1832.2012年5月19日(土) 大学恩師のお墓参り

 大学ゼミの恩師・飯田鼎先生一周忌のお墓参りをした。私の同期に近いゼミ会員8名で先生の奥様と東武野田線・鎌ヶ谷駅前で待ち合わせ、3台のタクシーに分乗してお墓へ向かった。

 先生がお亡くなりになったのは昨年5月10日で、あっという間に一年が過ぎ去った印象である。このところ一周忌が迫るにつれみんな気になっていたが、漸く今日先生の墓前へ額づくことができてやっと気持ちも落ち着いた。私も心の中で改めて先生に感謝の気持ちを伝えた。帰りに先生のお宅へ立ち寄り、残された写真と懐かしい先生の書斎を見させていただいた。立派な建物に学術書が満載である。あまり書店で目につかない、よだれの出るような書物もいくつかあった。娘さんも息子さんも別居されておられるので、あまり書斎を覗かれることはないようで、奥様は整理が中々大変だと仰っていた。

 今、追悼文集作成のための作業を進めているが、今日は文集へ掲載する写真を見せていただき、10枚ばかり拝借した。誠実で温かいお人柄だった飯田先生像をできるだけ、文集に反映させたいと思い、ご家族と一緒の写真、イギリス留学中の写真、マルクス下宿先の写真、退職記念スピーチ、福沢諭吉記念講演などの写真をお借りした。編集長として恥ずかしくない追悼文集にまとめる責任を感じているところだ。

 今日も先生とゼミの思い出話は尽きることがなく、お宅を辞してから新宿まで出かけ、「新宿ライオン」で内輪の弁論大会となった。キリスト教、ユダヤ教、ホロ・コースト、ナチ、北方領土問題等々、一献傾けながら談論風発する気風は相変わらずで、「思うことと言いたいことを自由に言う」ことが飯田先生の教えであり、飯田ゼミの気風でもあり遺産でもないかと思っている。

 われわれゼミの仲間は同じ学年というだけではなく、年齢を超えて同じ学問的志向で結ばれた同志が、素晴らしい恩師に教育を受ける幸運に浴したものと心より感謝している。

2012年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1831.2012年5月18日(金) お粗末なアマ・スポーツ界の対応

 日本アマチュアボクシング連盟がお粗末な対応で日本選手のロンドン五輪出場の可能性が遠のいた。お笑いタレントの山崎静代選手が出場した世界選手権でベスト8入りを目指して五輪出場を狙ったが、敗れた。これでチャンスが遠のいたと受け取られているが、実際には世界選手権の結果ではなく、五輪出場権はアジアで一人の枠をクリアすることだった。もう間に合わない。日本オリンピック委員会は、ボクシング連盟へ資料を配布していた。資料を受け取ったボクシング連盟の軽率な解釈と杜撰な対応の結果、まだチャンスがあったかも知れない五輪出場の夢は掌中から逃げて行った。

 一方で、先日五輪マラソンにカンボジア代表と決まっていた猫ひろし選手が、国際陸連からカンボジア選手としての無資格を問われ失格した。これはカンボジア陸連のドジと言えるかも知れないが、猫選手の判断、彼を取り巻く陸連関係者に甘い判断があったと言わざるを得ない。

 この二つの五輪がらみのトラブルには、失礼だとは思うが大人としての律し方ができていない大人の姿が浮かんでくる。ボクシング連盟関係者には、大事な出場への申請書ぐらいしっかりチェックしろよと言いたい。マラソンの猫選手には、なぜ生活の基盤が日本にありながらカンボジア代表選手を狙うのか、カンボジア選手の権利を奪うことになりはしないだろうか、と考えると自分の権利主張ばかりでなく、もっと広い意味でもう少し他人への思いやりが必要だったのではないかと思う。

 自分だけのことしか考えない人間が多くなった。今日も東横線で終着渋谷駅に着いた時、車内にぐっすり眠ったままの学生風の若者がいた。肩を叩いて「渋谷に着きましたよ」と起こしてあげたら、一声唸って目を覚まし、そのまま黙って立ち去った。こういう周囲の人や、ちょっとした親切な行為に対して何も感じない嫌な奴が増えてきた。

2012年5月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1830.2012年5月17日(木) プロ野球交流試合に隠れた意外性と面白さ

