5073.2021年4月2日(金) 高齢者の医療費値上げを認めるのか?

 新年度になって我々後期高齢者の医療費が一方的に値上げされる。高齢者医療費2倍化法案である。370万人の後期高齢者が対象とされている。これは漸進的に値上げされるのではなく、今年度からいきなり2倍の医療費値上げである。後期高齢者に「昇格」した妻の分と合せて、昨年27万7千円の医療費を支払ったが、これが今年度も同じとするなら約55万円になる。値上げの理由として政府及び厚労省は、高齢者の負担増は現役世代の負担を抑えるためだとして高齢者にも応分の負担をしてもらうと説明した。だが、これは高齢者が果たした努力と積み上げた実績をあまりにも軽視するやり方ではないか。共産党の調査では現役世代の保険料負担軽減額は1人当たり年350円に過ぎず、高齢者には年数万円もの医療費窓口負担増を強いるものであると指摘し批判している。そして「年を取ることへの罰か」と手厳しい。お年寄りは早く死ねということではないか。

 毎度のことながら、自民党の政策法案には絶対的に必要と思われる福祉実現のため、或いは社会保障のためにある一定の基準の人びとへの支援策を実施する時には、狭い視点からだけしか見ず全体像と過去の経緯を見ていない。高齢者に対する福祉的な医療費負担は、これまで社会的に高齢者が尽くしてきた努力と舐めた労苦に対して心から労う意味から段階的に1割負担で酬いてきたというプロセスがある筈である。そうだとするなら将来財政面で不安があるにせよ国の社会保障費全体の中で検討されてしかるべき問題ではないかと思う。拙速な判断と一方的な措置で医療費の出入りだけで問題解決を図ろうとすることしか頭にないようだ。政治家には高齢者医療負担を自分の問題、また全体的に捉えていない政治家としての狭量と狡さがあるのではないだろうか。

 今では社会から敬遠されがちの高齢者は、黙って嫌々医療費2倍案を呑まされ、医師の診察を減らさざるを得ない点についは、2年前当時の鈴木俊彦・厚労省事務次官が、「高齢者の急増で負担しきれないという状況ではない」と必ずしも高齢者医療費を2倍に引き上げることを是として認めていなかったではないか。何事も易きに流れるのが、今の政治家の志向である。これだから国民が政治を信頼しなくなるのだ。

 さて、先月21日に新型コロナウィルス感染拡大の緊急事態宣言が解除されたが、その勢いは一向に収まるどころか、むしろリバウンドして第4波の可能性もある。解除後の1週間は感染者数が連日前週を上回っている有様である。宮城、大阪、兵庫の主要都市の感染者が増えているところでは、「まん延防止等重点措置」の適用が決まった。ところが、この感染者急増により吉村大阪府知事が唐突に、すでに始まっている東京オリンピック聖火リレーを大阪市内では中止すると発言して、組織委員会事務局も当惑している。

 世界でもコロナの変異ウィルスが猛威を振るい、1日で感染者が70万人近くも発症し、死者が1万2千人を超す有様である。1日で5万9千人の感染者が出て急速に国内事情が悪化したフランスでは、明日から3度目の外出禁止が実施されることになった。感染対策の決め手と期待していたワクチン接種が、思うように捗らず僅か国民の13%に留まっているうえに、高齢者でも予約が取り難くなった現状を指摘している。ワクチン接種については日本も当初の予定より大分遅れており、75歳以上の高齢者の我々も当初は4月に始まると期待していたが、どうやら5月中旬以降に伸びそうである。どこまでもコロナに振り回されている。

2021年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com