3670.2017年5月31日(水) 権力者のメディアへの対応と圧力

 先週に引き続いて、駒沢大学公開講座で「体験的ジャーナリズム論」担当の山田克講師の講義を拝聴した。

 権力の監視者という視点で、メディアの立場とあり方を語られた。特に、メディアには何物にも縛られない在野精神が大事だと主張された。その点で共同通信社の大先輩である原寿雄氏に影響を受けたと話されたが、偶々2009年にその原氏が講師を務めた岩波市民セミナー4回シリーズを受講したことがある。

 山田講師が強調された最近の問題は、安倍首相が読売新聞社との単独会見で憲法改正について持論を語ったが、それが読売1紙だけに掲載されたことであり、その内容も自民党内の憲法調査会が考えていたような腹案とは異なり、突然読売1社だけに機会を与え、9条1、2項に自衛隊を容認することを追加明記する点を主張したことである。これまで首相がメディアを1社だけに限定し、しかも国会で詳細は読売を読めと首相が言うようなことはなかった。首相がメディア各社に平等に機会を与えるのではなく、特定のメディアだけに優先的に情報を与えるのは、異常な対応であり首相の立場上いかがなものか。この辺りに最近首相周辺に問題が多発する原因があると思う。今に始まったことではないが、一強多弱により首相は思い上がっているのではないか。

 今メディアの間では、今年の特ダネ賞の選考が進んでいるが、読売が本件を推薦する可能性について、話題になっているらしい。

 私が山田講師に質問したのは、別の問題である。去る28日に北朝鮮が新型対空ミサイルを発射したとテレビ(NHK?)で放映しながら、その後このニュースについて、どこのテレビも新聞も一切報道しなかった情報の流し方についてであった。残念ながら山田講師もこのミサイル発射についてはご存知なかった。誤報なら尻拭いせず誤報と正直に報道すべきではないかというのが私の主張だが、講師が知らないのでは話が進まない。

 そこで2008年1月7日に韓国ソウル郊外の利川市内で発生した冷凍倉庫爆発事件について話した。本件については当時日本テレビで散々放映していながら、翌日からどのテレビ局、新聞ともに一切報道することを止めた。如何にも恣意的である。40名も死亡し、その内12名が韓国系中国人だったせいもあり、当時の胡錦濤国家主席や、温家宝首相が韓国政府に処理と賠償を求めた事件だ。これほど各方面に深刻な影響を与えた大事件が、突然報道されなくなった。背後に意図的なものを感じる。 

 その年の11月に韓国東海岸の束草市で開催された韓中米日シンポジウム「退職後の高齢者の現状とこれからの生活」に、日本人唯一のパネリストとして招かれた時、その利川近くをバスで通過したが、同行してくれた通訳の桂明洙氏に尋ねたところ大変な事故だったと仰っていた。それが、日本国内では1月8日を境に事件の報道はまったくなくなったのである。あまりにも不自然である。何らかの事情で、報道管制が敷かれたのではないか。それが山田講師への質問である。情報隠蔽ではないかという質問である。

 この事件は、岩波市民セミナーでも原講師にお尋ねしたが、生憎ご存じなかった。

 言論の自由とともに、報道の自由がある筈であるが、事柄によってはどうも一部の情報は隠蔽されている恐れがある。このうえ共謀罪が成立したら、言論の自由まで権力者に奪われてしまうのではないか。考えるだにぞっとする。

 ところで、利川冷凍倉庫爆発事件をネットで確認していたら、同項目に私の原講師に質問した日、2008年12月22日に書き込んだ私のブログがそっくり掲載されていた。

2017年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3669.2017年5月30日(火) 私利私欲で辞めた舛添前都知事、復活へ虎視眈々

 先月イタリアのミラノに住む大島悦子さんから、彼女が書いたエッセイ集「街角のミラノ」の原稿についてアドバイスを求められた。時間を見ながら何とか通読して、感想とアドバイスなどをA4版紙3枚にまとめて今日ミラノの大島さんへ送信したところである。

 大島さんは流石に20年以上もイタリアで生活されておられるだけに、イタリアとイタリア人事情に詳しく、エッセイの内容も身近な事象を具体的に興味深く書かれ、生活者の目で精細に描写されている。普通のガイドブックや書物には紹介されていないエピソードなどが盛りだくさんである。

