今年のノーベル・文学賞に決まっていたアメリカのシンガー・ソング・ライターのボブ・ディランが、12月の授賞式に欠席するとスウェーデン・アカデミーが明らかにした。理由は先約があるから出られないとのことであるが、前代未聞ではないだろうか。授賞式では講演することが義務になっていて、もし授賞式を欠席するようなら半年内に行う必要があるので、もしこの講演もスキップするようだと受賞資格がなくなり、下衆の勘繰りかも知れないが、名誉とともに副賞金約1億円もいただけないことになのだろうか。
ボブ・ディランが変わり者だとしても、受賞発表の際に姿を隠して10日以上も経過してから受け入れる意向を示した。少々アカデミーに対して礼を欠いていると思う。今またどんな先約か知らないが、それなら姿を現した際はっきり言うべきではないのか。授賞式にこれだけ勿体を付けた非常識で人騒がせな人物はそうはいないだろう。世の中にはひねくれ者がいるものだ。
さて、昨年女性新入社員が長時間の過重労働のため自殺し、労災が認められたことから、勤め先の電通に労働基準監督局から捜査の手が入ったが、過去のパワハラや残業を隠蔽したことも暴露され、大きな問題を提起している。その電通が社員手帳に印刷されている「電通鬼十則」なるものを来年度手帳には掲示しないことを検討しているそうだ。その「電通鬼十則」なるものがすさまじい。こんな社内の決まりを女子新入社員なんかに順守しろということ自体考えられない。
因みに下記の10項目である。
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
私自身長い間会社で営業部門に携わっていたので、分かることもあるが、とても同意しかねる点がある。それでもやはり人を人とも思わない電通らさしさが表れている。社員は一体どう思っているのだろうか。