5075.2021年4月5日(月) NHKのミヤンマー取材ドキュメンタリー

 今日の朝刊にミヤンマーの記事が1行も載っていなかったが、2月1日のクーデター発生以来64日間で新聞にミヤンマー関連記事が載らなかったのは僅か2度目である。今やミヤンマー情勢はそれほど注目すべき話題となっている。ところが、テレビでは、一昨日NHK・BSのETV特集「ミヤンマー危機の深層・民主化は幻だったのか―道傳愛子が鋭く迫る!」に続き、昨晩もNHK総合テレビで1時間のドキュメンタリー番組が放映された。国内の抗議デモも国軍の弾圧の中で人的犠牲を強いられながらもしたたかに活動している。特に昨晩の「緊迫ミヤンマー 市民たちのデジタルレジスタンス」の迫力ある映像と全体的な構成にいたく感銘を受けた。元々ミヤンマーでは長い軍政のせいでメディアの活動に制約が多く、現地で特派員が活動しているメディアは数少ない。朝日ですら現地駐在員がおらず、現地人と契約して現地社員として報道している有様である。ところが、2月28日以降メディアは国軍政権によって一切認められなくなった。こうなるとミヤンマー情勢の詳細が伝えられなくなる心配がある。報道の自由が失われたミヤンマーで、後者の番組が作られたのは、このまま国軍の言いなりになって耐え忍んでいることを潔しとしなかった民主派のウィンチョウさんが、主に学生たちからSNSで動画や写真を送ってもらって軍治安部隊の無法・狼藉ぶりを世界に伝えようと試みたからである。

 ドキュメンタリーでは次のような話が紹介されている。軍政府に不服従運動を行っていたエンジェルさんという19歳の女学生が、治安部隊から狙撃されて命を落とした。それを同志が軍は無防備の女性を自動小銃で射殺したと国連機関や世間へ訴え出た。すると軍は驚くことにエンジェルさんの遺体が埋葬されている墓地から遺体を掘り起こし、解剖して彼女を死に追い込んだ銃弾は、治安部隊の自動小銃で撃ったものではないとその実弾の写真を添えて、軍支配下にあるテレビでデモ隊の言い分に反論し、軍は彼女の死とは無関係だと主張した。エンジェルさんの死を無駄にしたくないウィンチョウさんと学生たちは、現場で彼女が殺害された前後の動画を集め、時系列的に編集したうえで彼女の死が治安部隊の撃った自動小銃によるものだと証明し、それを他の資料とともに国連に送るプロセスを映し出していた。ここまで突き詰めてデモ隊の行動を評価し、国軍治安部隊の悪辣さを追求する傑作ドキュメントにつくづく感銘を受けた次第である。

 このところ約20年ばかりミヤンマーを訪問していないが、街頭の映像を観ていると随分昔と様変わりしたと思う。かつては当時の首都ラングーンでさえ見られなかった市内高架橋や高層ビルが見える。男女を問わず誰でも身に着けていた腰巻のようなロンジーを若い男性はあまり履いていない。地下鉄も工事を始めたそうで、市内には地下街への入り口が見えたのが、意外だった。進出日本企業数も2桁やっとだったのが、今や433社もあるという。アジアでも大分経済発展が遅れていたミヤンマーが、少しずつ遅れを取り戻しつつあった矢先にクーデターが起きた。これからまだ何が起こるか分からない。これからもミヤンマーの動向から目を逸らせないと思う。

2021年4月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5074.2021年4月4日(日) 人間同士の争いはいつになったら止むのか。

 ミヤンマーでクーデターが発生後、連日のように国軍が武器を持たない市民を銃撃して死傷者を出している。国際社会は国軍に対して、スーチー氏ら拘束している国民民主同盟(NLD)幹部の身柄を解放することと、市民に対する武器の使用を止めるよう要請しているが、背後で中国とロシアの支援を受けている国軍は耳を貸そうとしない。

 実は、同じような非民主的なトラブルは今も世界のあちこちで見られる。シリアのアサド政権と反体制派やクルド人勢力との内戦は、すでに10年に亘って続けられ、この間40万人が死亡し、国外へ逃れた国民が6百万人もいる。中国国内新疆ウィグル自治区における中国政府によるウィグル族人権侵害などは大分以前から行われていた。