 これまでもこの種の依頼をいただいたことがいくつかあるが、大島さんのエッセイの内容は上質で、イタリア旅行を計画している人には、随分参考になるものだと思う。

 ただ、こういうアドバイスは差し上げた。それぞれのエッセイは全般的に似て非なるものとは言え、同じようなエッセイを似たような手法で採り上げている傾向があるので、どうしても全体的に見ると平板に陥りがちで、僭越であるが、各章ごとにイタリアの決まりのような小話などを挿入してみてはどうかとアドバイス的なコメントを送ったところである。旅行関係の出版社から、イタリア紹介書籍として上梓されれば、かなりアピールするのではないかと思っている。

 さて、前東京都知事の舛添要一氏がその職を去ってから、約1年が経過した。その後を受けて著名人が参戦した賑やかな都知事選により、小池百合子知事が誕生して、今舛添都政とは異なるやり方で歩んでいる。その舛添氏が、久しぶりにメディアに登場した。「都知事失格」なる自虐的な著書を上梓された機会に、朝日朝刊の「オピニオン&フォーラム」のインタビューを受けたのである。小池都知事が進軍ラッパを響かせ、2020年東京オリンピック、豊洲問題のディーリングで脚光を浴びる中、舛添氏が退職時に約束したいくつかの問題、私費流用、特に公費で自分個人用の美術品を購入した問題や、湯河原別荘売却などについて、都議会は追及することを止めてしまった。

 3月ごろある共産党都議会議員が拙宅を訪問された時、①豊洲市場を止めるということは、豊洲をこのままにして6千億円もの巨額の投資額を無駄にすることではないか、②舛添氏が都議会との約束を履行することを追及しないのか、を問い質したが、煮え切らない返事をされた。

 元来目立ちたがり屋の舛添氏は、1年間も世間から構ってもらえなかったことが我慢出来ず、著書をきっかけに表舞台への再登場を目論んでいるようだ。その著書が「都知事失格」というのだから、好い気なものである。朝日のインタビューを読んでも、自らが犯した反都民的行動についてまったく反省の色が見られない。相変わらず自らの主張を正当化して、辞める直前の騒ぎは人民裁判であるとか、別荘から通ったことは今になって問題ではないと言い、約束した別荘売却も都知事なら問題だが、都知事を辞めた現在売却する必要はないと勝手な言い分で居直る有様である。こういう御仁はメディアが構わないようにして、放っておくのが一番効果的だと思う。

 こういう人間的にも問題のある人物をおだてるようなことをして、「天下の朝日」と思い上がっている朝日は、ここでも常習の勇み足をやっている。インタビューをやって舛添氏の復活に精々手を貸しているだけではないのか。

2017年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3668.2017年5月29日(月) インディ500で日本人初優勝

 今朝またもや北朝鮮でミサイルが発射されたとのニュースに接した。2日間も続けてよくもやってくれるものだと思っていたが、どうも情報がおかしい。テレビ・ニュースでは昨日の対空ミサイル発射についてまったく話がない。朝刊を見てもどこにも昨日午後打ち上げたミサイルに関連する記事が載っていない。昨晩はあれほど派手に新型のミサイル発射と騒いでいたのに、今朝のテレビ・ニュースはこのことに一言も触れていない。不思議な話である。昼近くになってどうも昨晩のミサイル発射はなかったらしいと思わせられた。

 今朝の発射は、今月に入って3度目の打ち上げと言っていたが、それは昨日の話だ。今朝のミサイル発射は今月に入って4度目の筈である。どうも昨日のミサイルは本物ではなかったようだ。ミサイル発射は確証のないフェイク・情報だったことになる。それに対して、どのテレビ局も素直に過ちを認めたり、謝罪することもなく、昨日あれほど新型ミサイルを打ち上げたと、北京やソウル駐在員のコメントを添えて放映されたニュースをいとも簡単に彼方へやってしまった。視聴者には嘘をつき、間違いを正すこともなく次のステージへ話を進めていった。夕刊を見ても昨日の発射についてはまったく触れられていない。このように無責任で恥知らずだからメディアは困る。このいい加減さは何とかならないか。

