3223.2016年3月10日(木) 高浜原発3、4号機に運転停止の仮処分

 昨日大津地裁は関西電力高浜原発3号機、及び4号機の再稼働に反対する住民の訴えを認めて、運転差止めの仮処分決定を下した。2基はいずれも昨年4月に福井地裁の運転差し止め仮処分決定で運転を取りやめていたが、12月に関電の保全異議が認められ、今年に入ってから再稼働していた。だが、この大津地裁の判断により再び運転することが出来なくなった。裁判長は断層の調査が徹底的に行われておらず、安全上の余裕を取ったとは言えないとして関電の説明では不十分としている。これにより、再稼働したばかりの高浜原発3号機は今日運転を停止したが、4号機はお粗末にも再稼働したばかりの29日に変圧器周辺のトラブルで原子炉を緊急停止していた有様である。

 稼働中の原発に運転停止が示されたのは初めてである。これで再稼働中の原発は、鹿児島県川内原発の2基だけである。いくら設備について原子力規制委員会から安全とのお墨付きが出ても、周囲環境に地層などの問題がないのかという点でイェロー・カードを示された。これからも電力会社と地域住民との間でトラブルが起きたりするのだろう。実は、この高浜原発は地形上福井県に位置している。だが、これは隣接県滋賀県民が訴えた裁判である。これまでにも京都府民から地元住民とはどこを指すのかとの疑問が上がっていた。高浜原発がほぼ京都府との境界線上に在るからである。行政による線引きで事足りるのかと、同じ県内でも原発への距離によって異なる声が出ていた。今度の裁判所の判断は、所属する県だけでは、必ずしも地元とは呼べないということを示唆している。その意味で電力会社は今後地元の意見を配慮する場合、どれほどの地域を地元と考えたら良いのかと新たに考えなければならないと思う。

 それにしてもトラブル続きの原発稼働である。この高浜原発運転停止が、今後他の運転中止中の原発再稼働にどんな影響を与えるだろうか。それでも政府は原発再稼働を進める方針に変わりがないと言っている。この負の影響のせいだろうか、今日の東京株式市場では日経平均株価が軒並み上がっている中で、関電株式のみ一時17%も下落した。

 さて、今日は東京大空襲から71年目の1日でもある。B29爆撃機300機の空襲により約10万人の人々が犠牲になり、約27万戸が焼失したと言われている。とかく明日の東日本大震災の日に目を向けがちになるが、ともに忘れてはいけない運命の日である。

昨日朝日朝刊の「オピニオン&フォーラム」に、東京大空襲に遭い、それに関して数々の著作を残している作家・早乙女勝元氏が今年も「忘れてならぬ3.10と3.11」と投書で訴えている。因みに早乙女氏は毎年この時期になると被災体験について朝日に投稿している。

2016年3月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3222.2016年3月9日(水) 皇室典範が女性差別?

 昨日取り上げた国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)が日本に対して提示した見解は、日本人の理解や観念からすれば、首を傾げる内容がかなりあった。その中で委員会はこんなことも勧告し、事前に日本政府がクレームをつけて何とか撤回させた一項もあった。

 それは最終見解案に、男系男子による皇位継承は女性差別に当たるとして、皇室典範の見直しが盛り込まれていたことである。国連の一組織として影響力が強い委員会が、誤解も含めてどうしてこのように無秩序で不正確な知識や情報だけを拠りどころに、拙速に長年国家が延々と継続し、その国民により受け入れられている制度を大上段から糾弾しようとするのか理解に苦しむ。

 確かにヨーロッパの王室などでは、女性が王位に就くことを認めている。だが、それは国民の間で長い伝統の中で自然に根付いた制度である。わが国の皇室典範も男子が皇位を継承するというのは、庶民の家長制度など日本的な風習などがその根っこにあり、決して女性蔑視から生まれたものではない。

 今回は、日本政府が直ちに手続き上問題があるとして公式に反論したため、皇室典範の見直しは最終見解から削除された。それでも当初は、委員会の見解案は2月に行われた日本に対する審査会では皇室典範が議題にならなかったことから、日本政府が審査で議論されていない内容を最終見解に盛り込むのは、手続き上問題があると抗議して委員会は最終的に皇室典範に関する記述を削除したという。委員会は必ずしも納得したうえで皇室典範が女性差別であるとの見解を撤回したわけではない。

