4473.2019年8月12日(月) イエメンで新たな内戦が勃発か?

 噂ではちらほら聞いていたが、アラビア半島のイエメン民主共和国が大分荒れた状況下にあるようだ。紛争の種が多く存在するのか、独立後もしばしば紛争の起きるお国柄である。昨日あるテレビ局で内戦状態にある現在のアデンの画像を流していた。半世紀以上も昔1968年1月11日苦労を重ねたうえで、漸く独立直後のアデンに最初の日本人として入国し今でも灌漑深く思っている。アデンは地勢的に優位なアラビア半島の紅海の入口にあり、また石油が絡み難しい立場にある。長年に亘って宗主国大英帝国が利権を手放さず植民地として支配し、被支配国アデンは虐げられ、宗主国の圧力に耐えてきた。

 1967年11月30日アデンはイギリスから「南アラビア連邦」として独立した。私が入国するほんの42日前のことである。その後アデンはアラビア半島のイエメンに吸収される形でイエメン民主共和国となった。しかし、その後度々内戦を繰り返している。現在正式には国家の大統領は不在である。独裁政権だったサーレハ大統領が国内外の批判にさらされ、挙句に砲撃によって負傷したことから辞職したまま暫定大統領を名乗っているハーディー氏が主導するハーディー暫定大統領派と、亡くなったフーシ師を大統領に推していたフーシ派が対立している。ハーディー大統領派はアデン中心に、フーシ派は首都サヌアを中心に北西部を支配している。前者はサウジアラビアのスンニ派連合軍が支援し、後者にはイランが弾道ミサイルなどを供給して後ろ盾となっている。そこへ2017年に南部暫定評議会という新しい組織が立ち上がり国内の抗争はさらに泥沼化している。国内に三つ巴の対立・抗争が起きているのである。

 アラブの主導権争いを一層複雑にしているのに宗教紛争・対立がある。ご多聞に漏れずこの両者の背景にもスンニ派とシーア派の対立が見え隠れしている。

 昨日の映像にもアデンの風景が映し出されていたが、その細かい情景は今以て余韻が残っている。苦労して入国し、まだ砲弾の痕跡も消えぬままのアデンには殊更強烈な印象がある。元イギリス軍将校の宿舎に使用されていた、怪獣のような名の「ゲジラ・パレスホテル」のフロントにいて、勤務明けに街をガイドしてくれたムッタナさんは今どうしているだろう?

 ついては、今朝の朝日によると10日新しい南部暫定評議会が南部アデンの大統領宮殿や軍事施設を占拠したと伝えている。分離独立派の南部暫定評議会と暫定政権側の戦闘が7日から激化して民間人を含む70人以上が死亡したという。これまで暫定政権を支えるサウジアラビアと、フーシ派を支援するイランの代理戦争ともいわれていたが、アラブ首長国連邦(UAE)が支援する南部暫定評議会が介入したことによって益々複雑で混沌とした政治情勢になった。日本では一般にあまり関心を持たれていない国ではあるが、アデン独立前の内戦の実態について関心を抱き、多少学んでいた私としては他人事ではないくらい気にかかる。

2019年8月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4472.2019年8月11日(日) 紀貫之「土佐日記」を読む。

 今日からお盆休みに入った。早くも今日1日だけで、海と山の遭難死者が16人も出た。今まで個別にこんなに大勢の犠牲者を生んだ日は記憶にない。今日は「山の日」であるが、これ以上遭難事故が増えないことを願う。今年は長いところでは9連休の会社もあると言われており、本来なら各地で交通機関や宿泊施設が込み合う時期である。しかし、先日西日本を襲った台風8号、9号に続き、南方洋上に発生した大型台風10号の進路予想が連日のように細かく報道され、海外旅行を除いて巷ではバケーションも二の足を踏んでいる人が多いようだ。