 ここへ来て脚光を浴びているのが、エチオピアの北部ティグレ州の少数民族に対する政府軍の襲撃である。600人を超える犠牲者が生れ、隣国エリトリアへ逃れ出た避難民も多い。根本的には部族間の争いがエスカレートした形になったわけであるが、少数民族を追い出したエチオピアのアビー首相は、ほんの2年前には驚くことにノーベル平和賞を受賞した人物だというからアビー首相は能ある鷹だったから爪を隠していたのだろう。しかし、ノーベル賞受賞首相が殺人鬼になるとは、ノーベル賞委員会も予想もしていなかったのではないだろうか。

 アメリカでもこのところ無謀な人種差別的暴力事件が後を絶たない。トランプ前大統領が在職中に軽薄にも新型コロナウィルスの感染をもたらしたのは「チャイナ・ウィルス」のせいだと再三強調したためにアジア人へのヘイトクライムが急増し、コロナが流行し出した2020年3~12月間に2,808件も報告されている。

 ジョージア州ではこんなことがあった。先月選挙の期日前投票で身元確認を厳格化して黒人有権者を制限する理不尽な法律が成立した。これには州の人口の内3分の1を占める黒人などマイノリティーの投票を妨げるとして国内各地で批判が相次いだ。黒人らは運転免許証など政府発行のIDカードを持つ住民が少ない。これに反対した大リーグ機構MLBは、ジョージア州アトランタで今年開催予定だったオールスターゲームの開催地を変更すると発表した。これに対して、人種差別論者のトランプ前大統領が、またまた愚かにも野球をボイコットしようと喚いている。

 こうしてみると人間とは、お互いに助け合い仲良くするという一面ばかりが話題になるが、お互いにいがみ合い憎しみ合い対立して徹底的に相手を攻撃し、命を奪うまでの残虐行為まで突き進む動物であるとの印象を受ける。それは原始狩猟民族だった民族の間で部族間闘争が激しかった時代と同じではないかと想像出来る。人類が殺し合いばかりやって、このまま時が進めば、いずれ究極的には人類は滅び、また46億年前の地球誕生時に戻ることになるだろう。

 習近平やプーチンら覇権国家のリーダーたちは、そんなことを考えたことがあるだろうか。自分たちが他国と戦争を始めることが、結局人類が滅び、地球誕生前に戻るということを胸に手を当てて冷静に考えて欲しいと思う。

2021年4月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5073.2021年4月3日(土) ミヤンマー進出日本企業の難しい立場

 今ちょっと気になっていることがある。ミヤンマーの国軍と日本企業との意外な関係である。軍が起こしたクーデターにより、今ミヤンマー国軍は世界中から非難され、反軍抗議デモで国内は混乱の最中にある。日ごろ温厚なミヤンマー人からすれば、昨日までに543人の犠牲者が出たこと自体穏やかならぬ状況にあると思う。

 スーチー国家顧問率いる民主派の国民民主連盟(NLD)が、2015年及び2020年の総選挙で国軍系連邦団結発展党(USDP)に対して連続して80%以上の得票で圧勝し、軍にこのままでは永遠に野党に甘んじることを覚悟しなければならないことを知らしめた。軍の神頼みは軍政下に施行された憲法であり、それは国会議員議席数の4分の1を国軍推薦議員が占めることに加えて、憲法改正には国会議員4分の3以上の賛成が必要であるという厳しい条項である。これでは現実的に憲法改正はほぼ不可能である。そこへ憲法改正ではなく憲法を無視して新憲法制定の声が出てきた。選挙で連勝続きのNLDにとっては、憲法改正の隙を窺っている間に広がった希望的噂である。NLDも憲法改正の考えを捨てたわけではないが、軍はこれを警戒し、政治体制を力で奪取しようと試みたのが、この度のクーデターだった。

 ミヤンマー国軍が他国の軍と大きく異なるのは、軍が金融業から製造業に亘って関連企業を広く抱えていることであり、民政移管後でも経済発展を遂げたことが軍の懐を豊かにする大きな要因ともなった。当然それらのミヤンマー企業は、日本企業との結びつきも強く、結果的にミヤンマー軍と日本企業とのつながりも堅い。

 実は欧米諸国から見ると日本企業とミヤンマー軍との経済的つながりが、クーデター後の日本政府の国軍に対する声明を弱めていると批判的に受け取られている。ミヤンマーを残された最後のフロンティアと称して近年続々と進出した日本企業にとっては、良かれと思っていた軍の関連企業だったことが思いがけず足を引っ張る形になった。軍はヤンゴン市内の一等地において都市開発まで計画しているが、開発予定地も軍が所有しているというから進出する日本企業としては抜き差しならぬ緊密な関係に陥ることになる。

