2862.2015年3月15日(日) 日本人選手、競歩で世界記録樹立

 昨日から地味ではあるが大切な会議、第3回国連防災世界会議というコンベンションが仙台で開かれている。1994年に横浜で開かれた第1回、2005年に神戸で開かれた第2回に続いて、第3回が今年震災の地、仙台市で開かれた。過去2回は事務レベル級の会議だったが、今回は国連が首脳級会議と決めたために、国連から潘基文・事務総長を始め、約100カ国から閣僚級が出席する大きな国際会議となった。

 日本は東日本大震災の復興をPRすることを主に、途上国への防災支援を通じて日本の存在感拡大を狙っている。開会式直後の冒頭に挨拶した安倍首相は、日本の技術力をアピールし、偶々昨日バヌアツを襲った大型サイクロンによる被害援助を始めとして途上国への支援を申し出た。しかし、震災の復興を強調しながらも福島第一原発の事故にはほとんど触れなかった。

 首相は今後4年間で総額40億㌦(約4800億円)の国際支援を行うことや、防災リーダーを4万人育成する人材計画を含む「仙台防災イニシアティブ」を発表したが、そのイニシアティブの中でも原発についてまったく言及されていない。況してや原発中止はもちろん、鎧の下に隠している原発再稼働についても一言も触れなかった。

 この種の国際会議が開かれ、世界中に震災とその復興の過程を発信することは国際的に大きな訴求力を持つ。だが、そのような場で言うべきことを言わないのでは、会議自体が懐疑的に受け取られる恐れがある。この辺りの対応が安倍首相の二面性と見られる一因でもある。

 さて、今日北陸新幹線の開業で沸く石川県の能美市で行われた全日本競歩能美大会で20㎞競歩に出場した地元の鈴木雄介(27)選手が、驚くべきことに1時間16分36秒の世界記録を打ちたてた。鈴木選手はこれまでの世界記録を26秒上回った。昨年の世界ランキング1位だった。残念ながらロンドン・オリンピックでは36位に終わったが、昨年の仁川アジア大会では銀メダルを獲得した。早くも2016年リオ・オリンピックでメダル候補に挙げられている。

 久しぶりにスポーツ界にとって快挙である。

2015年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2861.2015年3月14日(土) 北陸新幹線金沢まで開業

 稀代のおバカちゃん総理・鳩山由紀夫氏が今朝成田へ帰って来た。空港では群がる報道陣の質問には一切応えず、無言のまま立ち去った。日本国内の自らへの厳しい批判を知って、やはりバツが悪いのだろう。

 モスクワを離れる前にも慌ただしく、日本との交流の窓口となっているロシアのナルイシキン下院議長と会談し、 議長は鳩山氏が日本政府の中止要請を押し切ってまでしてクリミアを訪れ、ロシアへの制裁解除を呼び掛けたことに対して感謝の気持ちを伝えた。完全にロシアのペースに引きずり込まれている。

 どうしてこういう非常識で日本にとってマイナスになるパフォーマンスをする人物が、総理大臣になれるのか、いくら考えても凡人には分からない。結局あり余る金と世襲の地盤さえあれば、常識や教養がなくても政治家になれ、そしてそのトップの座に就くこともできるということを鳩山氏が図らずも証明してくれたようなものだ。これでは国民は堪ったものではない。2度とこのような凡庸で、世間知らずの総理大臣は誕生して欲しくないものである。

 さて、今日JR北陸新幹線の長野・金沢間が開業し、東京・金沢間が僅か2時間半で結ばれた。これで日本海側と首都東京がより近づいたということは言える。いずれ福井まで伸び、ずっと先のようだが、最終的には大阪と東京が東海道新幹線以外でも結ばれるという。観光業を核にしてこれまで地方都市だった都市が、首都圏都市へ一歩近づいた。その一方で、昨日は上野・札幌間を走っていた特急寝台車、いわゆるブルートレイン「北斗星」が、一昨日は大阪・札幌間を結んでいた同じく「Twilight Express」が引退した。本家本元南アフリカのブルートレインには乗ったが、惜しいことに、ついに日本のブルートレインにはいずれも乗車する機会はなかった。