 ところで昨日のフェイク・ミサイルに代わって今朝本当に発射した弾道ミサイルは、日本の経済水域内に、しかも隠岐の島から僅か約300㎞の日本海に落下した。北朝鮮の労働新聞は「アメリカが正しい選択をする時まで高度に精密化、多種化された核兵器と攻撃手段を更に多く製造する」と身勝手なことを書いている。どうにもならない厄介な国である。これに対して昨日佐藤栄作、吉田茂に次ぎ戦後長期間在位首相第3位になった安倍首相は、「G7で北朝鮮問題は国際社会の最優先事項だ。北朝鮮を抑止するため、アメリカとともに具体的な行動をとっていく」と強調した。最早北朝鮮に対して日本独自の切り出す札はなく、最近は具体的な行動を取れなかったが、アメリカとともに果たしてどんな具体案があるのだろうか。

 トランプ大統領は、メディアと対立してG7終了後も記者会見を開かなかった。これも異例である。安倍首相について今夕の朝日「素粒子」欄に「安倍首相が戦後3位に。『もり』『かけ』にもめげず。だが慢心は支持を『ざる』に。『きつね』も『たぬき』もいる政界で」と冷やかして書かれている。森友学園と加計算学園との不自然な関係を皮肉られているのだ。首相も降りかかった煤を取り払わなければなるまい。

 そんなすっきりしない中で、アメリカから日本人選手が活躍した明るいニュースが入ってきた。F1モナコ・グランプリ、ルマン24時間耐久レースとともに、自動車の世界3大レースと言われる第101回インディ500(正式には「インディアナポリス500マイル」)で日本人として初めて佐藤琢磨選手が優勝したのである。この種のレースには、ほとんど関心はないが、この100年を超える伝統のレースには、世界中から耳目が集まっている。

 偶々1981年秋、旧文部省教員海外視察団のお供でチャウシェスク時代にルーマニアのシビウと、オーストリアのザルツブルグで教育施設を視察して最後の学校訪問地としてこのインディアナポリスに5泊して、学校など教育施設を視察した後、教育委員会から特別にこのインディ500のレース場を見学させてもらったことがある。インディ500は現地の人々が誇りとしているレースであり、レース場である。その時アメリカの先生から、いつか日本の選手もこちらで優勝カップを獲得してほしいとお世辞を言われたことがある。とてもその時は無理だろうと日本の先生たちと話し合ったが、あれから36年を経て現実のものとなった。何となく嬉しい気分である。

2017年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3667.2017年5月28日(日) G7で6カ国と対立するトランプ大統領

 イタリアのシチリア島で開催されていた主要7カ国首脳会議(G7)が首脳宣言を採択して閉幕した。7人の首脳の中で4人が初参加だったが、トランプ大統領の初参加により異例ずくめのG7となった。過去に見られないほど項目別の対立があったようだ。メルケル・ドイツ首相は6対1の会議だったと述べていたが、唯一の対立国となった、アメリカのトランプ大統領の独断的な言い分には相当いらいらが高じていたようだ。これまで中ロを意識して、結束の固かった7カ国の協調に乱れが見られたのは、トランプ大統領がアメリカ第一主義を強引に主張する保護主義的姿勢に対して、自由貿易体制の堅持を主張する6カ国の間に意見の相違が見られたからである。

 世界貿易機関(WHO)協定違反となるような国際ルールを無視する、一方的な発言がトランプ大統領の口から次々と飛び出すなど、荒れた舞台にもなったようだ。多くのドイツ車がアメリカ市場に入って来ることで、目の敵にされたメルケル首相も戸惑っている節がある。これは関税だけの問題ではないと思う。逆にアメリカも自国における自動車貿易量のアンバランスを非難するだけではなく、人気がなくなったアメ車の外国市場における販売不振の根本的な原因を調査する必要があるのではないかと思う。首脳宣言では、自由貿易や地球温暖化対策をめぐる意見の調整がつかず、アメリカは最終的に「開かれた市場を堅持し、保護主義と戦う」との文言を盛り込むことを漸く受け入れた。対北朝鮮対応、テロ発生防止では異論は出なかったし、東及び南シナ海で活動を続ける中国に対する警戒だけは意見の一致をみた。だが、難民受け入れ問題ではアメリカと他の6カ国の間では意見が合わなかった。

