5年前の今日5月15日にHPを開設し、このブログを書き始めた。われながらよくぞ5年間も拙い文を書き続けられたものだと思う。一日も欠かさずまもなく連続2000回に達する。この間チベットで書き、中国、韓国、インドへの旅行中も書き続け、来月はヨルダンとイスラエルでも書き込むつもりだ。
さて、今日はわが国にとっても、沖縄にとっても忘れられない一日である。沖縄が祖国日本へ復帰の願いが叶って40周年記念日に当たる。本来ならアメリカから施政権が日本に帰ったこの日を記念して国を挙げて祝賀して当然であるが、全体として今ひとつ盛り上がらない。それは日米両政府が約束した米軍基地撤退が今になっても実行されず、沖縄県民が国から半ば見放されたような気持ちになり、本土の人たちが沖縄について理解していないと感じているからだ。これでは心から喜ぶわけにはいかないのも当然だろう。
40年前復帰当日、沖縄復帰記念式典で当時の佐藤栄作・首相は、「沖縄は本日祖国に復帰した。戦争で失われた領土を外交交渉により回復したことは史上極めてまれであり、これを可能にした日米友好の絆の強さを痛感する」と述べた。その一方で、屋良朝苗・沖縄県知事は「復帰の内容は必ずしも私どもの切なる願望が容れられたとは言えない。米軍基地をはじめ、いろいろな問題を持ち込んで復帰した。これからも厳しさは続き、新しい困難に直面するかもしれない」と復帰の現実的な形を懸念していた。現実には屋良知事の不安が的中することになって、今日も事態は解決されていない。
沖縄返還の基本方針は言うまでもなく「核抜き本土並み」である。核抜きとは沖縄に配備されていた核兵器の撤去であり、本土並みとは安保条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に沖縄県面積の12.6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。
佐藤首相は「沖縄の基地は、当然日本の本土並みになるべきものだから順次撤去、縮小の方向にいくと思う」と国会でも答弁している。だが、現実には沖縄県面積に閉める米軍基地は10.2%と依然として高く、在日米軍基地の約74%は沖縄に集中している。40年が経過しても「本土並み」はほとんど達成されていない。
私自身若い頃沖縄返還運動に若干関わってきた経験から言えば、現状は心より願い期待していた本来の日本復帰とは大きなずれがあり、現実的には思い描いていた祖国復帰とはギャップがあると思わざるを得ない。沖縄県民が思い描いていた復帰イメージを大きく損なっているのである。とりわけ彼らが感じるのは、沖縄は日本国内で同じ日本人から差別されているという意識であり、その鬱積した感情には拭い難いものがある。NHKの調査では、沖縄を理解していると思っている本土の人が71%であるのに対して、沖縄県民は僅か26%である。まったく逆の数値である。更に1996年に橋本龍太郎首相が日米間で合意した米軍基地全面返還が、5~7年内に実施されると述べたのに対して、未だ実施されていないことである。日本への返還が進行しない現実に少しずつ日米間に齟齬と隙間を広げている。返還を前提に考えれば、普天間基地の辺野古への移設問題も本来あり得ないが、これがまたこじれて日米両国間の摩擦が一層高まっている。一部の沖縄県民が抱く差別感には、日本から見放されたとの諦観がある。なぜ自分たちは我慢しなければならないのかとの不満が燻っている。
これら県民の声に対して、相変わらず政治が機能しない。沖縄問題を子どものオモチャ遊びのように考えていた鳩山由紀夫元首相の如きは、沖縄県民の顔面を平手打ちするようなことをやって平然と沖縄を裏切った。しかも今日ものこのこと沖縄へ出かけ、野田首相、仲井真知事出席の祖国復帰40周年式典で、かりゆしを着て沖縄県民の心の痛みは分かるという心にもないスピーチまでやっている無神経ぶりである。そこには政府の対応に不信感を抱く沖縄県第2代知事・大田昌秀氏の姿はなかった。
ところで、5月15日と言えば、本ブログで毎年指摘しているように「5.15事件」が勃発した日である。ところが、今朝の新聞にはどこを見ても小さな関連記事すら見当たらない。卑しくも時の総理大臣犬養毅が海軍若手将校に暗殺され、時代は暗い軍国時代へ突き進んで行った大事件である。歴史上国家にとっての大事件がほとんど報道されない現状は、主義・主張の如何を問わず、おかしいのではないか。これは2.26事件についても云えることだ。軍国時代を思い出したくないとか、その暗黒時代に戻りたくないというのとは、話が違う。歴史上の事件であり、正確に前後関係、時代背景を伝えるのはマス・メディアの責務ではないだろうか。
高校時代の友人・牧野力くんの曽祖父・牧野伸顕が襲われ、難を逃れたのもこの事件だった。そう言えば、私も活動歴を紹介された母校・湘南高校の「湘南大樹」の一葉に、彼は彼の一葉に牧野伸顕の曾孫として紹介されていたっけ。
今日から駒沢大学マス・コミュニケーション研究所の今年度公開講座が始まった。今日は2科目受講だが、今年は昨年までより以上に週3日5科目を受講するつもりである。どれほど出席できるか少々心配だが、できる限り出席できるよう努力してみるつもりだ。