 走るゴージャス・ホテルと言われ、車窓の景色も楽しむことができた寝台特急車に比べて、新しくスタートした新幹線では窓外の景色は二の次で、スピードが最大の売り物である。ビジネスマンにとっては、東京と金沢間を日帰り往復できるということは、確かに時間の節約という点では大きなメリットであろう。ただ、沿線の景色、旅を楽しむという見地からは程遠く、そんな余裕もなく、トンネルが多く優雅に夢見心地になっているわけにはいかない。現代風に「時は金なり」を具現したと言ってもよいが、現代社会からどんどん情緒とか気持ちのゆとりというものが失われていくような気がして、一面寂しさを禁じえない。

2015年3月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2860.2015年3月13日(金) 原発の使用済核燃料をどう処理するのか。

 まだ帰国していないが、節操のないクリミア行きで大ブーイングの鳩山由紀夫・元総理についてジョークも交えてメディアが取り上げている。今朝の朝日新聞「朝日川柳」欄に、神奈川県の方が「クリミアで はた迷惑な ハトが鳴く」という投稿があった。つい噴き出してしまうが、それほど国民の間でも元総理の行動は解せないものと受け取られている。インターネットでクリミアでの記者会見を観ていると、もし日本政府が旅券の発行を停止したらどうするのかと問われて、そうなったらクリミアに移住するとくそまじめに応えた。やはり脳みそがおかしい。6年前には、日本の総理大臣だった人物が、日本人のほとんどが理解できない奇怪な行動をして、日本のためではなく、国際社会から非難されている現在のロシアのために活動しているのだから黙って見ているわけにはいかない。

 気の毒ではあるが、帰国次第聴聞でも何でもして、今後公的社会から抹殺するお仕置きでもしないと再び同じような愚を犯す恐れがある。

 本当に国にとって大きな損害を与える人物がいるものだということが、こんな形でわかるとは考えてもいなかった。バカバカしい。

 さて、原発の怖さというものを、一昨日の東日本大震災発生4年までの足取りの中で改めて考えさせられたが、その原発の廃炉が別の意味で今真剣に考えられている。日本原電・敦賀1号、関西電力・美浜1、2号、中国電力・島根1号、九州電力・玄海1号の5基の老朽した原発の廃炉が近々決まる。問題は使用済み燃料や廃炉で出る大量の放射性廃棄物をどう処分するか、についてあまりにも多くの課題が残されている。

 偶々今日福島第一原発事故による県内除染で出た汚染土を、仮置き場から初めて大熊町の中間貯蔵施設へ移す作業が始まった。これから30年に亘って保管することになるが、これは一時的なもので、最終貯蔵施設ではない。その最終処分場がまだ決まっていないのだ。

 原発再稼働を進めれば、新たな核のゴミは貯まる一方であり、さりとて現在抱え込んだ放射能廃棄物をどう処分するのか。課せられた問題は重い。

2015年3月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2859.2015年3月12日(木) 鳩山由紀夫元首相の奇妙なクリミア詣で

 案の定と言うべきであろうか、鳩山由紀夫元首相が政府及び外務省の強い反対を押し切ってロシアが強奪したクリミアを訪れ、現地でロシアのクリミア編入を肯定する発言をした。これに関して政府部内から厳しい非難の声が挙がっている。選りに選って鳩山氏は、クリミアのロシア編入は住民投票によりウクライナの憲法に則って平和裏に民主的に行われたと述べた。ロシアでも鳩山氏の行動に高い関心が集まっており、メディアでも報道された。昨日はロシア政府から日本・クリミア友好協会の設立を持ちかけられ、鳩山氏は安易にこれを受け入れた。クリミア共和国の要人とも会談した。懸念されていた通り、すっかりロシア側のペースにはまって行動している節がある。このような事態は日本政府の考え方とはまったく相容れない。これが、かつての日本国総理大臣の行動かと疑問視せざるを得ない。

 すっかり鳩山ペースでことを運ばれた原田駐ロシア大使は、すっかりおかんむりである。コメントするに値しないと強い不快感を示した。

 「イスラム国」問題が話題となった折に、シリアへ出かけようとした新潟県在住のフォト・ジャーナリストに対して、旅券を取り上げ、応じなければ検挙まで匂わせた外務省の強引な自由束縛の対応に比べて、元首相が相手となるとこうもその行動が違う。いくら国家にとってマイナスだと思えてもクリミア入国を思いとどまらせることができないものか。よほど世間知らずのわがままお坊ちゃまには手を焼いたとみえ、ただ良識に訴えてお願いするだけだったようだ。結果的にお坊ちゃまは制止を振り切って火中へ飛び込んでしまった。事態の深刻さが分からず、それでいて周囲のアドバイスにもまったく聴く耳を持たず、世話の焼けるご仁である。政府は帰国後鳩山氏に対してどういう対応をするのか。場合によっては今後の外交上にも悪影響を残すことになる。

