2628.2014年7月24日(木) まもなく新しい本が世に出る。

 今日は拙著の三校ゲラの見直しを何とか済ませていよいよ印刷に回すことになった。これまでの拙著に比べて、出版社の性格が違うせいか、結構原稿の手直しを迫られることがある。今日もメールと電話でやり取りを続けた。納得のいく文言の修正のケースなら良いが、受け入れられないような変更を求められると言い返すことにもなる。とにかくあと1カ月以内には世に出ることになる。友人たちは大分期待してくれているので、心強い。楽しみでもある。早く自分の本を手に取ってみたいものだ。

 さて、先日ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜されて、その後も現地へ派遣される調査団が機体に手を触れられなかったり、部品を隠ぺいされたり、欧米とロシアの間で責任追及について対立したり、とにかく問題が大きくなっている。今日になって台湾の西方、澎湖島で旅客機が着陸に失敗して市街地で墜落し50名近い犠牲者を出した。これは悪天候によるものと見られている。と思ったら、西アフリカでブルキナファソの首都ワガドウグからアルジェリアの首都アルジェへ向かっていたアルジェリア航空機がマリ上空で行方不明となった。マリでは昨年イスラム武装勢力がフランス軍との間で紛争があり、まだ詳細について報道はないが、事故なのか、事件なのか、いろいろな思惑が広がっているようだ。

 また、中国で食品安全に関わる事件が発生した。日本でも大分影響を被りそうで、マクドナルドやファミリーマートが被害に遭った。中国の食品業界には感覚的にどうかと思える常識があり、衛生観念に欠けている。食品工場内の従業員の会話を聞いていると、自分たちは食べないせいか、腐っても死なないなど不届きな発言がある。数年前にも中国からの輸入ぎょうざが食品中毒事件を起こした。日本の食品業界にとっては、中国はなくてはならない食料品供給国だとすると、検査を中国だけに任せることなく、日本側でもチェックすることを考える必要があるのではないか。

2014年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2627.2014年7月23日(水) 拙著タイトル「南太平洋の剛腕投手」に決定

 今日は24節気の大暑に当たり、暑い、暑い。それもそのはずである。全国にある観測点925か所の内何と528か所で真夏日の30℃を超え、17か所で猛暑日の35℃を超えたという。このところテレビで熱中症の注意と警報ばかりである。

 さて、昨日拙著のタイトル変更について書き込んだばかりだが、現代書館と話合った末今日「南太平洋の剛腕投手」ということに決めた。赤道以北にある旧トラック島を南太平洋と呼ぶことに若干抵抗があり、編集者にその旨伝えたが、それは理解できるが戦前から旧トラック島を含む南洋群島を南太平洋と呼ぶことに間違いはないとの確証を得たと言う出版社の言い分と、彼らの営業サイドの意見に押し切られた。サブ・タイトル「日系ミクロネシア人の波瀾万丈」のミクロネシア人ということから、南太平洋がミクロネシア、つまり旧トラック島であることは明白になると説得された。まぁ、こういうことなら良いと納得して受け入れることにした。

 ただ、ススム・アイザワ大酋長は現役時代は必ずしも剛腕投手ではなかった。それは実績によっても分かるし、佐々木信也さんもそう言っていた。むしろその剛腕とは、プロ野球を辞めてから旧トラック島へ帰ってからの政治的、社会的活動に因んで名づけたものである。

 さぁ、これで正式にタイトルが決まった。もう2度と変更することはあるまい。

 ところで、昨22日あの「世界遺産」モン・サン・ミッシェルで式典があった。島と陸地の間に橋が架けられたのだ。これまでは干潮時に海水が退き島と陸地が繋がって歩いて行ける。そして満潮時には島と陸地の間が海水で満たされ、島が浮かぶような光景が見られた。それが近年満潮時でも島と陸地の間が繋がったような状態になっていた。この橋の完成によりモン・サン・ミッシェルが本来の島の形を毎日見られることになった。

