アメリカのトランプ大統領とメキシコのペニャニエト大統領の首脳会談が正式に中止となった。両国国境の壁建設費用の支払いを巡って恫喝的なトランプ氏の挑発に対して、一歩も引かないメキシコ大統領が同意しなかったためである。トランプ大統領就任以来1週間が経過したが、お祝いムードがほとんど感じられず、そこに漂うのは呆れた諦めムードである。ただ、決定的な決裂を避けるためお互いに電話で1時間ほど話し合った。
メキシコはアメリカの隣国でもあり、これまでアメリカに労働力を提供してアメリカ産業に貢献してきたが、トランプ大統領がメキシコからアメリカへ不法移民が流入すると一方的に国境に壁を建設すると言って対立し、両首脳が話し合うこともなく、お互いにとって不本意な形になった。
世界中がトランプ大統領の立て続けに署名する大統領令に振り回されているが、そこへ初めての首脳として今日イギリスのメイ首相が訪れ、友好ムードを醸成しようとしている。イギリスは昨年EUから離脱を決めただけに、保護主義的なトランプ氏と良い関係を保ちそうな様子だ。トランプ大統領はイギリスのEU離脱を支持するとメイ首相に伝えた。だが、ヨーロッパではドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領が、自由貿易維持へ向けて協調姿勢を取ることを確認した。トランプ大統領が動けば動くほど、同盟国は結束を固めてアメリカから気持ちが離れて行くような気がしている。
一方安倍首相は今夜11時にトランプ大統領と電話会談を行う。次いでメルケル首相、プーチン大統領、オランド大統領、オーストラリアのターンブル首相と会談を予定している。お騒がせのトランプ外交もいよいよ騒めき出した。
さて、天下の東芝の経営が怪しくなってきた。ここ数年原発問題や、不正経理などで評判を落としていたが、ついに主力のひとつ原子力事業を見直すことになった。これに失敗すると下手をすると破産の憂き目を見ることも考えられる。あの東芝にしてこのような落日は思いも寄らなかったであろう。現状がいくら良くても、いつ何が原因で急転直下下降線へ向かうかは誰しも予測することが出来ない。今日発表された志賀重範・東芝会長退任を知って、怖いものだと思う。