 G7を通じて、深刻な危機感を憶えるのは、地球温暖化を抑制するパリ協定をめぐって、トランプ大統領が離脱を示唆し、6カ国との間に大きく足並みの乱れが露呈されたことである。これからの西側諸国の方向性に黄色信号が灯った。議長国イタリアのジェンティローニ首相も取りまとめに苦心されたのではないだろうか。

 そのトランプ大統領は、国内でロシアゲートと揶揄される大きな問題を抱えているが、新たに娘婿で大統領上級顧問であるクシュナー氏にも大統領選以前に極秘にロシア側と接触していた疑いが問題視され、この先下手をすると弾劾にまで発展しかねない様相を呈してきた。アメリカもトランプ政権を取り巻く問題を中心に内外ともに「波高し」のムードとなってきた。

 夕刻になってまた北朝鮮の新型対空ミサイル発射のニュースが入ってきた。ミサイルは先週発射したばかりで、今月に入って3度目である。30日にアメリカが3年ぶりに対空ミサイル実験を再開するとつい先日発表したことと、朝鮮半島沿岸に展開するアメリカ海軍原子力空母カールビンソンとロナルド・レーガンのプレッシャーなどがその原因と見られている。いずれにしても懲りない悪の枢軸には、好い加減うんざりする。国家のリーダーが世界を敵に回して世界中に迷惑をかけているこの実態、国民に真実を知らせない反「報道の自由」、また否定される「知る権利」の実態を国民が知ったら一体何と思うだろうか。その一方で金正恩の脳みそはどうなっているのか一度覗いてみたいものだ。

2017年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3666.2017年5月27日(土) 心に染み透る尺八の音色

 毎年今ごろになると尺八の都山流師匠の鯉江丈山さんから、主宰する尺八丈清会の定期演奏会ご案内をいただく。今年もご案内頂いたので、今日午後鯉江さんが主役として吹奏する時間に合わせて会場の「なかのZERO小ホール」へ出かけた。観客席は比較的空いているが、皆熱心に耳を傾けている。いつも鯉江さんが独奏する「岩清水」を楽しみにしている。この曲名「岩清水」は、京都府下の石清水八幡宮(イワシミズハチマングウ)に因み「岩清水」ではなく、「石清水」が正しいのではないかと一度鯉江さんに尋ねたことがある。だが、これは石清水八幡宮に日ロ戦争戦勝祈願にお参りした中尾都山師が、岩から滴る清水が流れとなり川となって海に注ぐまでの情景を意識して作曲した曲であるので、「石清水」ではなく敢えて「岩清水」と音読みして名付けたということらしい。

 鯉江さんとは同じ会社の旅行部門でともに働いていたことがあり、添乗員として大阪万博や四国にも一緒に行ったことがある。最も印象深く思い出すのは、今から40年ほど前に、旧第5飛行師団ビルマ慰霊団を案内してビルマを訪れた時、現地の慰霊祭で鯉江さんに尺八を吹奏してもらった時の原風景である。戦時中旧日本陸軍の飛行場があった、だだっ広いビルマの草原で、鈴木崇司・元第5飛行師団参謀長の言葉に続き、元慰霊団参加者がお参りし、一同で般若心経を読経した後に鯉江さんの尺八の音色に参加者が涙を流していたことが、昨日のことのように思い出される。帰ってから多くの参加者の方々から、あの尺八の音色はしみじみとした気持ちにさせてくれて、戦時を思い亡き戦友を供養することが出来たような気がすると感謝の気持ちをいただいた。これも鯉江さんの尺八が奏でる音色が素晴らしかったからである。

 元会社のよく知る同僚が、退職後も人生から引退することなく、別の分野で自らの能力を生かして個性的に活動しているのは、嬉しいことであり、頼もしいことでもある。

 2009年に「停年オヤジの海外武者修行」出版記念会を開いた時には、鯉江さんに会場でその名曲「岩清水」を演奏していただいた。3年前の「南太平洋の剛腕投手」出版記念会では会場内で突然倒れられて少々心配した。大震災に遭った福島県相馬市出身の鯉江さんも現在80歳台の半ばであるが、これからも健康には充分留意され、いつまでも丈清会演奏会で楽しませて欲しいと願っている。

