3272.2016年4月28日(木) 外国人向箱根パック商品の再開発

 地震発生からちょうど2週間が経過して、熊本、大分では相も変わらず余震が続き、自宅に住めなくなった避難者は4万人近くに達している。この間震度1以上の地震回数は1千回を超えた。仮設住宅の建設も急ピッチで進んでいる。

 どうにも落ち着かない日本列島であるが、昨年の今ごろ箱根でも火山活動が活発化して立ち入り禁止区域が設定され、小田急グループでも箱根ロープウェイが区間運休の厳しい自制措置を取らざるを得なかった。それがほぼ1年ぶりに、去る23日姥子~大涌谷間が解除されホッとしたが、このロープウェイ路線は大涌谷~早雲山間の大涌谷上空を通過するところが醍醐味であり、その点ではまだ充分とは言えない。気象庁によると箱根山の火山活動は落ち着いてきているが、火口や噴気孔ではまだ活動が続いているそうだから、果たしていつ以前のように箱根観光を楽しめようになるか現時点では分からない。憂鬱である。

 これに関連して今日小田急電鉄の山木社長に宛てて、かつて在職中私がプロジェクト・リーダーとなって企画開発した外人向箱根パッケージ商品の再企画を検討されるよう提言した書状を送ったところである。1982年1月、この華麗なるパック商品はデビューした。1人でも参加できる外国人観光客用ツアーと銘打ったユニークなツアーで、JNTO(元国際観光振興会)などからも高い評価をいただいた。American Expressでも同社の旅行雑誌に‘AN UNUSUAL TOUR OF JAPAN’S  MT.FUJI-HAKONE AREA’とこのパック商品を好意的に紹介してくれた。残念ながら当時は時代的にやや早かったせいと、我々に販促力が伴わなかったために、期待した成果を上げられず中途で挫折してしまった。あれからすでに34年が経った。旅行マーケットも変貌したが、とりわけ外国人旅行者の数が増えた。その意味では外国人旅行客が増加しつつある今こそ、このパック商品は受け入れられると信じて、その再企画を社長に提案したところである。実は去る15日に社友会でお会いした折、このパック商品について社長とお話をしてご関心があるように感じたので、30年以上も前の資料を添えて再企画を提案させていただいた。

 どんなご回答をいただけるか何とも言えないが、これこそ箱根ロープウェイが全線復活した折には、復活記念として地域を活性化させるパック商品でもあると思っている。何とかニュー・パック商品の再登場を期待したい。

2016年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3271.2016年4月27日(水) 三菱自動車の呆れかえる企業倫理

 呆れかえった企業倫理である。燃費偽装問題でいま世間を騒がせている三菱自動車が、法律とは異なるデータ測定を1991年からやっていたことを明らかにした。何と四半世紀に亘って国と消費者を騙していたことになる。誤魔化していた専門的な惰行法とやらは良く分からないが、実際に車を走らせずに机上で算出していた事例も散見されたというから、「三菱欺瞞王国」である。同社は不祥事を重ねてはその対応に追われることを繰り返してきた。不祥事が起きると会社として世間に対し反省のポーズを取りはいるが、その実一向に反省していないのである。これが幼児的三菱財閥の世慣れた所業なのだろうか。あまりにも世間を舐めている。

 昨日開かれた記者会見では、相川哲郎社長が謝罪の言葉を述べていたが、過去に会社存亡の危機に陥り、三菱重工や三菱商事など三菱グループの支援を受けて経営再建に当たり、前期は最高益を挙げるまでに回復した自信からだろうか、その態度には心なしかあまり反省の気持ちが窺えなかった。今朝の日経紙「私の履歴書」に福沢諭吉の曾孫である三菱地所名誉顧問・福沢武氏が、偶々相川社長の父相川賢太郎・三菱重工元会長についてエピソードを書いている。三菱重工が品川に自社ビルを買って丸の内の三菱村から出て行ったが、その時の交渉相手が父相川氏で、三菱地所が引き留めるのを振り切って丸の内から出て行ったという。父親は三菱マンらしからぬ手強さを秘めていたようだ。果たして子息の相川社長はどうか。このところ三菱重工、三菱商事の経営状態もあまり芳しくない。以前は苦境に立ち至り三菱グループから支援を受けた三菱自動車も今度ばかりはその支援を受けられない恐れがある。三菱自動車の相川社長は、大三菱という大きな組織にいながら、世襲社長と受け取られかねないポジションにあり、憶測するなら世間の風波にあまり晒されたことがない御仁ではないかと推測しては、失礼だろうか。