 2001年にここを訪れた時、中々の風物だと見たが、当時からすでに島と陸地の間に土砂が堆積しつつあったのだ。今改めてモン・サン・ミッシェルを思い出すと、その近くのしっとりとした小さな漁港の街オン・フルール、映画で知られたシェルブール、象の鼻の形をしたエトルタを始め、ドーヴィルの名門「ホテル・ノルマンジー」に宿泊した体験などが懐かしい。機会さえあれば、いつかもう一度あの世界遺産の島を、完成した橋を歩いて渡って訪れてみたい。

2014年7月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2626.2014年7月22日(火) 再び拙著のタイトル変更

 今日はびっくりした。アポイントを取って現代書館で担当者の福田氏と拙著の三校ゲラの付き合せ、修正を行った。いくつかの話し合いと微修正はあったが、1時間半程度で終えた。その後代々木のJAPAN NOW観光情報協会へ回り、のんびりその話をしていた。

 ところが、帰宅してゲラの原稿をチェックしていて福田氏と話していた時に、同社菊地社長が私と話したいということだった。それが驚愕の始まりだった。

 菊地社長から唐突にタイトル「野球大酋長」を取りやめて他のタイトルに代えられないかという驚くべき要請があった。一瞬何が何だか分らなかった。現在のタイトルに代えたのは、今月10日である。しかもその提案者が菊地社長だったからである。まだ、この変更を伝えていない友人たちが大勢いる。それが、2週間も経たない内に、また本の命である書名を代えようというのである。その理由は、「大酋長」という言葉が差別用語に当たる可能性があると、ある新聞社が拙著の広告掲載を断って来たことにある。もとより私自身表現や気持ちに差別の意図はまったくない。しかし、このまま他のメディアでも同じような理由で拒絶されるようだとトラブルが拡大する恐れがあり、それ自体本意ではないので、止むを得ず菊地社長の意を受け入れ、タイトル変更を呑むことにした。上梓を1カ月以内にもなってこんな事態が発生したのは青天の霹靂である。

 拙著で使用した「酋長」という表現は、決して差別の意を含んではいない。現地では戦前から差別のような意味はまったくなく、むしろ自然な表現として現地島民の間に根付いている。当の「大酋長」ですら何の躊躇もなく、この表現を使っていた。相澤大酋長は私にも大酋長という言葉を使った。 

 しかし、書物の出版という現実問題として考えると、差別のあるなしに関わらず、今後拙著を宣伝するうえでこのネーミングを拒否される可能性があるとするなら、突っぱねているわけにはいかない。新しいタイトルを考えることにした。

 これから新タイトルを考えるのは、そう簡単ではない。中々一筋縄でいかないのが、「ヒット商品」の製作過程だと思いたい。

2014年7月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2625.2014年7月21日(月) 傲岸不遜の安倍首相とその取り巻き

 二男家族4人とともにご先祖の墓参りをした。来月奈良市内の病院で長男が腎臓の摘出手術を行うので、手術の成功と回復を祈って、中野にある近藤家の宝仙寺と妻川手家の多磨墓地へ出かけた。長男は知り合いの医師の言葉を信じて手術をあまり深刻に考えていないようだが、当人以上に周囲の方がよほど気になるものだ。入院中に妻と日帰りで見舞いに行くつもりだが、無事に終わってくれることを祈るばかりである。

 さて、最近の安倍首相のわがもの顔の振る舞いと、安倍政権の家老どもの厚顔ぶりは何とかならないものだろうか。一昨日には、九州電力会長ら九州財界人との会合で、首相は出席者から九電川内原発の早期再稼働を何とかして下さいとの要請に対して「川内は何とかしますよ」といとも軽く応えたという。相も変わらず原発再稼働に前向きな姿勢を表している。再稼働には住民の賛意を得るとの約束なんかまるで念頭になく、自分がやってみせると言わんばかりである。

 7年前に参院選挙で敗れて首相の座を投げ捨てた時の、しょぼくれた安倍首相が一昨年首相の座へ返り咲いてからの強気一辺倒の政局運営ぶりは、中々やるものだと思わせた。しかし、そこには国民感情を無視して自ら思うがままに振る舞う政権運営ぶりは、謙虚さがまったく見られず、7年の間によくもこれほど傲慢に性格が変わるものだと呆れるばかりである。やはり苦労知らずの甘ったれた世間知らずのお坊ちゃんだ。