 先週来気になっていたギリシャの総選挙の結果がもたらずヨーロッパ経済の不安は、行き着くところまで行ってしまったかの感がある。韓国や香港などのアジア株が今年最大の下げ幅を記録し、日経平均株価も8801円を記録して3ヶ月半ぶりの安値となった。

 問題はヨーロッパ経済が今後まだ不安材料を抱えていることである。発火点となったギリシャがどうなるか、また他のEU諸国がギリシャに対してどう接するのかはっきりしないことである。

 ギリシャでは、過半数を取った政党がなく連立与党政権を確立すべく、政党間の話し合いが持たれたが、結局まとまらず、ついに再選挙という最悪の選択肢を取ることになった。ギリシャではユーロ圏からの離脱まで話題に上っているが、これが究極の選択肢だとするとヨーロッパ経済の不透明感は益々強くなる。仮にユーロ通貨から元の通貨ドラクマへ戻ったとすると、その価値は急落することが懸念される。ドルはギリシャから逃れギリシャ経済が破綻に追い込まれることは目に見えている。

 賢人を輩出したギリシャに対して、他のEU諸国が賢明な知恵を提供することはできぬものだろうか。

 さて、プロ野球も花盛りであるが、昨年に比べて観客動員数は下がっている。あの手この手でファン・サービスを心掛け、われわれの少年時代に比べて遥かに良くなったと思う。しかし、それでも見せかけのサービスと本物のサービスにちょっと思い違いがあるような気もする。その中で昨日から始まったアメリカ大リーグに倣ったセ・パ交流試合なぞは、割合評判が良い方である。それでもプロ野球人気は年々低落傾向にある。

 そのプロ野球のセパ交流戦を前にして、先日落合博満・前中日監督がテレビで面白いことを言っていた。

 ひとつは、指名打者制度の活用方法で、パ・リーグと違ってペナントレースでその制度がないセ・リーグのチームにとっては明らかに不利だと言っていた。その理由として、指名打者を組み込んだクリーン・アップ打線をシーズン前に固めることができるパ・リーグと、交流戦のためだけに俄仕立てのクリーン・アップ打線を組むセ・リーグの差だという。前者の方が遥かに強力な打線となる。

 もうひとつに見方は、勝負に拘ることは当然だが、あくまでペナントレースの優勝を狙っているので、例え別リーグのチームに負けても、同じリーグのチームが負ければあまり気にならないと言ったことである。もうすでに真剣勝負ではなくなっているのだ。見かけはファンに面白い試合を提供しているように見えても、チームとしては他チームの勝負の展開次第では、駆け引きがあると述べたことである。流石に百戦錬磨の勝負師は鋭いと感じた。同時にプロ野球界は大丈夫かなとちょっと心配にもなった。

2012年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1829.2012年5月16日(水) 沖縄の悲劇

 駒沢大学公開講座の清田義昭講師の講座が始まったので出席した。毎年楽しく聴講しているが、それは普段あまり観ることができない地方のテレビ局制作の問題作、話題作のビデオを見せてくれるからで、大いに参考になる。今日の講義では、終戦後60周年記念として2005年に制作、放映されたNHKドキュメンタリー番組「読谷村史・沖縄 よみがえる戦場」だった。読谷村では村の犠牲者の歴史と記録を残そうと職員が遺族や生存者から聞き取り調査を行って、悲惨な沖縄・読谷村戦史を出版物にまとめた。その経緯をNHKが映像化したものである。中には遺族同士が初めて会って慰めあう奇跡的なストーリーもあったが、日本兵によって島民が殺戮されるような戦争の残酷さも映し出していた。感想を訊ねられたので、遺骨収集の折の体験談とか、沖縄の貧しさ、死の淵に追い詰められた人々の気持ちなどについて私見をお話した。

 特に、今年は清田講師にベオグラードの友人・山崎洋さんがセルビアの抒情詩人ニェゴシュの「山の花環」日本語訳本の出版仲介のお願いをするために、一時帰国中の山崎さんを清田氏が社長を務める「出版ニュース」社で引き合わせてお願いした経緯がある。今日講義の後にその後の経緯について訊ねてみた。清田氏から出版に価する書で、岩波書店へ話を通したいと言っていただいたので、感触は良いのではないかと期待している。

