3543.2017年1月24日(火) 天皇制度に対して不遜な安倍首相

 海外ニュースでは、相変わらずトランプ米大統領の就任と言動に関する話題が世界中を惑わせている。大統領とメディアの対立が徐々にエスカレートしそうな様相になってきた。日本国内の関連ニュースをみるとあまりにも強気なトランプ砲に鑑みて、ここは少し冷静に、且つ正確に事実を分析しようとの声も出始めている。

 例えば、アメリカの赤字貿易相手国への一方的な非難も、アメリカは批判するばかりでなく、その原因と結果をよく考えるべきではないかと極当然の質問である。トランプ氏は、アメリカに工場を建設させ、アメリカ産製品を買わせようと考えているようだが、元来賃金の高いアメリカ人労働者が生産したものは高物価になり、消費が落ち、全体として販売力が下降して、行き着く先は工場の閉鎖で失業者が溢れ出ることになる。アメリカの失業率は現在下がり続けており、仮にトランプ政策が採用されれば、トランプ氏の思惑は外れ、物価は上昇し、失業率は高まり、親トランプ派の人々を却って落胆させることになるのではないかというのが、経済学者の予測である。

 また、昨日トランプ大統領は日本との自動車貿易は不公平だと指摘した。アメリカの車は日本で売れず、その一方で日本車はアメリカで儲けているとの大統領の主意だが、日本側に言わせれば、乗用車についてはアメリカが2.5%の関税をかけているが、日本は関税をかけておらず、他に原因があるのかも知れないが、差し当り不公平と言われる筋合いはないということになる。

 さて、国内では、通常国会で天皇退位に関するテーマがひとつの争点となっている。畏れ多くも天皇の在位に関する問題だけに、中々猫の首に鈴をつけられるような大物がいない。しかし、現状は有識者会議の今上天皇一代に限り退位を承認しようという意見に傾きつつようだ。一般国民は高齢の天皇のご健康を心配され、また次代の天皇についても同様な問題が起きる可能性があるので、将来的にも天皇のご意思を配慮して皇室典範を改正し、次代の天皇にも退位のご意思があれば適用すべきだとの意見が強い。実際天皇のお気持ちを素直に受け止める国民は約8割と言われる。

 にも拘らず、いまでは譲位は一代限りとの条件で認めるとの考えが安倍政権内では主流のようであるが、そこには皇室典範を改訂することが憲法に抵触すると考えている節がある。両陛下の健康を心配する国民とは考え方が完全に別次元のようだ。

 そもそも安倍首相は皇室典範改正を考えていないどころか、首相の考えは自身の国家観に基づいたものではなく、天皇が首相の知らない間に退位の気持ちを表明したことが心理的に面白くないのではないかと、月刊誌「選択」今月号に4頁に亘って「天皇と安倍の『確執』」と大きく取り上げられている。戦没者に対する慰霊のお気持ちが強い天皇に引き比べて、首相にはそんな気持ちはそれほどなく、加害とか反省の気持ちがないことが、天皇と首相が心情的に相容れない構図となっているようだ。国民は天皇の行動やお気持ちに同情的である。ところが、国民が天皇のお気持ちを慮っているのに、首相ら政府首脳が天皇と国民の気持ちに寄り沿って歩もうとしていない。

 一代限りにせよ、今後も同じように譲位を認めるにせよ、安倍首相には元々天皇のお気持ちを汲み取ろうという気がない。これではいくら有識者会議を重ねようとも結論は同じだ。これでは時間の無駄ではないのか。首相には、どうも天皇は「お飾り」とか、「わがまま」との認識があるらしい。お坊ちゃんで世間知らずのアベ・シンゾーも随分「偉く」なったものである。

2017年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3542.2017年1月23日(月) 小中陽太郎著「上海物語」について

 親しくしていただいている小中陽太郎さんが昨年12月に出版された「上海物語~あるいはゾルゲ少年探偵団~」を先日読み終えた。裏表紙に「ブケリッチ母子を会わせてくれた人へ」と書いていただき署名もしていただいた。ブケリッチ母子とは、2006年に他界された母淑子さんと子山崎ブケリッチ洋さんのことである。父はゾルゲと地下活動を行ってゾルゲ事件の中心人物のひとりとされているブランコ・ド・ブケリッチである。ゾルゲ事件に絡んだエピソードや人物が戦前から最近に至るまでのプライバシーが面白おかしく紹介されている。本書で直接知っている登場人物は、山崎さんと著者の小中さんだけだが、間接的に知っている人まで含めるとかなりの人がいろいろな場面で登場する。その点でも大変興味深い。