 

2016年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3270.2016年4月26日(火) チェルノブイリ原発事故から30年

 もう30年も経ったのかという感慨に捉われる。今日でチェルノブイリ原発事故発生から30年が経ったのだ。今日チェルノブイリ近くでポロシェンコ大統領が出席して追悼式典が開催された。私にとっては、まだ現役でロシアにも行く機会があった時代だった。実際その事故の6年後シベリアやサハリンへ出かけた。チェルノブイリ原発事故の7年前にはアメリカ・ペンシルヴァニア州スリーマイル島でも大きな原発事故が起きた。それが、原発事故を知った最初だったが、その後それを上回るチェルノブイリ事故が起き、放射能漏れとその恐ろしさを知らされることになった。当時チェルノブイリは旧ソ連に属していたが、その後新生ロシアから分離して今日ではウクライナ領土に帰属している。事故当時周辺住民13万5千人が避難していたが、チェルノブイリでは放射能漏れの影響が今もいろいろ深刻な問題を提起している。

 放射能漏れを引き起こした原子炉には大きな石棺が被せられ、放射能が外部に漏れるのを抑えている。だが、30年経ってその石棺も老朽化が目立ち、ついにその外部に更に大きい棺で覆う工事を始め今後100年間の封じ込めを可能にする新シェルターの建設が続いているという。だが、根元を止めなければ、いずれその新シェルターだって朽ちて来る。まるでイタチごっこである。

 今熊本の地震が依然として余震を続けているが、九州内にある2つの原発、川内と玄海が周辺住民に不安を与えている。中でも現在稼働中の川内原発はこの地震に耐えられるのか。地元住民が稼働を停止させる要望を提出した。原子力規制委員会は、現在は大丈夫と公表したが、もし次の地震が大きかったり、川内原発により近い場所で地震が起きたら、どうするのか。本当に大丈夫なのか。周辺住民のみならず、我々も心配である。

 ドイツでは、地震列島上にある日本が地震頻発の今どうして原発を止められないのか不思議に思っているようだが、それが普通の感覚ではないだろうか。テレビで地震情報を観ていても、一部には原発問題に触れているが、概して原発中止につながる解説や意見はあまり見られない。これも最近政府によるメディアに対する圧力がじんわりと効いているからではないか、気になるところである。

 さて、去る23日の本ブログに週刊誌に関わる消費税について取り上げた。その後同価格表示の別の週刊誌を購入したところ、やはりというべきか、おかしいというべきか、実際に支払った金額に差があった。両週刊誌ともに表紙に400円と表示されている。その内最初の1冊のレシートには「週刊誌370円、消費税29円、合計399円」と表示されている。一方後から買った別の週刊誌のレシートに「週刊誌400円、うち消費税30円、現計400円」と書いてある。消費税で両週刊誌の間には1円の差がある。これにより「一物一価」ならぬ「一物二価」となっている。紙類のような「一物多価」商品とは別に、売価がはっきり400円と表示されている「一物一価」商品が「一物二価」では、流石にアダム・スミスやジョン・スチューアート・ミルもびっくりぽんだろう。それにしてもこの「一物二価」はどうにも納得できない。

2016年4月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3269.2016年4月25日(月) 東京オリンピックの新エンブレム決定