 さて、唐突だが、先日脱原発を訴えてハンストを行った作家の瀬戸内寂聴さんが、「今の日本人」について今夕の日経紙上に「誰もが自分さえ良ければいいという世の中になった気がして仕方ない。隣近所には無関心、道で人が倒れていても知らんぷり。震災後のがれきの受け入れの問題にしても、ともに苦しみを分かち合う仏教の考え方からはありえない。素朴で優しくて、人の痛みを感じていた日本人はどこへ行ったのかしら」と嘆いておられる。その通りである。痛いところを言い当てられた。自らも戒めたい。

2012年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1828.2012年5月15日(火) 沖縄祖国復帰40周年記念日を迎えて

 5年前の今日5月15日にHPを開設し、このブログを書き始めた。われながらよくぞ5年間も拙い文を書き続けられたものだと思う。一日も欠かさずまもなく連続2000回に達する。この間チベットで書き、中国、韓国、インドへの旅行中も書き続け、来月はヨルダンとイスラエルでも書き込むつもりだ。

 さて、今日はわが国にとっても、沖縄にとっても忘れられない一日である。沖縄が祖国日本へ復帰の願いが叶って40周年記念日に当たる。本来ならアメリカから施政権が日本に帰ったこの日を記念して国を挙げて祝賀して当然であるが、全体として今ひとつ盛り上がらない。それは日米両政府が約束した米軍基地撤退が今になっても実行されず、沖縄県民が国から半ば見放されたような気持ちになり、本土の人たちが沖縄について理解していないと感じているからだ。これでは心から喜ぶわけにはいかないのも当然だろう。

 40年前復帰当日、沖縄復帰記念式典で当時の佐藤栄作・首相は、「沖縄は本日祖国に復帰した。戦争で失われた領土を外交交渉により回復したことは史上極めてまれであり、これを可能にした日米友好の絆の強さを痛感する」と述べた。その一方で、屋良朝苗・沖縄県知事は「復帰の内容は必ずしも私どもの切なる願望が容れられたとは言えない。米軍基地をはじめ、いろいろな問題を持ち込んで復帰した。これからも厳しさは続き、新しい困難に直面するかもしれない」と復帰の現実的な形を懸念していた。現実には屋良知事の不安が的中することになって、今日も事態は解決されていない。

 沖縄返還の基本方針は言うまでもなく「核抜き本土並み」である。核抜きとは沖縄に配備されていた核兵器の撤去であり、本土並みとは安保条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に沖縄県面積の12.6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。

 佐藤首相は「沖縄の基地は、当然日本の本土並みになるべきものだから順次撤去、縮小の方向にいくと思う」と国会でも答弁している。だが、現実には沖縄県面積に閉める米軍基地は10.2%と依然として高く、在日米軍基地の約74%は沖縄に集中している。40年が経過しても「本土並み」はほとんど達成されていない。

 私自身若い頃沖縄返還運動に若干関わってきた経験から言えば、現状は心より願い期待していた本来の日本復帰とは大きなずれがあり、現実的には思い描いていた祖国復帰とはギャップがあると思わざるを得ない。沖縄県民が思い描いていた復帰イメージを大きく損なっているのである。とりわけ彼らが感じるのは、沖縄は日本国内で同じ日本人から差別されているという意識であり、その鬱積した感情には拭い難いものがある。NHKの調査では、沖縄を理解していると思っている本土の人が71%であるのに対して、沖縄県民は僅か26%である。まったく逆の数値である。更に1996年に橋本龍太郎首相が日米間で合意した米軍基地全面返還が、5~7年内に実施されると述べたのに対して、未だ実施されていないことである。日本への返還が進行しない現実に少しずつ日米間に齟齬と隙間を広げている。返還を前提に考えれば、普天間基地の辺野古への移設問題も本来あり得ないが、これがまたこじれて日米両国間の摩擦が一層高まっている。一部の沖縄県民が抱く差別感には、日本から見放されたとの諦観がある。なぜ自分たちは我慢しなければならないのかとの不満が燻っている。

