6630.2025年7月8日(火) トランプ大統領のやりたい放題

 持って回ったような口の利き方をするトランプ流の関税に関する書状を、トランプ大統領が石破首相に宛てて送った。従来の10%の対米輸出関税について有無を言わせず25%に引き上げるというもので、書状では日本が関税政策や、トランプ氏の誤解に基づく貿易障壁のせいでアメリカが大きな対日貿易赤字を抱えることになり、25%の関税ではまだ不十分だと言い日本に対して不満を漏らしている。仮に日本がアメリカに対して関税を引き上げるなら、アメリカはそれに25%を上乗せするという高圧的な要求である。書状の中で韓国と日本は、アメリカの同盟国の中で別格であるようなお世辞を言いながらも、日韓両国に対して容赦なく25%を突き付けている。

 日本がこれまでアメリカの要求や言いなりになって貿易外でも大分協力してきたが、その点を配慮することもなく、己の主張を押し付けるばかりである。これは明らかにこれまでアメリカに追随し、賛成出来かねる言動に対しても渋々賛成させられ、それがアメリカにとって大きな救いとなったお陰で、日本は常にアメリカの要求に従ってくれると都合よく考えているようだ。これまでの日本の外交姿勢が問われるところでもある。

 この対米関税問題が仮に終結しても、日本を従属国と見てアメリカは今後も次々と「アメリカ・ファースト」の過大な要求を突き付けてくるだろう。その最大の関心事は防衛費である。すでにNATO諸国に無理やり2029年までに国防費のGDP比5%を受け入れさせた。それを日本にも要求する可能性が強い。取り敢えず、防衛費のGDP比3.5%を求めてくるだろう。その後に日本の米軍駐留費の負担増額を申し出てくる。この米軍の費用なんてアメリカ軍の駐留兵士の数を減らせば、済むことである。彼らの戦略上の机上のプランを修正すれば、事足れることである。それを自らは負担せず、増える経費を日本に押し付けようとしている。これは日米安保条約以来、日本政府が日米同盟関係で言うべきことを言わず、アメリカの言い分だけを飲まされてきたからである。

 アメリカの臆面もなく図々しいところは、他人のふんどしで相撲と取ろうとする点である。アメリカ政府の対アジア戦略に基づいてアメリカが計画した作戦にかかる経費は、本来ならすべてアメリカが負担すべきである。それを日本の防衛のためであると都合の好いことを言いながら日本に負担を求め、それが漸進的に増額させている。ドイツや、イタリアにおけるアメリカ軍の駐留費用は、日本のそれに比べれば遥かに低額で、制約も少ない。それに比べて日本はアメリカの言いなりにさせられているのである。日米地位協定などという日米平等の考えを言いながら、その実態はアメリカ軍の日本国内における行動はかなり一方的で羽目を外している。特に、基地外の米軍兵士の行動、女性への性暴力問題などで基地周辺の日本人が多くの迷惑を被り、同時に基地からPFASという無色のガスを無断放出され、地域の住民の安全な生活まで脅かしている。 

 日本政府は、次の土俵では関税問題と切り離して、じっくり日米問題について対等に話し合うべきではないだろうか。現状はあまりにもアメリカ側の言い分を受け入れ過ぎだと思う。今日愚かなトランプ・シンパのネタニヤフ・イスラエル首相が訪米し、トランプ大統領に今年のノーベル平和賞に推薦したと持ち上げたところ、本人ももう平和賞は4,5回もらっても好いくらいだと満更でもないようだった。日本はトランプ氏に対して、我が儘を言わせず、率直に日本人のアメリカ、及びアメリカ人に対する感情、印象を伝えて、対等の日米関係にすべきである。もし、それがだめなら小さなことから日米関係の絆を細めることも考えた方が良いのではないかと思う。

 今日も暑い。東京都内では昨日35.6℃を記録して今年初めての猛暑日となったが、今日はそれを凌ぐ35.8℃で連日の猛暑日となった。これもトランプ旋風のせいだろう。

2025年7月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6629.2025年7月7日(月) 七夕は、おとぎ話と戦争と関係あり

 今日は七夕である。1年に一度7月7日の今日、織姫と彦星が天の川を渡ると出会える特別な夜のことである。中国から伝わった風習も取り入れられた日中合作のおとぎ話になっている。本来旧暦に則っていて、現代なら8月7日に当たり、夜空には天の川が良く見える日であるが、残念ながら新暦ではまだこの天の川は見ることは出来ない。

 今日は、令和7年7月7日というラッキーセブンが3つも重なるトリプル・ラッキーセブンの日であり、きっと何かラッキーなことに見舞われるかも知れないとつい期待したくなる。

