今日は節分であるが、どうもそれどころではないようだ。
インフラに51兆円を投資して市場を創出し、70万人もの雇用を生み出すよう努める。どこの国の話かと思っていると、日本の対アメリカ交渉のスタンスである。これが益々強まる日本の対米従属の構図である。しかもその投資資金に、わが国が現状出来る精一杯の力を傾注して、銀行、政府系金融機関の融資の他に外為特別会計や、あるまいことか公的年金を長期運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金の運用まで考えているというからその気の遣いようには呆れるではないか。GPIF資金が従来の国債運用から、リスクの伴う株式投資を重視するということで、国民にとって大切な年金運用資金が減る恐れがあるとして物議を醸したのはつい最近のことではないか。日本国民の老後の安定収入よりアメリカの経済振興に気を遣うお粗末ドラマの展開である。
来る10日に安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談が行われるが、日本は自らの立場を説明するとともに、アメリカに対して手土産を献上しようとしているのである。日米間の貿易不均衡との言いがかりをつけた天邪鬼に対して、正論をぶつけず、あくまで下手に出る戦略なのだろうか。
ぎゃあぎゃあ喚き散らすヤクザまがいの下品なトランプ大統領の圧倒的な迫力に押されて、日本はご機嫌を取って何とか日米友好関係を演出し、ひたすら日米同盟関係の絆を深めようとの作戦に出る不甲斐なさである。常識外れで世界中から顰蹙を買っているトランプ大統領に日本も完全に振り回されている。
日本は日本なりに独自に国家としてやるべきことがたくさんある。新大統領が就任したばかりのアメリカに対して、なぜこれほどご機嫌を取らなければならないのだろうか。我々が知るこれまでのアメリカの民主主義というのは、上から目線で恫喝するようなことではなかった筈である。それがどうだろう?傲岸不遜な態度でメキシコ大統領に対して、アメリカに敬意を払って交渉を申し込めと居丈高に言い、両国間には不穏な空気が漂っている。そうかと思うと昨日はオーストラリアのターンブル首相との電話会談でオバマ前大統領が約束した難民引き取りについて、「オバマ政権はオーストラリアから数千人の不法移民を受け入れると合意したのはなぜだ?」と前職者の対応が気に入らず、相手国首脳に当たり散らして頗るご機嫌斜めのまま一方的に電話を切って首脳会談を早めに停めてしまった。今のトランプ大統領には、外交儀礼や常識、モラルがまったく身に付いていない。選挙戦中は日本における米軍駐留費用を全額日本に負担させるなどと野放図なラッパを吹いていたが、すでに駐留米軍費用の7割は日本政府が支払っている。全額なんてとんでもない。それならとっとと日本から引き揚げてもらいたい。そうすれば財政的に助かるし、沖縄や各地で問題を引き起こしている不祥事や基地問題はすべて解決する。大体これほど外国人軍隊経費を負担している国が一体どこにあるだろうか。タイムリーに今日「狂犬」マティス国防長官が韓国を経て、トランプ政権の閣僚として初めて日本を訪れた。
日本政府もご機嫌伺いばかり考えずに、わからずやのトランプ大統領に対して言うべきことはきちんと伝えるべきである。まったく困った大統領である。