昨日大津地裁は関西電力高浜原発3号機、及び4号機の再稼働に反対する住民の訴えを認めて、運転差止めの仮処分決定を下した。2基はいずれも昨年4月に福井地裁の運転差し止め仮処分決定で運転を取りやめていたが、12月に関電の保全異議が認められ、今年に入ってから再稼働していた。だが、この大津地裁の判断により再び運転することが出来なくなった。裁判長は断層の調査が徹底的に行われておらず、安全上の余裕を取ったとは言えないとして関電の説明では不十分としている。これにより、再稼働したばかりの高浜原発3号機は今日運転を停止したが、4号機はお粗末にも再稼働したばかりの29日に変圧器周辺のトラブルで原子炉を緊急停止していた有様である。
稼働中の原発に運転停止が示されたのは初めてである。これで再稼働中の原発は、鹿児島県川内原発の2基だけである。いくら設備について原子力規制委員会から安全とのお墨付きが出ても、周囲環境に地層などの問題がないのかという点でイェロー・カードを示された。これからも電力会社と地域住民との間でトラブルが起きたりするのだろう。実は、この高浜原発は地形上福井県に位置している。だが、これは隣接県滋賀県民が訴えた裁判である。これまでにも京都府民から地元住民とはどこを指すのかとの疑問が上がっていた。高浜原発がほぼ京都府との境界線上に在るからである。行政による線引きで事足りるのかと、同じ県内でも原発への距離によって異なる声が出ていた。今度の裁判所の判断は、所属する県だけでは、必ずしも地元とは呼べないということを示唆している。その意味で電力会社は今後地元の意見を配慮する場合、どれほどの地域を地元と考えたら良いのかと新たに考えなければならないと思う。
それにしてもトラブル続きの原発稼働である。この高浜原発運転停止が、今後他の運転中止中の原発再稼働にどんな影響を与えるだろうか。それでも政府は原発再稼働を進める方針に変わりがないと言っている。この負の影響のせいだろうか、今日の東京株式市場では日経平均株価が軒並み上がっている中で、関電株式のみ一時17%も下落した。
さて、今日は東京大空襲から71年目の1日でもある。B29爆撃機300機の空襲により約10万人の人々が犠牲になり、約27万戸が焼失したと言われている。とかく明日の東日本大震災の日に目を向けがちになるが、ともに忘れてはいけない運命の日である。
昨日朝日朝刊の「オピニオン&フォーラム」に、東京大空襲に遭い、それに関して数々の著作を残している作家・早乙女勝元氏が今年も「忘れてならぬ3.10と3.11」と投書で訴えている。因みに早乙女氏は毎年この時期になると被災体験について朝日に投稿している。