 ストーリーは、長きに亘ってゾルゲ事件に関わった人たちが、戦前の上海から日本、戦後の中国、韓国、欧米、南米コロンビアまで小中さんの実体験に沿うように展開される。ただ、展開が速く、人物も果たしてこの人は誰だったかなと考えながらストーリーを必死に追いかける有様である。

 戦前上海で執筆活動していたアメリカ人のアグネス・スメドレー女史とゾルゲ、或いは尾崎秀実との複雑な男女関係までは知らなかった。また最後の章「セルビア大使館の哀悼的想起」に、品川の駐日セルビア大使館で行われた故ブランコ・ド・ブケリッチを偲ぶ講演会のことが書かれている。山崎さんから案内がありゼミの仲間3人を誘って大使館へ出かけた。その折の珍しいエピソードも書かれている。このセルビア大使館はかつて「ユーゴスラビア大使館」と呼ばれていた。山崎さんの母上は得意の語学力を生かしてここで定年まで勤め、山崎さんを大学卒業まで女手ひとつで育て上げた。大学卒業後山崎さんは母1人子1人の母を残して父ブケリッチの母国、当時のユーゴスラビアへ渡り今日までベオグラードに在住している。

 山崎さんは日本へもしばしば里帰りするので、その都度会って食事をしたり、箱根や鎌倉など東京近辺の観光地を散策したりして親しく交流を続けている。彼をゼミの仲間にも紹介してお互いに広いお付き合いを楽しんでいる。小中さんにも山崎さんを紹介したことによって、勝手を言わせてもらえば、この書籍も部分的に深みのある内容になったのではないかと思っている。

 ストーリーは主語があちこちに飛ぶので、追いかけるのが大変だが、気楽に読めるあの暗い時代のノン・フィクションだと思う。今日ゼミの友人たちにもメールで勧めたところである。

2017年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3541.2017年1月22日(日) 保護主義のトランプ大統領に失望

 今日も話題のトップはトランプ大統領だ。アメリカ国内でも相当批判的な報道をされているが、それに対して大統領はメディアにいちいち反論しているから、やはり相当気になっているのだろう。

 例えば、大統領就任式に連邦議会前広場に集まった公衆の数が、メディアでオバマ前大統領の時の半分しかいなかったとの報道にも文句をつけている。更にオバマ氏の「遺産=レガシー」は有害だとしてオバマ・ケアの見直しと同様、オバマ氏が取り組んできた気候変動問題対策を廃止する意向を示した。これは二酸化炭素排出量削減を求めるオバマ政権の政策反故を意味することになる。中国がアメリカと並んで同意し、日本が遅ればせながら漸く同意した地球温暖化防止のための大きなポリシーである。

 日本の学者、評論家は、押し並べてトランプ大統領のアメリカ第一主義を典型的な保護主義と捉えて苦言を呈している。ヨーロッパからも少しずつ不安の声が聞こえている。世界各地で反トランプのデモ隊が反トランプのシュプレヒコールを叫んでいる。世界約80ヶ国で約470万人が参加したという。

 今日改めて大統領就任演説全文に目を通してみた。随分身勝手な言い分ばかり並べたものである。そこには、「アメリカ第一主義」が徹底的に貫かれており、良識ある国民から評価されるとはとても思えない。

 演説の中身にはこんな表現がある。「何十年にもわたり、我々はアメリカの産業を犠牲にして外国の産業を富ませてきた。わが国の軍の非常に悲しむべき消耗を許しながら、他国の軍隊を助成してきた。自国の国境を防衛することを拒否しながら、他国の国境を守ってきた。アメリカのインフラが荒廃と衰退に陥るなか、海外で何兆㌦も費やしてきた」。随分大袈裟に自分たちがこれまで行ってきたことについて恨み節で嘆いているではないか。随分勝手な言い分だと呆れるばかりである。

