一昨日の朝日夕刊一面に四段抜き、写真入りで「江戸城天守閣・再建の夢」と題して、私も所属する認定NPO法人「江戸城天守を再建する会」の活動と、小竹直隆理事長のコメントがかなり詳細に解説掲載されていた。
天守閣の再建は、創建時と同じ木造により現存する石垣の上に高さ59mの5階建て城郭を建設する構想である。幸い正確な図面が残されており、これに基づいて広島大学三浦正幸教授がCGで当時の姿を再現した。そのビデオは私も2度ばかり拝見した。再建に掛かる概算費用は実に350億円と考えられているが、大阪城や名古屋城天守閣が一般の寄付で再建された例もあり、東京の、また日本の観光資源として東京駅に近いその立地の良さも生かせれば、一般や企業からの寄付金も期待できるので建設費用を賄うのはそんなに難しいとは思えない。それより何よりその経済効果は抜群だと思う。
問題は、建設予定地が皇居敷地内にあり頭の堅い宮内庁がすんなり建設を認めてくれるかどうかということと、天守閣が建てられる石垣が文化庁の指定で国の特別史跡であることである。特に宮内庁は天皇一家がお住まいになる皇居内に新しい建造物を建てるということに対して、ちょっと神経質になっているようだ。ただ、会としては徐々にではあるが、すでに政治的な手も打っており、再建賛成の超党派議員連盟設立の動きもあるという。
日ごろよりその献身的な活動に敬服している小竹理事長に昨夜早速激励のメールを送った。小竹氏から「朝日新聞夕刊記事について、丁重なメッセージを戴き、有難うございます。江戸城天守再建運動を、単なる夢物語に終わらせたくはない・・何としても天守再建を軌道に乗せようと努力して来たことが、漸く、こうした形で、世間に認められつつあるのかな・・と感じているところです。しかし、これも小竹一個人の問題ではなく、3700会員ひとり一人の熱意の賜物です。このテーマに関心を持ち、賛同して下さるすべての方々への感謝の気持ちで、これからも頑張って行きたいと思いを新たにしているところです。激励のメッセージ、有難うございました」と丁重な返信をいただいた。献身的に頑張っている理事長に引き比べて、私自身曾祖父が江戸城詰めの武士だった子孫のひとりとして微力ながら協力を心がけているが、中々思うように動きが取れない。ほんの僅かではあるが、何とか近刊拙著「南太平洋の剛腕投手」に本会の活動について触れたところである。
ついては、皇室に無関係の余所物、或いは余所者の箱物を皇居の敷地内に建てることについて、宮内庁職員の中には、強い拒絶反応があると聞く。まるで自分たちの土地だと信じ、それを汚されるとでも思っている節があるようだ。これこそ狭量な閉鎖性と権威志向の顕れであり、反って皇室の発展にはそぐわない。
それなら実際天守台の目の前に得体の知れないカラフルでサイケデリックな外観の建物が目につくが、あんな下品な建物こそその周囲の環境にマッチしない。これは内部の宮内庁雅楽部か、その関係の建物と聞いた。こんな相応しくない建物より、大所高所から見て相応しいと思って問題がなければ、お城の天守閣を眺める方がよほど自然であり、筋が通っている。ましてや400年前にここに存在していた建造物で、日本の伝統文化の一助になる歴史的建造物を再建することでもあり、天守閣の再建はまったく問題ないと思うのだが・・・。