昨日最高裁で原告の上告棄却という厳しい判決があった。あの沖縄返還を巡る密約文書開示訴訟である。1972年沖縄返還時に日米両政府が交わした密約文書を巡り、当時毎日新聞記者だった西山太吉氏が国と争っていた裁判である。ここに至るまで一審、二審とも過去に密約文書が作成されたことは認めていた。国が嘘をついていたことは司法が認めていたのだ。それが国が事実を否定しながらもアメリカの文書公開によって隠ぺいされた事実が暴露され、当時の吉野文六外務省アメリカ局長でさえ密約の事実を告白していながら、その密約文書を廃棄した国の対応を糾弾するより、司法が行政側の廃棄などを理由に不開示とした文書について訴えを起こした市民原告の側に存在の立証責任を課したとはどういうことだろうか。これでは、先般の集団自衛権について憲法解釈を変更することと同じことではないか。少しずつ道を間違え、日本を安倍の好む形へ模様替えさせようとしている。
関係者が懸念しているように、今後これが悪い前例となり意図的に重要書類を「廃棄」しても、廃棄が不開示の理由として使われ、その責任は追及されることがないということになりかねないのではないだろうか。これでは自分たちにとって都合の悪い文書は、国によってすべて廃棄される恐れがある。この判断は、はっきり言って司法が行政の言いなりになるということであり、三権分立の精神を著しく脅かすものであって、民主主義の根幹を揺るがしかねない暴挙に等しいと断じざるを得ない。
これによって安倍政権は、益々図に乗り右傾化へ向かって鞭を入れて突っ走ることだろう。わが日本の将来も段々危なくなってきた。
今日はペンクラブの仲間が寄り集まってペンの現状に対する問題点を話合った。その中心は理事の小中陽太郎さんと同じく昨年まで理事を務めていた大原雄さんである。小中さんには昨日の最高裁の判断について尋ねてみたが、もちろん理不尽さに大いに不満を漏らしておられた。小中さんは以前から西山太吉さんの支援活動を行っており、昨日もテレビ・ニュースでは西山さんの背後に映っていた。
今日の寄りあいでは、ペン電子文藝館委員会の在り方、及び委員長の対応、そして今日の理事会における委員長の退任決議について文藝館委員からじっくり話を伺った。聞けば、電子文藝館の著作権の件に関してペン理事がアメリカまで出かけてグーグルと結んだ契約が20万$の金額面を含めて妥当なのかどうか、ほとんどの会員は知らされていない。その点が問題視された。今日の話しの内容から考えると、ペンも少し構造改革をしないといけないと感じた。
今日一番びっくりしたのは、渡辺勉・平原社社長が、60年安保闘争時に全学連書記長として全学生団体を束ねていたリーダーの清水丈夫さんをよくご存じだということだった。清水さんが一時渡辺さんの名前を語らっていたことがあるとも伺い、そんなに親しい仲だったとはまさに青天の霹靂である。清水さんは高校ラグビー部の1年先輩で大学入学時には学生運動に誘われた。これまで清水さんを噂でご存じの人には会ったことはあるが、現実によく知っている人に会ったのは初めてである。渡辺さんにはこれまでも何度もお会いしていたが、そんな話をしたこともなかった。今度お会いしたらまた清水さんについてもっと話し合ってみたいと思っている。