 更に続けて「アメリカは他の国を豊かにしたが、我々の富、力、自身は地平線のかなたへ消え去った。1つずつ、工場は閉鎖され、海外移転され、取り残された何百万というアメリカの労働者たちのことが顧みられなかった。中流層の富が奪い取られ、世界中に再分配された。しかし、それは過去のことだ。今、我々は未来に目を向けている」と少々自虐的に述べている。

 そして、急に攻撃的になり「~今日から『アメリカ第一主義』だけを実施する。アメリカ第一主義だ。貿易だろうが、税、移民、外交だろうが、あらゆる決定は、アメリカの労働者と家庭に恩恵をもたらすために行われる」と狂わんばかりに言い張っている。

 最後には、「アメリカを再び偉大な国にしよう」と言って神に祈る‘God bless America.’を繰り返し、「アメリカ」「アメリカ」で終わっている。地球上に行き詰った難題が溢れている時に、他国について、また改革的なことに何ひとつ触れず、これほど自国アメリカの繁栄だけを言い、平和、民主主義、自由、平等、夢、相互扶助などについて一言も触れなかった傲慢な利己主義のアメリカ大統領も珍しいのではないだろうか。テレビで発言する専門家らも少々匙を投げた感じがある。このままでは世界は決して良くならず、夢も希望も無くなる。エライ非常識な成り上がりものが、世界最高の地位に就いたものである。トランプ大統領には失望するばかりである。

 ホッとするニュースは、今日大相撲初場所千秋楽で横綱白鵬を破って14勝1敗で初優勝を飾った大関稀勢の里だろう。今3人の横綱が皆モンゴル出身力士であるだけに、19年ぶりの日本人横綱の誕生が待ち焦がれる。

2017年1月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3540.2017年1月21日(土) トランプ米大統領、マイペースでスタート

 今朝からトランプ新アメリカ大統領就任前後の動静がメディアを独り占めしている。トランプ氏の言動はアメリカ国内でも賛否両論で、全米各地で熱烈なトランプ・サポーターがばか騒ぎをする一方で、激しい反トランプ・デモが暴れる異色な大統領の登場である。まったく前代未聞であると言えよう。

 惜しまれてホワイトハウスを去ったオバマ前大統領に惜しみない拍手が送られたが、トランプ大統領は就任演説直後に発表したいくつかの政策方針のうち、オバマ氏が実施した医療保険制度改革、通称オバマ・ケアの見直しに向けた大統領令に署名した。オバマ氏自身もレガシーと自画自賛していたオバマ・ケアをあっさり放擲しようというのだ。余程納得出来る代案を提示しない限り、オバマ・ケアで恩恵を受けた人たちから評価されないだろう。そしてアメリカの医療保険制度はどうなるのか、早急に代案を公表する責任と義務があると思う。

 女性蔑視、差別主義者で国論の分断をもたらすトランプ大統領には、いくらでも聞きたいことがある。差し当って環太平洋経済連携協定(TPP)と北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱について、アメリカ第一主義のあまり自分たちの思う通りにことを進めるというのであれば、最早アメリカは自由貿易主義国ではなく、保護貿易国であると世界に言い散らすようなものだ。それで果たして世界の超大国と言えるのか。そんな孤立主義でトランプ大統領シンパはもとより、多くのアメリカ国民は納得出来るのだろうか。仮にトランプ主義によってアメリカにかつての栄光が蘇ったにせよ、他の国々が落ち込み全体的に景気の停滞をもたらすなら、それは果たしてアメリカ人の本心で望みと言えるのだろうか。

 もう少しこの問題は考えてみたい。

 このところ国内にも嫌な話を耳にする。文部科学省が組織的に職員の再就職をあっせんしていたことが明らかになった。悪名高いお役人の天下りである。文科省高級官僚による早稲田大学教職へのあっせんを文科省と早大の間でかなり大掛かりに行い、それを脱法的に隠蔽工作までしていたことが公になった。文科省、早大のどちらにとってもメリットのある取引だったが、国家公務員法で禁じられていることである。その悪質さが明るみに出て、一旦は決めた元高等教育局長の早大教授職をキャンセルした。また、これに関わった事務次官以下の文科省職員を処分した。