 今朝の朝日には民主党時代に財務大臣を務め、2012年に引退した藤井裕久氏が、消費増税のやり方が乱暴だと言い、法律違反を平気で犯す狼藉を働いていると厳しく非難している。一昨年3月に民主党政権が提出した消費増税法案は、民主、自民、公明3党の修正協議で合意したもので、目的税化を目指し、「消費増税は年金、医療、介護の社会保障給付並びに少子化に対処する施設の経費に充てる」とされた。それが、財界のご機嫌取りのため、法人税の実効税率を下げる方針が財源の確保もなしに決められた。本来の消費増税の目的税が目的外税に使われる可能性を秘めている。

 これは、何も野党実力者の批判ばかりでなく、去る18日の朝日「オピニオン」のインタビューに、2003年に政界を引退したが、かつての自民党の剛腕幹事長・野中広務氏が「老兵は闘う」として、安倍政権に対して厳しい批判をしている。その照準は集団的自衛権であり、その決定の手順である。

 野中氏の指摘は厳しい。「内閣の解釈で憲法の基本を変えるなんて本末転倒」「タカ派とハト派のバランスを保ってきた自民党から多様性が失われた」「戦争がどれだけ深い傷痕を残したか。もっと謙虚に検証してほしい。『戦後レジームからの脱却』と言って歴史を消してしまうやり方は間違っている」。

 一事が万事、安倍政権のやることには筋が通らない。一強多弱の国会の勢力図がこのままである限り、この傲慢政治は続くことだろう。

 同じようなタイプだった、亀井静香氏や古賀誠氏も安倍首相のやり方に批判的であるが、安倍首相や菅官房長官らは、この批判に対してすでに政界を去った老人たちと見て、歯牙にもかけない状態である。こういう謙虚さがない傲慢さが現政権の看板となった。一日も早く現状を正す必要がある。

2014年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2624.2014年7月20日(日) スコットランドがイギリスから独立か。

 国内の秩序が比較的安定していると思われていたイギリスで、このところスコットランドの独立問題が一部で話題となっているようだ。今注目を集めているのは、The United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandからスコットランドが分離独立する問題である。9月に行われる住民投票によって、そのままイギリスに残るか、或いは分離独立するかが決まる。

 寡聞にして知らなかったが、今からちょうど700年前スコットランド軍がイングランド軍を破ったバノックバーンの戦いの結果、その後約400年近くの間スコットランドは独立国だった。その後イングランドに統合され、現在のような1国4地域になったのは、第1次世界大戦が終わった後の1922年だった。従って、再び独立旋風が巻き起こっても一向に不思議ではない。ただ、近年イギリスにはそのような空気は感じられなかった。それが、スコットランド側にそれなりの理由があった。実は、スコットランドはイギリスの税収の9.5%を納めているのに対して、支出の9.3%しか戻ってこないことである。しかし、スコットランドがイギリスと事を構え、挙句に独立を言いだすとなるとイギリスだけの問題ではなく、国際的にも大きな問題である。スコットランドはイングランドとは地続きであり、経済的にも影響が大きい。最大の問題は、中央銀行と通貨である。スコットランドには中央銀がない。首都はエジンバラになるであろうが、そこに新たに中央銀行を設立する話もない。それ故自国通貨を発行する機関がない。世論調査では独立賛成派34%に対して、反対派が45%もいる。しかも、その差は広がるばかりなのである。現状は独立派の旗色は悪い。

 イギリスの通貨はポンドである。スコットランドは独立してもそのままポンドを使いたいと言っているが、イギリス政府は仮にそうなったら断じて使わせないと言っている。こうなるといかに住民投票で独立派が勝ったとしても、思惑通り独立国家となって機能を駆使できるのか気になるところである。

2014年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2623.2014年7月19日(土) 航空機撃墜とロシアの関わり合い

