5071.2021年3月31日(水) 他国を非難するばかりのアメリカの身勝手さ

 日本では絶対的に悪と決めつけられている大麻が、世界では医療目的という名目で認めている国が意外に多いことに驚いている。アメリカでは50州の内29州と首都ワシントンD.C.で医療用大麻が合法化され、嗜好品としての大麻も首都と9州で認められている。昨年12月には医療用大麻が認められていないのは僅か3州のみで、娯楽としての大麻は15州で認められている状態である。医療用大麻はカナダ、ウルグアイ、南アフリカをはじめ、ヨーロッパ8カ国や韓国などでも容認されている。韓国を除きアジアや中東諸国では大麻は合法化されていない一方で、先進国のアメリカ、カナダや、ヨーロッパなどで「悪の道への誘惑」とされている大麻が合法化されていることが不思議でならない。

 ニューヨーク州では娯楽目的の大麻使用が近く合法化される。理解出来ないのは、合法化により年間3億5千万㌦(約384億円)の税収と3~6万人の新たな雇用が見込まれると経済的プラス面ばかり楽観的に考えていることである。更に分かり難いのは、クオモ州知事が黒人やヒスパニックら人種的マイノリティーの検挙例が多いことから、大麻の合法化は長い間社会から疎外されてきたコミュニティーに正義をもたらす」と述べていることである。この論理はあまりにもナンセンスで筋が通らない。ここにも利益団体の暗躍があるのではないかと訝しく思っている。全米の大麻合法化を目指す団体「大麻政策プロジェクト」の跋扈である。アメリカで殺人武器である銃砲類の所持が禁止されないのは、全米ライフル協会が多額の政治資金を提供して政治的発言を強め、銃砲所持法の堅持を全米中に周知、普及させているのと同じ構図である。

 尤もこれは大麻だけに留まらず、日常行動においてもアメリカの悪い一面が現れることでも分かる。昨日アメリカ国務省は2020年の人権報告書を公表したが、その中で中国政府が新疆ウィグル自治区でウィグル族ら少数民族に対するジェノサイドと人道に対する罪を犯していると明記した。しかし、アメリカには自国内の人種差別や、殺人を誘発する銃砲所持を許していながら他国の人権侵害を糾弾する資格があるのかと問いたい。確かに中国の昨今の思い上がった覇権主義的言動はとても容認出来るものではないが、その前にアメリカ自身も自国の非民主主義的行動を反省し、修正すべきではないだろうか。

 最近アメリカ国内でアジア人に対するヘイトクライムから彼らに暴力的言動を冒すアメリカ人が増えているが、一昨日の真昼間ニューヨーク市内で65歳のアジア系女性が、前方から歩いて来た男性に突然襲われ、激しく殴打、蹴飛ばされ重傷を負った。悪質なのは、それを見ていたマンション管理会社のスタッフが、助けることもせずに扉を閉めたことである。この管理会社は、「アジア系アメリカ人コミュニティーに対するいかなる差別も非難する」と言ったそうだが、人種についてアメリカ人の差別意識は、いつまで経っても消えそうもない。世界のリーダー国として、アメリカ人は、他国、他国人に対して口幅ったいことを言う前に自らの身を糺すことは出来ないものだろうか。

2021年3月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com