 しかし、日本を取り巻く環境は、例え長年定着した文化面であれ、伝統面であれ、このようにだんだん風当りは厳しくなっている。現実にいま国連では、この他にも子どもの人身売買、児童売春、ポルノなどの他にJK(女子高校生)ビジネスについても不正確で不十分な報告を基に、国連人権理事会に勧告書が提出されている。これらの日本に対する曲解や誤解などに、今後どのように対処していくべきだろうか。

2016年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3221.2016年3月8日(火) 国際的な見方と考え方は千差万別

 「選択」3月号には中国関連レポートが大分載っている。主に中国に対して批判的な記事が多い。記事への批判とは別に、その中のひとつを読んで意外なことを知った。今年2月のアメリカ上院本会議で首を傾げるような法案が全会一致で可決された。それは、首都ワシントンにある在米中国大使館の一角をノーベル平和賞受賞者で、獄中にいる反体制作家・劉暁波氏にちなんで「劉暁波プラザ」と改称することを定めた法案である。これを提案したのは、いま大統領選に立候補している共和党のクルーズ氏だそうである。

 私が意外に思い驚いだのは、いくらアメリカ国内の土地の一隅とは言え、件の「プラザ」がこの外国大使館内だとすれば、明らかに治外法権が認められている用地内である。はっきり言っていかにアメリカの公権力であろうとも簡単に手出しは出来ない筈である。対中国外交において大きな波風を立てたくないアメリカ政府筋としては、恐らく大統領特権である拒否権の発動により、法案を承認しないであろうが、好奇心を掻き立てる法案である。どうなるのか、興味を持って見守りたい。

 さて、昨日国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本政府に対して女性差別撤廃条約の実施状況を審査するための勧告、及び見解を公表した。

 その要旨は3点ばかりある。ひとつは、昨年最高裁が合憲とした「夫婦同姓」について「女性に夫の姓を強制している」と訴えた。第2点目は、国会議員や企業の管理職など指導的な地位を占める女性の割合を2020年までに30%以上にすることを要求した。第3点目は、慰安婦問題の責任を巡る指導者の発言や日韓両政府が昨年12月に結んだ合意は、被害者中心のアプローチが十分とられていないので、被害者の意向を考慮するよう求めた。その他にも付随した勧告条項がある。

 これらについては、日本政府がまだコメントを出していないので、論評のしようがない。ただ、わが国は昨年女性活躍推進法が成立して、女性の地位向上へ向けた動きを活性化させようとしている時だけに、これらの指摘をどう受け止め、日本の立場をどう国際社会へ説明し納得させていくのだろうか。

 ただ、これらは概ね理解出来るが、これらの指摘の中で必ずしも素直に納得出来ないのは、第1の「夫婦同姓」についてCEDAWが、結婚後妻が夫の姓を強制的に押し付けられているとの指摘は、現時点ではやや的外れだと思う。他の国にも見られるように結婚後、夫妻ともに旧姓をそのまま名乗る伝統の国は数多い。これに対して日本の場合は、法律により夫か、妻のどちらかの姓を強制的如何に拘わらず名乗っている。また、古来から男が家長だった伝統もある。日本の社会では、現在まで一部の例を除き、この旧習を踏襲してきた。必ずしも男尊女卑から生まれた制度ではない。

 果たして文化が全く異なる外国人の目から見た「男が女に姓を強要した」との短絡的な見方は、現代の時流に即した自由で公平なものであるかとの見地から見て些か疑問を感じざるを得ない。

2016年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3220.2016年3月7日(月) ‘芸術は爆発だ!’岡本太郎氏を想う。

 昨日に続き、テレビ番組感想記である。昨晩放映のBS朝日の2時間番組「滝川クリステルが巡る美術ミステリー紀行!ピカソ&岡本太郎描く巨大壁画に隠された謎」を、懐かしく思いながらじっくり楽しんだ。

 実は、ピカソと岡本太郎の間には、以前から何となく接点があるのではないかと思っていた。ある1枚のピカソの絵に衝撃を受けた若かりし太郎が、その後ピカソの面影を追うようにパリで真剣に研鑽に励み後年になって南フランスで憧れのピカソと対面し啓示を受けることが出来た。パリ大学留学中に激しい軍国主義の動きが風雲急を告げ、戦争間近くの慌ただしい空気の中で、太郎は辛うじて最後の船で帰国することが出来た。だが、間もなく太平洋戦争が勃発して太郎は徴兵され、中国戦線へ派遣され、そのために絵の修行にとって大切な5年間を無駄に過ごすことになり、そのことを太郎はいつまでも悔やんでいだ。