 これら県民の声に対して、相変わらず政治が機能しない。沖縄問題を子どものオモチャ遊びのように考えていた鳩山由紀夫元首相の如きは、沖縄県民の顔面を平手打ちするようなことをやって平然と沖縄を裏切った。しかも今日ものこのこと沖縄へ出かけ、野田首相、仲井真知事出席の祖国復帰40周年式典で、かりゆしを着て沖縄県民の心の痛みは分かるという心にもないスピーチまでやっている無神経ぶりである。そこには政府の対応に不信感を抱く沖縄県第2代知事・大田昌秀氏の姿はなかった。

 ところで、5月15日と言えば、本ブログで毎年指摘しているように「5.15事件」が勃発した日である。ところが、今朝の新聞にはどこを見ても小さな関連記事すら見当たらない。卑しくも時の総理大臣犬養毅が海軍若手将校に暗殺され、時代は暗い軍国時代へ突き進んで行った大事件である。歴史上国家にとっての大事件がほとんど報道されない現状は、主義・主張の如何を問わず、おかしいのではないか。これは2.26事件についても云えることだ。軍国時代を思い出したくないとか、その暗黒時代に戻りたくないというのとは、話が違う。歴史上の事件であり、正確に前後関係、時代背景を伝えるのはマス・メディアの責務ではないだろうか。

 高校時代の友人・牧野力くんの曽祖父・牧野伸顕が襲われ、難を逃れたのもこの事件だった。そう言えば、私も活動歴を紹介された母校・湘南高校の「湘南大樹」の一葉に、彼は彼の一葉に牧野伸顕の曾孫として紹介されていたっけ。

 今日から駒沢大学マス・コミュニケーション研究所の今年度公開講座が始まった。今日は2科目受講だが、今年は昨年までより以上に週3日5科目を受講するつもりである。どれほど出席できるか少々心配だが、できる限り出席できるよう努力してみるつもりだ。

2012年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1827.2012年5月14日(月) 新聞連載小説について

 昨日465回で最終回を迎えた日経朝刊の連載小説「等伯」は、久しぶりに骨太な内容で面白かった。安部龍太郎の小説は初めて読んだ。前回の辻原登の「韃靼の馬」も面白かったが、「等伯」の方が予定外の挿話が多くてより面白かった。現在購読している日経、朝日朝夕刊の4つの連載小説のうち、3つしか読んでいないが、この「等伯」以外はあまり面白くない。

 等伯とは、戦国時代に狩野永徳率いる狩野派に対抗して長谷川派を立ち上げた長谷川等伯(本名信春)のことである。等伯は元々武士の血を引いていたので、その生活と仕事ぶりにはところどころ武闘派的思考と行動が見られる。故郷の越前七尾を出て上京し、屏風絵でいくつもの秀作を描きその技量を高く認められるが、主君浅井家に忠誠を誓い、敵討ち的行動によって信長に遠ざけられ、秀吉に疎んじられながらもひたすら自分らしさと自己主張を貫く。生死を賭けた一世一代の博打的パフォーマンスもあって、中々興味は尽きない。秀吉の嫡男秀頼の実の父親は秀吉ではないのではないかとの疑問も初めて知った。実は、秀吉には種がなく、だからと言って別の男が厳重な警備をかいくぐって淀君の閏房にまで忍び込める筈もなくというように興味津々な話題も提供したが、結論はうやむやのまま終わった。ここは多少フィクションであっても良いからもう少しはっきりさせて欲しかった。

 「等伯」を継いだ次回作品としては、今日から浅田次郎の「黒書院の六兵衛」が始まった。主人公加倉井隼人は幕末の官軍の江戸城入りの先遣隊を務めるようで、初っ端から結構面白そうな予感がする。これから毎朝楽しみに読みたい。

 それはともかくどうして昨今の新聞連載小説はつまらなくなったのだろうか。新聞社があらすじを事前に知らされても、最終的に内容まで突っ込んで吟味することができずにイメージと現実のストーリーが少しずつ乖離して、つい「こんな筈ではなかった」と後の祭りになってしまうことがあるのだろう。

 さて、来月初旬のヨルダン、イスラエル旅行に備えてユダヤ教とイスラム教の書物を手元に積んで読み進んでいる。ちょうど岩波新書のサルトル著「ユダヤ人」を読んでいるところだが、これは第二次世界大戦中に書かれたもので、サルトルはもちろんすでに世を去った。翻訳も物故されたフランス演劇史専攻の安堂信也氏によるもので、初版本は何と1956年に発行された。すでに71刷を重ねているから、多分隠れたベストセラーに違いなかろう。

