいけないと自戒した次第である。

 出席者が各人各様の話をされたが、小中さんが先日出版された「小田実と歩いた世界」(講談社刊)、及びべ平連の活動がどうしても中心になってしまう。事務局長だった吉川勇一さんの健康が優れないらしい。私も拙著を売り込んでおいた。小中さんご夫妻と自由が丘からタクシーで帰ったが、早や12時近くになっていた。

2008年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

592.2008年12月26日(金) 早乙女貢氏の会津史観

 昨日胃癌のため亡くなられた早乙女貢氏は享年82歳だった。髪は黒々としてとてもそんなお年には見えなかった。今朝の朝日によると「会津藩主と藩士の苦難を通じて、小藩に逆賊の汚名を着せた官製の正史に対する疑念を提示。敗者の視点に立って日本の近代化の歴史の再検証を試みた」と紹介されている。会津魂に対するこだわりと思いのたけは、早乙女作品に集約されている。とにかくライフワークとして書き上げた会津魂シリーズは、吉川英治文学賞を受賞した第一期幕末編「会津士魂」が全13巻、第二期明治編「続会津士魂」が全8巻である。早乙女氏の作品は、恥ずかしいことにほとんど読んでいないが、解説を読むと中々骨のある歴史文学のようなので、いずれ読んでみたいと思っている。阿刀田高・日本ペンクラブ会長は早乙女氏の推薦でペンクラブ会員になられたそうだが、小中陽太郎氏の推薦と併せて、その阿刀田高氏の推薦で同じくペンクラブ会員になった私は、早乙女氏にとってさしずめ孫弟子のようなものだろうか。謹んでご冥福をお祈りしたい。

 内閣府が発表した2007年度国民経済計算によると昨年の日本人の一人当たり名目国内総生産(GDP)は、世界で19位だった。G7の中で最下位だそうだ。必ずしも経済力の実態を表しているわけではないが、凡その見当はつく。昨年はユーロ高傾向だったので、ヨーロッパ各国のGDPが膨らんだ一方で、日本は成長率が伸び悩んだせいでもある。イタリアに追い抜かれた。実際日本の上位18カ国のうち、アメリカとカナダを除く16カ国はすべてヨーロッパだった。今年が円高だったので、日本のポジションも来年度は昇格するのではないかとのコメントもある。さあどうなるか。

 早稲田出版と拙著の重版について話し合っている。やや暗過ぎた写真をもっと明るい印刷にしてもらうということで落ち着いた。嬉しいことに出版社に拙著への電話注文が相次いでいるという。何となく黙っていても内心から嬉しさがこみ上げてくるものだ。この分だと気分よく年を越せそうだ。

2008年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

591.2008年12月25日(木) クリスマスに年賀状を書く。

 景気が芳しくない情報ばかりがマス・メディアを席捲している。期間労働者や契約社員がバタバタとクビを切られる厳しい雇用環境に直面して、地方自治体が積極的に彼らを臨時職員として雇用しようと乗り出した。これは明らかに政府が動いた結果ではない。自治体が地域内の企業が非正規社員を解雇する状況を見て、独自に対応した救済策のひとつである。まったく政府や中央官庁の機能不全状態に自治体が動くしかない状況となっている。極端であるが、これでは政府や中央官庁は必要ないのではないかと考えてしまう。それでいて政府や頭の良いとされる(実際にはプライドばかり高くて頭なんて良くない)中央官庁の役人が考える来年度予算は、過去最高の支出額である。短絡的にそう間単に考えるわけには行かないが、実際役人なんて要らないと考えたくなる流れと社会の構図になっている。鈍感な政治家と、国家観のない役人はこういう状況にぶち当たり、国というのは何が骨格であり、どう組み立てなおすのかというアイディアがまったくない。ポーズだけとって手を拱いているのだ。情けない。

 年末となってこのところ年の瀬の恒例となった年賀状を書いている。この3日間で500枚近い宛名書きをした。あと100枚少々書くつもりだ。印刷はかつて本職の印刷屋に依頼していたが、今ではPCを使い自分で作成している。宛名だけは万年筆で気持ちを込めて書くよう努めている。これは子どもの頃から習慣となっている。やはりこだわりがある。どんな手紙でも相手の名前や、あて先は万年筆で丁寧に書きたい。書いているとふっと相手の顔が浮かんでくる。中にはほとんど連絡がなく、どんな生活をしているのか分らない友人もいる。でも、1年に1回の直接言葉を交わさない交流であり、相手が止めるならともかく当方から文通を止める気はない。まもなく今年も幕を下ろす。早いなぁというのが率直なところ。

