アメリカ大統領選の山場であるスーパー・チューズディの結果、民主党ヒラリー・クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏が11州の内、それぞれ7州を制して党指名に向け優位の立場に立った。ある程度予想された結果であり、周囲はこの結果を受け入れているが、共和党のトランプ氏は他の2人の候補者を引き離しつつあり、このまま推移すればトランプ氏の優位が続き、最終的に指名を獲得するのではないかと囁かれている。同時に、トランプ氏が勝利する度に氏に対する不安が少しずつ表面化してきた。
しかし、白人の貧困層や、非インテリ層から圧倒的な支持を受けているトランプ氏だが、あまりにも過激な発言は共和党内主流派の保守派を始め、良識ある党員らから「トランプ大統領」の可能性が危惧され始めている。最近になってメディアも党主流派に注文を出している。すでに主要メディアや海外メディアから、トランプ氏の傍若無人とも思える発言は、外交上問題が多く、外国とのトラブルを招きかねないと懸念され始めた。自分たちの考えていることを率直に言ってくれ、これまでの政治家にはない言動をして期待を持たせてくれるトランプ氏が、今では早々に退却するどころか、レースの先頭を走っている。
日本を訪れているアメリカ人観光客へのインタビューを見ても、トランプ氏にはあまり賛同者がいないが、アメリカ国内では徐々に支持を伸ばして、期待される反面警戒もされ始めた。こういう予想外の人物が現れる環境にあるのが、アメリカ社会の逞しく素晴らしいところである。アメリカが発展したのは移民をアメリカの大地に受け入れ巧みに活かしてきたからであり、その点移民を排斥しようというトランプ氏は、今日のアメリカを築いた過去の栄光と歴史を否定するものであり、仮に「トランプ大統領」となったら、今後もこのままアメリカ社会への支持と信頼を取り続けていくことが出来るかどうか疑問視されている。
さて、今日は弥生の節句、お雛祭りの1日である。テレビでも各地の珍しいお雛様の飾り方などを紹介している。一般的に7段の雛壇に向かって最上段の左側にお内裏様、そして右側にお雛様が飾られる。寡聞にして知らなかったが、明治時代まではその位置は逆だったそうである。大正天皇になってからヨーロッパ王室の左上位を真似て、それまでのお内裏様右上位から左上位の現在の並び方に変えられたそうである。平安時代から飾り付けられていた伝統的な雛人形が、いくら時代が変わり西洋志向になったとはいえ、大正天皇の意向を受けて、いとも簡単に伝統としきたりを変えるとは意外だった。案外他にもこれに似たようなしきたりのようなものがあるのではないだろうか。