 宗教について私自身予備知識があまりないので、理解するのに中々難渋するところがある。3年前共著「知の現場」(東洋経済新報社刊)の執筆に当たり、小中陽太郎氏を取材した時にサルトルの話を伺った。小中氏から発せられた「アンガージュマン」という言葉の意味がその時よく分からなかった。「アンガージュマン」とは、英語でいう‘engagement’と同じなので、「約束」とか「婚約」とかいう意味でフランス語では一般的には社会にコミットするということを表現している。サルトルによれば「社会主義革命に向かう立場の決定」ということのようである。小中氏も当初はその意味がよく分からなかったと言っておられた。この言葉を安堂氏はサルトルの哲学の根本思想と位置づけている。ようやく氷解したような気分である。

 まだまだ出発までに読んでおかなければならない本は、イザヤ・ベンダサン著「日本人とユダヤ人」の再読を始めとして山ほどある。

2012年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1826.2012年5月13日(日) フランス大統領選とギリシャ議会選挙結果が欧州危機を招来か。

 1週間前に行われたフランス大統領選挙とギリシャの議会総選挙の結果が、両国の経済と社会情勢に大きく影響しそうな様相である。ことはこの2カ国だけに留まらず、ヨーロッパと世界経済にも少なからぬ打撃を与えつつある。遠く離れた日本もその例外ではなく、日経平均株価は選挙後下がりっ放しで先週末には3ヶ月ぶりに9千円を下回った。経済界からもヨーロッパ債務危機の再来なんか考えたくもないとの声が聞こえる。

 フランス次期大統領に選出された社会党のオランド氏は、囁かれているヨーロッパ経済危機や緊縮策への国民の不満を吸収したと考えられている。実際ヨーロッパ経済は昨秋以来マイナス成長に陥っていた。ユーロ導入以来失業率も最悪の10.9%を記録した。オランド氏の「これから改革が始まる」との訴えは威勢が良く、ヨーロッパの新たな出発と気構えは良いが、だからと言ってオランド氏が選挙中訴えてきたように、ここまでサルコジ大統領がドイツのメルケル首相とともにまとめてきた、EU25カ国の財政協定を改定するための再交渉が現実的に可能なのだろうか。すでにメルケル首相は再交渉には応じられないとの否定的な立場を明確に示している。更に、今後緊縮政策への不満を解消しながら、経済成長に重きを置くというが、あれもこれもの両手に花がそう簡単に実現できるとは思えない。オランド氏は当面年金受給開始年齢を一部60歳に戻すとか、教職員を増員するような支出を伴う政策を視野に入れているようだが、苦しい財政事情の中でどう財政規律と両立させていくつもりだろうか。前途は益々もって多難である。

 一方、ギリシャ政界も極めて視界不良である。第1党となった新民主主義党(ND)が第2党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK、選挙前は129議席を占め第1党だったが、今回41議席と惨敗して第3党へ転落した)以外の政党と連立政権を組めなくなった結果、過半数に達せず組閣を諦めざるを得なくなった。改めて近い内に総選挙を行う可能性が生まれてきた。だが、財政危機が身近に迫った今、手間隙のかかるそんな悠長なことをやっている場合だろうか。また、第2党に躍進した「急進左翼進歩連合」の若きチプラス党首が債務返済拒否を主張しているが、一昨年の財務危機の際EUの緊急支援によって何とか急場を凌いだはずである。借金を抱えながら返済しようとしない人に今後誰が金を貸すだろうか。時々刻々経済危機は身近に差し迫っているのだ。