 さて、奈良県生駒市にいる長男の中三の孫娘が、このところハンドボールで活躍してジュニア・オリンピック候補選手に指名されたと聞いている。3月に富山県氷見市で行われた春の全国中学生ハンドボール大会に奈良県代表として出場し、残念ながら2回戦で敗れたが、その試合で孫娘が3得点した記録とともに、彼女の写真が月刊誌「HANDBALL」6月号に掲載されたと言って嫁から同雑誌を送ってきた。中一の妹の方が、活発でサッカーなどでも頑張っていたようだったが、割合大人しい上の娘がハンドボールで頑張るとは意外だったが、嬉しいことである。

 これから中々大変だとは思うが、このまま健康で学校生活を楽しんで素直に育って欲しいと思っている。

2017年5月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3665.2017年5月26日(金) 改憲論と自衛隊トップ・統合幕僚長の軽口

 5月3日の憲法記念日に、安倍首相が「日本会議」の会合で憲法改正への強い思いと行程をビデオで訴え、首相の唯我独尊的で強引なやり方に批判の声が上がっている。その中で首相は現行憲法を2020年に改正するメドをつけることと、憲法第9条の1、2項に加えて自衛隊の存在を1、2項と矛盾する3項として明記することをアピールした。

 それに有頂天になった自衛隊制服組のトップの河野克俊・統合幕僚長が、こともあろうに首相の改憲発言は非常にありがたいと高く評価する発言を行った。一自衛官としての発言だと前置きしてはいたが、自衛隊法では政治的行為を制限している。それにも拘わらず、制服を着用した記者会見の場で改憲発言を評価したことは、憲法順守に背き、政治活動には関与しないと服務宣言している以上トップの発言としては明らかに行き過ぎである。

 統合幕僚長の発言の背後には、一強多弱の安倍内閣の強力な後ろ盾があるとの自惚れと過信があったようだ。実際この御仁は、現在62歳で自衛官の60歳定年を過ぎている。日頃から首相官邸サイドの覚えが良く、昨年現職のまま定年を1年延長されたほどであるが、昨日更に1年延長された。防衛省背広組の間では、その発言はあまりにも軽率と思われているようだが、これも官邸と自衛隊制服組との出来レースの結果と思われても仕方がないのではないだろうか。

 今や改憲へ向けてまっしぐらの安倍政権は、なりふり構わずである。これからどんな奇策を考え出して来るのだろうか。どうも首相自身悪知恵のある取り巻きに囲まれて、前後の見境がつかなくなって今や歯止めが効かなくなっているようだ。

 ところで、憲法改正推進者でもあるその安倍首相は、主要7カ国(G7)首脳会議出席のため、森友学園問題で疑念を抱かれた昭恵夫人ともどもイタリアのシチリア島を訪れている。今日と明日の2日間G7が開かれるが、論点は盛りだくさんである。自由貿易や経済のグローバル化、地球温暖化など地球規模の課題、テロ防止対策、北朝鮮及びシリア問題などであるが、アメリカ第一主義を唱えるトランプ大統領と国際協調主義を守りたいドイツとフランスなどとの関係をどう維持するかが、抜き差しならぬ課題である。

 以前から注目されていたのは、ドイツとフランスが重視している地球温暖化対策である。パリ協定の精神を持ち続けなければいけないと主張するドイツのメルケル首相と同調するフランスの若いマクロン大統領が、地球温暖化に積極的な役割を果たして、中国まで協定に同意させたオバマ前大統領の対応を批判して、協定無視、環境に関する協定からの脱退まで仄めかすトランプ氏を説き伏せることが出来るだろうか。

2017年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3664.2017年5月25日(木) 加計学園獣医学部新設に絡むスキャンダル

 今朝の朝日新聞一面トップ記事には、前川喜平・前文部科学事務次官の思わざる発言の内容がかなり詳しく掲載され、流石図太い安倍首相以下取り巻きも驚いたであろう。今問題になっている加計学園獣医学部新設に関して疑惑を呼ぶ不毛の議論の中で、内情を知る文科省の前事務方トップが、安倍首相サイドの不信を買うコメントを朝日の取材で明かしたからである。記事は安倍首相らに対して「忖度」するような文書が文科省内に存在したと証言している。今日発行の「週刊文春」にも同じ内容の取材記事が掲載されているらしい。