 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、昨年9月に撤回した旧エンブレムに代わり新しいエンブレムを今日発表した。先日一般応募作品約1万5千点の中から4作品が最終候補に選ばれ、そのデザインが公表されていたが、今日その4点の中から最終的に公式エンブレムが選定された。

 新エンブレムのデザインは下段にある五輪のマークを別にすれば、藍一色で江戸時代の市松模様を採り入れたもので、他の色彩豊かなデザインに比べてやや地味に感じる。国民から寄せられた意見には、「日本らしさ」「伝統」を感じるとの意見がある一方で、「地味」「躍動感がない」とのネガティブな声があったと聞く。私も個人的には、もう少し派手さを加えてカラーフルで日本の象徴である「桜」か「富士山」をあしらったデザインにして欲しかったというのが本音である。しかし、すでに決定した以上あれこれ言っても始まらない。いずれにせよ東京大会のシンボルマークとして決定した以上世界的に愛されるエンブレムとなるよう、組織委員会にはしっかりPRして欲しいものである。

 今日の日経夕刊にちょっとどうかと思う事象を扱った囲み記事が載っていた。公益社団法人北海道観光振興機構が昨年8月に発行した中国人向けの北海道ガイドブックについてである。

 何でも同ガイドブックで中国人は常識がないと決めつけていると中国人から指摘されて改定したという次元の低い話である。発行元では、内容が誤解を受けないよう訂正し、表題を「北海道旅行心得」に変えて英語版ガイドも同時に発行したという。

 中国人旅行者の数が増えるに従い、部屋を汚したり、騒ぐケースが散見され、宿泊施設では一部に中国人旅行者の受け入れに尻込みする例が見られるという。それがこのガイドブックを発行した理由だというが、標的にされた中国人にとっては事の是非は別にして面白い筈がない。機構の気持ちも分からないわけではないが、これは機構側の無神経な勇み足ではないかと思う。何よりも観光には、滝川クリステルさんが言っていたように「お・も・て・な・し」の気持ちが必要だろう。

 さて、今回の「平成28年 熊本地震」について、政府は激甚災害に指定することを決定した。復旧のためには地元自治体だけでは、とても再建不可能だと蒲島郁夫知事が国に激甚指定の要請をしていたが、これである程度財政支援は得られる。だが、被害が大きかった熊本県内7市町村では、倒壊などの恐れがある危険と判定された建物が36%に上るという。震災関連死も増え続け、なお余震が頻発し、阿蘇山北西部に新たな断層も発見された中で、復興への道筋はまだまだ先が見えない。

2016年4月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3268.2016年4月24日(日) またパソコンが故障

 昨日PCの無線回線が不調に陥ったらしく、書き上げたこのブログをHP上にアップできなくなった。いくらトライしてもうまく行かず、己むを得ず新HPへの切り替えをやってもらったITコンサルタントへ連絡し、急遽今日来宅してもらい、不通になった原因を調べてもらった結果、wifi無線に支障があることが分かり何とか元通り復活させてもらった。それにしてもこういう故障が起きてもPCの基礎や、構造についてほとんど詳しい知識がないだけにすぐに対応できない。そして、親しいコンサルタントの手を煩わすことになる。とにかく復元してホッとしているところである。

 さて、相変わらず余震の続く「平成28年 熊本地震」は、余震以外にも停電・断水などのライフライン・ストップ、交通機関不通、ゴミ処理問題に加えて、被災者の健康問題などが注目され出した。車内に宿泊する罹災者の間にエコノミークラス症候群が表れたり、遂にはノロウィルス患者まで現れた。震度1以上の余震がすでに800回を超え、過去に遡っても震度7以上の揺れが2度も発生した一連の地震は初めて、と言われるほど地域住民に心理的影響を与えている。昨日安倍首相も現地へ入り被災者を慰労し、近々復旧へ向けて今地震を激甚災害指定するようだ。