 日本のメガバンク、三井住友、みずほをはじめ、商社の丸紅やJCB、キリンビール、フジタ、ホテルオークラ、東京建物など一流企業と軍企業との関係はとりわけ緊密である。この間の事情を知っている親日的だったミヤンマー人からは、大分嘆きの声が挙がっているという。旧ビルマ時代に度々ミヤンマーを訪れたが、彼らの親日ぶりは想像を超えるものだった。戦時中も日本軍がビルマの人びとに大きな被害を与えなかったこともあるが、日本軍兵士が現地人と普段から溶け込んだ関係を築いていたことが大きかったと思う。ビルマでは嫌な思い出はまったくないし、今や少なくなってしまったが、ビルマの人びととは今も文通で交流を続けている。

 昨日在日ミヤンマー人が、外務省へデモ行進してミヤンマー国軍に対して日本政府が厳しい制裁を課すよう求めた。今後政府が国軍に強い態度で対応することと、ミヤンマーへ進出している日本企業が、軍の関連企業と手を切ることによって国際社会の信頼を取り戻すことを期待したいと思う。

2021年4月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5072.2021年4月2日(金) 高齢者の医療費値上げを認めるのか?

 新年度になって我々後期高齢者の医療費が一方的に値上げされる。高齢者医療費2倍化法案である。370万人の後期高齢者が対象とされている。これは漸進的に値上げされるのではなく、今年度からいきなり2倍の医療費値上げである。後期高齢者に「昇格」した妻の分と合せて、昨年27万7千円の医療費を支払ったが、これが今年度も同じとするなら約55万円になる。値上げの理由として政府及び厚労省は、高齢者の負担増は現役世代の負担を抑えるためだとして高齢者にも応分の負担をしてもらうと説明した。だが、これは高齢者が果たした努力と積み上げた実績をあまりにも軽視するやり方ではないか。共産党の調査では現役世代の保険料負担軽減額は1人当たり年350円に過ぎず、高齢者には年数万円もの医療費窓口負担増を強いるものであると指摘し批判している。そして「年を取ることへの罰か」と手厳しい。お年寄りは早く死ねということではないか。

 毎度のことながら、自民党の政策法案には絶対的に必要と思われる福祉実現のため、或いは社会保障のためにある一定の基準の人びとへの支援策を実施する時には、狭い視点からだけしか見ず全体像と過去の経緯を見ていない。高齢者に対する福祉的な医療費負担は、これまで社会的に高齢者が尽くしてきた努力と舐めた労苦に対して心から労う意味から段階的に1割負担で酬いてきたというプロセスがある筈である。そうだとするなら将来財政面で不安があるにせよ国の社会保障費全体の中で検討されてしかるべき問題ではないかと思う。拙速な判断と一方的な措置で医療費の出入りだけで問題解決を図ろうとすることしか頭にないようだ。政治家には高齢者医療負担を自分の問題、また全体的に捉えていない政治家としての狭量と狡さがあるのではないだろうか。

 今では社会から敬遠されがちの高齢者は、黙って嫌々医療費2倍案を呑まされ、医師の診察を減らさざるを得ない点についは、2年前当時の鈴木俊彦・厚労省事務次官が、「高齢者の急増で負担しきれないという状況ではない」と必ずしも高齢者医療費を2倍に引き上げることを是として認めていなかったではないか。何事も易きに流れるのが、今の政治家の志向である。これだから国民が政治を信頼しなくなるのだ。

 さて、先月21日に新型コロナウィルス感染拡大の緊急事態宣言が解除されたが、その勢いは一向に収まるどころか、むしろリバウンドして第4波の可能性もある。解除後の1週間は感染者数が連日前週を上回っている有様である。宮城、大阪、兵庫の主要都市の感染者が増えているところでは、「まん延防止等重点措置」の適用が決まった。ところが、この感染者急増により吉村大阪府知事が唐突に、すでに始まっている東京オリンピック聖火リレーを大阪市内では中止すると発言して、組織委員会事務局も当惑している。