 それにしてもその昔ソクラテスやアリストテレス、プラトンを生んだ賢人の国・ギリシャがどうして、現実の政治に賢明な知恵を出すことができないのだろうか。

 もうひとつ疑問を感じたのは、あの外国人好きなギリシャ人がどうして移民排斥を訴えた極右の「独立ギリシャ人(議席数10→33)」や「黄金の夜明け(同0→21)」に賛同し、議席数を大幅に飛躍させたのかもよく分からない。「フィロクセノス」はギリシャ語で「外国人が好き」という、世界でただひとつの言葉を持つほど外国人が好きなギリシャ人が移民排斥とは信じられない。このホスピタリティ溢れる言葉に感激した小田実が著書「何でも見てやろう」の中でこの言葉を紹介して、私もそれを題材にエッセイを書き、「ギリシャ観光局長賞エッセイ入賞」をいただいた。実際ギリシャの地方都市ではギリシャ人のホスピタリティを感じ、「フィロクセノス」を強く意識したほどである。世界の経済的浮沈と金儲け主義の悪弊が、回りまわって本来根っからのお人好しだった素朴な国民性まで傷つけてしまったのかと考えるとつい憂鬱になってくる。

 そんなことも考えさせられるフランスとギリシャの選挙結果、そしてヨーロッパ経済の行き詰まった現状と政治力学の停滞である。

2012年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1825.2012年5月12日(土) 電力料金値上げはそのまま認めて良いのか。

 今年はフルブライト奨学金制度による第1回留学生が訪米してから丁度60周年に当たる記念すべき年で、フルブライト・ジャパン(日米教育委員会)がいろいろなプログラムを企画している。そのひとつに今月26日に津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス・津田ホールで開催される「あしたを拓く」と題する公開シンポジウムがある。4部構成から成り、第1部が高校先輩のノーベル賞受賞者・根岸英一博士による基調講演で、第2部が根岸博士、アメリカ大使館公使、高校生・大学生らのパネリストによるシンポジウム「若者は発言する。あなたはどう答える?」である。このシンポジウムについては、第1期生である山本澄子さんから、ご案内をいただいたので、早速午前の第1部と第2部を申し込み登録した。楽しみにしたい。

 さて、昨日東京電力が約10%の電力料金値上げを申請した。昨年12月同社西沢俊夫社長が事業者として値上げは権利であり義務であると高い所から不遜な値上げ理由を述べて、国民のみならず政府からも猛反発を招き値上げは頓挫してしまった。今度はよほど懲りたのか、おそるおそる腰を低くして値上げ内容にも特別な理由付けをして値上げを申請した。その中身は、「時間帯別料金」を採用して使用量の多い日中の料金を上げて、深夜料金を割り引くというものである。

 しかし、こういう姑息な値上げという手段では、次に来るのはやはり値上げだけで、時間帯をいじくり回して効果的な料金体系を実施することになる。所詮苦肉の策で基本的には電力使用量の多い夏に発電絶対量が少ないことが原因である。ざっくり言えば、発電量を増やすか、消費量を減らすしか方法はない。原発が稼動しなくなったことで、わが国の総電力量の1/3が失われたわけで、現状では他のエネルギー発電量で少し増やし、節電するしか術はない。

 ただ、節電を言われている割には、節電をすれば何とか間に合ってしまう摩訶不思議がある。昨年の例を調べてみれば分かる。足りてしまうのである。結局数字的根拠が、東電のいい加減な計算根拠に基づいているために、狼少年になっていることである。絶対量が不足しているのは現実であるが、東電自体の合理化はどうなっているのか。速やかに所有資産を売却すると公約しながら、まだほんの2割程度しか約束を果たしていない。台風が通り過ぎるのを待って、売却は口約束だけで済まそうとしているように見える。今年の夏も節電が叫ばれているが、実際にはどのくらい不足するのか正確なことは分からない。夏が終わったら「親方日の丸会社」=「東京電力株式会社」のいい加減さが多分はっきりするだろう。

2012年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1824.2012年5月11日(金) 爆弾テロでシリアは内戦状態突入か。

 今朝の朝日新聞一面トップ記事「シリア首都 大規模爆発」を目にして、いよいよ内戦勃発かと思った。ダマスカス市内の政府情報機関ビルへの爆弾テロにより、55人が死亡した。恐れていた全面的内戦の可能性が出てきた。

 昨年後半から、シリア国内における反体制派に対する政府側の弾圧は益々エスカレートして、反体制派の拠点であるホルムズは無差別攻撃により無残に破壊されている。アサド大統領の反体制派に対する執拗なまでの強硬策には、手の施しようがない。国連制裁の決議もシリアと利権関係にあるロシアと中国の反対で実施されず、国連の力の限界を思い知らされている。昨日のテロが体制派による偽装攻撃か、或いは反体制派によるものかはっきり分からない。ついに火種がアサド政権の本丸である首都に飛び火してきたのだ。ダマスカスで過去最大規模の爆発が起きたことで国連も停戦監視活動の見直しを迫られることになりそうだ。

