3535.2017年1月16日(月) トランプ現象と貧富の格差現象

 貧困撲滅に取り組んでいるオックスファム(OXFAM、語源はOxford Committee for Famine Relief)という国際NGO団体が、昨年世界人口の下位から半数の36億人の資産と、世界で最も裕福な富豪8人の資産が同額(約4,260億$=約48兆6千億円)になったと報告し、近年広がる富の格差に懸念を表している。その8人の富豪のうち、上位3人にはマイクロソフト社共同創業者ビル・ゲイツ氏、Facebook共同創業者マーク・ザッカーバーグ氏、そしてアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏ら名だたる著名人が名を連ねており、かつてのロックフェラー氏のような財閥や大手企業の経営者などではなく、軒並み日の出の勢いのIT産業の創業者にして成功者が名を連ねて、いかに成金起業家が短期間に金儲けして資産を独占出来るかが分かるようだ。稼ぐことは悪だという観念ではなく、これらIT企業のように世界的に経営が大成功となれば、湯水の如くお金が手に入って来るものだということを思い知らされたような気がする。

 オックスファムは年々世界で所得格差が拡大していることと、トランプ現象のような既存政治への幻滅が広がっていることに関連性がある点を懸念している。一昨年オックスファムが発表した報告書では、世界人口の下位から半分と同額の資産(1兆7,600億$)が集中していると名指された富豪の数は62人だった。格差拡大の割合について種々事情は異なるが、1年で62人が僅か8人になるとは、あまりにも富の集中が極端に成功者に加速していることを示す何よりの証拠ではないだろうか。

 幸い日本国内ではこれほど富の寡占化は進んでいないが、トランプ現象が日本にも影響が及んだり、難民や移民を排除する動きに似た在日朝鮮人を標的にしたヘイト・スピーチや外国人差別が嵩じると、日本の社会にも「社会を分断する脅威」が蔓延る恐れがある。

 トランプ現象を見ていると、こういう現象も他人事だと見て見ぬふりをしているわけにはいられないと思う。

2017年1月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com