 地震で気持ちが打ちひしがれている時にひとつ嬉しいニュースがあった。妹の二男が先週結婚届を出して、親戚だけの披露宴を7月に行うと妹から連絡があったことである。甥は大学で絵画を学んでいたが、いつの間にやら音楽の方へ進んでしまい、今ではプロとしてグループを組んでステージ活動をやっている。時折アルバイトとしてクラブやバーで演奏活動を行っているようだ。一昨年の拙著出版記念パーティの折には、仲間とカルテットを組んで演奏して座を盛り上げてくれた。おめでたいことであり、ぜひ妻ともども披露パーティには出席させてもらおうと思っている。

 おまけの嬉しいニュースは、ラグビーの日本チーム・サンウルブスが世界最高峰リーグに参入8戦目にして36-28で初めて勝ったことである。これまで、接戦もあったが中々結果が出せず、昨年ワールド・カップにおける日本チーム善戦の色が褪せてきた時だけに、貴重な初勝利である。今後に期待したい。

2016年4月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3267.2016年4月23日(土) 最近当惑したことと困ったこと

 昨日1冊の週刊誌を買った。表紙に大きく「400円」と定価が書かれていたので、500円硬貨で支払ったところ釣銭が101円だった。釣銭が1円多いので、店員に理由を尋ねてみると税抜き本体価格は370円で、これに消費税8%を加算すると399円だという。それならなぜ定価400円ではなく399円と書かないのか。どうも腑に落ちないので、自分でも計算してみたところ、消費税分は29円60銭で1円未満を四捨五入とするか、切り上げれば400円となり納得が行くが、税法上は切り捨てるのである。円未満を切り捨てたのはそう決まっているから、これは筋が通っていることになる。でも、くどいようだが、それなら表紙に399円と記せばよさそうなものなのに、どうも納得が行かない。私が週刊誌を購入したのは、山下書店半蔵門店というしっかりした書店だったので、店もレシートに記載されているように正確に計算したのだろうが、小さな売店なら表紙の定価通り400円を受け取って知らん顔しているのではないかとも思った。これは少々下衆の勘繰りかな。

 ところで、いま困っているのは、近所から郵便ポストがなくなってしまったことである。ポストが事前の断りもなくごく最近になって忽然と自宅近くから取り払われてしまったのである。不便でしょうがないので、先日玉川郵便本局へ電話で問い合わせてみた。本局の言い分は、現在新築中の大邸宅の前に設置されていたポストが、建築完成後自家用車の出入りに邪魔になるので、建築主から設置場所を他へ移してほしいと申し入れがあったという。確かに自宅の真ん前にポストがあったのでは、邪魔にはなるだろう。だが、黙って取り払われては周囲の利用者は不自由で困るとコンプレインをしたところ、ポスト設置にはいろいろ条件があり、直ぐには場所が見つからないので、しばらく適当な場所が見つかるまで待ってほしいとのことだった。

 新しいポスト設置の前に郵便局は便宜的に、わが家から200mほど離れた目黒区内の特定郵便局を教えてくれた。今日も封書を1通投函するために200mをとぼとぼ歩いて行ったが、運動不足防止には好いとしても郵便は頻繁に利用するので、少々困っているのが現実である。

 さて、昨日22日に北九州地方にM8の大きな地震が起きるとその前日攪乱情報を流し、多くの住民を疑心暗鬼の不安に陥れ惑わした台湾の地震預測研究所の予測は実際にはどうだったか。熊本地震の余震は引き続き発生したが、M8なる大地震は全く起きなかった。出まかせのガセネタだったのである。この台湾の研究所は、この他にも近々北九州、京都、小田原にも地震が起きると不謹慎な情報を発信している。どうしてこんな悪質で好い加減なニュースを多くの人々が苦しんでいる被災地へ伝えて、被災者に追い打ちをかけるような衝撃を与えようとするのか、その神経が理解できない。きつくお灸をすえるべきだと思う。

2016年4月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3266.2016年4月22日(金) 日系ブラジル人のドキュメンタリー

