今日はびっくりした。アポイントを取って現代書館で担当者の福田氏と拙著の三校ゲラの付き合せ、修正を行った。いくつかの話し合いと微修正はあったが、1時間半程度で終えた。その後代々木のJAPAN NOW観光情報協会へ回り、のんびりその話をしていた。
ところが、帰宅してゲラの原稿をチェックしていて福田氏と話していた時に、同社菊地社長が私と話したいということだった。それが驚愕の始まりだった。
菊地社長から唐突にタイトル「野球大酋長」を取りやめて他のタイトルに代えられないかという驚くべき要請があった。一瞬何が何だか分らなかった。現在のタイトルに代えたのは、今月10日である。しかもその提案者が菊地社長だったからである。まだ、この変更を伝えていない友人たちが大勢いる。それが、2週間も経たない内に、また本の命である書名を代えようというのである。その理由は、「大酋長」という言葉が差別用語に当たる可能性があると、ある新聞社が拙著の広告掲載を断って来たことにある。もとより私自身表現や気持ちに差別の意図はまったくない。しかし、このまま他のメディアでも同じような理由で拒絶されるようだとトラブルが拡大する恐れがあり、それ自体本意ではないので、止むを得ず菊地社長の意を受け入れ、タイトル変更を呑むことにした。上梓を1カ月以内にもなってこんな事態が発生したのは青天の霹靂である。
拙著で使用した「酋長」という表現は、決して差別の意を含んではいない。現地では戦前から差別のような意味はまったくなく、むしろ自然な表現として現地島民の間に根付いている。当の「大酋長」ですら何の躊躇もなく、この表現を使っていた。相澤大酋長は私にも大酋長という言葉を使った。
しかし、書物の出版という現実問題として考えると、差別のあるなしに関わらず、今後拙著を宣伝するうえでこのネーミングを拒否される可能性があるとするなら、突っぱねているわけにはいかない。新しいタイトルを考えることにした。
これから新タイトルを考えるのは、そう簡単ではない。中々一筋縄でいかないのが、「ヒット商品」の製作過程だと思いたい。