 また、ひとつ怖い話があった。昨日の強風で関西電力高浜原発にある大型クレーンが原発建屋の上に折れて覆いかぶさるような形になった。先日原子力規制委員会から再稼働に問題がないとの判断が下され、近々再稼働する予定の原発である。原発には影響がなかったとは言え、ダメージを与えていたら事故に繋がり、その影響は計り知れないものになっていただろう。原発自体がすでに厄介者になっていることから目を逸らそうとしているが、事故が起きてからでは遅い。福島原発事故で懲りている筈なのに、どうして原発廃棄へ踏み出すことが出来ないのだろうか。

2017年1月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3539.2017年1月20日(金) いよいよアメリカに嫌われ大統領誕生

 今日は暦の上で二十四節気の大寒に当たる。寒いわけである。北日本から日本海沿岸はもとより、北九州にも雪が降り、都内でも赤坂や東京スカイタワー周辺では雪が舞っていた。我が家近辺にはまだその兆候はなかったが、夕方になりほんの少しちらほら降って来た。空はどんよりと曇り、重苦しく、ただならぬ空模様につい何か不吉な予感をイメージさせる。

 考えてみれば、何と選りによって日本時間今夜半、アメリカの首都ワシントンで、近年最も好感度の低いトランプ大統領の就任式を迎える。ワシントンでも寒く雨が予想され、気象も恰もアメリカの前途を懸念しているかのようだ。相変わらずトランプ砲は止まるところを知らない。それでもアメリカは、自国の大統領交代式には、海外諸国へ存在感をアピールするため、かなりの経費を注ぎ込んで派手な舞台を演出している。同時に、過去に覚えのないくらい、公式・非公式を交えたあらゆる情報がメディアの間で飛び交い、それについてテレビで専門家が解説してくれる。テレビでは就任式まであと何時間と刻々と伝えている。実際の就任式は日本時間の真夜中になるため、明日の朝刊に就任式の記事を間に合わせようと朝日新聞は遅く配達されると連絡があった。

 トランプ氏がアメリカを再び偉大な国にするという選挙期間中からのメッセージは、当面アメリカにとっては佳しとしても、他国の利を蔑ろにしようとする本音がどうも見透かされて各国から警戒されている。自分さえ良ければ良いとのあまりにも利己的な主張が、長期的に見て果たしてアメリカを偉大な国にしてくれるだろうか。とにかく言いたいだけ言って、相手をしり込みさせるというやり方は、長続きしないのではないかと思う。

 就任式会場周辺では、反トランプの人々が大勢集まっているが、大きな波乱がなければ好いと思っている。それにしてもこれまではアメリカの大統領就任式では、世界中から注目されて華やかさと夢や期待感が伴ったものだが、今やそんなことより挫折やスキャンダルが心配されるようになった。何と夢のないことよ!

2017年1月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3538.2017年1月19日(木) モラルの低下を嘆く。

 童謡「森のくまさん」がお笑いタレントによって勝手に吹き替えられ、そのCDとDVDが作詞者に無断で販売されていたとして、作詞者が慰謝料と損害賠償を求めている。この童謡はアメリカ民謡に、日本人なら誰でも知っているほのぼのとする歌詞をあてがったものだ。唄ったタレントにも責任があるだろうが、それ以上にこれをCDとDVDにして制作・販売したレコード会社により多くの責任があるだろう。況して作詞者はこの件を承諾しておらず、著作物を勝手に改変されたと訴えているのだ。一種の盗作とも言える悪質な事件である。

 かつて演歌歌手・森進一がヒット曲「おふくろさん」の歌詞の間に想いを込めたつぶやきを無断で挿入して唄い、これを耳にした作詞者の川内康範氏が烈火のごとく怒った。2人の間の溝は川内氏の生前埋まることなく、取返しのつかないままだった。以降森はこのヒット曲を唄うことが出来なくなり、解決したのは、川内氏が他界して川内氏の遺族と森との間で示談が成立してからのことである。それほどことは大事なのである。その点を軽視したレコード会社には、レコード会社としての資格がないと思う。

 歌詞を作詞者の了解も得ずに勝手に文言を書き変えることは、詐欺行為以上に下劣な行為であり、誰が考えても許される筈がないことぐらいレコード会社のような専門家なら分かりそうなものである。