 さて、先日現代に残る平安時代の三十六歌仙で、「古今和歌集」の選者、紀貫之による名著「土佐日記」を読了した。先に共著の1章「旅のあゆみ」の原稿に書いた内容の整合性を書物で確認したいと思い、これまで読まずにいた「土佐日記」を遅ればせながら通読した。原書はすんなりとは読めないので、当然解説を参照し見比べながら読んだ。

 読んでいるうちに新しい発見がいくつもあった。「土佐日記」は紀貫之が土佐国司を辞めて京へ帰る道すがら見聞した事象を、周囲の情景も交えて女性体の平仮名で書いたもので、特に冒頭の書き出し「男もすなる日記というものを女もしてみむとてするなり」はよく知られた文である。全文を通して国司の貫之ではなく、その女官が書いているように思わせているが、実際は貫之が綴ったものである。

 実は、この道中で55日間も日時を要したとは知らなかった。その後鎌倉時代になって阿仏尼が「十六夜日記」を書いた時、都から鎌倉まで16日しかかからなかった。当時土佐から都までの移動は22日が一般的と考えられていた時代に55日もかかっていた。何かそれなりの原因があると思ったが、「土佐日記」を読んで氷解した。何と土佐から京まで陸路ではなく、家族やお供を連れて海路を船で向かったのだ。海路ではいろいろなことがあった。海賊の出現、高潮による停泊などで港町に何日も足止めを余儀なくされた。淡路島南岸沿いに紀淡海峡を渡り近畿和泉に着いてから陸路を辿るかと思いきや、紀伊半島西岸を北上して大阪から淀川を上り、山崎へ上陸し都入りした。これでは55日間かかったのも無理もないと思う。貫之はその後相模、上総の国司を務めた後に東北地方の要地で国主を務めていた時に亡くなったと言われている。

 この佳作が生まれた背景を実際に著書を読むことによって知ることが出来たことは、大変参考になった。何事もそうであるが、やはり実物に触れてみることによって新しい知識を得て世界は自ずから開けてくるものである。また、今日「土佐日記」として知られているこの名著も、正式には「土左日記」というのが正しいそうである。現在鎌倉時代の長旅を知りたくて阿仏尼「十六夜日記」を読みかけているところである。その次は松尾芭蕉の「奥の細道」だ。

2019年8月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4471.2019年8月10日(土) 3日前に消失した自著原稿復元

 3日前にパソコンに保存していた筈の原稿が突然消えてしまい、せっかく脱稿間近に迫っていたドキュメント原稿が行方不明になり途方に暮れていた。私の力ではどうしようもなく、神頼みするより手がなかった。すぐにいつも世話になっているITコンサルタント小糸氏に連絡を取り、今日午後自宅へ来てもらった。私自身原稿消失の事態に煙に包まれたような状態だったが、小糸氏もどうしてだろうかとしばらく首を傾げていた。

 しかし、案ずるより産むが易しで、小糸氏はほんの10分ほどPCをチェックしていたが、私が知らないような引き出しから似たようなタイトルを見つけてくれた。その中のひとつを開けてみたところタイトル、頁数ともにまさに探し求めていた消失原稿だった。昨晩も夜中に起きた時にハッとこのことを思い出して落ち込んでしまった。それが再びPC上に現れたのだ。これでまた最初の頁から書き直す必要がなくなった。単純なミスで消えたものかも知れなかったが、嬉しかった。これで今年中か、来春には予定通り新刊本を上梓出来る。やれやれである。もう2度とこのようなバカ騒ぎは繰り返したくない。流石に小糸氏はプロだなぁと感心しきりである。今晩はゆっくり休むことが出来そうだ。

 さて、明日と18日合併号「しんぶん赤旗日曜版」に「8月15日-今言いたい 戦争は悪、愚かな行為」と題して園部逸夫・元最高裁判事と並んで、作家なかにし礼氏が戦争体験者として厳しい意見を吐いている。