 一昨日のマレーシア航空機を撃ち落とした事件を考えていると、1983年9月にサハリン沖で大韓航空機がソ連空軍機によって撃墜された事件をまざまざと思い出す。ちょうどあの事件直後に、全国の高校教員から成る文部省教員海外派遣団に添乗して、東ドイツ、スイス、アメリカのエバレット(ワシントン州)の教育機関及び学校を1カ月に亘って視察した。

 当時東西冷戦中で分割された共産圏の東ドイツのベルリンからポツダム、ドレスデンへ寄った後、学校訪問都市のカール・マルクス・シュタット(現ケムニッツ)を訪れた。そこのホテルで真っ暗闇のエレベーターに乗った時、ホテルのスタッフに大韓航空機墜落事件についてそっと尋ねてみた。驚いたことに何と彼は世界に衝撃を与えたこの撃墜事件をまったく知らなかった。そのこと自体大きなショックだった。すでに事件発生から半月以上も経過していて、世界中の誰もが知っている筈だと思っていた。だが、厳しい情報管理下にあった旧社会主義国家では、自国の失態と自国にとって都合の悪い情報は徹底的に隠ぺい工作を行っていた。それが実態だった。国民が知るわけもなかったのだ。

 当時の東ドイツには社会主義の盟主ソ連の申し子として、国内に厳しいカーテンが敷かれていた。学校訪問では質疑応答に際し、終始我々に付き添い監視役を務めていた州の国民教育部国際関係局の眼光鋭い目付役ヴェルナー氏からひとつひとつ了解を得るとか、返礼パーティの招待者は、招待する日本側が選ぶのではなく彼が人選するという塩梅だった。戦前のゲシュタポのような秘密警察監視の下に学校見学を行うという、実に窮屈で張り詰めた空気の中の教育研修だった。尤も29名の先生が全員男性だったわが教育視察団も、東ドイツばかりでなく、スイス、アメリカの学校訪問でも異様に映ったようだった。

 あの時代あのように自由を束縛し、厳しく国民を監視する社会主義体制の悪しき一面が、現代の社会主義国家、ロシアや中国には今でも少なからず残されている。根本的には、東西対立時代の社会主義の制度自体は潰えたとは申せ、ロシアと中国には今また悪夢だった残滓が密かに復活しつつあることは間違いない。自由を抑圧し国家管理体制を強化する動きが、自国のみならず、他国までも破壊しようとする行動に繋がることには、ロシアが何と言い逃れをしようとも絶対に許されることではない。

 プーチン大統領はウクライナに紛争が存在することが、このような事件を起こしたなどと的外れの持論を展開し、ロシアの責任回避を主張しているが、ロシアが重大な責任を負っていることはいくつかの明白な証拠によって次第に明らかにされていくことだろう。ロシアこそが、ウクライナ親ロ派武装勢力を支援し彼らを破滅的行動に駆り立てた責任を負っている。ロシアは素直に今回の事件を謝罪し、責任を取ったうえで、即刻ウクライナから手を引くことが、唯一の解決法であることを知るべきである。

2014年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2622.2014年7月18日(金) マレーシア機撃墜とイスラエルのガザ自治区侵攻

 先日小中陽太郎さんにお会いした時、ゾルゲ事件についてドキュメントを書き始めたと言っておられた。そこで、作品の登場人物のひとりになるだろう山崎洋さんに、先日会ったばかりだとお話ししたところ、随分残念がっておられた。できるだけ生き証人か、或いは生き証人に近い人に取材して資料や情報の提供を得た方が内容も充実し、リアリズムが濃く表れてくる。

 今日小中さんからいただいたメールによると、まだどういう構想で作品を仕上げるかについては明確ではないらしい。ご自身が戦前、戦中に上海におられたので、ゾルゲや尾崎秀実の上海生活とダブラせられることがあるようだ。ストーリーは、山崎さんの母上が能楽堂で初めてブーケリッチ氏に出会った場面をスタートとされるという。早速ベオグラードの山崎さんに協力方を連絡したところ、好意的に次回訪日の際小中さんとも会って話をしたいとメールを送ってきた。 