 作詞者が納得していないにも拘わらず、発売したレコード会社は、適切な手続きを踏んで発売していると平然と返答しているようだが、こういう無責任な姿勢では、また同じような事件を引き起こしかねない。どうしてこんな不道徳な悪事を安易に犯してしまうのだろうか。ミュージック業界内だけの許容行為なのだろうか。日本人のモラルも大分劣化して来たものだと嘆かざるを得ない。もう少し倫理観を持ってもらいたいものである。

 ついては、いま揉めている話題にベストセラー書、菅野完著「日本会議の研究」の出版差し止め事件がある。今月になって「日本会議」が同書の出版停止を求める申し入れを出版元の扶桑社に送付し、東京地裁が真実でない個所があるとして申し入れ通り同書出版の差し止めを命じた。これに対し、出版社は昨日地裁に保全異議と執行停止を求めた。扶桑社は、地裁の決定には表現、出版の自由に対する重大な問題があると主張している。

 これにはかなり裏の話があるようだ。というのは、安倍内閣の19人の閣僚のうち、実に15人が日本会議のメンバーであり、以前から日本会議は日本最大の右翼組織と言われ、安倍政権寄りの対応をしている。日本会議が出版社に圧力をかける行動の黒幕は、安倍政権だとも噂されている。安倍政権の右傾化は今に始まったことではないが、最近は圧力も露骨になってきたようだ。これも一強多弱の自民党の驕りと言えるのではないだろうか。

2017年1月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3537.2017年1月18日(水) 過去40年で人気最低のアメリカ大統領

 いよいよ日本時間で3日後に迫ったアメリカ大統領就任式の話題が尽きない。虚偽らしいものから、下世話な話に至るまで風評は世界中に出回っているようだ。その中で比喩的なものと、衝撃的な世論調査の結果を紹介してみたい。前者では今日の朝日夕刊「素粒子」に「英国がEU市場を抜ける。米国に保護主義の政権ができる。中国首脳が自由貿易を説く。これは歴史の交差点か」と現実を揶揄して書かれている。後者は、CNNなどが行った世論調査で分かったことであるが、大統領就任前のトランプ氏の支持率が極度に低水準にあることだ。直前の調査では過去40年間で最も好感度が低い大統領とされている。

 トランプ氏の支持率は、何と過半数にも満たない40%で、その反対に不支持率が52%というから、これで今後4年間もアメリカと世界を引っ張って行けるのかと首を傾げざるを得ない。加えて就任式を欠席する議員が50名ほどいるというのも前代未聞である。

 一般的に新政権発足時はご祝儀で世論が好意的に受け止めることが多いものだが、トランプ氏は歯に衣着せず相手に対して攻撃的な差別発言を行うので、大分印象が悪い。更に素直に過ちを認めるとか、謝罪するという当たり前のことが出来ない人である。

 近年の大統領の中では、オバマ、ブッシュ、クリントン氏らは支持率がそれぞれ、84%、61%、67%で、不支持率も14%、25%、15%とトランプ氏を大きく引き離している。特に女性から不評を買っているようで、実際その言動には女性蔑視傾向が垣間見える。性的被害を受けたとして、謝罪を求め名誉棄損で昨日訴訟を起こしたテレビ番組出演者まで現れた。選挙戦中も女性テレビ・キャスターを蔑視するような発言を度々繰り返したと非難されていた。いまトランプ・サイドで最も深刻に考えられているのは、性的スキャンダルである。真偽のほどは不透明であるが、ロシアが握っているトランプ氏のロシア人売春婦に絡む情報が仮に真実として暴露された場合、トランプ氏は朴槿恵・韓国大統領が弾劾された事例のように失職の可能性があり、アメリカも世界中から大きな恥をかかされるのではないか。ロシアはこれを駆け引きに利用しようとしているのか、最近の米ロの裏の取引が微妙である。

 それにしても新大統領の就任に際して、もう少し明るくおめでたい祝福気分を演出出来ないものだろうか。アメリカ国民の常識や倫理観も随分落ちたものだ。

2017年1月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3536.2017年1月17日(火) 阪神・淡路大震災から22年