 月例のJAPAN NOW観光情報協会第121回観光セミナーが、いつも通り麹町の海事センタービルで開かれた。今日は珍しく在職中お世話になった㈱UEX名誉会長・小田保中さんの姿を見ることになり、久しぶりに隣席で懐かしく話すことができた。小田さんは長い間緑内障を患い、テレビや書籍をあまり見ないと仰っていた。だが、今85歳ぐらいのはずだが、昔と変わらず向上心と好奇心は相変わらずお強いようだ。見た印象ではお元気そうなのでホッとした。

 小田さんには、ステンレス・ホールセーラー業界の海外視察ツアーを何度かオーガナイズしてもらい、私もヨーロッパと北米・ブラジル、ブラジル研修ツアーで3度もご一緒して楽しい思い出をたくさんいただいた。特に1985年の最初のブラジル・ツアーでは、折悪しく利用したパンナム航空が経営悪化で倒産が予想されていた時期だったために行く先々で、予約、予約再確認、荷物取り扱いで随分不自由な思いをして添乗員としては苦労した。結局パンナムは1991年に倒産した。そんなことも今にして思えば懐かしい。

 偶々今日の講師が、サンパウロ在住のドキュメンタリー・ビデオ映像作家の岡村淳氏だったというのも奇縁だろうか。岡村氏はフリーランサーではあるが、民放TVのヒット・シリーズの「すばらしい世界旅行」や、「新世界紀行」製作にも拘わった方である。ご自身ブラジルへ移住して凡そ30年になるという経歴もあって、ブラジル日系人に関するドキュメントが多いらしい。今日は20年前に製作した35分のビデオ「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」を見せてもらった。60年ぶりに日本の土を踏んだ女性のノスタルジックな旅の思い出を映像化したビデオだ。冒頭に皇居内を歩きながら感激の涙を流す80歳のヒロインの姿が何とも言えず初々しく新鮮である。ビデオを観終わって、岡村さんがブラジル人気質についてジョークを交えてユニークなブラジルならではの話を聞かせてくれた。中々楽しいセミナーだった。

 ところで、一昨日三菱自動車の不正が明らかになった。燃費テストで4車種62万台の検査に不正があったと社長以下役員が謝罪会見をした。天下の三菱グループ企業が消費者を欺いて車を販売していたのである。燃費効率の良い車が売れるということから、三菱は意図的にデータを操作して販売していたが、不正は提携先の日産自動車の指摘によって判明した。三菱自動車の許しがたい点は、この件が初めてではないということである。横浜市内で走行中のトラックのタイヤが外れ、それに直撃された母娘が死亡したことがあり、その後リコールを回避するために部品の欠陥を隠した事件など、悪質な行為を繰り返したために経営も悪化して、三菱グループの支援を受けて最近になって漸く経営的に立ち直りかけていたところだ。2015年3月期には、純利益1,181億円を計上し、過去最高益を更新したばかりである。

 いかに担当部門の責任者だけが承知していたにしても、やった行為から経営者が責任を問われるのは必至だ。今後の経営状態の落ち込みは明らかであり、折角立ち直りかけた会社も再び経営の岐路に立たされることになる。三菱自動車が斜陽の道へ落ち込むのを他の三菱グループ企業はもう支援しないだろうとの陰の声も聞かれる。

 それにしても日本を代表する大企業が、どうしてこう度々不祥事を引き起こすのだろうか。そこには、モラルとか、会社経営の理念、消費者への責任というものが存在しないのだろうか。何とも情けない。

 さて、今日ロック・ミュージシャンのプリンスが亡くなった。ロックに特別興味があるわけではないが、プリンスはまだ57歳だった。まだ若い。30年ほど前にアメリカで学校訪問をしていた時に、偶々アメリカ人の先生からその名を初めて聞いて以後プリンスの名前だけは長いこと頭の中に入っていた。同じロックのエルヴィス・プレスリーは42歳で、先年亡くなったマイケル・ジャクソンも50歳で旅立った。寿命であるかも知れないが、まだまだこれからと言う時に実に惜しいと思う。尤もロック・シンガーではないが、映画「帰らざる河」で披露したその声に酔ったマリリン・モンローもまだ36歳の若さでこの世を去っている。あれほど脚光を浴びてもこう早く彼岸へ旅立ってはファンならずとも虚しいという思いがしてならない。人生とは儚いものなのだ。