 世界でもコロナの変異ウィルスが猛威を振るい、1日で感染者が70万人近くも発症し、死者が1万2千人を超す有様である。1日で5万9千人の感染者が出て急速に国内事情が悪化したフランスでは、明日から3度目の外出禁止が実施されることになった。感染対策の決め手と期待していたワクチン接種が、思うように捗らず僅か国民の13%に留まっているうえに、高齢者でも予約が取り難くなった現状を指摘している。ワクチン接種については日本も当初の予定より大分遅れており、75歳以上の高齢者の我々も当初は4月に始まると期待していたが、どうやら5月中旬以降に伸びそうである。どこまでもコロナに振り回されている。

2021年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5071.2021年4月1日(木) 日本の男女平等は、世界で120位

 今日から新年度2021年度が始まった。日常生活で変わったのは、商品の価格表示が税込み価格になったことである。年金の支給額も4年ぶりに減額されることになった。これは、我々年金族にとっては痛い。

 世界経済フォーラムが、世界の国々で男女平等がどれほど実現しているかをまとめた報告書を発表した。165カ国中日本は120位という位置づけだった。昨年は121位だったから、ほとんど変わっていない。この種の数値は、いつも主に北欧諸国が上位を占めるが、今年もご多聞に漏れず1位がアイスランドで、次いでフィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデンが上位5位までを占めた。上位4位までは女性が首相である。この辺りが日本とは大分違う。先進国程上位にランクされると思われがちだが、6位にナミビア、7位にルワンダのアフリカ勢が食い込んだのが意外だった。日本はこれらアフリカの2カ国より男女平等の実現では、大きく後れを取っていると言える。アメリカも53位から今年は30位へ躍進した。アフガニスタンが最下位のようだが、一般的にアジア諸国はあまり高位置にはいない。

 韓国は102位、中国が107位でいずれも日本とはそれほど差はないが、それでも両国の後塵を拝している。日本が主要7カ国(G7)の中で68位イタリアの下位である最下位に位置しているのも頷けないこともない。

 日本で男女差の一番大きいのは、国会議員ら政治家である。女性の政界進出が少ないうえに、女性首相は今以て前例がなく参議院議長、大臣に時折女性が選任されることがある程度である。ただ、実質的な男女平等は歴史的にみて当分難しいと思われる。それは小学校へ入学してから遊戯などグループ分けをする際、最初に男の子と女の子を分けているのが今も見られる。この場合まだ男女差がない背丈の高い順序でグループ分けするようなことが出来れば、男と女を意識することがなくなると思う。こういう小さな点から、学校で気を付けながら教育していくことが将来的に男女の差別感を生ませない結果につながるのではないだろうか。

 ふっと思いついたが、男女差別はもちろんあってはならないことだが、それ以上に同じ人間としてあってはならないことがある。それは人種、民族差別であり、無暗な殺人などに晒される危険、殺人発生率と言っても好い。採点が難しいとは思うが、人種差別のない国のリスト作成や、戦争とは別にした危険な国リストを作成したら、多少の物議を醸すことがあろうとも該当する国にとっては世界から反省を求められることになり、当事国にとっては汚名挽回の為にも世界的に少しは人種差別が少なくなり、無謀な殺人事件が減るのではないかと思う。現代は何でも数字化出来る時代であるので、こんなことも考えてみてはどうだろうか。

 さて、今日選抜高校野球決勝戦が行われ、神奈川県の東海大相模高が大分県の明豊高に対して3X―2のサヨナラ勝を収めた。私は神奈川県立高校生だったが、当時はまだ東海大相模高は創立されていなかった。開学したのは1963年だった。それが2000年、2001年に続いて今日3度目の優勝を果たした。夏の全国大会でも4度の優勝に3度の準優勝を成し遂げた。その急成長ぶりと強豪ぶりには舌を巻く。神奈川県はラグビーでも桐蔭学園高が今年2度目の全国優勝を飾ったが、準優勝も4度ある強豪校である。これも私たちが高校でラグビーをプレイしていた当時は存在せず、1964年に開学した。短期間に全国レベルの実力を培うことが出来たのは、長い歴史と伝統というより良き指導者に恵まれたことと、学校の力の入れ具合ではないかと思う。今日の東海大相模高の選抜大会優勝によって、伝統校とは歴史を受け継ぐものではなく、新たな歴史を創る学校であると知らされた次第である。

2021年4月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5070.2021年3月31日(水) 他国を非難するばかりのアメリカの身勝手さ