 ところが、歴史を振り返ってみると、7月7日は決してラッキーセブンではなく、むしろ歴史的には忌まわしい1日だった。私が生まれる前年の1937年の今日、あの盧溝橋事件が起き、旧日本軍は中国大陸へ進駐し日中戦争が始まった。そして大日本帝国は太平洋戦争へのめり込んで行った。日本の暗黒時代に入った日とも言えよう。海外では他にも忌まわしい事件があった。戦火が拡大し、8月15日の終戦1か月前の1945年の今日、帝国陸軍が進駐していたビルマ(現ミヤンマー)のインド人集落カラゴン村で陸軍第33師団歩兵第215連隊による住民大虐殺事件が発生した。日本軍とビルマ憲兵隊が、村民を英印軍と通じたスパイと判断し、彼らを拷問して637人を殺害したとされる。戦後ラングーン(現ヤンゴン)で開かれたイギリス軍によるBC級戦犯裁判で、首謀者らは絞首刑など厳しい判決を下された。

 ビルマには30年間に30回近く訪れ地方の旧戦跡地へも出かけ、ビルマの人たちとも楽しい交友関係を続けていたが、このカラゴン村事件や、その土地についてはまったく知らなかった。数回訪れたことがあるモールメンから50㎞ほどの土地のようだが、現地でこの事件については耳にしても良さそうなものだが、ついぞ聞いたことがなかった。この事件については、第215連隊が群馬県高崎市で編成されたせいであろうか、地元高崎市内では事件について地道な研究が行われているという。

 今年は終戦80年という記念史的な年でもあり、今朝の新聞にも全面広告で日本原水協より意見広告が掲載され「被爆80年 私たち被爆者は日本政府に核兵器禁止条約への参加を求めます」と、長崎被爆者で被団協の田中熙己氏と広島被爆者のサーロー節子氏が被爆者の立場からごく当然の意見を述べている。

 終戦の年は、アメリカ軍の本土攻撃が大分激しくなったが、七夕の今日は「七夕空襲」があり、千葉市、甲府市、清水市、明石市にかなりの焼夷弾が投下され、一晩で2千人以上の人が亡くなった。その残り火のせいか、今日も暑く、都内では35.6℃で今年初めての猛暑日となった。全国的にも岐阜県多治見市で38.8℃を記録し、これは今年国内の最高気温である。

 いずれにせよ、七夕が戦争との呪わしい関係で思い出されては残念で、折角子どもたちにとって童謡に唄われた「たなばたさま」のイメージが台無しである。このカラゴン村事件を忘れるために、子どもたちが愛唱する歌詞を書いておこう。

 ♪ささの葉さらさら のきばにゆれる お星さまきらきら きんぎんすなご

          ごしきのたんざく わたしがかいた お星さまきらきら 空からみてる♪

2025年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6628.2025年7月6日(日) 食料品の消費税は、10% or 8%?

 参議院選挙が公示され、各党も候補者の主張をはじめ、所属政党党首が応援に駆け付け選挙戦も賑やかになってきた。今回選挙の公約で、自民・公明の与党は、物価高騰の折国民一人当たりに2万円の給付金他を支給することを訴えている。その一方で、各野党は与党の2万円支給は「バラマキ」と非難し、物価高騰に当たり消費税減税・廃止をアピールしている。偶々昨日野田立憲民主党代表の街頭演説のニュースを観ていたところ、食料品の8%の税率の税軽減を訴えていたことに、アレっ?と首を捻ったところだった。

 実は、お恥ずかしいことだが、食料品の税率が8%であることを知らなかった。すべて10%だとばかり思いこんでいた。2019年から税制改正の実施により全般的に8%から10%に引き上げられた。但し、飲食料品と定期購読新聞代については、8%の軽減税率が適用され、複数税率となった。この軽減税率という言葉が、実際と簡単にリンクしないのが悩ましいところである。その8%の対象品目は、食品表示法に規定する食品はOKで、人が食べることができるすべての飲食物である。しかし、酒類は除外される。それにしてもペットボトルの飲料水は8%だが、ホテルなどのルームサービスは適用外で10%と素人には分かりにくい。

 そもそも消費税は原則として国税であるが、飲食料品については、国税と地方税に分かれていることは知らなかった。すべて国税だと思い込んでいた。現在10%の消費税は7.8%が国税に、残りの2.2%が地方税として納入される。その内飲食料品の消費税は、それが、飲食料品のような軽減税率8%になると、国税は6.24%で地方税は1.76%に引き下げられる。消費税減税と言う時に、国の原資がとかく議論になるが、正確には原資は国と地方の財源である。簡単には結論が出せない問題である。