 また訃報である。直木賞作家の早乙女貢氏が今日亡くなられた。いつも日本ペンクラブの例会には和服姿で参加しておられたが、会津武士に格別のこだわりを持っておられた。例会後のパーティでも独特の存在感があったが、個性的な作風の作家がまたひとりいなくなった。

2008年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

590.2008年12月24日(水) 「知研」編集の単行本発行へ向けて

 「停年オヤジの海外武者修行」増刷につき、若干の課題を早稲田出版と打ち合わせた。来年1月に第2刷発行であるが、表紙帯の折り目部分の色落ち、写真の明るさ具合、1文字の誤植の修正についてお願いした。帯は角の折り目が色褪せるので、これにもうひとつ無色のコーティングをかけてもらうことにした。この点については同社社長が一般的に帯はコーティングしないと言って同意しなかったが、色褪せた実物を示し説得して納得してもらった。写真は1枚を除き、すべてもっと明るくしてもらう。文字の誤植は訂正してもらう。これですっきりすると思う。

 終えてから紀伊国屋裏の喫茶店へ向かい、「知研」久恒啓一理事長、八木哲郎会長、秋田英澪子事務局長、小林尚衛氏に私も加わり、知研が編集する「知の現場」なる書の発行について、久恒理事長と東洋経済新報社が考えているアイディアの実行方法を話し合った。「知的生産の技術研究会」編集、発行とする魅力的な書を企画する予定である。

 現在それぞれの分野で多岐に亘って活躍している人の知恵の現場で話を聞きながら取材して、1冊の書にまとめようというものである。リストアップされている人をさらっと見ても、興味を惹く魅力的な人ばかりであり、その泉のような知恵の源泉を知ることは、多分読者にとっても興味を掻きたてるのではないかと思っている。知研としても新しいプロジェクトを発足させることは、知研自体を刺激することになり、知研会員にとっても大きなモチベーションとなる。忙しくなるが、これはこれで結構面白い企画ではないかと期待が高まってくる。

 さて、景気の悪化は金融危機ばかりでなく、大企業、中でも自動車産業をいろいろな分野で窮地に追い込んでいる。一昨日トヨタが発表した2008年度業績予想では、大幅に再下方修正した。雇用現場で非正規社員の削減が大きな話題を提供したばかりだが、各企業の業績がここまで悪くなるとは1年前には思いも及ばなかった。とりわけトヨタにおいておやである。というのも、昨年度の営業利益は2兆2,700億円を計上したが、それが今年度もそれに近い営業利益のはずが、一転して1,500億円もの大赤字に急降下したのである。トヨタの赤字決算への転落は連結決算開示以来初めてである。連結営業利益は95年度からうなぎ上りだった。昨年は新しい時代の夢を語っていたトヨタ首脳陣も、あまりのボディブローに、ついに来年4月には社長が交代する思わぬ事態に発展してしまった。これはトヨタ経営者の責任ばかりではない。円高という外的要因も影響している。経営者にとってもある面で不幸な時代に巡りあわせたと言えるのかも知れない。

 まさに一寸先は闇である。それにしても今度の不況に際して、これほど多くの非正規社員がいるとは寡聞にして知らなかった。

2008年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

589.2008年12月23日(火) 王鐵城先生を送る。

 20日に亡くなられた王鐵城先生の葬儀に参列した。新宿2丁目の太宗寺前には警察官も出ていたが、驚いたのは大勢の取材陣が境内の指定場所に固まっていたことだ。さすがにスーパー有名人を弟に持つ名医の葬儀である。

 しかし、ともすればマス・メディアの関心は「世界の王」の兄、しかも王選手の進路や、悩みに相談に乗っていた優しい兄と有名人の弟との関係に偏りがちであるが、葬儀の雰囲気は医師としての顔の方が強かった。弔事は新宿区医師会長だったし、読み上げられた弔電も母校・慶応義塾大医学部関係の方々からのものばかりだった。姿を確認したのは野球界ではOBの張本勲氏、国松彰氏、現役では福岡ソフトバンク・ホークスの斉藤和巳投手程度だった。