 日本では絶対的に悪と決めつけられている大麻が、世界では医療目的という名目で認めている国が意外に多いことに驚いている。アメリカでは50州の内29州と首都ワシントンD.C.で医療用大麻が合法化され、嗜好品としての大麻も首都と9州で認められている。昨年12月には医療用大麻が認められていないのは僅か3州のみで、娯楽としての大麻は15州で認められている状態である。医療用大麻はカナダ、ウルグアイ、南アフリカをはじめ、ヨーロッパ8カ国や韓国などでも容認されている。韓国を除きアジアや中東諸国では大麻は合法化されていない一方で、先進国のアメリカ、カナダや、ヨーロッパなどで「悪の道への誘惑」とされている大麻が合法化されていることが不思議でならない。

 ニューヨーク州では娯楽目的の大麻使用が近く合法化される。理解出来ないのは、合法化により年間3億5千万㌦(約384億円)の税収と3~6万人の新たな雇用が見込まれると経済的プラス面ばかり楽観的に考えていることである。更に分かり難いのは、クオモ州知事が黒人やヒスパニックら人種的マイノリティーの検挙例が多いことから、大麻の合法化は長い間社会から疎外されてきたコミュニティーに正義をもたらす」と述べていることである。この論理はあまりにもナンセンスで筋が通らない。ここにも利益団体の暗躍があるのではないかと訝しく思っている。全米の大麻合法化を目指す団体「大麻政策プロジェクト」の跋扈である。アメリカで殺人武器である銃砲類の所持が禁止されないのは、全米ライフル協会が多額の政治資金を提供して政治的発言を強め、銃砲所持法の堅持を全米中に周知、普及させているのと同じ構図である。

 尤もこれは大麻だけに留まらず、日常行動においてもアメリカの悪い一面が現れることでも分かる。昨日アメリカ国務省は2020年の人権報告書を公表したが、その中で中国政府が新疆ウィグル自治区でウィグル族ら少数民族に対するジェノサイドと人道に対する罪を犯していると明記した。しかし、アメリカには自国内の人種差別や、殺人を誘発する銃砲所持を許していながら他国の人権侵害を糾弾する資格があるのかと問いたい。確かに中国の昨今の思い上がった覇権主義的言動はとても容認出来るものではないが、その前にアメリカ自身も自国の非民主主義的行動を反省し、修正すべきではないだろうか。

 最近アメリカ国内でアジア人に対するヘイトクライムから彼らに暴力的言動を冒すアメリカ人が増えているが、一昨日の真昼間ニューヨーク市内で65歳のアジア系女性が、前方から歩いて来た男性に突然襲われ、激しく殴打、蹴飛ばされ重傷を負った。悪質なのは、それを見ていたマンション管理会社のスタッフが、助けることもせずに扉を閉めたことである。この管理会社は、「アジア系アメリカ人コミュニティーに対するいかなる差別も非難する」と言ったそうだが、人種についてアメリカ人の差別意識は、いつまで経っても消えそうもない。世界のリーダー国として、アメリカ人は、他国、他国人に対して口幅ったいことを言う前に自らの身を糺すことは出来ないものだろうか。

2021年3月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5069.2021年3月30日(火) 思い出の詰まったスエズ運河再開

 大型コンテナ船が座礁したまま航行不能に陥っていたスエズ運河が、昨日漸く船が離礁して運河が再開され、周辺に足止めされていた大型船422隻も動き出しているという。このところスエズ運河の画像を観る機会が増えたので、興味深く思っていた。近著「八十冒険爺の言いたい放題」にカイロからスエズへ向かった旅について1章を書いている。スエズでは警察仮留置所に閉じこめられ、部屋から脱出して徒歩でスエズ運河を訪れ、束の間とは言え世界の大運河をこの目で見たことが懐かしい。

 私がスエズを訪れたのは54年前の1967年第3次中東戦争直後だったが、運河を見渡せるような場所ではなく、戦禍に遭ったスエズ市内の運河の入口だったので、今回の事故現場とは数十㎞離れている。それでも運河なんて普通では滅多に目にすることはない。当時を思い起こして感慨無量の思いがした。

 これから話し合わなければならないのは、補償問題らしい。コロナ禍で観光客がめっきり減りエジプトにとり最大の収入源の観光収入と並んで、国家財政を支えていた運河通航料収入の減額は極めて大きな打撃である。1隻の通航料が船のサイズにもよるが、3~5千万円と言われており、スエズ運河庁にとっては1日平均50隻が通航を遮断されたことにより約15億円の損失であると言われている。第一義的には、船の所有者である日本の船会社が保険を使って対応する可能性が高いようだが、円満解決までにはかなり時間がかかるだろう。それでも取り敢えずスエズ運河が再開されたことは、吉報であり、素直に喜びたいと思う。こう言っては顰蹙を買いかねないが、半世紀ぶりに思い込みの強いスエズ運河のニュースに触れて懐かしく思った。