 なかにし氏は私と同じ年で2003年同時期に日本ペンクラブにともに入会した。当時東京会館で行われた新入会員紹介の際、ずっと若い弁護士の菊間千乃氏らとともに壇上に上がったことがある。そのなかにし氏が最新刊「わが人生に悔いなし」をPRしながら激動の半生を振り返っている。氏は私の戦争体験とは次元が違うほど苦労され辛酸を舐めた。戦争末期から満州で生活し、父親はソ連の強制労働に駆り出されて病死している。満州から引き上げる途上で乗っていた列車がソ連軍機に機銃掃射を受け命からがらの逃避行を続けた。あの苦しい生活体験があったからこそ戦争に対する嫌悪感が消えず、戦争反対を信念にして、作家として何とか戦争体験を書かなければいけないと思ったそうである。日本国憲法に9条で軍隊を持たず戦争を放棄した条文に感動を覚えて、憲法を守り抜く決意を固めたと述べている。なかにし氏がこれほどまでに反戦の気持ちが強いとは今の今まで知らなかった。その意味から憲法改正を目論む安倍首相を批判している。今後は彼の言動を注視したいと思っている。

 なかにし氏が訴える言葉は同年代の我々にとってはもちろん、戦争を知らない世代にとっても反戦を訴えてくれると思う。

2019年8月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4470.2019年8月9日(金) 長崎「原爆の日」は灼熱地獄

 今日は6日の広島「原爆の日」に続いて、長崎に原爆が投下された記念日である。長崎市内の平和公園で行われた平和祈念式典で、田上富久市長は被爆者の詩を読み上げた後で、長距離核戦力全廃条約が失効されたことに鑑み、積み重ねてきた人類の努力の成果が次々と壊され、核兵器が使われる危険性が高まっていると指摘して、唯一の被爆国の責任として日本政府に核兵器禁止条約への署名と批准を迫った。だが、安倍首相は昨年、及び先の広島の平和祈念式典に続きこの問いに応えなかった。相も変わらず首相は被爆者の期待を裏り続けているのである。

 ところで、今年の夏の暑さは異常で、世界的にも近年にない突出した暑さのようである。暑さは日に日に強まっている。先月23日には埼玉県熊谷市で41.1℃の日本歴代最高気温を記録したというから、尋常ではない。都内だけでも熱中症による死者の数が45人となった。来年の今ごろはオリンピックもちょうど花盛りであるが、炎天下にどんなトラブルやハプニングが起きるか見当もつかない。選手や観客の中にも多くの熱中症患者が現れるのではないかと今から気になる。

 ついては、1964年東京オリンピックは、10月秋空の下に開催され暑さなどまったく心配することもなくスムーズな開催だった。その東京オリンピック・マラソンで優勝したエチオピアのアベベ選手に次いで銀メダルを獲得したイギリスのヒートリー選手が、3日85歳で亡くなった。思い出深い2020東京オリンピックを曾孫と観戦にやって来るのを楽しみにしていたという。金メダルを獲得したアベベ選手は、運転していた自動車事故が遠因とされているが、玉座を追われたハイレ・セラッシェ皇帝の秘蔵っ子だったこともあり、王制打倒派に睨まれ幽閉の後に殺害されたのではないかとの噂がある。真因は不明のまま41歳で亡くなり、銅メダルの円谷幸吉選手は27歳で自決した。メダリスト3人のうちヒートリー選手を除く2人が不幸な末路を辿った。華やかな裏面に隠れて不幸な一面もあるものだ。一方で、1968年1月9日円谷選手が自決した翌日アジスアベバでアベベ選手の甥御さんに会ったことも懐かしい。

 それはさておき、海外でもパリ市内では昨日42.6℃だったというから地球上いずこも異常気象だということが分かる。北極圏のグリーンランドでもいつもなら氷が固まっている筈が、その氷が解けて一面水になっていた。特にアジア、アフリカ、ヨーロッパでは雨が降らなくなり農耕地の干ばつによる農業、酪農への影響が懸念されている。このまま地球温暖化が加速すれば、先進国の人口減少とは反比例して2015年には73億人だった全人口が今世紀末には95億人と推定されているが、これだけ多くの人たちの食糧を賄うのは、極めて難しいのではないかと思われる。