 鳩山元首相のクリミア漫遊に比べて、同じ元首相でもパフォーマンス面で人気のあった小泉純一郎氏はシャキッとている。小泉氏は昨日震災の地、福島県喜多方市で福島第一原発廃炉問題についてきちんと誰もが納得できる持論を述べ、原発再稼働にはあくまで反対する立場を訴えた。ドイツのメルケル首相は原発再稼働から原発中止へ考え方を変えたが、当初小泉元首相も原発賛成派だった。だが、原発が安全ではないことが分かって、不安が残るうえに後々まで使用済み核燃料の処分や放射能問題の処理に展望が開けず、今後も貴重な資金と時間を投じることに疑問を感じた。小泉氏は福島事故を機に思い切って自然エネルギーの開発、そして核の廃絶、原発中止へ考えを変えて行った。これは小泉氏自身が強い信念として終生変わらないと公言している。あまりにも軽薄な鳩山氏とは人間的に大きな器の差を感じる。

 しかし、安倍政権にとっては鳩山氏も厄介だが、国民的人気のある小泉氏への対応はそれ以上に至難で苦慮しそうだ。小泉氏の論理は、分かりやすく国民が納得して受け入れられるものだからである。

 小泉氏は安倍政権の原発政策、及び首相談話について極めて批判的である。

 鳩山氏が近日帰国してから、どういう談話を出して、自らの偏屈な立場を主張して政府、国民を理解、納得させることができるか。それ次第ではすでに政治的命運は尽きた鳩山氏だが、人間としても致命的ダメージを受け、いよいよ命脈が尽きることになるのではないだろうか。

2015年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2858.2015年3月11日(水) 東日本大震災から4年

 昨日の東京大空襲70周年記念日に引き続いて、今日東日本大震災が発生してちょうど4年が経過した。あの日午後2時46分、書斎でパソコンを打っていた時だった。突然部屋が大きく揺れ、書棚から書物が落ちてきた。慌てて机にしがみついたが、ふと外を見るといつもの地震より電線が大きく揺れていた。早いもので、あれからあっという間に4年が経った。復興は福島第一原発の放射能漏れなど遅々として進まず、今も自宅へ帰れない避難住民は23万人もいる。

 震災の犠牲者に行方不明者と関連死亡者を合せると、その数は実に2万人を超える。

 今日は天皇・皇后両陛下をお迎えして国立劇場で東日本大震災四周年追悼式が挙行された。安倍首相も犠牲者の御霊に復興を誓っていたが、震災地の現状を見ると、引き続き復興に力を入れなければならないことは当然である。しかし、同時に自然災害の地震・津波災害対策もさることながら被災地に大きな爪痕を残した人災である原発を思い切ってストップした方が、よほど震災地の人々のためばかりでなく、将来の日本にとってプラスになると思う。

 昨日離日したドイツのメルケル首相が、最も影響を受けたのがあの福島第一原発の爆発と放射能漏れの映像だったという。当時メルケル首相は原発中止を決めていたわけではなかった。だが、福島原発事故の映像を見て直ちに原発中止を決めたと述べた。

 一方の安倍首相はどうか。相変わらず安全に充分配慮したうえで原発再稼働を進めたいと述べている。今朝の新聞に、他人のふんどしで相撲を取るような記事が出ていた。メルケル首相には昨日帰らずに、今日日本で震災について発言してもらえば、原発反対に一層の拍車がかかったのではないかと、なぜもう一日滞在を延長できなかったのかと都合の好い記事が掲載されていた。更にこんな下衆の勘ぐりのような記事も見られた。