 改めて消費税を学ぶことになったが、同時に身近な消費税の内容をよく承知していなかったことは、少々恥ずかしい。心すべきことだと思っている。

 さて、今進行・準備中であるが、2021年に上梓した拙著「八十冒険爺の言いたい放題」の英語版電子書籍の発行に向けて、最後の詰めを行っている。

 実は、拙著を日本語の分かる何人かのアメリカ人が、これはアメリカ人が読んでも興味深いので、普通のアメリカ人が読めるよう英語版を出版してはどうかと出版社に要望があったそうである。そこでその話が著者である私に持ち込まれ、悪い話ではないと考え承諾した。その際英訳はどういう形で行うのか尋ねたところ、初校は今話題のAIが英訳し、その後で英文に精通した編集者がチェックするという話だった。最初のAI英訳版が出来あがり、目を通したところ、とても私の意に沿って適切に翻訳されていない箇所があまりにも多く、とてもAI訳は当てにならなかった。そこで、出版社に話をして、アメリカ在住が長く英文翻訳書を何冊か出されている大学ゼミの後輩女性にお願いし、同時に彼女のイギリス人の友人にも手伝ってもらい英文翻訳原稿を仕上げて出版社に送って、現在最終調整をやってもらっているところである。多分発行は8月になる。

 一応期待はしているが、表紙なんかは原書とは全く異なってしまった。タイトルも上記のものが次のように随分変わった。

 ‘THE REBEL GRANDPA~Across Frontlines and Faultlines-One Man`s War Against Complacent Journalism ~’

 期待半分、不安半分である。

2025年7月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6627.2025年7月5日(土) ダライ・ラマの生まれ変わり「輪廻転生」?

 中国の迫害を恐れて母国チベットを逃れ、インドの北部ダラムサラにチベット亡命政権を樹立したチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が、一昨日後継者選びに関する声明を発表した。後継者は、自分の死去後に自分の生まれ変わりを探して決める「輪廻転生」の制度に則るべきだというものだった。「輪廻転生」とは、仏教用語だと信じているが、現実にこの言葉をチベットで最高指導者自らが今まで通り実践しようということに納得させられた次第である。従ってラマ14世は自分の後継者が誰になるのか、生前には自分には分からないということになる。

 ただ、ラマ14世をチベットから追放した形となった中国政府としては、ダライ・ラマの影響は極力避けたいために、輪廻転生による後継者は中国政府が承認する人物でなければならないとラマ14世の言葉に反発している。ラマ14世が即位したのは1940年で、14世がまだ幼かった4歳の時だった。こんな幼少児に指導者としての先導はとてもできるものではないと思うが、爾来14世は90年近くに亘りチベット仏教界の指導者、牽引者として崇められてきた。1951年中国共産党軍が不意にチベット自治区へ武力侵攻したことによって、1959年チベット動乱が発生した際に、チベット民族の自治権を中国政府に奪われたラマ14世はチベットから脱出しインドへ逃れ、インド国内にチベット亡命政権を樹立した。その後ラマ14世は、チベット解放運動で非暴力を貫いたと国際的に高く評価され、ノーベル平和賞を授与された。このノーベル平和賞受賞についても中国政府は、何かと内政干渉だと非難する有様で、中国とラマ14世、チベット亡命政府の間には、わだかまりは消えず、このままでは亡命政府はそのままインドに留まることになるだろう。ただ、ラマ14世は明日6日には90歳の誕生日を迎えるので、残りの人生もそう長くはない。中国政府が現在のチベットや新疆ウィグル自治区、香港で行ってきた非民主的行動、高圧的な支配及び管理などを考えると、仮にラマ15世が誕生しても、チベット人のチベット人によるチベット人のための国造りは、見果てぬ夢になりかねない。

 現在中国国内に住むチベット族は、6~7百万人と推定される。その内子どもの数は、約百万人とされ、彼らは中国が管理する寄宿学校で学習しているが、中国語による授業がほとんどで、チベット語による言語や文化を学ぶ機会は大分減っている。

 2006年にチベットを訪れたことがあるが、その折チベット自治区の首都ラサの大昭寺境内で大勢の信心深いチベット人が五体投地という地面に臥してお祈りをしている姿を珍しく感じたものだ。ポタラ宮殿内の質素なラマ14世執務室などの見学を終えて、宮殿前広場へ出てくるとチベット人の五体投地の近くに、突然大勢の中国軍兵士が戦車に乗って姿を現したのにはびっくりしたことがある。何やら落ち着かない空気が流れていたが、その3か月後の07年3月にまたもやチベット動乱が勃発した。中国政府は、今後も引き続き、チベット民族の住むチベット「自治区」を強圧的に管理して一切統治、支配を手放そうとはしないだろう。ラマ14世の管理、指導するチベット自治政府が復活することは、難しくなったのではないかと残念に思っている。