 ドキュメントでは、大阪万博の「太陽の塔」やベトナム反戦広告について解説、或いは談話で紹介されたが、なるほどと頷けるものがあった。偶々岡本太郎氏と義父は、同じ同級生の藤山一郎氏らとともに慶応義塾幼稚舎以来竹馬の友として終生親しくお付き合いしていた。ある時保護者会で太郎の母上、岡本かの子女史からチリ紙で鼻を噛んでもらったと義父が話してくれたこともあった。あの「太陽の塔」で使用されたアルミ製品はすべて、義父が会長を務めていた日本軽金属㈱製のアルミだった。それも2人の友情の証であろう。

 また、太郎はベトナム反戦運動にも理解を示して「ニューヨーク・タイムス」紙にべ平連が全面反戦広告を掲出した際、日本語で「殺すな!」と揮毫を書いてくれた。それは、昨年ベトナム戦争終結40周年に当たり都内芝公園で集会を行った時、べ平連の中心人物のひとりだった小中陽太郎さんが持参してくれた。反戦運動の仲間たちが一緒に写真に納まり、それが翌日の「ジャパン・タイムス」紙に掲載されることになって、義父を通して岡本太郎氏と少なからぬ因縁があった私も、小中さんや岡本氏の揮毫とともに英字紙上に活動と存在を世に発信することになった。

 とても凡人には真似の出来ない言動をした逸材・岡本太郎氏であるが、常日頃よりそのエネルギッシュな行動力と、権力に屈服しない強い信念に尊敬の念を抱いていた。義父がつないでくれた小さな縁だったが、たった1度だけ電話でお話ししたことが、今では宝物をいただいたような思い出となっている。

 全編を通して2時間はやや長いドキュメントであったが、フランス語の達者なガイド役のクリステルさんが、ピカソに所縁のある場所を丁寧に案内し、上手に説明してくれ、お陰で岡本太郎氏と同時に亡き義父を偲ぶことが出来た。中々興味深いドキュメントだった。

2016年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3219.2016年3月6日(日) 感動した2つのドキュメンタリー番組

 アメリカ大統領選予備選が、先のスーパー・チューズデイに続いて昨日は共和党が4州で、民主党は3州で行われた。このところ内外から批判が強まっているトランプ氏は2州を制したが、クルーズ氏が他の2州で勝利を収めた。一方、民主党ではサンダース氏が2州を抑えて、クリントン氏は1州だけでしか勝利を収められなかった。トランプ氏、及びクリントン氏のいずれも抜きん出た勝ちっぷりということにはならなかった。これまでの勢いが少し頓挫したかのようにちょっと様相が変わってきたようである。

 最近になってトランプ氏が共和党の指名を獲得しそうな勢いを懸念した共和党保守派の党員の間では、この流れを憂慮して何とかトランプ氏以外の候補者に支持を与えてほしいと著名な有力者が結束してトランプ氏へ投票しないよう署名して呼びかける有様である。

 今日の日経朝刊に、昨年日経が傘下に収めた英「フィナンシャル・タイムス」紙チーフ・エコノミクス・コメンテーターのマーティン・ウルフ氏が、ワシントン・ポスト紙にネオコン新保守主義のロバート・ケーガン氏が寄稿したコメントについて日経紙にレポートを書いている。「トランプ氏は実現不可能な、パラノイアとも言うべき排他主義的政策の扇動者であり、外国人嫌いで、無知な人間だ。自分の虚栄心を誇示するような醜悪な建築物を建てることに熱心で、政治の仕事に就いた経験はない。世界で最も重要な政治色に求められる資質を全く満たしていない」「トランプ氏は共和党が作り出した怪物フランケンシュタインでもある」とその内容は実に手厳しいコメントである。

 トランプ氏は、表向きは周囲の支持者に熱狂的に推された様子が紹介されるが、本人はもとより周囲の関係者も時の経過に連れ、これだけアンチ・トランプの風が吹いてくると、いかにこれまで予備選で勝利を収めても心底一抹の心配をしているのではないだろうか。

 お陰でわれわれ外野席で観戦している身には、不謹慎ではあるが、アメリカ大統領予備選は興味津々のドラマとなってきた。

 さて、昨夕NHK・BSで「グレートネイチャー▽南米・イグアスの滝圧巻の水量の謎を追え」と、「ガウディの遺言 サグラダ・ファミリア天才建築家100年の夢」の2つのドキュメンタリーを続けて鑑賞して、いずれも強い感銘を受けた。