 今朝の日経紙「春秋」欄に「新政府の役人などまっぴらごめんだ。世界の海援隊でもやるかな」と幕末の志士・坂本龍馬が西郷隆盛に言い放ち、西郷は二の句がつげられなかったというエピソードが紹介されている。龍馬には、キューバ革命の志士・チェ・ゲバラと似たような共通認識があったことに、さもありなむと感じた。キューバの志士・ゲバラにも地位や名誉に拘る気持ちはまったくなく、アメリカに押さえつけられていたラテン・アメリカ諸国をアメリカの支配下から開放し、国境線のないラテン・アメリカというひとつの国を造り上げるために役立ちたいとの気持ちが強かった。革命後キューバ国立銀行総裁や工業大臣などの要職を何の未練もなく投げ捨て、新たな革命を起こすためにひとりでラテン・アメリカで経済的に最も立ち遅れていたボリビアへ向かった。不幸にしてボリビア山中で政府軍に捕えられ、龍馬と同じ運命を辿り形になり非業の死を遂げた。

 いまゲバラの関連書を買い込み読んでいるが、ゲバラの信念、創造性、計画性、行動力、人格に尊敬の念が益々強くなる。私利私欲に駆られて自らの存在感をアピールすることだけに拘るリーダーが多い時代に、人間としてこのように理想的な人物が、我々の時代に現実にいたことが信じられないくらいである。

 キューバについては、拙稿「いまキューバが熱い」を季刊誌「知研フォーラム」に寄稿し何人かの友人に送ったところ、キューバ革命や、カストロ、ゲバラの名前については知ってはいたが、拙稿を読むまでは詳しいこと、特にカストロとゲバラの人間性についてまではあまり知らなかったと読後感を寄せてくれた。私自身も調べてみて初めてキューバの歴史や革命について意外な一面を知ることになったが、昨年偶々キューバを訪れる機会を得て改めてキューバの実情や、革命の志士たちの功績、人間性を知りえたことは幸運だったと思うし、大きな知的財産になったと思っている。

 さて、あの阪神・淡路大震災が発生してから今日が22年目に当たる。その12年前の1985年に兵庫県海外教育視察団の添乗員として26名の公立小中高の先生にお供してアメリカのイリノイ州とメリーランド州で学校と教育機関を視察したが、震災後大分経ったころ開かれた懇親会の席上で震災に被災された先生方からかなり生々しい体験談を伺ったことがある。家の中で身体が横に飛んで行ったというような非現実的な話も聞いた。今も毎年懇親会を開催してお招きいただくが、どうしても兵庫県内で開催されるので、近年はつい足が遠のいている。団長先生にも件のキューバの小冊子をお送りしたところ、お心の籠ったコメントを送っていただいた。

 その他に思い出すのは、ブラジルのアミーゴ、アリンドさんから震災直後に国際電話で大丈夫かとわざわざ心配されたお尋ねがあったことである。家族、親戚、友人らにも被害はないようだと伝えたら安心して電話を切られた。外国人友人の温かい心遣いに心を打たれたものだ。そのアリンドさんも寄る年波で、今やあまり健康ではないようで、毎年几帳面に送ってくれていた誕生祝いの手紙とクリスマス・カードも昨年途絶えてしまった。一昨年のクリスマス・カードは1ヶ月以上もかけて年が明けてから届いたが、昨年のクリスマス・カードはまだ受け取っていない。もう40年以上のお付き合いであるが、90歳近い高齢なのでちょっと健康状態が気になっている。

 日本は地震国なので、これが永久になくなるということは考えられないが、個人的に少しでも被害を少なくすることは平素より心がけなければいけないとは思っている。それにしても最近しばしば太平洋岸に中小規模の地震が起きるが、自然の力に対して人間の力は弱いことを痛感させられる。

2017年1月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3535.2017年1月16日(月) トランプ現象と貧富の格差現象

 貧困撲滅に取り組んでいるオックスファム(OXFAM、語源はOxford Committee for Famine Relief)という国際NGO団体が、昨年世界人口の下位から半数の36億人の資産と、世界で最も裕福な富豪8人の資産が同額(約4,260億$=約48兆6千億円)になったと報告し、近年広がる富の格差に懸念を表している。その8人の富豪のうち、上位3人にはマイクロソフト社共同創業者ビル・ゲイツ氏、Facebook共同創業者マーク・ザッカーバーグ氏、そしてアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏ら名だたる著名人が名を連ねており、かつてのロックフェラー氏のような財閥や大手企業の経営者などではなく、軒並み日の出の勢いのIT産業の創業者にして成功者が名を連ねて、いかに成金起業家が短期間に金儲けして資産を独占出来るかが分かるようだ。稼ぐことは悪だという観念ではなく、これらIT企業のように世界的に経営が大成功となれば、湯水の如くお金が手に入って来るものだということを思い知らされたような気がする。