 「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、昨年10月地球温暖化が現在のペースのまま進めば、2030年から52年の間に1.5℃地球上の気温が上昇するとの報告書を公表した。地球温暖化が益々進み、生活面において厳しい局面が予想されている。この現状を改善すべく1997年に採択された京都議定書以後2016年に発効した気候変動枠組み条約について、トランプ大統領が「地球温暖化はでっち上げ」と身勝手にもアメリカ・ファーストの考えを言い出し、一方的に協定から離脱を表明したのである。温室効果ガス最大排出国の中国とともに排出量世界第2位のアメリカが、迷惑を被っている他国のことを一切配慮せず地球温暖化対策に背を向けている。これで食糧不足で餓死者が溢れるようになれば、それこそアメリカと中国にその最大の責任があると言ってよい。その両国が米中経済戦争を行って諸外国にはた迷惑の限りを尽くしている。この思い上がった2つの国がこの世からいなくなれば、どれだけ世界が平静に保たれるだろうか。

2019年8月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4469.2019年8月8日(木) 愕然! 脱稿直前の自著原稿消失か?

 昨日大変ショッキングなことがあった。それは今以て解決していない。まったく何が何だか分からない。

 実は、現在執筆中で脱稿間近で今年内か、来春には上梓しようと考えていたドキュメント作品の原稿がパソコン上から完全に消えてしまったのだ。昨日午前中に仕上げの章を書き、見直しながらPCを閉じたのだが、夕方原稿を開こうとしたところ、「ドキュメント」の中に見つからなかった。いろいろ手を尽くしてみたが、やはり原稿が見つからない。こんなことは初めてで、どうやって原稿を復元させたら良いのか、まったくアイディアが浮かばず途方に暮れてしまった。拙作は最後の仕上げに入っていてあと一息というところまで来ていた。これまでの海外旅行体験の中で、治安不安的な土地でテロを予感したり、身柄拘束された体験や、現地の人々との交流などの中で感じたことをリアルに書いた。その過程でメディアの取材方法に疑問を抱いた。特に彼らがあまり現場を踏んでいないのではないかと思い、一言注文をつけたものである。私なりにドキュメンタリー性を強めて書いたつもりなので、読者にはある程度興味を持ってもらえると思っている。残念で仕方がない。

 本文だけでA4版用紙にして105頁まで書き上げ残り10頁ぐらいのところまで来ていた。これ以上はいくらじたばたしても自分では解決策が見つからず、日ごろからお世話になっているITコンサルタントの小糸氏へ連絡を取って、明後日拙宅へ寄ってもらいPCをチェックしてもらうことになった。元通り復元することが出来るかどうかは分からないが、今はただひたすら祈るような気持ちである。もし、復元することが出来ない場合は、改めて文章を思い出しながら、また1から書いていくより方法はない。

 どうしてせっかく記憶させておいた大事な原稿が、何の不自然なこともやらないのに姿を消してしまったのだろうか。多少の慰めになるのは、80頁ぐらいのところで、1度文章をプリントしておいたので、その後見直し文章は大きく変わってはいるが、そのプリントが残っていることぐらいである。ITコンサルタントと神のお助けをいただいて何とか大事な原稿が復元されることを祈っている。あ~ 神様、仏様 お助けください。

 さて、今日は今月1日に続いて慶應病院へ出かけた。人間ドック受診の際、相談に乗っていただいた先生から大腸の内視鏡検査も行った方が良いと勧められたからで、その際今日問診の予約を取ってもらったものである。今日は簡単に終わり、9月2日に内視鏡の検査を行うことになった。大腸の内視鏡については、昨年からかかりつけの内科医からも受診するようアドバイスされていた。とりあえず9月に検査を受けることになったので、それを待ちたいと思う。

