パレスチナ・ガザ地区の戦闘は日に日に激しさを増し、すでにパレスチナ側に900人を超える死者が出て、取り敢えずイスラエルとの間で12時間停戦が実現した。アメリカの1週間停戦要求案に対してイスラエルは拒否した。イスラエルに言わせれば、物資や食糧の搬入などの人道支援のために12時間の一時休戦で充分としている。今後どういう経緯を辿って休戦へ行き着くのか予測はできない。ガザ地区を支配するイスラム武装組織ハマスとイスラエルが衝突を繰り返し、その都度仲介に乗り出す「世界の警察官」アメリカの影響力が効果を上げないのは、アメリカ自身のイスラエル寄りのダブルスタンダードのせいである。
イスラム組織の中でも今ではパレスチナ自治国家として広く認められているのがファタハを中心とする組織で、これはガザとは距離的にも離れたヨルダン川西岸のベツレヘムに本部がある。一昨年エルサレムから車でベツレヘムに入った時、緊張感を覚えたが、そこには銃弾の匂いはしなかった。だが、戦争と平和は紙一重の背中合わせで、平和がいつ戦争に転じるかまったく予測もできない。私自身第三次中東戦争直後にアンマンでヨルダン軍兵士に突然身柄拘束されたのも、当時アンマンが戒厳令下にあったにも拘わらず戦争の硝煙が感じられず、つい油断したからである。
ウクライナの内戦状態もマレーシア航空機の撃墜事件が発生して、益々解決は遠のいている。しかし、確実に世界に紛争の種はまかれ、それが複雑化して解決を難しくしている。
それは日本でも同じで、中韓両国との対立は一向に相互の歩み寄りが見られず、いつになったら中国や韓国との善隣友好関係が復活するのだろうか。
そんな行き詰まった外交関係の一方で、外国人観光客の誘客のためにかねてより話題に挙がっていたカジノを政府が検討を始めたという。デメリットだらけで、常識人には悪評ふんぷんのギャンブルしか観光政策として考えられないのが短絡志向の国会議員の精いっぱいの知恵なのである。これをヤクザ紛いの国会議員が議員立法で一気にやってしまおうというのである。国民の間で充分賛意も得られず、広く議論が戦わされることもなく、静かに議員立法で密かに実行に移されようとしている。すでに候補地として、北海道、千葉、東京、横浜、大阪、長崎、宮崎、沖縄が挙がっている。治安面、ギャンブル依存症などのマイナス面への対策も描けぬ内に、ギャンブル好きの議員たちによって着々と布石を打たれているようだ。日本も政治が国民の声を聞かなくなり民主主義が死滅しつつある。恐ろしいことである。