今日も話題のトップはトランプ大統領だ。アメリカ国内でも相当批判的な報道をされているが、それに対して大統領はメディアにいちいち反論しているから、やはり相当気になっているのだろう。
例えば、大統領就任式に連邦議会前広場に集まった公衆の数が、メディアでオバマ前大統領の時の半分しかいなかったとの報道にも文句をつけている。更にオバマ氏の「遺産=レガシー」は有害だとしてオバマ・ケアの見直しと同様、オバマ氏が取り組んできた気候変動問題対策を廃止する意向を示した。これは二酸化炭素排出量削減を求めるオバマ政権の政策反故を意味することになる。中国がアメリカと並んで同意し、日本が遅ればせながら漸く同意した地球温暖化防止のための大きなポリシーである。
日本の学者、評論家は、押し並べてトランプ大統領のアメリカ第一主義を典型的な保護主義と捉えて苦言を呈している。ヨーロッパからも少しずつ不安の声が聞こえている。世界各地で反トランプのデモ隊が反トランプのシュプレヒコールを叫んでいる。世界約80ヶ国で約470万人が参加したという。
今日改めて大統領就任演説全文に目を通してみた。随分身勝手な言い分ばかり並べたものである。そこには、「アメリカ第一主義」が徹底的に貫かれており、良識ある国民から評価されるとはとても思えない。
演説の中身にはこんな表現がある。「何十年にもわたり、我々はアメリカの産業を犠牲にして外国の産業を富ませてきた。わが国の軍の非常に悲しむべき消耗を許しながら、他国の軍隊を助成してきた。自国の国境を防衛することを拒否しながら、他国の国境を守ってきた。アメリカのインフラが荒廃と衰退に陥るなか、海外で何兆㌦も費やしてきた」。随分大袈裟に自分たちがこれまで行ってきたことについて恨み節で嘆いているではないか。随分勝手な言い分だと呆れるばかりである。
更に続けて「アメリカは他の国を豊かにしたが、我々の富、力、自身は地平線のかなたへ消え去った。1つずつ、工場は閉鎖され、海外移転され、取り残された何百万というアメリカの労働者たちのことが顧みられなかった。中流層の富が奪い取られ、世界中に再分配された。しかし、それは過去のことだ。今、我々は未来に目を向けている」と少々自虐的に述べている。
そして、急に攻撃的になり「~今日から『アメリカ第一主義』だけを実施する。アメリカ第一主義だ。貿易だろうが、税、移民、外交だろうが、あらゆる決定は、アメリカの労働者と家庭に恩恵をもたらすために行われる」と狂わんばかりに言い張っている。
最後には、「アメリカを再び偉大な国にしよう」と言って神に祈る‘God bless America.’を繰り返し、「アメリカ」「アメリカ」で終わっている。地球上に行き詰った難題が溢れている時に、他国について、また改革的なことに何ひとつ触れず、これほど自国アメリカの繁栄だけを言い、平和、民主主義、自由、平等、夢、相互扶助などについて一言も触れなかった傲慢な利己主義のアメリカ大統領も珍しいのではないだろうか。テレビで発言する専門家らも少々匙を投げた感じがある。このままでは世界は決して良くならず、夢も希望も無くなる。エライ非常識な成り上がりものが、世界最高の地位に就いたものである。トランプ大統領には失望するばかりである。
ホッとするニュースは、今日大相撲初場所千秋楽で横綱白鵬を破って14勝1敗で初優勝を飾った大関稀勢の里だろう。今3人の横綱が皆モンゴル出身力士であるだけに、19年ぶりの日本人横綱の誕生が待ち焦がれる。