 

2016年4月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3265.2016年4月21日(木) 台湾・地震研究所の出過ぎたお節介

 地球物理学の権威で、国立極地研究所・神沼克伊名誉教授から、新宿の「ハイアット・リージェンシー東京」でランチをともにしながら地震と原発のお話を承った。1月に兄も交えて神沼さんとランチをともにして以来の3者昼食会となった。来月神沼さんにJAPAN NOW観光情報協会で専門の南極について講演をお願いしているので、今日はその打ち合わせもあった。未だ余震の続く熊本地震について断片的に話を伺ったが、いま問題になりつつある原発稼働の危険な問題点をお尋ねしたところ、大地震が起きる可能性についてはあまり深刻には考えておられなかったように受け取った。

 兄も連れ合いを亡くしてからまだ1年余で、独り者の寂しさからまだ完全にはふっきれてはいないようだが、高校在学中から特に親しかった友ととりとめもない会話を交わすことがストレス解消に役だつように思っている。これからもこういう会食の機会を作りたい。

 帰りの東横線車内で1人の乗客が「日刊ゲンダイ」を読んでいたので、見るとはなしに覗いてみると「熊本地震、次は京都、小田原、北九州」と大きな見出しが見えた。ぎょっとした。今朝未明で震度1以上の余震が14日以降すでに700回を超えたくらい、熊本地方には余震が続いて住民に恐怖感を与えている中で、こんな形で具体的に地震を予言された地域の人たちの気持ちは穏やかではあるまい。確認のために、すぐ駅売店で同紙と「夕刊フジ」を買い求めて記事を読んでみると「夕刊フジ」にも、「北九州あすM8」とショッキングな見出しが出ている。これほど具体的に地震予報を流したのは、台湾の「地震預測研究所」のインターネット上のブログである。この研究所は、これまでも1月「北海道北西沖地震(M6)」、2月「台湾南部地震(M6.6)」を的中させ、熊本地震でも今月9日に3日以内に南日本でM6.3の地震が起きると指摘し的中したので、言葉は悪いが少々図に乗っていると思う。不安な気持ちを抱えている被災地の人たちの気持ち斟酌することなく、一層疑心暗鬼にさせる無神経で不用意な情報の提供はもう少し考えてもらわないと困る。実際京都大学防災研究所の西村卓也(地震学)准教授も「不安をあおるような怪情報だ。現在の科学で『絶対ない』とも否定できるわけではないが、逆に『来る』などと確証を持って言うこともできない。九州の人々が不安がっている時に、こういう情報を流すのはやめてほしい」とごく当然のコメントを述べている。

 どうしてこういうブログが誰の目に入る形で流されたのか。人騒がせにもほどがある。奇を衒ったのか、この地震研究所の非常識と無神経には呆れるばかりである。なぜ一般の目に触れさせないようにして、まずは日本の気象庁なり、それなりの公的組織や団体に対して内密に具体的な情報を知らせることができなかったのだろうか。結果はどうなるか、明日にならなければ分からないが、ひょっとすると予測は当たるかも知れない。だが、この地震研究所は他国の罪もない人々の心をかどわかし、不安に陥れたのである。この種の軽薄な情報バラマキについては、地震が落ち着いたら日本として当該地震研究所に厳重に抗議するべきだと思う。

2016年4月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3264.2016年4月20日(水) 日本の「報道の自由度」は低下している。

