3667.2017年5月28日(日) G7で6カ国と対立するトランプ大統領

 イタリアのシチリア島で開催されていた主要7カ国首脳会議(G7)が首脳宣言を採択して閉幕した。7人の首脳の中で4人が初参加だったが、トランプ大統領の初参加により異例ずくめのG7となった。過去に見られないほど項目別の対立があったようだ。メルケル・ドイツ首相は6対1の会議だったと述べていたが、唯一の対立国となった、アメリカのトランプ大統領の独断的な言い分には相当いらいらが高じていたようだ。これまで中ロを意識して、結束の固かった7カ国の協調に乱れが見られたのは、トランプ大統領がアメリカ第一主義を強引に主張する保護主義的姿勢に対して、自由貿易体制の堅持を主張する6カ国の間に意見の相違が見られたからである。

 世界貿易機関(WHO)協定違反となるような国際ルールを無視する、一方的な発言がトランプ大統領の口から次々と飛び出すなど、荒れた舞台にもなったようだ。多くのドイツ車がアメリカ市場に入って来ることで、目の敵にされたメルケル首相も戸惑っている節がある。これは関税だけの問題ではないと思う。逆にアメリカも自国における自動車貿易量のアンバランスを非難するだけではなく、人気がなくなったアメ車の外国市場における販売不振の根本的な原因を調査する必要があるのではないかと思う。首脳宣言では、自由貿易や地球温暖化対策をめぐる意見の調整がつかず、アメリカは最終的に「開かれた市場を堅持し、保護主義と戦う」との文言を盛り込むことを漸く受け入れた。対北朝鮮対応、テロ発生防止では異論は出なかったし、東及び南シナ海で活動を続ける中国に対する警戒だけは意見の一致をみた。だが、難民受け入れ問題ではアメリカと他の6カ国の間では意見が合わなかった。

 G7を通じて、深刻な危機感を憶えるのは、地球温暖化を抑制するパリ協定をめぐって、トランプ大統領が離脱を示唆し、6カ国との間に大きく足並みの乱れが露呈されたことである。これからの西側諸国の方向性に黄色信号が灯った。議長国イタリアのジェンティローニ首相も取りまとめに苦心されたのではないだろうか。

 そのトランプ大統領は、国内でロシアゲートと揶揄される大きな問題を抱えているが、新たに娘婿で大統領上級顧問であるクシュナー氏にも大統領選以前に極秘にロシア側と接触していた疑いが問題視され、この先下手をすると弾劾にまで発展しかねない様相を呈してきた。アメリカもトランプ政権を取り巻く問題を中心に内外ともに「波高し」のムードとなってきた。

 夕刻になってまた北朝鮮の新型対空ミサイル発射のニュースが入ってきた。ミサイルは先週発射したばかりで、今月に入って3度目である。30日にアメリカが3年ぶりに対空ミサイル実験を再開するとつい先日発表したことと、朝鮮半島沿岸に展開するアメリカ海軍原子力空母カールビンソンとロナルド・レーガンのプレッシャーなどがその原因と見られている。いずれにしても懲りない悪の枢軸には、好い加減うんざりする。国家のリーダーが世界を敵に回して世界中に迷惑をかけているこの実態、国民に真実を知らせない反「報道の自由」、また否定される「知る権利」の実態を国民が知ったら一体何と思うだろうか。その一方で金正恩の脳みそはどうなっているのか一度覗いてみたいものだ。

2017年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com