 「メルケル首相の発言が、原発反対派を勢いづかせる恐れもあるので、安倍政権として今日は滞日しないスケジュールにしてもらった」とのコメントである。

 そんな他人のふんどしを当てにするより、自分たちで原発再稼働反対を貫徹するより堅実な方法はない。

 さて、少々平衡感覚が狂っているのではないかと思われている元総理の鳩山由紀夫氏が、またとんでもないことをやらかしてくれた。政府自民党、及び民主党のほか外務省や多くの良識ある人々の反対を押し切って、ロシアが不当に占領したクリミアを訪れたのである。元日本首相の肩書が、相手の思惑通りに利用されるのを承知のうえで、ロシアの術中にはまる愚を敢えて犯した。鳩山氏は、これまでも核開発問題で欧米から制裁を受けていたイランを訪れ、周囲の顰蹙を買ったばかりでなく、日本外交に汚点を残した。

 ロシアによるクリミア半島占領が、そもそもウクライナ問題の発端である。欧米諸国はもちろん日本政府もロシアの強引なクリミア半島のロシア領編入を強く非難し、経済制裁を課している。民主党の枝野幹事長や菅官房長官もその行動について軽率であり、極めて遺憾であると強く非難している。このように是々非々の判断力のない総理を戴いたことは、日本にとっても不幸だった。どうしてこういう奇妙奇天烈な総理大臣が誕生したのだろうか。結局は我々国民の民度が低いということになるのだろうか。やりきれない気分である。

 さて、朝日夕刊の連載小説「口笛鳥」が、今日ちょうど100回の短い連載で終わった。新聞連載小説で僅か100回というのは異例の短さだと思う。これまでも本ブログに書き込んだように、どうもストーリーが分かりにくく面白くなかった。今日の結末もなんだかよく分からない。憶測だが、朝日も読者の不人気を知り、連載打ち切りを作者の道尾秀介氏に申し入れて受け入れられ、連載中止を決めたのだと勝手に思っている。

2015年3月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2857.2015年3月10日(火) 東京大空襲70周年を迎える。

 終戦の年、昭和20年の今日東京大空襲があり、10万人を超える夥しい数の犠牲者を生んだ。数年前両国国技館近くの東京都慰霊堂にお参りしたことがあるが、その時度々お参りに来られたというご老人から、まだ犠牲者の全体像がつかめないと聞き、犠牲者の実態を把握することには並大抵ではない苦労があることを今更ながら知らされることになった。

 この大空襲の後しばらくして、私たち家族は藤沢市鵠沼の住まいから千葉県安房郡勝山町(現鋸南町)へ引っ越して、勝山国民学校初等科へ入学した。兄は通学していた藤沢市立片瀬国民学校から、私が入学した勝山国民学校へ転校することになった。晴れて国民学校1年生となって自宅の2階の窓から、房総西線の長い列車が米軍機から機銃掃射を受け黒煙を上げる様子を恐怖心を抱きながら呆然と見ていた。時々敵機来襲の警報で近くの防空壕に避難し、警戒警報解除の知らせがあるまで洞窟の中で家族や近所の人たちとじっと潜んでいたことを思い出す。そして8月日本は広島と長崎に原爆を落とされ、ついに降伏し終戦となった。

 あの終戦から今年で70年になる。戦争の実体験はないが、その実情は

 60年安保闘争を経験したことや、厚生省の戦没者遺骨収集事業や戦没者慰霊巡拝団に関わって、厚生省職員や、戦友会、遺族の方々から生々しい話を伺ったり、戦跡地を訪れたことで大分知ることになった。そして現地の人々からも戦争の裏話なども聞いて戦争というもの、特に戦争は絶対やってはいけないということと、反戦ということについて曲がりなりにも自分なりの考え方を固めることができた。

 今夏発表される予定の首相談話が世界から注目されている。これまで安倍首相は自分の思っていることをそのまま発表する気持ちが強いようだが、周囲が周辺書庫の反応を斟酌し首相の独走を懸念し、有識者の意見を聴くことになった。その結果西室泰三・日本郵政社長以下16人の有識者を「70年談話に関する有識者会議」のメンバーに選んで、素案を作成させることにした。そのメンバーの顔触れを見る限り、首相寄りの人たちが多いが、昨日その座長代理を務める北岡伸一・国際大学長が思いがけなく「首相に『日本は侵略した』とぜひ言わせたい」と発言した。日ごろから保守的、というより右翼的言動の目立つ北岡氏が、首相が最も触れることを嫌う「日本の侵略行為」について前向きな発言をした。平静を装っている菅官房長官も、意見のひとつでいちいちコメントはしないと核心を避ける発言に終始した。