 熊本の地震に気を取られている間に、昨日アメリカではニューヨーク州で大統領予備選が、民主党、共和党ともに行われ、それぞれ低調傾向にあった民主党クリントン氏と共和党トランプ氏が大票田の地元でともに勝って敗勢を立て直したように見える。だが、両党とも接戦の予備選ではまだ誰が候補者に指名されるか混沌としている。

 今回は過去の大統領選に比べて各候補者の政策や人間性に魅力が乏しい。8年前に颯爽とデビューし、‘Yes, we can’とそのフレッシュな言動が魅力的だったオバマ現大統領に比べると、現在渦中の候補者らにはいま一つアピール度が足りない。

 その中で私は個人的には民主党のバーニー・サンダース氏の政策に共鳴している。このところ7連勝と勝ち続けて勢いをつけてきたが、クリントン氏の地元NYで敗れてしまった。いずれにせよ世界のリーダーを決める11月の本選に向け、まだまだ勝敗は予断を許さない。

 さて、昨日キューバではフィデル・カストロ前国家評議会議長が、共産党大会閉会式に出席し、公的舞台からのお別れ演説を行った。ついに最後まで共産党員として自らの信念を貫き「キューバ共産党の思想は残る」との言葉で締めくくったようだが、ソ連共産党が壊滅的崩壊を遂げ、中国共産党は名ばかりの共産党で実態は帝国主義と変わらない。その中でまもなく90歳になる革命家カストロは、最後まで共産国家キューバの象徴だった。私にはチェ・ゲバラらとともにバチスタ政権を倒した革命家として、また米ソ冷戦下にキューバ海上封鎖をもたらしたエポックメーキングな人物として印象が強い。異論があるかも知れないが、世界政治史に一代を画した人物の1人と言ってもよいのではないだろうか。

 ついては、国際NGO「国境なき記者団」が今年も「報道の自由度ランキング」を発表した。対象の国、地域180ヶ国の中で、残念なことにこのところ日本は毎年ランクを下げ続け、ついに今年は72位という情けない地位に甘んじることになった。日本は2011年には高く評価され11位だったが、年々順位を下げ14年59位、15年は61位だった。日本への評価は「問題がある」アイテムに格付けされ、特定秘密保護法の施行が効いていると同時に、安倍政権になってから順位を落としていることから考えれば、安倍首相グループが報道の自由を絞めつけているという指摘も成り立つ。

 そんな情報の中で、今日原発稼働後40年を経過した関西電力高浜原発1号機と2号機について、原子力規制委員会が新規制基準を満たす審査書を正式決定し、安全対策の基本方針に関する関西電力の申請を許可した。老朽原発の再稼働に‘GO’サインを出したのである。どうもこの決定はやらせのような気がしてならない。熊本地震の影響で中央構造線断層帯延長線上にある伊方原発の危険性が指摘されている折、伊方は影響ないと言った直後、老朽化した原発の再稼働を認めたが、これら2つの事象は海外への原発建設工事セールスマン役を務めている安倍首相に対するご機嫌取りのようなパフォーマンスに思えて仕方がない。

2016年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3263.2016年4月19日(火) 時代小説「おも代の舞」を読んで

 先日1冊の時代小説を著者・佐々木征夫氏から送っていただいた。「おも代の舞」(遊人工房刊)と題する、江戸中期にある武家で起きた前代未聞の醜聞と悲恋を扱った物語である。

 一読して妙に心に残り心象面で忘れがたい印象を植え付けられた反面、およそ封建社会の倫理性に欠ける信じ難い事実に首を傾げ、衝撃を受けたというのが本当のところである。何故一廉の藩主でもある武士の家庭でこのような理不尽で、厳しく言うなら破廉恥な秘め事が生まれたのだろうか。