 ところで、現在日本では日韓関係悪化が大きな話題となっているが、日本は他にも頭の痛い問題を抱えている。世界中から嫌われているトランプ・アメリカ大統領からホルムズ海峡へ自衛隊派遣を要望する、有志連合への加盟を求められていることである。アメリカの言い分は、各国に対して自国籍船護衛の応分の負担をするために関係各国に空海戦力を派遣することを求めている。昨日もアメリカのエスパー国防長官が来日して岩屋防衛大臣に有志連合加盟を促した。日本がアメリカの要望に応じて有志連合に加盟し、自衛隊を派遣することになれば、対日友好国のイランを刺激することに成り兼ねず、その反面日本は同盟国アメリカのご機嫌を損ないたくもなく熟慮中だった。かつてすったもんだの議論の末、海賊排除のためと称して憲法論議を放擲してアラビア海へ自衛隊を派遣したことがあり、それが今日に至っている。

 毎度この種の場面で、海外に自衛隊を派遣することはアラビア海の時と同様に、日本の憲法上禁じられているということをなぜアメリカに対して強く言わないのか。また、そういう正論をメディアは主張しないのか。安倍政権同様にメディアの一番弱いところだと思う。

2019年8月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4468.2019年8月7日(水) 遺骨収集のドキュメンタリー番組

 一昨日夜NHKで放映されたドキュメンタリー番組「戦没者は二度死ぬ~遺骨と戦争~」を興味深く観た。偶々当日シベリアから返還された日本人捕虜収容者の遺骨が、実際には日本人でないと指摘されていた時だった。

 この番組が解説していた主たる遺骨収集地は、中部太平洋諸島テニアン島とソロモン諸島ブーゲンビル島だった。テニアン島の洞窟内で家族に自決され、生き残った福島県在住の84歳の男性遺族にスポットライトを当てていた。終戦後74年が経過して、今では戦争体験のない人が大分増えた。その点でこの種のドキュメントは戦争を知らない世代にとって、戦争の悲惨さを目で知る貴重な資料だと思う。

 また、戦没者遺骨収集事業については、戦後の貧しい時代を耐えて立ち直った日本人の生活感と、戦争による被害を与えられたアジアの国々の感情論もあって、日本が希望する戦没者の遺骨収集事業とは必ずしも共感するところは多くなく、難しい問題が多々あったと思う。それでも当時は、厚生省が地元の人たちの協力を得て、曲がりなりにも遺骨収集を続けて日本へ遺骨を持ち帰ることが出来た。

 今考えてみると当時はDNAなんて誰も言わなかった。戦没者を証明する品物があったり、死の現場に居合わせた当時の戦友らの証言を得ることが出来て、大きな問題もなく戦没者を確定出来た。近年になって完全な形をした遺骨が見つかり難くなったこともあり、そういう単純な方法ではなく、DNA検査を実施するようになった。しかし、これにより戦没者の名を確認する手段がDNA以外になくなってしまったことが、今日問題を難しくしている。

 テレビで現場が報道されたテニアン島の洞窟周辺にも行ったことがあり、番組を観ていて身につまされたが、今では私が厚生省や日本遺族会の人たちと関わっていた1970年代の状況とは大分事情が異なるようだ。話によると今後は収集されたすべての遺骨を現地で荼毘に付すことなく持ち帰ることに決まったそうだが、すべての遺骨を持ち帰るのは大変なボリュームになるのではないだろうか。かつて遺骨収集団員が全員遺骨を段ボールに詰めて白布で覆って膝の上に置いて持ち帰ろうとした時、搭乗機のクルーによって段ボールは膝の上に置かずに、荷物室に置けと言われて、すったもんだしたことがあった。遺族会の言い分は、遺骨は荷物ではなく尊い魂なので、荷物室には置けないと突っぱねた。だが、それでは飛行機は飛ばさないと言われ、泣く泣く荷物室へ持ち運んだことがある。今後は大量の遺骨を荷物室に収めることになるのだろうか。