 これから終戦記念日が近づくに連れて、周囲は騒がしくなるであろう。 

2015年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2856.2015年3月9日(月) ビルマのパゴダを想う。

 経済紙である日経新聞に昨日珍しくビルマを大きく扱った記事が全2頁に亘って掲載された。それも経済関係のニュースではなく、いずれも仏教寺院を紹介したものである。1頁目は首都ヤンゴン(旧ラングーン)市内のエポック・メーキングな建造物、シュエタゴン・パゴダについて紹介した内容であり、もう1頁はビルマ中部都市パガンのアーナンダ寺院の記事である。これまでに何度も訪れた懐かしい観光スポットである。

 ビルマでは全国どこでもパゴダを見ることができる。中には崩れかけて雑草が生い茂っているものもあるが、人家の近くにあるパゴダは今でもほとんどが、信仰心の篤い人々によって大切に保存、管理されている。それらは昔からビルマ人の心の支えとなっている。中でもヤンゴンのシュエタゴン・パゴダは一段と聳え立つように建造され、遠方からでも眺望することができる。特に夜間は明るくライトアップされ、熱心に手を合せているビルマ人の姿は神々しいほどである。

 12世紀に栄えたパガン王朝時代に建立されたアーナンダ寺院は、パガン界隈の多くのパゴダの中でも代表的なもので、多くの観光客が訪れる。とりわけ日没前の赤く染まった光景は、えもいわれぬ美しさである。パガンのパゴダ群は実に見事なものだと思うし、静かな環境と相まって訪れる人々の心を打つ。いずれこの辺り一帯が世界遺産として登録されることは間違いないと思う。

 近年ビルマにとって残念なことは、先進国との経済協力とか、辺境の少数民族を排除しようとする政府軍の動きぐらいしか話題にならないことである。華があった反体制派のスーチー女史の活動もすっかり影を潜めてしまったかのようである。やはりビルマらしいのは、そういう国際社会から注目されるようなニュースよりも、貧しいながらも昔とあまり変わらない日常生活の中で古くからの伝統的で質素な生活を営んでいる地道な姿が綿々と続いていることである。

 さて、今日ドイツのメルケル首相が2日間の予定で7年ぶりに来日した。早速午後朝日新聞社と財団法人ベルリン日独センター共催で講演会が催された。実は私もぜひメルケル首相の話を聴いてみたいと思い聴講を申し込んだが、残念ながら抽選で外れてしまった。ドイツは同じ敗戦国として、またともに戦後復興を遂げた国として日本とよく比較されることがある。ドイツが他国と大きな諍いを起こすことなく平和と安定を享受しているのに引き比べて、日本には依然として近隣の中韓両国とのこじれた関係が続いている。昨日も中国の王毅外相が、反ファシズム戦争勝利・抗日戦争勝利70周年記念行事には、誠意さえあればあらゆる関係国の指導者を招待すると安倍首相に牽制球を送った。

 メルケル首相は今日の講演で、ドイツがヨーロッパで和解を進められたのは、ドイツが過去ときちんと向き合ったことと、隣国フランスの寛容さもあったと述べた。わが国に敷衍すれば、大東亜戦争の反省と関係諸国への謝罪を示すことである。これはすでに20年前の村山談話に盛られたことでこれをもう一度安倍首相談話として公表することである。問題は隣国、中国と韓国の日本に対する寛容さである。果たして対日強硬策を取り続けることが、自国民の愛国心を高め、国家を治める最も効果的手段だと思っている、頑なな姿勢の中国と韓国が寛容さを示してくれるだろうか。

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2855.2015年3月8日(日) お彼岸前にお墓参り

 お彼岸を前に早々にお墓参りを済ませた。横浜の二男家族とともに、妻の実家のお墓がある多磨墓地から、近藤家代々のお墓のある中野の宝仙寺へ廻った。奈良に住む中三の孫が志望高校に入れるようお祈りしたほかにも、ご先祖様にいくつかのお願いごとをした。