 先月末から国連平和維持活動(PKO)の監視要員が停戦監視を展開しているが、停戦は成立していない。国連とアラブ連盟の合同特使を務めるアナン前国連事務総長が現地入りをして政府側と反政府側に接触して説得しているが、効果は上がらない。

 シリア国内ではイラクのフセイン政権が崩壊した当時のスンニー派とシーア派の宗派対立に、アルカイダが加わる形の内戦状態が再現されるのではないかとの憶測も飛び交っている。

 個人的に若干気になるのは、来月3日から渦中のシリアと国境を接している南隣のヨルダンを訪問する予定を立てたからである。本当はできれば、シリアの世界遺産「パルミラ遺跡」をぜひ見てみたかった。2月に日本旅行作家協会会長の下重暁子さんからパルミラ遺跡はぜひ訪れるべきだと強く薦められた。しかし、内乱のような危なっかしい事態になってきたので、シリアは諦めてヨルダンとアラブの敵対国イスラエルを訪れることに決めた。

 ヨルダン訪問は実に45年ぶりであるが、前回訪れた時迂闊にも十数名のヨルダン軍兵士に不意に身柄を拘束された苦い経験があるので、今度は拘束された現場を慎重にしっかり検証してきたいと思っている。世界遺産「ペトラ遺跡」と死海、エルサレムの「嘆きの壁」と「岩のドーム」、聖墳墓教会、ベツレヘムの聖誕教会を見られるので、大いに楽しみにしているが、当初肝心要のアンマン市内の滞在時間がなく、身柄拘束されたスポットやコロッセオを訪れる時間がないので、ツアーとは別行動を取りアンマンの滞在を1日付け加えてひとりでアンマン市内をゆっくり見てくるつもりだ。昨日アブダビ航空の帰路のフライトも何とかコンファームされたので、楽しみにしている。

 やや気がかりなのは、現在熱くなっているシリア国内が今後内戦状態に陥って、シリアから難民がヨルダンへ逃げ込んでヨルダン国内に混乱をもたらさないかという点である。

 さて、2週間前にかかりつけの松本整形外科医で検査してもらったCRPと骨密度の結果は、前者については0.71で、前回の0.36からまた逆戻りで僅かながら悪くなってしまった。後者については、0.775(g/c㎡)で同年齢者の平均骨密度に比較して112%、若者のそれに比較しても100%という好結果だった。前者の結果から相変わらず膝の周辺部分にたんぱく質が溜まっているようだ。自覚症状はないので、あまり気にすることはないようだが、どうも気に入らない。節制に努めているのだが、このCRPについては、もう5年の間行きつ戻りつの宙ぶらりんの状態だ。また、1ヶ月半後にどんな結果になるのだろうか、早くこの憂鬱な状況から逃げ出したいものである。

 後者については、前者の結果を良くするために服用しているステロイド系のプレドニン錠が、あまり過剰だと骨が弱まる副作用の懸念から骨粗しょう症の検査をしたものだ。結果は骨にはまったく異常がないと分かり一安心である。やはり子どもの頃から、毎日牛乳を飲んでいたことが丈夫な骨に効果があったのではないかと考えている。その点で明治乳業に永年勤務し、子どもの時から牛乳を飲むよう勧めてくれた亡父に感謝である。

2012年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1823.2012年5月10日(木) 国会議員の海外出張に厳しい眼を

 国民に負担を強いるばかりで、自分たちは一向に重荷を背負おうとしない代表例として官僚と政治家がいる。その政治家、中でも国会議員の海外出張費が国民感情を逆撫でするかの如く、大幅に増額されようとしている。国民の気持ちとすれば、かつて社長の座を役員会で突然解任された岡田茂・三越社長が「なぜだ?」と喚いた岡田社長と同じように、「なぜだ?」と叫びたい気持ちである。