 前者は、ブラジルとアルゼンチン、パラグアイ国境に位置する世界3大瀑布のひとつで、そのスケールには感嘆するが、改めてその激しい水量に圧倒された。特にイタイプー発電所脇を流れ落ちる水量の迫力はこれまで見たこともないものだった。これまで2度見学し、1度は近くのホテルに宿泊したので、流れ落ちてくる水の轟音も忘れられないものだった。テレビでは、月光に映える七色の虹を見せてくれたが、ここでは虹はいつでも見られる。だが、夜間に月光を浴びて見られる虹は神秘的で、不思議な感じがしたものである。

 後者のサグラダ・ファミリアは、現在もなお建築途上にあるが、これに35年間も日本人としてただ1人関わっている建築家外尾悦郎氏が女優・薬師寺ひろ子さんを案内して、ガウディの哲学、建築技術、歴史の他に、ガウディが何を想ってこの偉大なサグラダ・ファミリアに精魂を傾けたかを話され、挙句に後半では外尾氏が設計した扉をはめ込む光景を紹介していた。その後にサグラダ・ファミリア内で初めて開かれた荘厳な聖歌付きオーケストラ演奏で、指揮されたのが海外で活躍されている日本人指揮者・大野和士氏だった。教会内で演奏する場合は音を空間のある建物上部へ向けて演奏するよう心がけると話されたことが印象的だった。序に言えば、大野氏は高校の誇らしく尊敬すべき後輩である。

2016年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3218.2016年3月5日(土) 国と沖縄が和解し、辺野古工事一時中断

 昨日のトップ・ニュースは、沖縄・辺野古海岸埋め立て工事の代執行訴訟で、国が裁判所の和解勧告を受け入れたことである。これにより政府は現在進めている米軍普天間基地の移設先工事を一時中止し、解決へ向けて改めて沖縄県と話し合うことになった。

 このところ政府と沖縄県は訴訟合戦になり感情的になって双方が背を向けていたが、政府・自民党は沖縄県議選や参議院選を控えて、訴訟合戦は好ましくないと考え、ひとまず裁判所の勧告により話し合いのテーブルに就き、解決への道筋を歩もうとしているように見える。だが、安倍首相は話し合いはするが、辺野古への移設が唯一の選択肢であるとの国の考えは変わらないと言っているだけに、これから双方ともどういう解決策を探るのか気が揉めるところである。

 政府はアメリカとの間で移設は2022年にと合意を交わしているだけに、県との交渉が長引けば再び米軍との話し合いもしなければならない。政府としてはアメリカとの約束がある一方で、沖縄県側にも、翁長知事が語っていたように、知事選で公約として沖縄から米軍基地撤去を訴えただけに政府の要望を受け入れるわけにはいかない。

 問題が誇大になったのは、2009年第1次民主党政権成立時に、鳩山由紀夫首相が深く考えることもなく人気取りのパフォーマンスのために掲げた「沖縄米軍基地県外撤去」公約にある。鳩山民主党政権には、その信念や実行力はなく、もともと選挙対策のためだけの言葉でしかなかったのである。こうして期待を抱かせて沖縄県民を裏切ることになった。国と県がこれから落としどころをどのように見つけていくのか。沖縄県民の気持ちと立場を考えると、われわれ本土の人間は米軍基地負担をすべて沖縄の人々に押し付けてしまったことに呵責の念を禁じ得ない。

 この点で今日「啓蟄」は、冬ごもりしていた虫たちが動き出す時期だが、沖縄県民に対してその他の日本国民は思い切り背筋を伸ばすことが憚られるような気がしてならない。

2016年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3217.2016年3月4日(金) 新国立競技場建設計画は大丈夫か。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場に、当然設置されるべき聖火台が設計上考えられていなかったことが明らかになった。何とまぁお粗末なことだろうか。昨年来2020年オリンピックに関しては、この新国立競技場建設計画が一旦白紙に戻され、改めてデザイン採用をやり直した末に昨年12月漸く新デザイン案が決まったばかりだった。更にその後オリンピックのエンブレム・デザインは盗用ではないかとの疑念が持ち上がり、これを取り下げ、新たにデザインを募集して5月に新しいエンブレムを決定するところである。これほどの大プロジェクトが2度までも重大な過ちを引き起こすなんて前代未聞で、国際的にも大きく信用を失墜する。それが、今度の聖火台設置漏れは3度目の失態である。