 さて、昨日待望していたチャールズ・チャップリンの名画「ライムライト」をNHK・BSで録画しておいたビデオて観ることができた。1952年に製作されたチャップリン晩年の作品であるが、世界中で大ヒットして話題となった作品である。数々のチャップリン映画の中で最もその特徴を具現していると見られているこの映画には、全体に心地好いテーマソング♪テリーのテーマ♪が流れているが、同時に時代的に第1次世界大戦が勃発した1914年のロンドン市内の光景が観られて興味深かった。ストーリーとしては、道化役者チャップリンが、足を痛めて絶望的になっていたバレリーナを救い、更生させ、大劇場でプリマドンナとして復活させるまでのストーリーである。バレリーナ、テレーサが舞台で踊っている間に、彼女の恩人となった道化役者カルベロが舞台裏で亡くなって終わる愛情物語である。チャップリンの映画は、ほとんど彼自身が監督、脚本、音楽、主役を演じているが、他の「モダン・タイムス」「チャップリンの殺人狂時代」「チャップリンの独裁者」などに比べて、ハリウッドで製作した最後の作品となったこの作品こそが一番チャップリンらしい作品だと思う。

 世界大戦勃発という未曽有の暗い時代に、深刻な戦争の非情さを見せずに、市民生活の一部を涙と愛情にユーモアも交えてスクリーンに表現する演出者としてのチャップリンの類稀なる才能は余人をもって代えがたいと思う。印象的な良い映画だと思う。

2021年3月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5068.2021年3月29日(月) 96歳高齢者の3つの「独り旅」

 今朝の朝日「声」欄に紹介された神奈川県に住む96歳の男性の投書に興味を惹かれた。3つの独り旅と名付けて、高齢になってから楽しんでいる「読むこと」「書くこと」「旅すること」について書いておられる。年齢から考えてもこの読者の好奇心は素晴らしいと思う。つまり読書、作文、旅行である。旅行以外は今の若者にとっては大分欠けていることである。

 ご自身大正デモクラシーの末期、普通選挙法が成立した1925年に生まれ、満州事変勃発の31年に小学校へ入学して「内に立憲主義、外に帝国主義」時代の子だったと述べておられる。その点では、私が生まれた38年は国家総動員法の交付により、戦時体制が築かれた。そして、小学校(当時国民学校)へ入学したのが、終戦の年1945年だった。その意味では、「内外ともに帝国主義から民主主義」時代の子と言えるかも知れない。加えて、旅行会社へ勤めていた当時、旧厚生省主宰の太平洋戦争戦没者遺骨収集事業や、戦友会の戦跡慰霊巡拝団業務に約20年間も関わり、今注目を浴びているミヤンマーへ30回近くも訪れたのも戦争とは切っても切れない縁ではなかったかと感慨深く思っている。

 さて、このところ連日のようにミヤンマーのクーデターに反対する抗議デモのニュースが伝えられるが、一向にデモが収束しないことに苛立ったのか、国軍の鎮圧手段が大分荒っぽくなってきた。カチン族ら少数民族が住む山間部へ空爆したり、住民に無差別な銃撃を加えている残虐ぶりである。これについては、バイデン大統領も常軌を逸した行為だと国軍を厳しく非難した。

 このところ急激に死者が増えたのも、国軍の手荒な行動によるせいであるが、それについてひとつ気づいたことがある。昨日テレビ画像を観ていて、軍用トラック荷台に乗っていた国軍兵士が通り過ぎるオートバイに向けて突然銃を放ち、倒れた人の他に逃げようとした男性に向けても銃砲を向けたことである。はっきり言って通りすがりの住民に対して見ず知らずの人間がいきなり発砲した構図である。普段温和なミヤンマー人が不意に無防備の通行人に向けて銃撃するなんてとても考えられない。これも戦場のような殺気だった場面で、武器を手にした兵士が良心の咎めることもなく武器を使用した場面であり、戦争になって武器を手にすればブレーキが利かなくなるということを教えてくれた。同時に深く考えさせられた。手にすれば、誰にも見境なく銃口を向けるようになる銃器は、だからこそ普段は手の届かないところに厳重に格納しておくべきで、普通の市民には難しい。それがアメリカでは銃器類所持の許可さえ得れば、自宅に銃器類を所持することが許される。それが殺人を誘発することは容易に想像できる。アメリカで殺人事件が多い理由のひとつは、一般の民間人が許可さえ得れば武器、銃器を所有できる世界でもアメリカだけの特別法、殺人容認法があるからである。

