3664.2017年5月25日(木) 加計学園獣医学部新設に絡むスキャンダル

 今朝の朝日新聞一面トップ記事には、前川喜平・前文部科学事務次官の思わざる発言の内容がかなり詳しく掲載され、流石図太い安倍首相以下取り巻きも驚いたであろう。今問題になっている加計学園獣医学部新設に関して疑惑を呼ぶ不毛の議論の中で、内情を知る文科省の前事務方トップが、安倍首相サイドの不信を買うコメントを朝日の取材で明かしたからである。記事は安倍首相らに対して「忖度」するような文書が文科省内に存在したと証言している。今日発行の「週刊文春」にも同じ内容の取材記事が掲載されているらしい。

 そもそも52年間もの長きに亘って獣医学部新設許可は認められていなかった。それが一転して国家戦略特区の事業として、加計学園に土地の無償譲渡、補助金支出というお土産まで付けて認められたのは、加計学園理事長が安倍首相との親しい友人関係から、首相の取り巻きサイドが文科省に圧力をかけ、それを事務方が「総理のご意向」とか、「官邸の最高レベルの話」として受け止めて何らかの忖度をしたからではないかと疑われている。実際文科省内部書類にそのような動きがあったと書類を持っている民進党ら野党の追及を受けて、今その書類の存在が問題視されている最中である。それが、文科省前事務方トップから、内閣府から「総理のご意向」と伝えられた書類の存在が明らかにされたのだから首相官邸としてはびっくりしたに違いない。

 この騒ぎの火消しに懸命の政府は、今月17日に菅義偉・官房長官が出所不明の怪文書として無視し、松野博一・文科相は文書の存在は確認出来なかったと述べ、臭いものに蓋をしようとした。ところが、文科省内部事情を知る前川氏がその文書を部下から示されたと語ったのである。前川氏の言を信じるなら、文科省職員の間で「忖度」を意図したと見られる文書の存在が明かされたことになる。そのうえ、前川氏は獣医学部新設については、加計学園を前提に検討が進められたとして「行政が歪められた」とまで述べているのである。

 これまで政府及び首相官邸サイドは獣医学部新設の過程で一切の圧力を否定してきた。だが、学園理事長と安倍首相の親友関係、文科省内の首相への忖度、それを裏付ける文書の存在、その否定、と情報の湧出が目まぐるしい。それが一転して文書の存在を証言した事務方トップの発言などを考えてみれば、いくら政府が白を切ろうと学部新設に監督官庁である文科省の手加減があったことは明白ではないだろうか。野党は前川氏の国会証人喚問を要請している。後ろめたい与党はこれを認めようとしない。だが、それでは益々疑念は深まるばかりではないだろうか。

 これらの報道につき、今日の記者会見では菅官房長官は、依然として前川氏のコメントを受け止めようとはしない。一方の前川氏は、夕方の記者会見で改めて文書の存在はあったとはっきり認めた。これに伴い、前川氏辞職の原因とその経緯について官房長官は嫌がらせ発言をしている。大学学部の新設問題が、政府首脳の腹黒いイジメのレベルにまで落ちてきた。

2017年5月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com