 そもそも52年間もの長きに亘って獣医学部新設許可は認められていなかった。それが一転して国家戦略特区の事業として、加計学園に土地の無償譲渡、補助金支出というお土産まで付けて認められたのは、加計学園理事長が安倍首相との親しい友人関係から、首相の取り巻きサイドが文科省に圧力をかけ、それを事務方が「総理のご意向」とか、「官邸の最高レベルの話」として受け止めて何らかの忖度をしたからではないかと疑われている。実際文科省内部書類にそのような動きがあったと書類を持っている民進党ら野党の追及を受けて、今その書類の存在が問題視されている最中である。それが、文科省前事務方トップから、内閣府から「総理のご意向」と伝えられた書類の存在が明らかにされたのだから首相官邸としてはびっくりしたに違いない。

 この騒ぎの火消しに懸命の政府は、今月17日に菅義偉・官房長官が出所不明の怪文書として無視し、松野博一・文科相は文書の存在は確認出来なかったと述べ、臭いものに蓋をしようとした。ところが、文科省内部事情を知る前川氏がその文書を部下から示されたと語ったのである。前川氏の言を信じるなら、文科省職員の間で「忖度」を意図したと見られる文書の存在が明かされたことになる。そのうえ、前川氏は獣医学部新設については、加計学園を前提に検討が進められたとして「行政が歪められた」とまで述べているのである。

 これまで政府及び首相官邸サイドは獣医学部新設の過程で一切の圧力を否定してきた。だが、学園理事長と安倍首相の親友関係、文科省内の首相への忖度、それを裏付ける文書の存在、その否定、と情報の湧出が目まぐるしい。それが一転して文書の存在を証言した事務方トップの発言などを考えてみれば、いくら政府が白を切ろうと学部新設に監督官庁である文科省の手加減があったことは明白ではないだろうか。野党は前川氏の国会証人喚問を要請している。後ろめたい与党はこれを認めようとしない。だが、それでは益々疑念は深まるばかりではないだろうか。

 これらの報道につき、今日の記者会見では菅官房長官は、依然として前川氏のコメントを受け止めようとはしない。一方の前川氏は、夕方の記者会見で改めて文書の存在はあったとはっきり認めた。これに伴い、前川氏辞職の原因とその経緯について官房長官は嫌がらせ発言をしている。大学学部の新設問題が、政府首脳の腹黒いイジメのレベルにまで落ちてきた。

2017年5月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3663.2017年5月24日(水) 10年目の駒澤大学講座始まる。

 昨日イギリスのマンチェスター市内でテロ騒ぎがあり、22名の市民が亡くなった。大分経ってからISが犯行声明を出したようだが、どうもISの組織がやったというより、ISに共鳴する一匹狼的な若者らが事件を起こしたらしい。ヨーロッパでは、フランス、ドイツに次いで、イギリスもテロの標的になり、メイ首相もショックを隠し切れない。イギリスは直ちに最高警戒体制に入った。

 一方、わが国では昨日共謀罪法案が衆議院を通過して、法案はこの後参議院で審議されることになった。これだけ反対の強い法案を強引に成立させようとする政府与党には、一強多弱を背に多数決で決めれば何でも出来るとの思い上がりと、自民党に同調する軟弱な公明党、及び極右的な日本維新の会の談合的協力があるからである。

 それにしてもこの共謀罪法案は、理解するのが中々難しい。世論調査でもほぼ半数の人がよく分からないと応えている。国民が理解出来ない法律を充分な審議も尽くさず、国民にも説明せずに、数の力だけで押し切ってしまおうとの横暴な手法は絶対止めなければいけない。条文だけ見ただけでは、その裏に隠れている警察の強権的な取り調べ手口は、とても見抜けるものではない。政府自民党はどうしてじっくり時間をかけて国民に説明する気持ちになれないのだろうか。