 さて、昨日の本ブログでアメリカ独立記念日に際してトランプ政権へ最後っ屁を放ってやったが、そのトランプ自慢の「一つの大きく美しい法案」に対して、下院で反対演説を9時間近くぶった民主党のジェフリーズ氏はこう言っていた。「一つの大きく醜悪な法案」だと。

2025年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6626.2025年7月4日(金) 地震頻発のトカラ列島とわが健康問題

 先月21日以来鹿児島県南方沖合のトカラ列島方面で地震が頻発している。今日までの2週間に震度1以上の地震発生が1,200回を超えたというから驚く。昨晩には、震度6弱の大きな地震が発生した。最大の影響を受けている悪石島では、住民80人の内、102歳までの希望者を鹿児島市内へ避難させた。地震と言えば、最近では近畿地方を中心とする西日本一帯に「南海トラフ」地震が発生すると予想した警報が何度か伝えられたことがある。それが今や現実的な焦点が南方の洋上トカラ列島方面へ移ってしまった。幸い今のところ死傷者はいないようだし、津波も襲来していない。今後沈静化することをひたすら願うばかりである。

 ところで、私自身の病魔はどうだろうか。予防医学を念頭に定期的に広範に医院で診察してもらっているが、昨日慶應病院循環器内科で3カ月ぶりに心電図を取り心臓の不整脈の診断をしてもらった。その際担当していただいている医師に、いくつか質問をしてみた。ひとつは、先月9日の未明に右背中が痛み出し、それがしばらくしてお腹の上部に移転し、その痛みが激しく中々収まらず、1時間半ばかり痛みに耐えていたが、その内眠ってしまったことと、もうひとつは、朝一番にかかりつけの内科医院で相談したところ、採血しましょうとのことで血液検査をしてもらった。血液中に蛋白質が溜まるCRP数値が、いつもよりぐ~んと跳ね上がったことと、血液の中に少し濁りが見られるとの診察の結果、そして毎朝晩測っている血圧・脈拍数値の脈拍が6月9日以降大きく下がったことが気になっていることをお話した。すると心電図検査の結果も合わせて、心臓に問題がある可能性があるので、CTスキャンで検査しますと仰り、大分先の10月にCTスキャン検査をすることになった。まだとても気を許せない体調のようだ。しばらく無理が出来ないと観念している。

 そして、昨日は暑い中ではあったが、午前中だったので、自由が丘駅まで歩いて出かけた。帰路も駅から歩いた。そして病院内でも随分あっちへ、こっちへ行ったり来たりしながら歩いたせいか、万歩計を見て驚いた。何と1万歩を超えていた。それこそ昨年のいつごろからか、とにかく1年以上も1日1万歩を歩くことはなかった。一方で体調に気を遣い、最近はほぼ毎日ウォーキングで平均して1日5千歩は歩いている。今日も5126歩を記録した。健康上無理がないよう毎日定期的にウォーキングの習慣は欠かさないように心掛けている。

 さて、今日7月4日はアメリカの独立記念日であるので、トランプ大統領についても一言言ってやりたい。3日アメリカ下院議会で、大型減税を盛り込んだ法案が賛成218、反対214の僅差で辛うじて可決した。大型減税を盛り込んだ法案であるが、減税と言いつつ企業や富裕層に恩恵がある一方で、低所得層には厳しい法案である。いずれ彼らから不満が噴出してくるだろう。しかも、この法案により今後10年間に財政赤字が約490兆円も拡大すると見られている。これに対して、トランプ大統領は、大型減税を盛り込んだ「一つの大きく美しい法案」が可決されたと得意がっているようだ。何が美しい法案か。全体的視点や、貧困層を見る目がまったくないようだ。独立時のジョージ・ワシントン大統領に比べ、何と全体像が分からないお粗末な大統領であることか。

2025年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6625.2025年7月3日(木) 参院選でなぜ防衛費増額を議論しないのか。

 参議院議員選挙が今日公示され、今月20日が投開票日と決まった。昨夕与野党8党の党首討論会が日本プレスセンターで開かれ、テレビで生中継された。残念ながら観ていなかったが、与党自民、公明党は物価高騰に際し、ひとり2万円の給付金を交付すると述べた。一方、野党6党の党首は、物価高対策として消費減税や、所得減税を訴えた。与党の2万円給付については、野党から選挙対策のための「バラマキ」と批判されている。しかし、われわれ安保世代が一番気になっていることが、今回どこの政党もアピールしなかった。それは防衛費の増額について、どの党からも何ひとつ反対の意見が出なかったことである。せめて共産党は党の公約として断固反対を主張すべきである。