 一般にアメリカは民主主義の母国であると考えている人が多いが、とんでもない誤解だと思う。アメリカ国民は他国にはない唯我独尊的な銃砲所持を容認する法律を破棄し、世界からこの市民が容易に殺人に手を染め得る恐れのある法律を放逐して欲しいと思っている。それは、アメリカ人の世界中の人びとに対する義務と責任であると思う。

 今日は近くの呑川緑道の見事な桜を見ながらウォーキングを楽しんだ。下手な一句が浮かんだ。

 桜咲く 隣の梅も 競い合い

 まだ、2,3日は大丈夫だろう。

2021年3月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5067.2021年3月28日(日) ミヤンマー軍、国軍記念日に更なる弾圧

 桜の花も今が満開の花見頃を迎えて、自宅近くの呑川(のみかわ)緑道に沿った長い桜並木が見事に花を咲かせている。生憎今朝は一時的に雨交じりの強い風が吹いていたので、散ってしまうのではないかと気になったが、昼過ぎには風雨ともに止んだ。もうしばらくの間桜を楽しませてもらえそうだ。

 さて、昨日ミヤンマー国軍記念日に首都ネピドーでは、ミヤンマー国軍が軍事パレードを行ったが。その後の式典でミンアウンフライン国軍司令官は、昨年の総選挙で不正があったにも拘らず、国民民主連盟(NLD)が放置したので、止むを得ずこのような行動を起こしたと自らを正当化し、あまつさえ「安定と安全に影響する暴力は不適切だ」と抗議のデモを見当はずれの言い方で非難する有様だった。その国軍は、普段は大人しいミヤンマー国民の間で抗議デモが収まらない腹いせだろうか、国軍は益々乱暴な手段に出てきている。軍の過激な行動に対して世界各国からも非難が浴びせられている。国軍記念日の式典にも、例年は30カ国以上の国家の代表者が出席していたが、今年は、中国とロシアを含む僅か8カ国しか出席しなかった。もちろん普段は良好な外交関係にあった日本も、駐在全権大使は出席しなかった。

 昨日は治安部隊が抗議のデモ隊に対して発砲し、クーデター勃発後1日にして最多の114人が殺害された。民家に押し入り無抵抗な住民に対して銃弾を放つなど、武器を持った兵士は正にキチガイに刃物で、普段温和なミヤンマー人らしからぬ手荒い行動に出ている。国連のグテーレス事務総長は無抵抗の子どもが虐殺されたことを強く非難し、「国際社会が結束して断固たる措置をとるよう要求する。この危機に対して緊急の解決策を見出すことが重要だ」として、国際社会が結束してミヤンマー国軍による市民への弾圧を止めさせるよう求めた。日本は茂木外相が、「ミヤンマー国軍・警察による市民に対する実力行使により27日に、これまでで最多の死者を数えるなど、ミヤンマーで多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難する」との談話を発表した。

 昨日が国軍記念日とされた経緯は、太平洋戦争が終結した1945年の昨日、それまで日本軍とともにイギリスから植民地解放のため戦っていた、南機関を主とする日本陸軍にビルマ軍が突然反抗し、日本軍との戦いに立ち上がった日である。その中心にいたのが、スーチー氏の父・アウンサン将軍だった。ヤンゴン市内の中心にボジョー・マーケットという買い物客で始終賑わっている市場があるが、ボジョーという名は「将軍」を表す言葉でアウンサン将軍を指している。ミヤンマーのすべての紙幣にもアウンサン将軍の肖像が描かれている。アウンサン将軍は独立の日を迎えることなくその前年に暗殺されたが、それほど父アウンサン将軍は、ビルマ独立の父としてミヤンマー国民から今も深く敬愛されている。スーチー氏への信頼と人気も父親に負うところが大きい。国軍としては、このままではアウンサン親娘の人気にはとても太刀打ちできないと覚悟のうえで、クーデターという強硬手段に出たのではないかと思える。