 さて、今日から本年度の駒沢大学公開講座が始まった。2008年開講と同時に学び始めたので、今年が10年目に当たる。キャンパスが自宅から割合近いので、通うのに好都合であることと、メディアに的を絞った講座なので興味もある。受講者数も各講座とも大体10名台であるので、打ち解けた雰囲気で講座を離れてもお付き合い出来るし、講師もジャーナリズムで鳴らした人が多いので、大変勉強になる。昨年も受講した山田克・共同通信東京支社長から「共同通信社」という一般社団法人の通信社についての分かり易い解説は、大変参考になった。2011年3月11日の大震災が「東日本大震災」と名付けられたのは、山田講師が編集局ニュースセンター副センター長当時そう呼んだことに由来していると自慢話も伺った。

 去年までは、「駒澤大学マス・コミュニケーション研究所」が主催していたが、今年から名称が「駒沢大学ジャーナリズム・政策研究所」と変わった。1万円の受講料でこれまでは何科目も受講出来たが、今年から3科目までと制限されるようになった。

 これまでより受講し難くなったうえに、新鮮さも薄れてきたので、この10年を契機に、今年を最後にしようかと考えている。それだけに今年は、貪欲に学びたいと考えている。

 ところで、外遊中のトランプ・アメリカ大統領は昨日パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談して、ローマ入りした。今日はバチカンでローマ法王と会談した。昨年大統領選中にメキシコとの国境に壁を作ると言ってローマ法王から、壁ではなく橋を作るべきだと批判され、爾来2人の仲は好ましいものではなかった。今日の会談では、トランプ大統領は遠慮がちで喚くようなことはなかった。いつまでも三文役者が、本音を隠して田舎芝居を続けられるだろうか。

2017年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3662.2017年5月23日(火) 4年前の今日、どんなニュースがあった?

 2013年5月23日は、世界的な登山家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんが、80歳にして世界最高峰のエベレストへ登頂した日である。今もってこのエベレスト最高齢登山記録は破られていない。

 実は、その三浦さんのお話しを伺う集いを、ペンクラブで懇意の税理士・柏木隆雄さんが企画し、ご案内いただいたのである。数々の経験を積まれた話の内容がユニークで実に興味深い。それでいて大変謙虚な方であると感じた。一芸に秀でている人は、やはり違うなぁと感心した。三浦さんは率直に語ってくれた。

 驚いたのは、慎重164㎝で、体重が80㎏台でメタボだと仰っていたが、確かに下腹部はやや肥満気味で、それはステーキが好きなので500~1000gのボリュームをよく食べると仰っていた。更に度肝を抜かれたのは、三浦さんの普段の血圧である。高い方が180台、低い方で105、脈拍は100だそうだから、常人より大分高い。私よりかなり高く、脈拍なんか私の2倍である。それでもあまり気にされておらず、(年齢+90)が普通だと思っていると涼しい顔である。印象的だったのは、守る健康も大事だが、攻める健康を心がけることを勧めておられた。普段から背に20㎏の錘を背負い、足にはそれぞれ5㎏の錘を付けた靴を履いてトレーニングに励んでおられる。今日も重い靴を履いておられたので、お願いしたら気軽に貸してくれた。試しに履いてみると確かにずっしりとした感じで足の筋肉が鍛えられるように感じた。

 とにかく、タフで前向き思考の方である。今秋ヒマラヤからスキーで滑り下りると何気なく言われたが、何とそれが世界第6位の高山、チョオユー8201mの頂上から直滑降をしようというのだから驚きである。来年85歳でエベレストへ再挑戦するということは明言されなかったが、意欲満々とみた。三浦さんのお話を伺っていると、何となく力が湧いてくるような気分になる。アメリカのカーター・元大統領にお会いした時、大統領がテレビで観てエベレスト滑降に随分感銘を受けて大統領から敬意を表されたそうである。素晴らしい人にお会い出来て本当に良かったと思っている。とにかくすごい人である。

 さて、イスラエルを訪れたトランプ大統領は、テルアビブからエルサレム入りして、最初に訪れたのが東エルサレム市内のユダヤ教の聖地「嘆きの壁」だった。しかもユダヤ教徒が頭上に付けるキッパーまで被り、壁に手をつき頭を下げていた。

