イスラエルとパレスチナ・ガザ地区のイスラム原理主義組織「ハマス」との戦闘が激しさを加えている。ガザ地区の住民の間でイスラエル空軍機の攻撃により多数の死者が出た。局地戦ではあるが、戦闘はエスカレートする一方である。
2008年と2012年の衝突では、アメリカやエジプトの調停により短期間のうちに戦闘は収まった。だが、今回はエジプトの提案にも拘わらず、ハマス側に受け入れる気持ちがない。ひとつには、停戦案を提案したエジプトのシーシ現政権が、軍事クーデターによりハマスと同じ母体のイスラム同胞団のモルシ前大統領派を排除したことからシーシ大統領の調停を受け入れる気持ちがなかったからである。2つ目は2005年にガザ地区を撤退した際の条件が、ハマス側にとって極めて不利だったとの思いがあるからである。
案の定イスラエルは停戦案を一旦受け入れたが、ハマスが拒否したため、イスラエルはこれを撤回し、軍事行動を再開する形になってしまった。イスラエルには、ガザ地区はあくまで自国領土であるとの強いこだわりがあり、この先対立はどこまで進むのか予測がつかない。エジプトの停戦案が受け入れられず、残るのはアメリカの停戦、休戦提案しか考えられないところだが、アメリカも最近ではひと口に言えば国力の低下というところだろうか、各地で積極的に自国案を示して対立を緩和させようとの気持ちが強く感じられない。
衝突の遠因を辿れば、長い歴史上のユダヤとアラブの対立にあるが、宗教的な対立から政治的な対立をもたらした。今では宗教的な原因より、むしろ民族間の政治的対立が衝突の大きな要因になっている。
わが国でも隣国の中国や韓国との対立が徐々に激しくなっているが、ガザ地区の戦闘を対岸の火山視せず、お互いを思いやる気持ちをお互いに示すことができないものだろうか。
13日から靖国神社で始まった「みたままつり」に、安倍政権の5人の閣僚が提灯を献灯したことに対して、早速韓国外務省が敏感に反応しその行為を批判したが、こういう微妙な日韓、日中関係の中で波紋を投じるような行動をどうして影響力の強い閣僚ともあろうものが、わざわざ行うのか。昨年12月に安倍首相が靖国神社へ参拝して、中韓のみならずアメリカからも批判を浴びたことをもう忘れたのだろうか。顔ぶれを見てみると彼らの行動には、英霊を敬うという真摯な気持ちより、パフォーマンスとか、軽率のそしりという感がしている。これに対して韓国政府もいつも通りすぐに病的な反応を示す。どうしてお互いにもう少しゆったりした気持ちで、相手の立場を考えることができないのだろうか。
これでは英霊も安らかに眠っていられないのではないか。
さて、原子力規制委員会は今日九州電力川内原発の適合審査の結果を発表した。新基準に適合しているとして合格のお墨付きを与えた。今後地元自治体の同意さえ得られれば、再稼働が可能とされる。ただし、田中俊一・規制委員会委員長は、「安全の基準ではなく、新たな規制基準について適合していると審査した」と述べていた。安全性について審査しているわけではないと言った。ところが、政府を始め、財界、鹿児島県自治体はこの結果を再稼働ゴーと勝手に判断し、日本中に原発反対の空気が流れている中で、敢えて原発を稼働させようとしている。
しかし、この新規制基準とは設備、施設の故障から生まれる施設の危険度を指しているものだ。自然災害の地震、津波などに備える防護設備・対策も整備されることが求められた。だが、果たして100%安全だと言えるだろうか。例えば、川内原発の近くには活火山・桜島がある。仮に爆発した場合の備えは必ずしも充分と言えるものではない。いつかは第二の福島が起きる。それでも拙速に原発再稼働を今秋には進めようとしている。
再稼働ありきなのである。日本の原発政策は明らかに間違っている。