 今後遺骨収集事業はどうやったらスムーズにいくだろうか。このままトラブル続きでは、いつまで経っても戦没者は成仏出来ないだろう。

2019年8月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4467.2019年8月6日(火) 74年目の「原爆の日」を迎える。

 人類史上初めて広島へ原子爆弾が投下されてから、今日74回目の「原爆の日」を迎え、午前中広島市内の平和公園で平和祈念式典が行われた。原爆投下時間の8時15分に追悼の鐘が鳴らされ、過日中距離核戦力(INF)全廃条約が失効した状況に、松井一実・広島市長は政府に世界で唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現へ向けてリーダーシップを発揮するよう求めた。これに対して安倍首相は核兵器禁止条約には触れず、核兵器国と非核兵器国の橋渡しをして国際社会の取り組みを主導していくと応えた。非核化へ背を向けるような核保有大国に対して、これからどうやって被爆者の気持ちに寄り添う交渉をやってくれるのか、目を離さないようにしたい。今年の式典には、過去2番目に多い92か国の代表が参列した。

 さて、このところ名古屋市内で開催されている「あいちトリエンナーレ2019」の展示のひとつ「表現の不自由展・その後」が、75日間の開催予定にも拘らず唐突に開催3日目にして中止に追い込まれ、政治も絡んで各界に波紋を広げている。いくつかの展示作品が批判の的となったことから問題が大きくなった。特に従軍慰安婦に着想を得た少女像と昭和天皇の肖像画が燃える映像の展示が問題視され、主催者への中傷・誹謗がひどく、結果として対応に苦慮したことが展示中止の最大の要因である。中にはガソリンを散布して着火するとか、テロ予告や脅迫と思えるようなメールや電話による抗議が相次ぎ、職員も身の危険を感じたというから抗議は相当激しかったと見られる。実行委員会会長代行の河村たかし・名古屋市長は、この展示の中止を同委員会会長の大村秀章・愛知県知事に要請して展示は中止されることになった。だが、問題はこれで片付いたわけではなく、表現の自由に釘を刺すものであるとか、憲法21条に違反するとか、知事と市長の議論の応酬になっている。これには国費が投入された経緯もあり、政治家が言論を抑圧するような発言もあったことが、騒ぎを大きくしている。

 テロ行為は問題外であるが、中止を要請した河村名古屋市長には本当の意味で「言論の自由」や、文化面でどこまで表現が許されるのかという点が分かっているのだろうか。後遺症が残りそうで、まだ当分トラブルを引きずりそうな予感がする。

2019年8月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4466.2019年8月5日(月) 香港・モスクワのデモと日本人メジャー優勝

 現在逃亡犯条例改正案に反対して学生を中心に大きな市民デモが継続的に行われている香港では、林鄭月娥行政長官の行政府に対して市民が早や9週間に亘って抵抗している。一時は長官も原案の撤回はしないが進め方について反省しているとトーンダウンしていたが、最近は中国政府のバックアップ声明を意識しているせいか、デモ参加者は1国2制度に異議を唱えて国家主権を脅かしているとデモに対して攻撃的になってきた。今日は航空会社が200便以上の運航をキャンセルした。

 1国2制度の隠れ蓑になっているのは、中国政府の陰に日向になっての後ろ盾の圧力である。中国としてはこの制度が煩わしくて仕方がない。中国政府は何とか民主的な香港を共産主義化して1国1制度にしたいと考えている。住民投票に基づく公平な選挙というものを行わずに、共産党選出による議員によって議会運営を行い、それが民主主義であると国民を誤解させるような絶対君主・習近平国家では民主主義も自由もない。現在少々心配しているのは、あまり民主派の声が大きくなると香港に駐留している中国人民解放軍が、弾圧に動き出すのではないかということである。香港の民主化運動が挫けないよう市民には頑張ってもらいたいと願うと同時に、国際社会も香港の民主化をしっかり監視して欲しいと期待している。