 四面楚歌に陥った国軍が頼ったのが、予想通り社会主義国とはとても言えない中国とロシアである。国連をはじめとして多くの国々から非難されているミヤンマー国軍にとっては、今や中国は覇権国家と化したが、ミヤンマーにテコ入れしたい社会主義国家を自称する中国が頼りだった。そして同じ脱社会主義国家で覇権国家のロシアもこれに同調した。人権や貿易問題で欧米など資本主義国家と対立している、覇権国家、帝国主義国家の中国とロシアが、ミヤンマーを足場にしてまた国際社会へ新たな難問を仕掛けて来るような気がして憂鬱な気分になる。

 今日は両横綱休場の中で行われた大相撲春場所が千秋楽を迎え、一時序二段まで陥落した関脇照ノ富士が3度目の優勝を果たした。これで来場所は大関への復帰が濃厚となった。メデタシ! メデタシ!

2021年3月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5066.2021年3月27日(土) バイデン大統領、中国の人権弾圧を批判

 アメリカのバイデン大統領は、25日大統領就任後初めての記者会見を開いた。トランプ大統領に比較して人柄もやや控えめなせいもあるが。今一つ存在感が薄いバイデン氏が漸く厳しい口調で中国の人権弾圧を非難した。このところ表立った民族・人種差別に基づいた米中批判、対立問題が浮かび上がり、新大統領がどんな対応をするのか注目されていた中で、我が物顔の中国の高圧的言動に対して、ひとつの楔を打ち込んだ感がする。大統領は、米中の対立について民主主義と専制主義の対立であると述べた。かつて30年前までの東西対立時代には、資本主義と共産主義の対立という表現がしばしば使われたが、資本主義という看板は今も変わらないとしても共産主義は、今では消滅し専制主義、或いは覇権主義という言葉に取って変わったような昨今の中国の変貌ぶりである。バイデン大統領は、同盟国に向けて関係強化と中国国内で起きている人権弾圧に世界各国の注意を喚起する考えを示した。

 大統領は、習近平・中国国家主席について頭の良い人物ではあるが、民主主義のかけらもなく、プーチン・ロシア大統領と同じ穴のムジナと表現した。中ロの両首脳は複雑な世界では民主主義を機能させられないと決めつけた。これに対して昨26日、中国外務省は中国の内政に介入する動きには立ち向かうと述べ、中国は優等生だが、恐らくアメリカは劣等生だと揶揄した。これまで人権弾圧に関してはアメリカが、ウィグル族、チベット族、香港統治などで厳しく批判していたが、今後中国も負けずにアメリカ国内の非民主主義的な人種差別、特に黒人蔑視を突いてくるだろう。バイデン政権も漸く声を上げてきたが、トランプ前大統領のようにアメリカ・ファーストのような自己本位で身勝手な主張だけはやめてもらいたい。

 さて、福岡国際マラソンが今年で最後になるとのニュースを知ってちょっと寂しく思っている。今年2月に行われたびわ湖毎日マラソンでは、優勝した鈴木健吾選手が日本人選手として初めて2時間4分台の日本記録を打ち立てたが、それが同マラソンの最終レースと知り有終の美を飾ったと感じていた矢先だった。横浜女子マラソンも昨年最終回を迎えた。

 中止の原因としては、やはり過大な経費が一番大きいようだ。テレビ中継もされて全国でこれらマラソンを観た人はかなりの数になると思う。だが、びわ湖毎日が毎日新聞、福岡国際が朝日新聞の巨大スポンサーが長年支援して盤石の基盤があったように見えたが、これらの伝統あるレースを中止せざるを得なくなったのは、両新聞社とも今年度は大赤字に追い込まれて身動きが取れなくなったことが大きいと思う。福岡で4度も優勝した瀬古利彦さんは、自身育てられた大会だっただけに寂しいと率直な気持ちを漏らしている。これからは招待選手と市民ランナーが一緒に走る市民マラソン形式がマラソンレースの主流になるのだろう。

 そう言えば、昭和29年の福岡国際マラソンは、当時朝日マラソンと呼ばれていて鎌倉から七里ガ浜通りを通り、我が家の裏の県道を通って戸塚で折り返して鎌倉駅前をゴールにしていた。アルゼンチンのゴルノ選手が優勝したと記憶している。自宅でラジオの実況を聴きながら先頭ランナーが近くまで来たことを知って、小雨の中を出かけて県道脇で声援したことが昔日のように懐かしい。

2021年3月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com