 さて、今日の世界的ニュースはマレーシア航空機がウクライナで撃墜され、搭乗者298名が亡くなったことと、休戦明けのパレスチナのガザ自治区でイスラエルが地上侵攻作戦を開始したことである。

 前者は、ウクライナ・ドメツク地区の親ロ派武装勢力が、地対空ミサイル砲で撃ち落としたとウクライナ政府が公式に発表した。南米から帰ったばかりのロシアのプーチン大統領も流石に暗い顔で、ウクライナで戦争が起きなければこんな事故は起こらなかったなどという見当違いの言い訳を述べた。いくら言い訳を言っても無防備の民間航空機をミサイルでズドンとやったのだから、世界中の非難がロシアに向けられるのは当然である。親ロ派幹部は、事件はウクライナの陰謀だと関与を否定しているが、親ロ派武装勢力が使ったミサイルはロシア製であり、噂によると彼らは事故の解明の証拠品であるフライト・レコーダーまで持ち去ったらしい。国連も事故調査のために国際委員会を立ち上げるという。ロシアの立場はいよいよ苦しくなった。

 後者は、イスラエルによる地上攻撃が加えられ、ガザ地区で多くのパレスチナ人に犠牲者が出ている。この度の衝突では紛争の仲介者、エジプトのシーシ政権もアメリカも本腰を入れて解決へ導こうとの気持ちが感じられない。シーシ政権にとっては憎むべきイスラム同胞団のハマスに同情できない。また、アメリカも奥歯に物が挟まったような発言しか聞かれない。ケリー国務長官には、イスラエルにはテロリストの脅威に対して自衛する権利があるなどとイスラエルに肩入れした発言が目立つ。よほどハマス側が屈服でもしなければ、これでは解決しまい。そうだとすると戦闘もまず収まる可能性はない。

 イスラエルもパレスチナも訪れた経験から考えると、何事もないような顔つきをしていた両国国民が可哀そうでならない。

2014年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2621.2014年7月17日(木) 原発再稼働の論理

 予想通り今朝の新聞は川内原発1、2号機が新検査基準に合格したことを大きく取り上げている。菅義偉官房長官が「原発が稼働していないことによって、4兆円近い国富が毎年海外に流れている。国内で企業が安心して活動するには安定したエネルギーが必要だ」と原発亡者のように語ったが、その前に関西電力大飯運転差し止めを命じた福井地裁判決は、原発停止は貿易赤字を増やし、国富流出につながるという指摘に対して「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富である」と言い放った。不遜な官房長官の「人命より原発が必要」の本音に対して、見事に面一本を浴びせている。他にも、財界の2人の無責任男のコメントを紹介する。

 まず、日本商工会議所三村明夫会頭は「待ちに待った。1つの大きなステップが前に進んだ。高く評価する」と福島原発の被災者の心情を斟酌することもなく手放しの喜びようである。もうひとりは経済同友会長谷川閑史代表幹事の「再稼働はようやく成長軌道に乗りつつある日本経済の持続的成長に不可欠だ」という、金儲けだけを考え人間への思いやりはまったく配慮しない発言である。こういう金の亡者にとっては、人命は二の次なのだ。彼らの周辺では、早くから原発再稼働ありきの空気が作られてきた。

 これら原発稼働派に対して批判的な朝日の関連見出しを片っ端から挙げてみよう。「政権 再稼働加速へ」「川内原発 新基準に初の『適合』」「責任あいまいなまま」「避難計画 審査の対象外」「教訓置き去り」「規制委、見切り合格―川内原発再稼働へ」「『安全とは言わぬ』審査に限界」「政権、反省より成長戦略」「審査1年再稼働へ先例」「地震・津波想定厳しくしたけれど 巨大噴火見極めに疑問」「『メルトダウン』どう防ぐ? 電源・冷却確保義務づけ」「事故対策手薄なまま」「福島の痛み 忘れたか」「被災者 怒りと諦め」「再稼働 消せぬ不安」「揺れる地元『複雑です』」「基準に合うか否かだけ。納得しない」。