 そこで今年度の防衛予算は、国内総生産(GDP)の1.8%、8兆5千億円である。これを27年度までに2%に増額しようと考えているが、現状では実現しそうである。かつて1976年三木武夫内閣は防衛予算増額の要求に応じてGDPの1%以内を約束した。それが大した論議を重ねないまま徐々に増え、今では1.8%となった。以前にはGDP1%だった防衛費をほぼ2倍にまで膨れ上げてしまったことになる。ところが、現在アメリカは日本に対して日本の防衛費は少なすぎるとして極力3.5%に引き上げることを求めている。つい先日アメリカの要求によって29年度までにNATO各加盟国は5%を約束させられたばかりである。

 防衛費のような国家予算の巨大な支出に対して、共産党、社民党を除きどの党からも強い反対の声が出て来ないのは、全国会議員が社会保障などより戦争のための備えをしていると受け取られても仕方がない。そして、戦後80年が経過してこの軍事費支出に不感症になった今の国民、特に若者たちは戦争についてどう考えているのだろうか心配でならない。臨場感で戦争の厳しさ、残酷さを知れば、戦争がいかに恐ろしいものであるかということが分かるのだが、如何にせむ戦争の臨場感は戦争の現場でなければ分からない。軍事費は増え、いつの間にか気が付いたら戦争が目の前にやって来るだろう。その時「怖い」、「何とかして」と言っても最早遅い。手遅れであることを覚悟しておく必要がある。防衛予算に関する論議が期待出来ない参院選挙は、はっきり言ってそれほど関心がなくなった。

 さて、昨日テレビ報道でお粗末な事件を知った。静岡県伊東市の田久保真紀市長が市会議員2期の末、今年5月に行われた市長選で初当選したが、経歴に学歴詐称があったと市議会で追求され、伊東市議会では近日市長解任決議案を提出するそうである。政治家というのは、選挙民のためにひと肌も二肌も脱ぐ覚悟で真摯に政治にまい進しなければならないのに、褒められるような行動はあまり伝えられない。

 伊東市長のケースは、学歴蘭に東洋大学卆と明記されていたが、いろいろ追求された挙句に、本意かどうか市長本人が大学へ出向いて卒業証明を求めたところ、大学から除籍処分なのでそれは出来ないと言われたようだ。これもまったくおかしな話である。どうも話に説得力がない。こんな姿勢ではとても市民の疑念を晴らすことは出来まい。卒業と言えば、卒業証書、或いは卒業証明書、また場合によっては卒業アルバム、指導教授の証明、などいくらでも卒業を証明する材料はあると思う。ところが、田久保市長にはいずれも証拠がないようだ。卒業式にも出なかったし、卒業写真の撮影の場にもいなかったと、あまり信用出来ない話ばかりである。テレビ・ニュースを観ていると市長は悪びれもせず、開き直らんばかりの姿勢だった。市議会各会派の代表は、地方自治法100条に基づく百条委員会の設置と、市長の辞職勧告決議案を議会に提出するようだ。それにしてもこの学歴詐称については、これまで市長が市議に立候補した当時の2度の市議選では問題にならなかったのだろうか。また支持者らはこのことをどこまで承知していたのだろうか。とは言え、随分レベルの低い地方自治の実情である。

2025年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6624.2025年7月2日(水) トランプよ 驕ることなかれ!

 もういい加減にしてくれというのが、トランプ大統領に対する強い不満である。今春以来ハーバード大に対して補助金の支払いを拒否するなど、学問の自由に踏み込んで大学にお仕置きをしていた。しかし、その後ハーバード大とは関係を修復しつつあった。そこへ30日政権は大学がユダヤ系の学生や、教職員に対するハラスメントに対応せず、公民権法に違反したとの調査結果をまとめ、大学がこれを是正しない場合は政府から大学への補助金をすべて停止するとまた嫌がらせの通告をした。どうも心変わりの激しい大統領だが、事態の捉え方も表面的な言葉だけですべてを判断する浅薄さがある。

 核開発問題を抱えてイランを抑え込みたいトランプ氏は、イスラエルを利用してイラン核施設を攻撃し、イランに有無を言わせず停戦へ追い込み、戦争終戦を主導したのは、自分だと世界中に売り込んでいる始末である。