 今回明らかになった聖火台の設置について言えば、誰が考えてもそれ自体当然頭の中に入っていなければならない筈であり、オリンピック組織委員会から聞き取った要望の中にはなかったという建築家の言い訳は許されるものではない。過去においてもオリンピックは聖火台とは切り離せない必須なものであり、仮に要望書の中に記載されなくても、組織委員会に聖火台はどうしますかと問い合わせるのが普通であり、責務ではないだろうか。

 外から見ていると、どうも組織委員会の委員たちはオリンピックというものを自分たちの問題として考えておらず真剣味が足りないように見て取れる。

 とかく日本の技術とか、運営は他の追随を許さないほど優れていて任せておけば安心であるというような過度な自信に捉われがちであるが、反面結構他人任せのところがあり、それが案外墓穴を掘らせることになるものだ。

 隈研吾氏のデザインによる新設計図は、基本的に木造建築であり、場所に拠っては消防法に触れる点が懸念される。また、スタンドは屋根付きであり、その上に聖火台を設置すれば重量負荷に耐えられないとの懸念もあり、そう簡単に計画変更が出来るものではない。IOCの規定を当初から配慮していなかった節もあり、これからどうやって期待されるメイン・スタジアムを建設していくのか。

 まだ、時間はあるので、慎重に、しっかり精査してこれ以上同じようなチョンボを犯さないよう作業を進めてオリンピックが盛大に開催されるよう願うばかりである。

 それにしても杜撰だったというしか言葉もない。

2016年3月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3216.2016年3月3日(木) 米大統領選共和党トランプ候補に不安説

 アメリカ大統領選の山場であるスーパー・チューズディの結果、民主党ヒラリー・クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏が11州の内、それぞれ7州を制して党指名に向け優位の立場に立った。ある程度予想された結果であり、周囲はこの結果を受け入れているが、共和党のトランプ氏は他の2人の候補者を引き離しつつあり、このまま推移すればトランプ氏の優位が続き、最終的に指名を獲得するのではないかと囁かれている。同時に、トランプ氏が勝利する度に氏に対する不安が少しずつ表面化してきた。

 しかし、白人の貧困層や、非インテリ層から圧倒的な支持を受けているトランプ氏だが、あまりにも過激な発言は共和党内主流派の保守派を始め、良識ある党員らから「トランプ大統領」の可能性が危惧され始めている。最近になってメディアも党主流派に注文を出している。すでに主要メディアや海外メディアから、トランプ氏の傍若無人とも思える発言は、外交上問題が多く、外国とのトラブルを招きかねないと懸念され始めた。自分たちの考えていることを率直に言ってくれ、これまでの政治家にはない言動をして期待を持たせてくれるトランプ氏が、今では早々に退却するどころか、レースの先頭を走っている。

 日本を訪れているアメリカ人観光客へのインタビューを見ても、トランプ氏にはあまり賛同者がいないが、アメリカ国内では徐々に支持を伸ばして、期待される反面警戒もされ始めた。こういう予想外の人物が現れる環境にあるのが、アメリカ社会の逞しく素晴らしいところである。アメリカが発展したのは移民をアメリカの大地に受け入れ巧みに活かしてきたからであり、その点移民を排斥しようというトランプ氏は、今日のアメリカを築いた過去の栄光と歴史を否定するものであり、仮に「トランプ大統領」となったら、今後もこのままアメリカ社会への支持と信頼を取り続けていくことが出来るかどうか疑問視されている。

 さて、今日は弥生の節句、お雛祭りの1日である。テレビでも各地の珍しいお雛様の飾り方などを紹介している。一般的に7段の雛壇に向かって最上段の左側にお内裏様、そして右側にお雛様が飾られる。寡聞にして知らなかったが、明治時代まではその位置は逆だったそうである。大正天皇になってからヨーロッパ王室の左上位を真似て、それまでのお内裏様右上位から左上位の現在の並び方に変えられたそうである。平安時代から飾り付けられていた伝統的な雛人形が、いくら時代が変わり西洋志向になったとはいえ、大正天皇の意向を受けて、いとも簡単に伝統としきたりを変えるとは意外だった。案外他にもこれに似たようなしきたりのようなものがあるのではないだろうか。

2016年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3215.2016年3月2日(水) 身勝手な一部の生活保護受給者

 今年1月の朝日朝刊「声」欄に、別府市内の一部の生活受給者がパチンコ店で遊んでいたとして、市が生活保護支給を一部カットした。この処分を厚労省は適切ではないとしたが、これについて65歳のパート男性が非難する投書をした。厚労省の考えは間違っているし、他の地方自治体を委縮させることになるのではないかと懸念している。これに対して意見が賛否に分かれている。

