すったもんだで中々決まらなかった陸上自衛隊の南スーダン駆けつけ警護だったが、予定通り昨日陸上自衛隊先発隊130人が青森空港から現地へ向かった。本事案について気になるのが、安全対策は果たして大丈夫かということだ。以前にも書いたように、稲田朋美・防衛大臣が先日ほんの7時間ばかり現地ジュバを視察しただけで安全・大丈夫と太鼓判?を押して、部隊を派遣することを決定した。危険な現地が怖くてとんぼ返りした女性大臣が、7月に撃ち合いで約300名が命を落としたばかりの土地を、どうして大臣は安全だと言えるのか。先に派遣ありきではなかったのか。派遣隊員の家族も不安を感じ切ない思いをしていることだろう。
そもそも国連平和維持活動(PKO)の一環として今回自衛隊員が派遣されることになったが、どう考えてもこの結論に至る前に国民に納得できる説明がなされているとは思えない。
間もなく75回目の太平洋戦争開戦日がやってくる。この点でもメディアはかなり取り上げているが、記事の内容は間違いもあり、勘違いも多い。遺骨収集についてもあまり知らない。だから、昨年10月にテレビ東京がガダルカナル島遺骨収集番組で無責任でデタラメな編集をやって視聴者を欺いたのだ。これについては再三テレビ局とBPOに何度か連絡したが、ウヤムヤにされたままだ。挙句の果てに個人情報を理由に回答をしようとしない。
太平洋戦争戦没者遺骨収集については、昨日の朝日朝刊にほぼ2面を費やして大きく報道されていた。だが、海外で戦没された兵士240万人のうち、112万人の遺骨が未だにそのまま放置されていると日本人の心情に訴えたり、特に「餓島」と言われるガダルカナル島では戦没者2万2千人のうち、7千人の遺骨がジャングル内に残されたままになっているとか、その心情は理解できるが現象面だけを誇大に伝えている。確かに早く日本に帰還させてあげなければならないとは思う。だが、この悲惨な一面ばかり強調して、すべての責任を国のせいだと国にその責任をおっ被せるのはどうだろうか。日本が敗戦後海外へ出かけて相手国と交渉できるようになったのは、昭和27年サンフランシスコ講和条約発効後のことであり、しかもその当時は、国民はまだ食べていくのに苦しんでいて目先のことしか頭になかったころだった。そしてもっと難しかったのは、相手国の国内事情があり、戦争で迷惑をかけた発展途上国に出かけて遺骨を探す作業は、そう簡単には許されなかった。資金さえ出せば交渉成立というほど簡単なものではない。漸く相手国が日本の事情を理解して遺骨収集団を受け入れてくれたのは、それからかなり時間が経っていた。遺体は風雨に晒され、原形を留めてはいなかった。遺骨を探すこと自体大変な仕事だった。それから山中を歩いてこつこつ探し、収骨して日本へ持ち帰った遺骨が128万体である。遺骨収集作業を国がやって来なかったというのは、私自身厚生省事業に長年関わっていた立場から言えば、メディアには遺骨収集事業についてもう少し深く掘り下げて、誰もが納得できる記事を書いてもらいたいものである。
戦争に関わる事案については、当事者もメディアも真実にアプローチしていない。