 そしてその悪癖は、対日貿易交渉でも表れた。25%という高額関税を唐突に課して、日本を苦悩させているが、日本も大きな経済的影響を受けるだけに、粘り強く交渉している最中に、昨日一方的に「日本は30%か35%の関税、もしくはわれわれが決定する関税を支払うことになる」と対日関税の引き上げを仄めかした。対日交渉が思い通りに進まないのに苛立ったのである。現在日本は一律10%の関税を課されていて、措置が一時停止されている相互関税の引き上げを含めて関税率は24%となっているが、これさえ大きく上回る水準であり、日本との間で進められている交渉内容がいたくお気に召さぬようだ。

 現在日米貿易は、1979年以来46年連続してアメリカが赤字である。アメリカが対日貿易上問題視しているのは「自動車」と「米」である。トランプ大統領は、1980年代から圧倒されている日本の自動車産業を敵対視する発言を繰り返している。彼の対応と発言の稚拙さは、ひとつには、これらの問題点をその都度、ひとつずつ徐々に話し合って解決するという当たり前の地道な手段を取らず、いきなり、しかも強引に上から目線で自己流を押し付けることである。もうひとつの問題は、アメリカの自動車が日本市場で販売が伸びない原因は、日本のマーケットに合致する対策を取らないからである。例えば、アメ車には、日本の道交法で決められた、全シートに安全シートを取り付ける義務があるが、アメ車には運転席にしか取り付けられていないことと、テールランプに白色が設置されておらず、これでは後続車が追突しかねない。これらを承知のうえであろうが、日本のマーケットに合わせようとしないアメリカ自動車産業に大きな欠陥があるといえよう。他にも修正点があると思うが、現状のままでは、トランプ氏の一方的な要求でアメ車が日本で売れるわけがない。これでは、アメリカの自動車産業が永久に日本市場で販売数を伸ばせないということである。

 他にもトランプ氏は、「アメリカ・ファースト」を言い触らし、アメリカ流儀押し付け外交を実践している。国防費の対GNP比を5%にするよう北大西洋条約機構(NATO)各国に要望し、各国はトランプ忖度のために渋々受け入れた。しかし、日本に対しても現状1.8%を目標に近づけるよう要求し、そのうえ、日本政府に、対して駐日米軍経費負担の増額を要求している。

 誤解を避ける意味でも、言っておきたいことがある。国防費、防衛費支出は日本では憲法で軍隊を持つことを禁じている点から違法である。しかもその日本憲法はアメリカ政府が主導して制定した。もう一点は、米軍駐留費用の負担は、米軍が戦後日本を占領し、その状態が引き継がれている。占領軍の必要経費を何故被占領国が支払わなければならないのか、この辺り日米両政府は口をつぐんで語らないが、奥歯に物が挟まったような会話が多いのは、その辺りの真意をお互いに誤解しているからである。

 ある雑誌に「トランプよ 驕るなかれ!」というトランプ大統領を皮肉り批判、非難する言葉があった。「尊大、傲慢、居丈高、驕慢、横柄、権高、高飛車、自分勝手、傍若無人、傲岸不遜と思いつく限り並べてみても、まだ言い足りないトランプという妖怪に、世界が引っ掻きまわされている」。正にその通りである。困ったものである。

2025年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6623.2025年7月1日(火) 小学校入学早々国語の授業で習った文章

 昨日梅雨が解消され、今日から真夏7月に入った。日本ばかりでなくヨーロッパでもかなり厳しい暑さのようで、フランスやスペイン、ポルトガルでは40℃前後だという。

 国内各地も異常な高温である。東京都心でも今朝7時半時点で29.4℃、湿度は77%だった。結局今日の最高気温は、真夏日の34℃だったが、全国の真夏日は663カ所もあった。それを上回る猛暑日は全国で120カ所だそうだから、これから先が思いやられる。このため熱中症も心配され、新聞やテレビ・ニュースでもしきりに警戒を呼び掛けている。現実に熱中症警報アラートが今日全国の20都市で発せられた。この百年間に東京の気温は平均2.5℃上昇したという。今日から庭の植木の剪定のためにいつものように植木屋さんが来られたが、この炎天下でご苦労さまだと思っている。

 ところで、昨日の当ブログに小学生が授業でタブレットを使って作文などを学んでいる違和感について取り上げたが、今の小学校1年生が検定教科書(光村図書版の例)で最初に読み書き習う文章が、

 「これは、なんのつぼみでしょう。これは、あさがおの つぼみです」で始まる文である。「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つの柱を中心に言葉の基礎を学ぶようである。昭和10年代の戦時色が濃くなってきた当時の1年生の国定教科書は、「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」だったが、私が国民学校へ入学した終戦の年の初等科1年生時の国定教科書は、太平洋戦争末期で激しい空襲下でもあり、教科書も満足に入手出来ず、近所に住む上級生から譲り受けたものだった。上記ポイント4点というより、「暗記」に力を入れていたように思う。お陰で、今以て冒頭の文を空で言える。我々の時代はこういう出だしだった。

