世界の国家対立、民族紛争の中で日本人には分りにくいが、恐らく最も長く、激しい戦いを続けている地域はパレスチナ地区だろう。根っこにキリスト教とイスラム教の根源的な宗教対立があることが問題を複雑にし、解決を難しくしている。
昨日パレスチナ自治区ガザをイスラエル軍が空爆した。今朝の新聞では死者が195人、負傷者は300人以上と報道されていた。一日の死者としては1967年の第三次中東戦争以来である。この第三次中東戦争直後に中東地域を訪れ、戒厳令下の厳しい治安情勢や、シナイ半島を列車で走り車窓から破壊された戦車群を見て、乾燥した土地に流れるウェットで熱い感情を知ったことを今更の如く思い出す。あのころは自分自身も若くて、言動も少々無鉄砲だった。あの当時中東諸国に対する事前知識もほとんどなく、新聞情報だけを頼りに中東を訪れた。中東諸国が他の国や地域とはまったく異質だと知ったのは、実際自分がその土地を訪れ、そこで臨場感を感じた時である。今日国際問題に関心を持ち続けていられるのも、あの時の危機一髪の実体験があるからである。そういう意味では、今のジャーナリスティックな自分を育んでくれたのも、あの第三次中東戦争直後の荒れた現場である。あれから40年が経ち、世界はもちろん中東情勢も大きく変わった。感慨無量である。午後になって空爆による死者の数は益々増えて遂に300人近くに達し、1948年の第一次中東戦争以来最大の犠牲者を産む悲惨な結果となった。
今回のイスラエル空軍のガザ地区にあるイスラム過激派ハマスの拠点地区に対する攻撃は、全面戦争に発展する可能性を秘めている。これだけ一方的にイスラエルが停戦協定の失効を待ちかねていたかのような攻撃を見ていると、そう簡単に停戦が再成立するとは思えない。アラブ連盟は緊急声明を出してイスラエルを非難し、国連に安全保障理事会の開催を求めた。一時的解決、いわゆる停戦協定までは多分かなり時間がかかるだろう。
昨日何とか年賀状を書き終え、565通を投函した。何とかノルマを果たした心境である。元旦には知人や友人からどんな年賀状をいただけるか、楽しみである。