先月イタリアのミラノに住む大島悦子さんから、彼女が書いたエッセイ集「街角のミラノ」の原稿についてアドバイスを求められた。時間を見ながら何とか通読して、感想とアドバイスなどをA4版紙3枚にまとめて今日ミラノの大島さんへ送信したところである。
大島さんは流石に20年以上もイタリアで生活されておられるだけに、イタリアとイタリア人事情に詳しく、エッセイの内容も身近な事象を具体的に興味深く書かれ、生活者の目で精細に描写されている。普通のガイドブックや書物には紹介されていないエピソードなどが盛りだくさんである。
これまでもこの種の依頼をいただいたことがいくつかあるが、大島さんのエッセイの内容は上質で、イタリア旅行を計画している人には、随分参考になるものだと思う。
ただ、こういうアドバイスは差し上げた。それぞれのエッセイは全般的に似て非なるものとは言え、同じようなエッセイを似たような手法で採り上げている傾向があるので、どうしても全体的に見ると平板に陥りがちで、僭越であるが、各章ごとにイタリアの決まりのような小話などを挿入してみてはどうかとアドバイス的なコメントを送ったところである。旅行関係の出版社から、イタリア紹介書籍として上梓されれば、かなりアピールするのではないかと思っている。
さて、前東京都知事の舛添要一氏がその職を去ってから、約1年が経過した。その後を受けて著名人が参戦した賑やかな都知事選により、小池百合子知事が誕生して、今舛添都政とは異なるやり方で歩んでいる。その舛添氏が、久しぶりにメディアに登場した。「都知事失格」なる自虐的な著書を上梓された機会に、朝日朝刊の「オピニオン&フォーラム」のインタビューを受けたのである。小池都知事が進軍ラッパを響かせ、2020年東京オリンピック、豊洲問題のディーリングで脚光を浴びる中、舛添氏が退職時に約束したいくつかの問題、私費流用、特に公費で自分個人用の美術品を購入した問題や、湯河原別荘売却などについて、都議会は追及することを止めてしまった。
3月ごろある共産党都議会議員が拙宅を訪問された時、①豊洲市場を止めるということは、豊洲をこのままにして6千億円もの巨額の投資額を無駄にすることではないか、②舛添氏が都議会との約束を履行することを追及しないのか、を問い質したが、煮え切らない返事をされた。
元来目立ちたがり屋の舛添氏は、1年間も世間から構ってもらえなかったことが我慢出来ず、著書をきっかけに表舞台への再登場を目論んでいるようだ。その著書が「都知事失格」というのだから、好い気なものである。朝日のインタビューを読んでも、自らが犯した反都民的行動についてまったく反省の色が見られない。相変わらず自らの主張を正当化して、辞める直前の騒ぎは人民裁判であるとか、別荘から通ったことは今になって問題ではないと言い、約束した別荘売却も都知事なら問題だが、都知事を辞めた現在売却する必要はないと勝手な言い分で居直る有様である。こういう御仁はメディアが構わないようにして、放っておくのが一番効果的だと思う。
こういう人間的にも問題のある人物をおだてるようなことをして、「天下の朝日」と思い上がっている朝日は、ここでも常習の勇み足をやっている。インタビューをやって舛添氏の復活に精々手を貸しているだけではないのか。