 「アカイ アカイ アサヒ アサヒ ハト コイ コイ コマイネサン アッ コマイヌサン ウン」だった。戦時中だったので、晴天旭日などを考えると出だしの「アカイ アカイ アサヒ アサヒ」は何となく察しがつく。平和の象徴とも言われる「ハト」が現れたのは意外な感がする。狛犬は、近くの神社を訪れると石像の首に縄や紙が掛けられているのを見たので、時代を反映しているのだろうと想像がつく。

 そして中学生になった時、初めて英語を必修科目として学ぶことになった。その出だしはあまりにも有名で今でも忘れることはない。曰く「I am a boy. You are a girl. I am  Jack Jones. You are Betty Smith.」だった。実に新鮮な感じがしたものだった。海外文化との個人的なつながりは、この時から始まったと言っても良いかも知れない。

 ところが、高校へ入学した際には、どの科目も何を最初に習ったのか、まったく記憶に残っていない。国民学校と中学校で新たに学習したことは、私の今日に至るまでの人生の中でもそれくらい目を見開かされるようなショッキングなことだったのではないかと思う。今後こういう新体験は、まずないと思うが、振り返って多くの珍しく危機一髪の体験を重ねてきたわが人生で、それは好奇心が強かったからだと思っている。未だに小学生の教科書を想い出すことが出来るのは、好奇心の強さにつながっていると思うし、海外で多くの国の人たちと交流を深めることが出来たのは、最初に学んだ英語がすんなりと私の脳を通して体内へ入り込んだせいであろう。

 他愛ないことを書いてしまったが、幸いにも海外へ出かける機会が多かったお陰で、良きにつけ悪しきにつけ、終生の宝物を手にすることが出来たと思っている。幸い執筆活動と講演活動でその一部は何とかお返しすることが出来ているのではないか。3月に仲間たちと創刊した雑誌「イコール」には、今後拙稿を書き続けるつもりである。また、講演についても9月に2度ほどお引き受けしているので、私自身が旅を通して体験したことに臨場感を交えてお話しようと考えている。

2025年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6622.2025年6月30日(月) メディア業界凋落の一因はスマホにあり

 今メディアの世界では、新聞、雑誌、テレビなどいずこも内包する難題を抱えているようだ。最近最も世間の話題となったのはフジテレビで、あるタレントが元女子アナに性的暴行を加えたことをテレビ局内部で無理に隠そうとした会社の隠蔽体質から、会社の陰湿な本性などがあぶり出され、公開の場で厳しい非難を浴びることになった。結果的にフジテレビはスポンサー企業から相当数のCMを解約され経営的にもピンチに陥っている。

 元々テレビ局が発足してから、歴史的にはそれほど長くはない。その割に営業自体が派手な一面があり、チヤホヤされた未熟なタレントや若い社員が番組の中心となって企画を計画するため、会社の管理が彼らに対して甘く、よほど厳しく人的管理を行わないと危うい側面はあった。

 近年SNSとインターネットの普及により、テレビ事業本体の経営が脅かされる傾向も見えた。かつて、安倍晋三元首相時代に、すべてネットにしたら好いという極端に乱暴な声が出たことがあった。これに対して新聞業界が反対したことがあった。視聴者もこれには反対したようだが、メディアへの不信感が広がっていて、今後同じようにテレビ廃止などの動きが再現しないとも限らない。

 テレビ業界自体は新しいのだが、その体質は古い。その第一は、常に男社会であることである。それを変えてこなかったのは、今回フジテレビの不祥事でその存在を明かされた、長年居座っていた陰の支配者、日枝久・元フジ・メディア・ホールディングスCEOが、長年に亘ってグループを独断的に支配していたことがあったからでもある。今日枝氏が退き、役員人事も一新し新体制へ移行して、再起を期しているが、一度失った顧客であるスポンサー企業を取り戻すのは容易ではあるまい。

