昨日プロ野球セ・リーグのクライマックス・シリーズと称するリーグ2位と3位の2番勝負・セカンド・ステージがあり、2勝1敗で3位の横浜DeNAベイスターズが2位の読売ジャイアンツを破った。これで横浜は次のステップであるファースト・ステージで、優勝した広島カープと日本シリーズへのセ・リーグ出場権を争うことになる。
かつては私自身あれほど熱中したプロ野球だが、最近ではすっかり熱が冷めてしまい、実戦はもとよりテレビ観戦もほとんどしなくなった。それは選手がペナントレースに全力投球しなくなったような気がして1試合1試合に真剣味が感じられないような気分になり、つまらなくなったせいである。
どうしてそうなったのかは、今のクライマックス・シリーズのような金儲けシリーズに原因がある。どうして日本プロ野球機構は、こういう余計で優勝の価値を減殺するような愚かな制度を導入したのだろうか。選手は口には出せないようだが、内心不満が溜まっているのではないだろうか。昨年引退した元中日投手の山本昌氏もその点を指摘していた。1年間130試合の総当たり制で6球団が争って優勝を決めたペナントレースを蔑ろにするような制度自体に大きな問題がある。仮に2、3位のチームが日本シリーズに出場し、日本シリーズで優勝するようなことになれば、1年間ペナントレースを戦い抜いて優勝を勝ち取ったチームにとって優勝の価値が薄れるばかりか、優勝するために全力を注がないで3位以内を狙い、クライマックス・シリーズに全力を傾けて下剋上優勝を遂げたら真剣にプレイする選手が馬鹿を見るということにならないか。手抜きゲームを見せられるファンも堪ったものではない。それほどつまらなくなったプロ野球だが、それでも女子ファンの開拓とか、いろいろ応援のやり方の工夫や、地域の力などによって観客が増えているというから、考え方によっては、プロ野球界もまだ捨てたものではないのかも知れない。下らないクライマックス・シリーズなんか止めて、今のうちに将来を考えた恒久的な対策を考えていくべきではないだろうか。
アメリカ大リーグのポスト・シーズンも同じようなシステムだと指摘する声もあるが、まったく違う。メジャー・リーグには、アメリカン・ナショナルの2リーグで30チームもあり、地域的にも東海岸から西海岸に拡がっているうえ、カナダにも1チームある。あまりにも広大な地域で多くのチームが存在するために已むに已まれず考えられたシステムである。それは各5チームが加盟する東海岸、中部、西海岸の3地区の優勝チームに、残りの1チームは3地区の2位で勝者を決めてプレイオフ出場チームを決定する。そして4チームでトーナメント方式の下で勝者となって、ワールド・シリーズへ進出するルールになっている。
すべてメジャー・リーグをお手本にする日本野球界が何とかもうひとつ商売をと企んで、2、3位のチームにも機会があると思わせ、余計なクライマックス・シリーズという制度を取り入れている。実際に過去に千葉ロッテ・マリーンズが下剋上優勝した例がある。だが、これは日米のチャンピオン・チーム決定のしきたりがまったく異なることを知っておくべきである。この点を日本のプロ野球界関係者にはよくよく知ってもらいたいと思う。
パ・リーグはすでに2位ソフトバンク・ホークスが3位千葉ロッテ・マリーンズを破っており、これからセ、パとも日本シリーズ出場チーム決定シリーズの舞台へ移るわけである。
何となく冷めた目で見てしまうプロ野球である。
それよりかつてはネクラなスポーツと揶揄された卓球のワールド・カップで、開催地フィラデルフィアにおいて昨日16歳の平野美宇選手が全力投球して最年少にして日本人初優勝を飾ったというから、手抜きのプロ野球に比べて大あっぱれである。