 このような時にモスクワでも激しい市民デモが起き、拘束者が800人を超えた。そもそもプーチン政権に批判的な反体制派の人たちが、モスクワ市議選に立候補しようとしたところ拒絶されたことに対する抗議から始まったもので、大規模な集会やデモはすでに4週目に入っている。サンクトペテルブルグにも飛び火して、ここでも2千人規模の集会が行われ、10人が身柄を拘束されている。反対派を弾圧することは、旧ソ連時代から日常的に行われていた。この面では相も変わらず現在のプーチン・ロシア帝国主義国家になっても、社会主義の仮面を被っていたソビエト社会主義国家や、革命前の帝政ロシアと何ら変わらない。このデモの行方は一体どうなるだろうか。

 今日伝えられた嬉しいニュースは、女子ゴルフ全英オープンで昨年プロになったばかりで海外ツアー初参加の渋野日向子選手が優勝したことである。日本人が海外メジャーを制したのは、1977年樋口久子選手の全米オープン優勝以来42年ぶり2度目である。ゴルフはプレイしたことがないので、プレイそのものの面白さや難しさは分からないが、これだけ流行したスポーツの中で国際的に活躍する日本人選手がほとんど現れない現状からみて、渋野選手は性格的にもタフなようだし、ファンからも愛されるようなので、今後の活躍が期待される。

2019年8月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4465.2019年8月4日(日) 殺人大国アメリカ社会の劣化と機能不全

 日本時間の今日アメリカで銃乱射による殺害事件が2件もあった。最初の事件は、アメリカのメキシコ国境の街・テキサス州エルパソで起きた。日中自動小銃を持った男がショッピングモール内で買い物客に発砲して20人以上が死亡し、26人が負傷したと言われている。エルパソは人口68万人のうち約83%がヒスパニックと言われ、逮捕された白人の若者は移民に反対していたと見られている。

 2つ目はエルパソ銃撃事件から僅か4時間後にオハイオ州デイトンで起きた。9人が犠牲になり16人が負傷した。犯人は銃殺されたが、あまりにも残酷な事件の連続的な発生に唖然とするばかりである。

 それにしてもこの1週間以内でも、先月28日にカリフォルニア州で子ども2人を含む3人が19歳の男に銃で殺害され、30日にはミシシッピー州で2人が同じく銃犯罪で殺されている。

 こう度々銃乱射により多くのアメリカ人が突然見も知らぬ男たちから命を奪われるようでは生きた心地がしないのではないだろうか。一向に事件はなくならない。これはつべこべ言っても憲法を含むアメリカの法治制度に問題があると考えざるを得ない。アメリカの治安というのは一体どうなっているのか。大統領が先頭に立って移民を排撃するようなヘイトスピーチを行っている。それでいて銃規制の話は持ち出さない。銃所有に反対の声がありながら、憲法で銃の所有を認めているからといい法律で何の規制もかけないということは、大統領並びに国家が国民を殺害していると言っても好い。殺人を容認するような憲法ならさっさと憲法改正をすれば良いではないか。

