アメリカ大統領選予備選が、先のスーパー・チューズデイに続いて昨日は共和党が4州で、民主党は3州で行われた。このところ内外から批判が強まっているトランプ氏は2州を制したが、クルーズ氏が他の2州で勝利を収めた。一方、民主党ではサンダース氏が2州を抑えて、クリントン氏は1州だけでしか勝利を収められなかった。トランプ氏、及びクリントン氏のいずれも抜きん出た勝ちっぷりということにはならなかった。これまでの勢いが少し頓挫したかのようにちょっと様相が変わってきたようである。
最近になってトランプ氏が共和党の指名を獲得しそうな勢いを懸念した共和党保守派の党員の間では、この流れを憂慮して何とかトランプ氏以外の候補者に支持を与えてほしいと著名な有力者が結束してトランプ氏へ投票しないよう署名して呼びかける有様である。
今日の日経朝刊に、昨年日経が傘下に収めた英「フィナンシャル・タイムス」紙チーフ・エコノミクス・コメンテーターのマーティン・ウルフ氏が、ワシントン・ポスト紙にネオコン新保守主義のロバート・ケーガン氏が寄稿したコメントについて日経紙にレポートを書いている。「トランプ氏は実現不可能な、パラノイアとも言うべき排他主義的政策の扇動者であり、外国人嫌いで、無知な人間だ。自分の虚栄心を誇示するような醜悪な建築物を建てることに熱心で、政治の仕事に就いた経験はない。世界で最も重要な政治色に求められる資質を全く満たしていない」「トランプ氏は共和党が作り出した怪物フランケンシュタインでもある」とその内容は実に手厳しいコメントである。
トランプ氏は、表向きは周囲の支持者に熱狂的に推された様子が紹介されるが、本人はもとより周囲の関係者も時の経過に連れ、これだけアンチ・トランプの風が吹いてくると、いかにこれまで予備選で勝利を収めても心底一抹の心配をしているのではないだろうか。
お陰でわれわれ外野席で観戦している身には、不謹慎ではあるが、アメリカ大統領予備選は興味津々のドラマとなってきた。
さて、昨夕NHK・BSで「グレートネイチャー▽南米・イグアスの滝圧巻の水量の謎を追え」と、「ガウディの遺言 サグラダ・ファミリア天才建築家100年の夢」の2つのドキュメンタリーを続けて鑑賞して、いずれも強い感銘を受けた。
前者は、ブラジルとアルゼンチン、パラグアイ国境に位置する世界3大瀑布のひとつで、そのスケールには感嘆するが、改めてその激しい水量に圧倒された。特にイタイプー発電所脇を流れ落ちる水量の迫力はこれまで見たこともないものだった。これまで2度見学し、1度は近くのホテルに宿泊したので、流れ落ちてくる水の轟音も忘れられないものだった。テレビでは、月光に映える七色の虹を見せてくれたが、ここでは虹はいつでも見られる。だが、夜間に月光を浴びて見られる虹は神秘的で、不思議な感じがしたものである。
後者のサグラダ・ファミリアは、現在もなお建築途上にあるが、これに35年間も日本人としてただ1人関わっている建築家外尾悦郎氏が女優・薬師寺ひろ子さんを案内して、ガウディの哲学、建築技術、歴史の他に、ガウディが何を想ってこの偉大なサグラダ・ファミリアに精魂を傾けたかを話され、挙句に後半では外尾氏が設計した扉をはめ込む光景を紹介していた。その後にサグラダ・ファミリア内で初めて開かれた荘厳な聖歌付きオーケストラ演奏で、指揮されたのが海外で活躍されている日本人指揮者・大野和士氏だった。教会内で演奏する場合は音を空間のある建物上部へ向けて演奏するよう心がけると話されたことが印象的だった。序に言えば、大野氏は高校の誇らしく尊敬すべき後輩である。