 新聞界も定期購読者が減少したことにより、経営的にも危ない橋を渡りつつある。昨日もかつて購読していた某新聞がポストに入っていて、A4判の紙に丁寧な購読の依頼文が書かれていた。とても2紙まで読み目を配る時間的余裕がないし、上記のように情報はネットを合わせてかなり得ている。実際、定期購読者数は近年激減し、2000年には、日刊紙は5千4百万部が購読されていたが、それが昨2024年にはほぼ半減の2千7百万部にまで減少した。しかも朝夕刊セットで読んでいる人は、4百万部弱しかいない。新聞購読者の減少には、本を読まなくなった、手紙を書かなくなった人が増えたことが大いに影響していると思っているが、その原因を作ったひとつは、パソコンやスマホに頼り過ぎるようになった習性と時代性にある。新聞を読まず、ペンを握らずスマホで文書関係をすべて済ますという手抜きのせいで、新聞購読者が減ったと言っても決して過言ではない。

 近年このスマホを小中学生のころより親しむようになった大きな原因のひとつは、義務教育の過程でタブレットを使用する授業を文部科学省が必修として認可したことにあると思う。小中学生がタブレットを使用したことは、目の保護のためにも、また教育上も良い筈がない。メディアにとっても将来的には営業上マイナスとして跳ね返ってくるこういう公が認める教育に、なぜメディアは文科省に対して強く抗議しないのか不思議でならない。

 メディアが、やや信頼を失いつつあるのは他にも原因があるが、取り敢えずこのような上記の問題にしっかり対応すべきだと思う。

2025年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6621.2025年6月29日(日) JAXA、現方式ロケット最後の打ち上げ成功

 国産ロケット「H2A」の最終号機・50号機が、今朝早く種子島宇宙センターから打ち上げられ、政府の地球観測衛星を正常に分離して打ち上げは成功した。これで宇宙航空研究開発機構(JAXA)が三菱重工と共同開発してきた「H2A」は有終の美を飾って、今後は後継の「H3」号機に引き継ぐことになる。最近民間の衛星ロケットが打ち上げては度々失敗するので、打ち上げ前に少々気になっていた。ところが、国が開発に関わった「H2A」シリーズの打ち上げは、20年以上50回の打ち上げでたった1度しか失敗はなく、かなりその精度は高かった。ただ、経費が約100億円もかかり、今後「H3」計画では、JAXAと三菱重工が「H2A」の半額となる打ち上げ価格を目指して、世界的に拡大する衛星の打ち上げ需要の取り込みを狙うという。50号機は、今世界的な地球温暖化問題には、二酸化炭素などの濃度を地球の全表面で観測することが可能だそうだから、かなり科学的に貢献することが出来る。

 その科学的費用について、年間約5億円超(20年間で約100億円)の予算を投資してきた結果、それなりの成果を収めることが出来た。他方で、トランプ大統領が各国首脳に喚き散らしているGDPの5%を、国防費予算へ投資したところでこれほどの成果は期待出来まい。日本は2025年度予算で、前年度より防衛費を0.2%引き上げ、1.8%にして27年度には現在の1.8%から2%にまで上げる腹づもりである。日本のGDP0.2%とは、ほぼ1兆2千億円に該当する。年間これほどの巨額を無駄な防衛費に投資しようとすることを考慮すれば、効果的な宇宙ロケットの開発費用はそれほど高額ではない。無駄な投資、しかも憲法に違反する国防のための投資など対費用効果を考えれば、いずれ日本にもトランプ圧力による国防費の投資額増大を要求するだろうが、日本の将来にとって少しもプラスにはならない。況してや軍事費支出なんて憲法に違反している。政府はアメリカ政府にもこの点をよく説明し、日本なりの方針を考える必要があるのではないか。

 さて、卒業式などでよく歌われる「蛍の光」について、3日前の朝日新聞にその歌詞の歴史的背景と沖縄との関係についてエピソードが紹介されていた。今から140年以上も前に当時の文部省が唱歌として発表してから今日まで歌い継がれている「蛍の光」は、普段1番だけしか歌わないことが多く、歌っても精々2番までである。ところが、歌詞は4番まであり、その4番はまるで知らなかった。4番には、北方領土の千島とともに沖縄が歌われているのである。♪千島のおくも 沖縄も 八洲の「うち」の守りなり~♪であるが、この内作詞家は♪千島のおくも 沖縄も 八洲の「そと」の守りなり~♪とした。それを文部省が穏当ならずとして、「そと」を「うち」に修正させたという。国民感情を考慮したようだ。しかし、20世紀に入ると教科書では、♪台湾の果ても樺太も やしまのうちのまもりなり~♪と変わった。日本が千島、樺太、台湾、朝鮮などを植民地化して国土の拡大を図ったのに合わせて、小学校唱歌を通して国民に一致団結や国威高揚を訴えたのだ。

 優しいメロディにより世界中で愛唱歌にもなっているスコットランド民謡を、こんな戦意高揚なんかに使われていたと現地の人びとが知ったらさぞや悲しむことであろう。

2025年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com