 過去にもたびたび銃乱射による殺害事件が起きている。過去3年間をみても16年6月にフロリダ州のナイトクラブで49人、17年10月にラスベガスで58人、11月にテキサス州教会内で26人、18年2月にフロリダ州の高校生ら17人、10月にはピッツバーグのユダヤ教礼拝所で11人、今年5月にバージニア州市庁舎内で12人が殺害されている。理由はいろいろあろうが、根本的な原因は、他国では考えられない憲法が認める銃所有条項があるからである。銃規制さえ徹底されるなら事件の撲滅は可能である。にも拘わらず銃規制をせず殺人事件は一向に減らない。他国では銃の所有を厳しく取り締まっているので、アメリカのように常態化した銃乱射による殺害事件はほとんど起こらない。アメリカではこんな無法者の取り締まりも出来ずに、彼らを野放しにしている。アメリカ連邦政府は国民を銃から守れず西部劇時代の無法国家と変わらない状態にしたまま手を尽くそうとしていない。これもまた犯罪である。トランプ大統領以下アメリカ国民は、どうして他の国の人たちが出来る大量殺人防止ができないのか。それは私利私欲によって銃砲製造企業に銃の製造を認め、販売をも許しているからである。それは武器・銃製造企業から大統領を始め、多くの関係者に多額の資金が流れているからである。結局武器製造会社と大統領府との間で贈収賄とあまり違わない殺人行為が行われているからである。彼らにとって自分たちさえ潤えば、同じ同胞たちがいくら血を流そうとも気にすることはないと思っているのだ。自国民を銃から守れないこんな国を民主主義国家と呼べるだろうか。酷い国だと思う。アメリカは地上最低の大統領を追い出し、国民が揃って反省するようでなければ、これからも多くの国民が犠牲になるだろう。

 それにしてもトランプ大統領は、アメリカ・ファーストと呼んでいるアメリカで、世界に類のない大量殺人事件が繰り返され、国民の尊い生命が数多く失われていることを恥ずかしく、国辱ものと思わないのだろうか。あまりにも銃乱射殺人行為の再発防止に無為無策ではないだろうか。これでよくも世界一の大国とほざいていられるものだ。ちゃんちゃらおかしい。

2019年8月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4464.2019年8月3日(土) 核軍縮からむ米ソ冷戦時代の再来か。

 日韓対立が決定的になった。昨日日本政府が発表した韓国をホワイト国対象から外すとの措置に対して、韓国政府が無謀と猛反発して対抗策を講じると述べた。日本国内では冷静に受け止められているが、韓国国内では反発が強く日本商品不買運動が派手に行われている。この行方が今後どうなるのか現時点ではまったく見当がつかない。

 この他にも昨日世界的に歓迎されざる軍縮に逆行する動きがあった。米ソ冷戦終結の象徴だった米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約が失効することになったのだ。同条約は東西対立の中で長い間米ソ両国による話し合いやら揺さぶり、駆け引きの末に当時のレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の署名調印を得て発効され、当時世界中で驚愕的に歓迎された条約である。そもそもこのほど失効に至ったのは、オバマ米大統領時代にアメリカがロシアの新巡航ミサイルの射程は条約違反であると指摘したが、ロシアがそれに対応せず、今年2月にトランプ大統領が一方的に60日以内にミサイル破棄を求める最後通告を突きつけたものである。米ロの身勝手な戦略で世界中の平和愛好家を大きく失望させることになった。

 もうひとつこの条約失効の背景には中国の存在がある。この条約に縛られない中国は、INF発効以後の90年代からミサイル開発を加速させて最新鋭中距離弾道ミサイルの開発を進め、一部にはINFが禁止する射程に近いミサイルでは今やアメリカを質量ともに凌ぐと言われている。この中国の中距離ミサイルはグアムや沖縄などの米軍基地を射程内に収め、有事の際にアメリカ軍が中国周辺に接近するのを防ぐ戦略の中核になっているという。アメリカとしてはロシアばかりでなく、中国を加えた米ロ中条約の締結を目指したいところであるが、中国に軍縮を受け入れる気持ちがない現状では当分新たな核開発戦争が加速する一方だろう。

 このINFが結ばれる前年に意外にも日本が存在感を示す役割を演じたことがある。当時の中曽根康弘首相が、ヨーロッパでは中距離ミサイル全廃だが、アジア地域では半減させるとの暫定案に異を唱え、アメリカを説き伏せ、すべてに全廃とさせたことである。安倍首相もアメリカ従属主義をそろそろ止め、この失効に怒りを表している広島・長崎の被爆者らの声を汲み取って、中曽根首相のように日本の存在感をアピールするメッセージを発して、米ロ中の核保有巨大国を説得して核戦争の危機から逃れる手を打って欲しいものである。

2019年8月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com