 オックスファムは年々世界で所得格差が拡大していることと、トランプ現象のような既存政治への幻滅が広がっていることに関連性がある点を懸念している。一昨年オックスファムが発表した報告書では、世界人口の下位から半分と同額の資産(1兆7,600億$)が集中していると名指された富豪の数は62人だった。格差拡大の割合について種々事情は異なるが、1年で62人が僅か8人になるとは、あまりにも富の集中が極端に成功者に加速していることを示す何よりの証拠ではないだろうか。

 幸い日本国内ではこれほど富の寡占化は進んでいないが、トランプ現象が日本にも影響が及んだり、難民や移民を排除する動きに似た在日朝鮮人を標的にしたヘイト・スピーチや外国人差別が嵩じると、日本の社会にも「社会を分断する脅威」が蔓延る恐れがある。

 トランプ現象を見ていると、こういう現象も他人事だと見て見ぬふりをしているわけにはいられないと思う。

2017年1月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3534.2017年1月15日(日) サラリーマンの他にも教師に残業が多い。

 一昨年12月電通の新人女子社員が長時間の過重労働に耐えきれず、自殺したことが大きな話題になった。電通では1991年にも入社2年目の若手社員が同じ長時間労働が原因で自殺している。結局会社が残業時間を過小申告させたことなどから社会的に批判が厳しく、電通社長は責任を取って近々辞任することになった。そして、他にも大手電機メーカー・三菱電機で元社員が残業月100時間を超える長時間労働により適応障害を発症したとして労働基準監督署から労災認定された。在職中元社員は厳しい残業のため精神的に参って会社を辞めざるを得なくなった。これらの事象につき行政の対応は、まず厚労省が過重労働解消キャンペーンを打ち出し、一億総活躍社会キャンペーンや日本再興戦略に、長時間労働の是正に向けた法規制などを適用させて改めて過重労働を解消する姿勢を打ち出した。

 しかし、一般企業では経営者側にこの問題が充分理解されてそれなりの対応がなされているのか。仮にそうであっても経済活動上収益を上げるために、この問題に真剣になって取り組む企業がどれだけあるのか。根本的な問題が解消されない以上、電通や三菱電機の例が氷山の一角で目こぼれされなければ良いがと気になる。

 一方で今朝の朝日に公立小中学校の教師の7割が週60時間超勤務に就いているとの記事が載っていた。正規の教育指導の他に、部活動の顧問を務めている先生に特に負担がかかっているらしい。中学校の運動部顧問の場合は、朝7時前に出勤する先生が多く、午後9時以降に退勤する先生も多いようだ。これは、他の業種、例えば医師、建設業、製造業より格段に高い比率だというから、案外これまで教師というのはサービス残業と捉えられていた傾向があり、このままだと過重労働になり、教師を辞める人も出て来るかも知れない。この背景には文句が多い保護者からの対応に備えている一面もあるようだ。これまで文科省で、この問題はあまり深刻に考えられていなかった感がある。しかし、現実に教師の間に過重労働のような傾向が表れている以上、早めに対策を講じるべきである。

 さて、今ラテン・アメリカ4カ国の訪問を終えた蔡英文・台湾総統が、帰途サンフランシスコに立ち寄り今日同地で台湾出身のアメリカ在住者と会っていたが、「中国はひとつ」を主張する中国政府は蔡総統がトランプ氏と接触することをしきりに警戒している。

 その蔡総統がこのほどドえらい決断をした。それは、2025年までに原発廃止を決めたことである。現在台湾に3基ある原発を思い切って廃棄しようというのだから、思い切ったことである。しかも全電力の14%を賄っている原発を止めるというのは、福島原発事故の惨状とその後の片付かない処理に影響されたかららしい。日本では将来像はともかく、原発再稼働の動きばかりが目立つが、少しは蔡総統を見習ってはどうか。

 今日も外は寒いが、全国的に雪が降っている。広島では19㎝の積雪だというから珍しい。各地でこれほどの積雪は今まで見たことがないという人が多い。いつまでこの厳しい寒さは続くのだろうか。

2017年1月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com