 早朝から小雨交じりの気象で何となく寒々しい。救いは元気の好い2人の幼い孫である。もうしばらくすると花見で知られる多磨墓地内には桜の花が咲き誇り、訪れる人の目を楽しませてくれるが、流石にこの時期にこの肌寒さでは開花もせず、散歩する人もほとんどいない。多磨墓地でお参りを終えて中野の宝仙寺へ向かう途中でランチタイムになったので、甲州街道に沿った「味の素スタジアム」に隣接するファーストフード・レストランに入ったところ、サッカーJリーグ2部の試合ではあったが開始前ということもあって、多くのファンで混みあっていた。

 サッカー人気はともかくとして、ひと頃に比べて日本サッカーの実力は一頓挫しているように感じている。前々回のワールド・カップ南アフリカ大会では予選リーグを突破して、ベスト16に食い込んだが、昨年7月のブラジル大会では期待に反して早々に敗れた。次回大会に向けて新チームがスタートした途端アギーレ新監督がスペインチーム監督時代の買収疑惑によって解任された不幸もある。つい先日漸く後任にボスニア・ヘルツェゴビナ出身のバヒド・ハリルホジッチ氏が決定したところだ。だが、今アジアカップに日本から出場している4つのJリーグチームの戦いぶりは芳しいものではなく、久しぶりにアジアの王者奪還を目指す日本サッカー界には、憂色が漂っている。Jリーグ加盟チームが増え、サッカー人気は高まっているとは言え、日本のサッカーはヨーロッパに比べて歴史も浅く、力もまだ不安定である。いくら投資しても一朝一夕に強くなるものではないことを思い知らされる。

 さて、昨日と今日の2日間に亘って民放テレビでシベリア大陸のドキュメンタリー番組が放映された。延4時間の長編なので、ずっと観ているわけにはいかなかったが、これまでに2度シベリアを訪れているので懐かしく楽しむことができた。特に、雪の中を走るシベリア鉄道の車窓外風景と車内光景が殊更懐かしかった。初めて訪れた1991年10月はまだ雪は見られず、バイカル湖水も青く透明だった。学生時代にトルストイの「復活」を読んで感激し、「復活」をトレースしながら一度シベリア大陸を横断してみたいと思っていた。できればシナリオ通り雪の季節に旅してみたいと願い、2003年3月のまだ積雪の多いシーズンにシベリア鉄道で広大な大陸を横断してみた。雪の白樺並木を走り、「復活」のシーンを彷彿とさせる光景にカチューシャこと、カチェリーナ・マースロヴァを追う青年士官ネフリュードフにイメージを重ねてネフリュードフの懺悔と愛情を思い出して感慨に耽ったものである。

 今日の番組では、雪と寒さに閉ざされた広大な大陸を雪以外に何も見ることができないような単純な景色の中に、シベリアの奥深い魅力を描きだしてくれたように思っている。

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2854.2015年3月7日(土) 極右街道まっしぐらの安倍首相

 現在安倍政権は、国会における圧倒的に優位な一強多弱を背景に、憲法改正に的を絞り右翼的な政策を着々と実行に移そうとしている。ただ、いくら閣僚だけで閣議決定したにせよ、必ずしも与党の足並みが揃うわけではない。「平和の党」を自称する公明党が、政府自民党の考えに異を唱え、議論を煮詰めている最中である。

 しかし、これはそう簡単にまとまりそうもない。新たな安全保障法制を巡る点で7分野にも亘って論点があるからだ。閣議決定に見られるように、そもそも政府の決定へのアクセスは、取り敢えず閣議で決定しておいてその後になし崩し的に決定、実行してしまおうとの計略的な気持ちが強い。アメリカに顔を向けてアメリカの海外戦略に少しでも力になろうという意向が働いているようだ。そのためには自衛隊を海外へ派遣させ、危険地域であろうとも同盟国であるアメリカを支援できる法制にしようと些か功を焦り過ぎている。

 シビリアン・コントロールについても少しでも形骸化させようという気持ちが強い。制服組、実戦部隊の意向を反映させようとの強い気持ちがある。それでいて中谷元防衛大臣ですら、戦後憲法に文民統制が確立された背景について、戦争の反省からきちんと決められた文民統制についてご存じないお粗末ぶりである。防衛省の文官を格下げして武官と同じ地位に並ばせて、ともに文民である大臣を補佐するという防衛省側なりの意向はあるが、今や中谷大臣自身が自衛隊出身であるが故に、制服組の次官クラスと組んだら、現場を知らない文官の意見なぞ聴くわけがない。そうなると制服組暴走である。自衛隊出身の大臣が誕生した時点で、すでに自動的に文民統制は崩れていると言わざるを得ない。