 国会議員の海外出張費用は年間、衆議院4億4100万円、参議院1億1200万円であるが、これを一気に5倍増に増額しようと密かに検討されている。こんな国家財政が厳しい時期に自分たちだけが特権によって大盤振舞で甘い汁を吸おうと企らむ神経がどうにも分からない。目に余る行為である。これをメディアが報道しようとしない。これも理解できないし、政治家と同罪である。

 国会議員の海外公務出張に関しては、これまでにもその効果にとかくの風評や批判があった。曰く物見遊山ではないかとか、或いは選挙民に対して未熟な知力の箔づけを狙った選挙運動ではないかとか、姦しい噂話に晒されていた。

 私自身いくつかの衆議院委員会委員の海外出張をお世話した経験からみると、率直に言って外国を見ることは異なる視点から物事を見られる等のメリットや、「百聞は一見に如かず」の諺通り、無駄とは思わない。目的やその方法、そして出張者にそれなりの見識があれば効果は上がると思う。だが、財政が苦しい中で投資する費用と得られるであろう諸々のメリットを量りにかけ、国会議員の海外出張を対費用効果の面から考えれば、残念ながら得ることの方が遥かに少ないと思う。

 かつて出発前の打ち合わせ会に出席した時、出張する代議士の事前勉強不足と未熟な知識からまったく打ち合わせにならず、その場を懇親会に切り替えた例もある。あんなノーテンキぶりで外国の議員にどんな質問をして、成果を収めることができるのだろうかと不安に駆られたこともある。出張報告書は随行員が書くからとあっけらかんと語った代議士もいた。

 ある代議士のケースは、日本の全権大使が晩餐会を催してくれても日程が合わなければ、「好意は謝したうえで断る」などと、最初から大使が代議士の日程に合わせろと言わんばかりの不遜な発言が出てびっくりしたこともあった。

 また、環境委員会一行のライン川観光では、「観光船上から川の汚染状態をチェックする」というのが観光をカムフラージュした視察の言い訳だった。科学的な汚染調査などより楽しいラインクルーズ観光先にありきだった。

 更にこんなこともあった。東西の壁崩壊前に東ドイツへ向かったある衆議院委員会一行が、ベルリンのチャーリー検問所まで来ていながら東ベルリンへ入国せず、Uターンした驚天動地の事例があった。翌日衆議院事務局からなぜ先生方一行が東ドイツへ行けなかったのか。取得したビザに問題があったのではないかと問い詰められ、詳しい事情が分からず困惑したことがあった。入国しなかった原因はあまりにもお粗末な議員個人のわがままから生まれたのだった。ある有力議員が検問所で兵士に身体を触れられたことは、国家を代表する国会議員に対して失礼な行為で不愉快だと憤慨して、団長に対してこの場で入国を止め即刻引き返すべきだと強硬に主張して、一行全員が非常識にも東ドイツへの入国を直前になって取り止めたのである。東ベルリン側で待機していた東ドイツ駐在日本大使館員も面くらい、なぜ議員一行が入国して来ないのか、その場では原因が分からず、外務省へ緊急連絡して、入国できなかった真相が判明するまで一時は大騒ぎだった。まるでやることが子どもだった。

 すべてがこれほど酷いわけではないが、国会議員の海外出張で馬鹿馬鹿しいことは他にいくらもあった。国民感覚から推して国会議員の海外出張が国家、国民のために役立っているとは到底思えない。まったく効果なしとは言わないが、むしろ、非常識、恥さらし、無駄使いと呼んで当たらずとも遠からずだったと思う。

 それがこの苦しい財政事情の中で大幅に予算を増やそうというのだから、国会議員というのは一体何を考えているのか。国のために働かず、自らの欲得のために動き、小遣い稼ぎをして遊びまわる輩と決め付けても罰は当たらないような気がする。それにしても国会議員の貧困な知的レベルと低次元の行動様式は推して知るべしで、目を覆いたくなる。

 さて、国会議員とはまったく関係ない話だが、今日は我々夫婦の43回目の結婚記念日である。新婚旅行で11日間もタイと香港をぶらぶらしていたが、バンコックのホテルでは由紀さおりの♪夜明けのスキャット♪がしばしば耳に入ってきた。その曲を東北で由紀さおりが歌っているのを今日偶然にもテレビで観た。あれは1969年だった。現在孫を4人持つ身になった。光陰矢の如しである。

2012年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com