3665.2017年5月26日(金) 改憲論と自衛隊トップ・統合幕僚長の軽口

 5月3日の憲法記念日に、安倍首相が「日本会議」の会合で憲法改正への強い思いと行程をビデオで訴え、首相の唯我独尊的で強引なやり方に批判の声が上がっている。その中で首相は現行憲法を2020年に改正するメドをつけることと、憲法第9条の1、2項に加えて自衛隊の存在を1、2項と矛盾する3項として明記することをアピールした。

 それに有頂天になった自衛隊制服組のトップの河野克俊・統合幕僚長が、こともあろうに首相の改憲発言は非常にありがたいと高く評価する発言を行った。一自衛官としての発言だと前置きしてはいたが、自衛隊法では政治的行為を制限している。それにも拘わらず、制服を着用した記者会見の場で改憲発言を評価したことは、憲法順守に背き、政治活動には関与しないと服務宣言している以上トップの発言としては明らかに行き過ぎである。

 統合幕僚長の発言の背後には、一強多弱の安倍内閣の強力な後ろ盾があるとの自惚れと過信があったようだ。実際この御仁は、現在62歳で自衛官の60歳定年を過ぎている。日頃から首相官邸サイドの覚えが良く、昨年現職のまま定年を1年延長されたほどであるが、昨日更に1年延長された。防衛省背広組の間では、その発言はあまりにも軽率と思われているようだが、これも官邸と自衛隊制服組との出来レースの結果と思われても仕方がないのではないだろうか。

 今や改憲へ向けてまっしぐらの安倍政権は、なりふり構わずである。これからどんな奇策を考え出して来るのだろうか。どうも首相自身悪知恵のある取り巻きに囲まれて、前後の見境がつかなくなって今や歯止めが効かなくなっているようだ。

 ところで、憲法改正推進者でもあるその安倍首相は、主要7カ国(G7)首脳会議出席のため、森友学園問題で疑念を抱かれた昭恵夫人ともどもイタリアのシチリア島を訪れている。今日と明日の2日間G7が開かれるが、論点は盛りだくさんである。自由貿易や経済のグローバル化、地球温暖化など地球規模の課題、テロ防止対策、北朝鮮及びシリア問題などであるが、アメリカ第一主義を唱えるトランプ大統領と国際協調主義を守りたいドイツとフランスなどとの関係をどう維持するかが、抜き差しならぬ課題である。

 以前から注目されていたのは、ドイツとフランスが重視している地球温暖化対策である。パリ協定の精神を持ち続けなければいけないと主張するドイツのメルケル首相と同調するフランスの若いマクロン大統領が、地球温暖化に積極的な役割を果たして、中国まで協定に同意させたオバマ前大統領の対応を批判して、協定無視、環境に関する協定からの脱退まで仄めかすトランプ氏を説き伏せることが出来るだろうか。

2017年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com