 武家の秘め事とは言え、あまりにも浮世離れしたストーリーと、考え及ばない男女3人のダブル心中事件というスキャンダラスな史実を俄かには信じ難い。

 秘め事をヒロイン「おも代」の伯父・仏僧浄禅と、偶々祇園の茶屋で浄禅と知り合い、その真相に心を打たれた、歴史家・神沢杜口が、ともにどうにかして後世にその事件の陰に隠された3人の純粋な愛の絡み合いと3人のお互いの信頼感を伝えようと試みた。その隠されたストーリーは、結果的に神沢の探究心と執着心が闇に埋もれた筈のドキュメントに光を照らすことによって今日文書に伝え残されることになった。そのほぼ忘れられかけた事件を、当事者3人の内のひとり、正室正子の末裔に取材することによってスキャンダル面を幾分抑え、悲恋物語として世に甦らせた著者の真摯な努力に敬意を表したい。

 ストーリー構成は、土浦藩江戸下屋敷内に起きた藩主・土屋能登守泰直と正室正子、そして正子の待女おも代の三人三様の愛のかたち、夫婦間の愛情あふれる睦まじさ、そして武家社会の身分制を絡ませた類稀な三角関係の微妙な題材から編み出された。本来ならことは箝口たるべき不祥事の罪としてお家断絶の沙汰により、家の子郎党を四散せしめかねない閨房の秘め事であり、その大立ち回りを演じた泰直は、藩主としての道を大きく踏み外した許しがたい罪を犯したのである。幸い藩主は、老中松平定信に平素よりその能力を評価されていたがため、お家お取り潰しを逃れ醜聞は藩内極秘のうちに処理され、事件として表に出ることはなかった。

 そもそも藩主泰直が奥方正子の待女おも代に想いを寄せ、無理やり側室にしたことがこのスキャンダルの発端であり、結果的に3人の儚くも悲しい末路となった。正子を慕っていたおも代の気持ちは複雑で心は千千に乱れ、ついには泰直の元を去る決意をしたことから事態は急展開する。おも代にぞっこんの泰直がおも代の変心に猛り狂い秘伝の短刀でおも代を一刺し、止めの直前になっておも代も泰直のひたむきな愛情に初めて心を開きその愛を受け入れた。泰直はおも代を手討ちにした直後自害して果てる。そして、その1ヶ月後正子も2人の後を追うようにして自害する。

 近松物なら大向うを唸らせる舞台となり、情緒的には多くの人々から同情を買うであろうが、藩主泰直は武家社会のエリートとしては自らの君主としての立場を考えず、あまりにも直情的で独断的な行動を取った。

 この悲劇の中で救いは当事者の3人が、それぞれお互いや周囲の人々への思いやりがあり、多くの人から慕われ、心情的に受け入れられていたことである。むしろそのことこそが、生前おも代の精神的な支えとなっていた伯父の僧侶・浄禅におも代不憫の感情を募らせることになり、浄禅は何とかしておも代の純粋な気持ちに応えてあげたいとの気持ちが頭から離れなかった。それがこの時偶然巡り合った神沢に一連の物語を内密と言いながらも話す糸口となったのである。その歴史家・神沢にとっても衝撃的で目を開かせられる事実は、おも代の生き方と同時に、藩主泰直と正室正子の愛でオブラートされた絆も強い興味と関心を抱かせることになり、古文書「翁草」に書き残され密かに今日に伝えられることになった。

 多くの読者は、今日では考えられない3人の純愛と信頼に心をときめかせ、3人それぞれに気持ちを寄せることであろう。特に女性読者にとっては、封建時代に身分上差別のある2人の女性の想像もできない愛情と信頼、そこへ良くも悪くも立ちはだかる藩主の存在にたじろぐ思いを感じることだろう。

 しかし、普段は冷静な藩主でも、現実にはふとした折に突然無分別な行動に突っ走った武士もいたし、階級社会の息苦しい中でもお互いに信頼し合った高位の女性とその侍女もいたのだということを改めて教えてくれた。その点でも本書は江戸時代の武家社会の厳しい身分制としきたりをベースに、思い切って特殊でほろ苦い男女関係を何の衒いもなくメロドラマ風に仕立て上げた力量から生まれた佳作である。女性読者のみならず、広く江湖に一読を薦めたい。

2016年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com