 5年前に初めてこのエルサレムとパレスチナ自治区を訪れたが、外見上少々異様な印象を持った。「嘆きの壁」へ近づくためのセキュリティ・チェックが厳しいことや、そのスポットが男女別々に分けられ、相手スポットを覗いているのは女性サイドからだったことである。

 大統領の「イスラエルの首都はエルサレム」の注目発言はなく、アメリカ大使館のエルサレム移転についても言及しなかった。イスラエルにしては不満だろうが、現在ともすると衝突事件の起きる可能性のある地域で要らぬトラブル発生は避けるに越したことはない。ネタニエフ首相との会談を終えて、一方のパレスチナ代表のアッバス議長とも会談するという前向きな行動を見守りたいと思う。

2017年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3661.2017年5月22日(月) トランプ大統領のアラブ行脚

 昨日弾道ミサイルを発射して、また国際社会に過激な緊張状態を強いた北朝鮮の周辺では大分苛立ちが目立っている。中でも日本にとって衝撃的なのは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙ジェラルド・ベーカー編集局長が、北朝鮮が開発中の大陸間弾道弾(ICBM)を保有するようになれば、日米同盟の力が弱まると語ったことである。それは、ICBMの射程内に入るサンフランシスコが核兵器で壊滅させられるかもしれないのに、アメリカが自国防衛を放置して日本や韓国を防衛する見込みはないので、日米同盟の力は弱まるということを指摘しているのだ。結局これまで米軍が極東海域を中心に広く軍事力を展開していられたのは、アメリカ本土が同地域から離れていて敵国の攻撃が及ばず安全だと認識していたからである。それが自らの尻に火がつくようになれば、まず自国を防衛しなければならず、他国の防衛どころではないという本音である。

 かつての第1次、第2次世界大戦のように旧式の戦法、戦略で戦うならともかく、今では飛び道具、しかも最新の技術を駆使した精密なミサイルのような兵器を使用するようになれば、北朝鮮のように国民を巻き添えに国家破滅を覚悟してでも世界中で受け入れられない身勝手な自己主張をアピールしようという、愚かな国家が現出した以上共倒れのような事態を招来する可能性が見えた。実に恐ろしく陰険な時代になったものである。

 さて、トランプ大統領は昨日から初の外遊先としてサウジアラビアを訪れているが、一部のアメリカ・メディアはこれをロシア疑惑から逃れるための逃避行と批判的に取り上げている。かつて、ウォーターゲート事件で孤立無援の中を同じようにサウジアラビアを訪問したニクソン元大統領のケースに例えているのである。

 今年1月大統領就任早々アラブ諸国からの入国者を制限していながら、アラブの50ヶ国もの首脳を集めて、対ISのために結束を強めるようスピーチしたようだが、この身勝手さは二枚舌外交も極まれりではないか。

 それにしても、日に日に反トランプ・ムードは高まり、就任時に46%だった支持率が、今では38%まで下がり、逆に不支持率は1月には44%だったが、現在では56%にまで跳ね上がってしまった。モロー特別検察官任命を機に、トランプ大統領に対する弾劾の動きも見えて来た。

 大統領はこれからイスラエルに向かうようだが、ロシアへの機密情報疑惑がクローズアップされている折、漏らしたとされる情報はイスラエルから得たものである。大統領選中、自らが大統領に選任されたら、アメリカ大使館を現在のテルアビブからエルサレムへ移転すると公言していた。トランプ大統領の弱みを握ったネタニエフ首相は、これらの点を考えたのかどうか、イスラエルの首都はエルサレムだとトランプ氏入国前に早々とアドバルーンを上げ、トランプ氏がイスラエルのご機嫌を伺う発言をすることを期待しているように思える。

 エルサレムは隣国ヨルダンや、パレスチナ自治区との境界線の問題が絡んで、首都は国際的にはテルアビブとされている。エルサレム東半分を占領されて奪われたヨルダンなどが認めていないからだ。それを軽薄で無分別なトランプ氏の放言を逆手に取って、首都として認めさせようというのは、ネタニエフ流儀なのだろうか。それに応えれば、迂闊なトランプ氏の罪滅ぼしでもある。イスラエル国民を前にして、トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都であると言い切ることが出来るだろうか。

2017年5月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com