 ついぞ知らなかったが、今年3月に医院を閉めて、10月に入院されていたという。ご焼香の後喪主である奥様にお悔やみの気持ちをお伝えした時、来年2月の拙著出版記念パーティにご案内をいただきながらご返事もしないで申し訳ありませんと頭を下げられ恐縮した。隣に介添えしていたご長男の康雅医師には、久しぶりにお会いした。王貞治・前監督と挨拶を交わすのは7年前母上の百賀のお祝いで世間話をして以来である。「大変お世話になりました」と言っていただいた。出棺をお見送りしたが、王家を代表してご長男の康雅医師がご挨拶されたが、中々感動させる内容のスピーチだった。「父は厳しかった。いろいろ教えてもくれた。優しい父でもあった。今日ご参列の皆さまに父がこの場でご挨拶されるとしたら、お礼とともに毎日どうか健康にはくれぐれも気をつけてほしいと言うと思います」と。

 それにしても何となく寂しく侘しい。昨年の夏新宿御苑の催しに出かける折に、妻とともに医院へご無沙汰のご挨拶に伺った時がお目にかかった最後である。あの優しい笑顔が懐かしい。王先生、お世話になりました。

 今日は天皇誕生日で祭日でもあるが、同時に「東京タワー」が完成した日でもある。満50歳である。私は2度ばかり昇った程度であるが、結構東京タワーファンという方々がいるようで、タワーに関して個人的な珍記録を持っている人も多いようだ。しかし、今江東区に第2東京タワーとも言われる、新しい東京名所として売り出そうとする「東京スカイツリー」が建築中である。新しい時代の電波発信基地としての要請に応えて、新しいものに変わりつつある。これも時代の移り変わりを反映しているのだろうか。

 昨日VAIOのデスクトップ・パソコンが修理を終えて戻ってきた。スイッチは入り、メール通信は可能となったが、インターネットがダメだ。また、明日にでもソニーに電話で問い合わせてみないといけない。まったくPCというのは、うまく機能するうちはよいが、一旦故障すると他にも影響が出る。まるでモグラ叩きである。

2008年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

588.2008年12月22日(月) 原寿雄氏最終講義

 岩波市民セミナーの原寿雄氏による「ジャーナリストとして生きて」 4回シリーズは今日が最終回である。「現場を離れて見えたもの」のテーマの下に共同通信社記者から離れて、ジャーナリストとして各方面の委員会委員としての経験等について話された。また、マス・メディアが抱える問題点やジャーナリズムの今後について持論を話された。総括として、ジャーナリズムは権力に立ち向かえるか、発表ジャーナリズムから調査報道へ転換出来るか、社説は必要か、等々についても語られた。

 前回受け付けた質問のうち、4点について回答された。そのひとつは私が今年正月以来気になっていた韓国利川市内の冷凍倉庫爆発事件の報道のあり方について、ジャーナリスト、或いは原氏の考えを伺ったものである。原氏はこの事件をご存じなかったようだ。会場の雰囲気でも誰もこの事件を知らないようだった。実に意外である。証拠としてインターネットからダウンロードした事件の文章と写真を回覧してもらい質問した。死者のうちかなりの数が、朝鮮系中国人であったことに対して事件直後に中国の胡錦濤・国家主席が 韓国政府に対して最善の処理をするよう要望した。この点について、原氏はこの辺りがどうも引っかかるようなことを仰っていた。しかし、事件の概要についてはご存じないようなので、突っ込んだ回答は引き出すこと出来なかった。

 この事件については結局国内では専門家でもほとんど知らないということであり、ニュースなんか権力者の意向でどうにでもなるものだ、ということを改めて知らされたように感じた。

 折も折り、今朝の新聞に外交文書がいくつか公開された記事があった。佐藤栄作首相が1965年に訪米した時、アメリカ政府に「(日中戦争になれば)米国が直ちに核による報復を行うことを期待している」と表明し、核戦争を容認していたことが明らかになった。大変なことである。こんな国家にとって大事な約束、話を国民は何も知らされていなかった。日本政府にとっては防衛上の機密が沢山あり過ぎて、とても国民に説明することは考えられなかったのだろう。しかし、政府の隠蔽体質は核持ち込みの密約等について、嘘をつき通したことが明確になった。それでも存在しないというのだから、隠蔽体質も極まれりである。

 それにしても原氏の講義は、久しぶりに硬骨漢の哲学をじっくり聞かせてもらったという印象である。素晴らしい講義だった。

2008年12月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com