 これに加えて心配なのは、多くの政治評論家が気にしているように、あまりにも積極的平和主義の名の下に暴走している安倍首相の言動である。担がれたお神輿に乗って右翼志向の自分と少しでも波長が合えば、示し合せて突っ走る。

 「選択」3月号によれば、自民党としては珍しいリベラル派の村上誠一郎議員がこう言っている。「昔首相になる人は、旧制高校や陸士、海兵の出身で、基礎学力があり偏差値が高かった。刻苦奮励しながら知性と教養を磨き、役所の局長、次官のキャリアを積んでいた。漢籍に通じ文学への造詣も深かった」。そのうえで、安倍首相には残念ながらそれがない。政治家二世で永田町の人として、永田町の楽屋裏には詳しかったが、哲学論争や旧制高校的教養を身につける場がなかったと厳しい決めつけ方である。言うまでもないことであるが、安倍晋三氏を知る周囲では、誰もがまさか首相にまでなれるとは全く考えてもいなかったという。我々もそう思うし、結果的に安倍長期政権の可能性が強くなったことは国民にとっても不幸の極みである。

 ともかくできるだけ早く現在の安倍政権の暴走に何とか歯止めをかけなければ、将来的に日本を戦争に巻き込み、再び国土を焦土と化し原発放射能漏れによって豊かな土地を荒廃させることになることは想像に難くない。嫌な予感がする。

2015年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2853.2015年3月6日(金) 「後期高齢者」って何?

 「私たちは人生の『後期』を迎え『興起』して、『光輝』溢れる『高貴』高齢者となりました」。

 今月23日の高校クラス会で幹事役を務めるので、参加者に手渡すチラシにユーモアを交えて書き出した文言である。われわれ昭和13年、14年生まれの同級生がいわゆる「後期高齢者」となり、われわれのほとんどが、今年めでたく喜寿を迎える。それらをもろもろもじったジョークであり、揶揄でもある。同級生たちが何と言うかは分からない。

 「後期高齢者」という言葉自体は、これが発表された時からかなり批判的に受け取られていた。だが、お役所はそんな批判は歯牙にもかけず、その言葉を強引に制度に取り入れた。実際現在厚生年金支給額から所得税とともに天引きされる費用の一部は、「後期高齢者医療保険」などと称されている。実態は新しい社会保険制度の中で高齢者を総称する言葉として「発明」され普及された言葉であるが、一般的にいかにも老い先短い高齢者をイメージさせるようなニュアンスが込められている印象である。

 それにしてももう少し優しい表現を「発明」することができなかったのだろうか。まぁ発想の貧しいお役人では難しいかも知れない。

 さて、今年の読売文学賞の評論・伝記賞を受賞した富士川義之氏は、高校1年生時に同クラスにおられたが、他校へ転校したのか卒業時には見かけず、同期生卒業名簿にも名前が載っていない。ところが、母校同窓会名簿の我々の2年下級生の名簿に富士川氏の名前が載っていることが分かったのである。確認のためラグビー部の2年後輩に尋ねてみたところ在籍していたとの確証を得られた。体育はほとんど見学していたというから、やはり長期療養をしていて2年間留年することになったのではないだろうか。これでやっとすっきりした。

 ところで、昨日の本ブログで朝日夕刊の連載小説の唐突な終了には何か特別な理由があるのではないかと、連載「口笛鳥」の慌ただしい終わり方に疑問を抱いて取り上げた。その真相と舞台裏は不明だが、今夕の件の小説はピッチが急に早くなった。主人公の小学生が、中学へ進学し、高校へ進み、大学で学び、就職して事務機器メーカーの営業職に就いた。たった一日のうちにすさまじい急展開の進み方である。作者の道尾秀介氏は憶測するところの朝日の要求に屈したのだろうか。慌てて店仕舞いしようとしている。これでは結局面白味のない小説だったということを証明することにならないだろうか。

 繰り上げて次に連載される吉本ばなな氏の作品が、もっと魅力的な作品であることを期待している。

2015年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com