 そして社説では6段に亘って「原発再稼働を問う『無謀な回帰に反対する』」として、原発再稼働に対して徹底的に反論を展開している。

 菅官房長官にしても、財界のお偉方にしても、自分たちは放射線の危険の外に生活しながら、日本経済の減速を心配するような発言を繰り返しているが、その実自分の存在感の向上と自身の利益のためだけに発言しているのではないか。被災者の立場に立って発言することをせず、必ずや起きるであろう第2の福島の危険を防護できないからこそ、努力しないで楽な生活を送る算段ばかり考えた発言を繰り返しているだけではないのか。

 突き詰めれば、経済至上主義と利己主義が原発再稼働を擁護する発言をさせているだけではないか。

 今夕の朝日「素粒子」はこう言っている。「規制委は安全とは言わず。国は審査に通れば動かす。電力と自治体は国に従う。かくて責任の2文字は宙に浮き」。

2014年7月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2620.2014年7月16日(水) 川内原発新規制基準クリア、再稼働か。

 イスラエルとパレスチナ・ガザ地区のイスラム原理主義組織「ハマス」との戦闘が激しさを加えている。ガザ地区の住民の間でイスラエル空軍機の攻撃により多数の死者が出た。局地戦ではあるが、戦闘はエスカレートする一方である。

 2008年と2012年の衝突では、アメリカやエジプトの調停により短期間のうちに戦闘は収まった。だが、今回はエジプトの提案にも拘わらず、ハマス側に受け入れる気持ちがない。ひとつには、停戦案を提案したエジプトのシーシ現政権が、軍事クーデターによりハマスと同じ母体のイスラム同胞団のモルシ前大統領派を排除したことからシーシ大統領の調停を受け入れる気持ちがなかったからである。2つ目は2005年にガザ地区を撤退した際の条件が、ハマス側にとって極めて不利だったとの思いがあるからである。

 案の定イスラエルは停戦案を一旦受け入れたが、ハマスが拒否したため、イスラエルはこれを撤回し、軍事行動を再開する形になってしまった。イスラエルには、ガザ地区はあくまで自国領土であるとの強いこだわりがあり、この先対立はどこまで進むのか予測がつかない。エジプトの停戦案が受け入れられず、残るのはアメリカの停戦、休戦提案しか考えられないところだが、アメリカも最近ではひと口に言えば国力の低下というところだろうか、各地で積極的に自国案を示して対立を緩和させようとの気持ちが強く感じられない。

 衝突の遠因を辿れば、長い歴史上のユダヤとアラブの対立にあるが、宗教的な対立から政治的な対立をもたらした。今では宗教的な原因より、むしろ民族間の政治的対立が衝突の大きな要因になっている。

 わが国でも隣国の中国や韓国との対立が徐々に激しくなっているが、ガザ地区の戦闘を対岸の火山視せず、お互いを思いやる気持ちをお互いに示すことができないものだろうか。

 13日から靖国神社で始まった「みたままつり」に、安倍政権の5人の閣僚が提灯を献灯したことに対して、早速韓国外務省が敏感に反応しその行為を批判したが、こういう微妙な日韓、日中関係の中で波紋を投じるような行動をどうして影響力の強い閣僚ともあろうものが、わざわざ行うのか。昨年12月に安倍首相が靖国神社へ参拝して、中韓のみならずアメリカからも批判を浴びたことをもう忘れたのだろうか。顔ぶれを見てみると彼らの行動には、英霊を敬うという真摯な気持ちより、パフォーマンスとか、軽率のそしりという感がしている。これに対して韓国政府もいつも通りすぐに病的な反応を示す。どうしてお互いにもう少しゆったりした気持ちで、相手の立場を考えることができないのだろうか。

 これでは英霊も安らかに眠っていられないのではないか。

 さて、原子力規制委員会は今日九州電力川内原発の適合審査の結果を発表した。新基準に適合しているとして合格のお墨付きを与えた。今後地元自治体の同意さえ得られれば、再稼働が可能とされる。ただし、田中俊一・規制委員会委員長は、「安全の基準ではなく、新たな規制基準について適合していると審査した」と述べていた。安全性について審査しているわけではないと言った。ところが、政府を始め、財界、鹿児島県自治体はこの結果を再稼働ゴーと勝手に判断し、日本中に原発反対の空気が流れている中で、敢えて原発を稼働させようとしている。