 厚労省の意見に賛成する人は、投書者はパチンコや競馬などのギャンブルに対する偏見があるのではないかと意見したり、高邁にも生活保護は憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」であると都合よく解釈して投書者を批判している。パチンコや競馬が社会の害悪なら、それらを禁止すべきだとまで言っている。

 賛成、反対ともそれなりの考えがあるなら、それを公表することは結構であるが、厚労省の指導に同意する人は、その生活保護費用が国民の税金から捻出されていることを忘れているのではないだろうか。出来るなら生活保護を受けたくとも希望がかなわない人もいる。金額的にももっと欲しいという受給者もいる。行政としても出来れば、誰しも満足出来るような金額を希望者にすべからく支給したいところであろう。だが、血税で賄われる原資には、当然ながら限度がある。その中で何とかやりくりしながら、最低生活が維持出来る金額を支給しているのである。憲法で保障された最低限度の文化的な生活営む権利を行使させるためというより、奢侈的な生活のために行政が補助するわけではない。これでは、原資に何とか協力している納税者は救われまい。

 アルバイトをしている64歳の男性は、パチンコは身近で手頃な楽しみで、依存し過ぎて生活を破壊することとは別問題だとまで主張し、競輪は時折払い戻しの小金を得て幸せを感じているとまで述べている。こんな浪費まで納税者が面倒を見るようでは、憲法の条文から最低生活の権利を削除したいくらいである。

 それほど同意見の人がいるとは思えないが、どうしてこういう自己本位の人が現れ、税金を無駄に使われてしまうのだろうか。言いたくないが、こういう人たちは、これまで真剣に働いてきたのだろうか。あまりにも身勝手な言い分ではないだろうか。こういう輩には、まったく腹が立つ。

 さて、アメリカで注目のスーパー・チューズデイの結果は、民主党ではクリントン前国務長官がサンダース上院議員を圧倒し、共和党は乗りに乗っている不動産王トランプ氏がほぼ制覇した。まだ、道筋は長いが、クリントン氏とトランプ氏が更に優位に立ったことは間違いない。

2016年3月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3214.2016年3月1日(火) 認知症患者の家族はどこまで責任を負うべきか。

 早いもので今日から弥生3月である。寒暖のアップ・ダウンはあっても春へ向けて徐々に暖かくなっていくだろう。

 さて、2007年に愛知県大府市で認知症の男性が、1人で外出してJR東海の列車にはねられ死亡した事故により、多額の費用がかかったことから、JR東海が監督責任があるとされる家族に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は今日家族に賠償を命じた高等裁判決を破棄し、JR東海側の請求を棄却し家族側の逆転勝訴となった。

 1審の名古屋地裁では、男性の長男を事実上の監督者と判断し、妻の責任も認定し、2人に約720万円の支払いを命じた。これに納得出来なかった家族が控訴した2審の名古屋高裁では、長男の責任義務は否定したものの、「同居する妻は原則として監督責任を負う」として妻には1審の半額約360万円の賠償責任があると判断した。

 これに対してJR東海と家族の双方が上告していた。その判決が今日下されたのである。

 実は、この頃から高齢化社会の現状と認知症の高齢者介護の問題が社会問題として頻りに取り上げられ、高齢者を抱える家族の監督責任とはいかなるもので、どこまで責任を問われるのか、論議を呼んでいた。

 認知症患者を完全介護の福祉施設に預けることが出来るなら、家族としては救われる。だが、実際問題として介護すべき家族にとって希望通り引き取ってもらえることは、現状では中々難しい。仮にそうなったとしても安くはない費用を払いきれるかどうか確信が持てない。こういう家族にとって不安な精神状態にある時に、黙って家から出た認知症のお年寄りが事故を起こしたからと言って、それを家族が背負ってかかった費用を負担するというのは少々厳しい話だと思う。

 その点で、どういう判断が示されるか、今日の最高裁判決を注目していた。

 その最終判断が下されたわけであるが、その判断は家族を始めとして、大凡の部外者から受け入れられるものであろう。だが、JRにとっては多額の経費がかかったことでもあり、すんなり納得出来るものではない。当事者ばかりでなく、高齢化社会の課題として今後同じような事象が発生した時にどう対処すべきかという点で、参考しながら法的に、また実務的にどうすべきかを真剣に考える時に来ているのではないか。

2016年3月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com