 しかし、この新規制基準とは設備、施設の故障から生まれる施設の危険度を指しているものだ。自然災害の地震、津波などに備える防護設備・対策も整備されることが求められた。だが、果たして100%安全だと言えるだろうか。例えば、川内原発の近くには活火山・桜島がある。仮に爆発した場合の備えは必ずしも充分と言えるものではない。いつかは第二の福島が起きる。それでも拙速に原発再稼働を今秋には進めようとしている。

 再稼働ありきなのである。日本の原発政策は明らかに間違っている。

2014年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2619.2014年7月15日(火) 沖縄返還密約文書開示訴訟に理不尽な最高裁判決

 昨日最高裁で原告の上告棄却という厳しい判決があった。あの沖縄返還を巡る密約文書開示訴訟である。1972年沖縄返還時に日米両政府が交わした密約文書を巡り、当時毎日新聞記者だった西山太吉氏が国と争っていた裁判である。ここに至るまで一審、二審とも過去に密約文書が作成されたことは認めていた。国が嘘をついていたことは司法が認めていたのだ。それが国が事実を否定しながらもアメリカの文書公開によって隠ぺいされた事実が暴露され、当時の吉野文六外務省アメリカ局長でさえ密約の事実を告白していながら、その密約文書を廃棄した国の対応を糾弾するより、司法が行政側の廃棄などを理由に不開示とした文書について訴えを起こした市民原告の側に存在の立証責任を課したとはどういうことだろうか。これでは、先般の集団自衛権について憲法解釈を変更することと同じことではないか。少しずつ道を間違え、日本を安倍の好む形へ模様替えさせようとしている。

 関係者が懸念しているように、今後これが悪い前例となり意図的に重要書類を「廃棄」しても、廃棄が不開示の理由として使われ、その責任は追及されることがないということになりかねないのではないだろうか。これでは自分たちにとって都合の悪い文書は、国によってすべて廃棄される恐れがある。この判断は、はっきり言って司法が行政の言いなりになるということであり、三権分立の精神を著しく脅かすものであって、民主主義の根幹を揺るがしかねない暴挙に等しいと断じざるを得ない。

 これによって安倍政権は、益々図に乗り右傾化へ向かって鞭を入れて突っ走ることだろう。わが日本の将来も段々危なくなってきた。

 今日はペンクラブの仲間が寄り集まってペンの現状に対する問題点を話合った。その中心は理事の小中陽太郎さんと同じく昨年まで理事を務めていた大原雄さんである。小中さんには昨日の最高裁の判断について尋ねてみたが、もちろん理不尽さに大いに不満を漏らしておられた。小中さんは以前から西山太吉さんの支援活動を行っており、昨日もテレビ・ニュースでは西山さんの背後に映っていた。

 今日の寄りあいでは、ペン電子文藝館委員会の在り方、及び委員長の対応、そして今日の理事会における委員長の退任決議について文藝館委員からじっくり話を伺った。聞けば、電子文藝館の著作権の件に関してペン理事がアメリカまで出かけてグーグルと結んだ契約が20万$の金額面を含めて妥当なのかどうか、ほとんどの会員は知らされていない。その点が問題視された。今日の話しの内容から考えると、ペンも少し構造改革をしないといけないと感じた。

 今日一番びっくりしたのは、渡辺勉・平原社社長が、60年安保闘争時に全学連書記長として全学生団体を束ねていたリーダーの清水丈夫さんをよくご存じだということだった。清水さんが一時渡辺さんの名前を語らっていたことがあるとも伺い、そんなに親しい仲だったとはまさに青天の霹靂である。清水さんは高校ラグビー部の1年先輩で大学入学時には学生運動に誘われた。これまで清水さんを噂でご存じの人には会ったことはあるが、現実によく知っている人に会ったのは初めてである。渡辺さんにはこれまでも何度もお会いしていたが、そんな話をしたこともなかった。今度お会いしたらまた清水さんについてもっと話し合ってみたいと思っている。

2014年7月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com