2008.2012年11月11日(日) 「万里の長城」遭難に想う。

 3日に「万里の長城」付近で遭難した日本人3人の遺体が、昨日無言の帰国をした。成田空港で全日空機から3つの大きなコンテナが降ろされ、悲しみの中に物言わぬ帰国となった。今日司法解剖を行ってその後遺体は故郷へ帰ることになる。

 幸い私自身現場で死者の遺体を取り扱ったことはないが、30年ほど前になろうか、かつてハワイ・ツアーで顧客のひとりが心臓発作で亡くなられた時、夜遅くなって突然添乗員から自宅へ国際電話があった。すぐ添乗員に対してアドバイスをし、指示を与えたことが思い出された。今度の中国の事故は大部分主催旅行会社に責任があると思うので、遺族が遺体の搬送費用を負担することはまずないと思うが、ハワイの例では、死亡原因が死者の病と言う点から自己責任となり、実質的な費用は死者の遺族負担になり、それは遺族にとっては相当重い。親しかった日航パイロットから、その当時一切合財含めて輸送費用として5百万円ぐらいかかると聞いた覚えがある。その点について添乗員を通して死者の夫に実情を話して、遺体とともに帰りたいだろうが、現地で火葬にして遺骨を白木の箱に納めて、夫の手で持ち帰るよう説明させて納得してもらったことがある。

 帰国に際して成田空港に迎えに行った時、空港ロビーで涙ながらにご主人から世話になったと丁重にお礼の言葉をいただいたことを思い出す。従ってあの時、昨日のようなあんな大きなコンテナはなく、死者の遺骨は夫の手に抱かれてあまり他の乗客にも気付かれず、ひっそり帰ってくることができた。あまり楽しい思い出ではないが、いつまでも忘れられない、顧客が亡くなられた帰国例である。

 思えば、随分昔のような気がする。

2012年11月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2007.2012年11月10日(土) 風前の灯・田中真紀子文科相

 田中真紀子・文科相が3大学の開学不認可を撤回して、改めて認可した不手際について昨日になって漸く謝罪したが、ことは納まりそうもない。大臣としての資質に欠けるとして、問責が提出されそうな雲行きとなってきた。与党内でも辞任を求める声が上がるなど四面楚歌の中にある。

 日経紙社説は「田中氏に閣僚の資格はない」とまで決め付け、「これほどの混乱を引き起こしておいて、大臣の職にとどまるのはあまりにも無責任ではないか」と大臣辞任を求めている。このほかにも毎日、読売新聞も田中大臣の辞任を求めているが、とりわけ手厳しいのが産経新聞である。同社HP上に「大学不認可騒動、虚言と言い訳の真紀子『暴走大臣』」として約4千語に及んで、過去の罪状(?)を含めて大臣の考え方や行動を徹底して暴いている。「人の心の痛みが分る政治」を志向していた田中氏の真逆の言動が呆れられているのだ。特に記事を書いた新潟出身の酒井充記者にとっては、過去によほど腹に据えかねることでもあったのか、北朝鮮拉致被害者に対する大臣の対応や、外務大臣時代の役所との軋轢などについて容赦しないほどの激しい非難である。やはり、父親角栄氏の過剰な庇護の元に育てられた我が侭し放題の家庭環境が、「人の心の痛めがまったく分らない政治」を行うようにさせたのだろう。

 国会ではここへ来て俄かに年内解散の話が浮上してきたが、野田内閣にとっては就任1ヶ月余りで二人の田中大臣の辞任という最悪の事態になって、総選挙で大敗するのがよほど心配なのだろう。いよいよ民主党にはプラスのカードが無くなったようだ。

 さて、またお隣の「大国」中国の話題である。25日に開催される北京国際マラソンに日本国籍の選手は参加できないと同マラソン組織委員会が明らかにした。これはどういうことだろう。これでは国際マラソンの看板が泣くばかりか、オリンピック精神に悖るのではないか。「中国国際人種差別マラソン」と看板を付け変えた方がよほどすっきりする。

 組織委員会は、日中関係悪化の影響から選手の安全を考慮したためだという。しかし、そんなに心配なら安全を確保するためにコース際に警官を配備すれば良いだけではないか。どこの国の選手も歓迎というのがスポーツマンシップではないだろうか。それを人種差別するが如き行為は、これから大国を志向する小国・中国としては国際社会に対して恥ずかしくないだろうか。

 先日北京で開催された今年度世界フィギュアスケート中国大会でも、当初中国の対応はおかしかった。出場選手の安全のためと称して、案に日本選手の出場辞退を求めた。こんなアンフェアな気持ちなら大会自体を開催する必要がなかったのではないか。国際スケート連盟の仲介により、何とか日本選手の出場は叶ったが、男女とも優勝した日本選手の表彰式は、観客を場外へ出してがらんどうな会場で国旗を掲揚し、「君が代」を演奏する異常なセレモニーとなった。

 日本はこんな馬鹿げた行為には反応せず、時間はかかると思うが、中国選手を歓迎してイベントを行えば、そのうち中国サイドから歩み寄ってくるのではないか。ぜひそう願いたいものである。中国人は日本を軽蔑して「小日本」と呼ぶそうだが、「小中国」には、このままそう呼ばせておけば良いのではないか。

2012年11月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2006.2012年11月9日(金) 東京新聞のコラム「筆洗」と文化批評「大波小波」

 一昨日ノーベル賞受賞者・根岸英一博士の義兄である、鈴木健次・大正大名誉教授にお会いした際、小中陽太郎さんから送ってもらった小中さんの近書「翔べよ 源内」について書かれた東京新聞夕刊のコラム「筆洗」のコピーを差し上げた。鈴木先生と小中さんは東大同期生で、同時にNHKの同期生でもある。そのコラムを鈴木さんにお渡ししたことを小中さんにお伝えしたところ、東京新聞にはその他に文化面の匿名批評「大波小波」があって、それにまつわる裏話が書かれ、伝統ある文化批評であると紹介した小文をメールで送っていただいた。

 「大波小波」は東京新聞の前身・都新聞創立以来、延々80年に亘る伝統があり、当初から「痛烈骨を刺す時評」で波紋を投げると宣言したそうであり、芥川龍之介の自殺が社会的に興味本位に取り上げられたことに対して、第1回で「個人の私生活を暴き、巧みに社会問題化しているが、それは他人の迷惑など構わぬゴシップ的興味に過ぎぬ」と手厳しい。その間多くの文人が酒の肴にさせられたり、辛らつなコメントに晒されたり、内輪同士の知らぬ顔で攻撃したり攻撃されたり、話題は尽きなかったようである。かの直木賞の生みの親、直木三十五にしても第2回で「批評ではなくご託宣だ」とけなされている。これが原因ではないが、直木は翌年43歳で亡くなったそうである。

 匿名で青野季吉、尾崎士郎、大宅壮一、舟橋聖一氏ら錚々たる文豪が書いていたというからすごい。槍玉に挙げられた文士もまさに綺羅星の如くで、確かに骨太い批評に溢れていたのではないかと推察される。

 その小中さんが私のゼミ恩師の追悼文集で、若気の至りで辞表を提出したり、チェコ留学がダメになったり、若き心の悩みを書き綴った拙文について「身につまされる青春だね。後輩でコンプライアンスに飛ばされた男に読ませよう」と仰っていただいたうえに、今度その方をご紹介してくれるという有難いメールをいただいた。

 ドナルド・キーンさんのお話を聞くことができる26日のペンの日の集まりでお会いできると思う。

 さて、昨日中国共産党全国大会初日に胡錦濤主席(国家主席)が活動報告で、今後の中国の進むべき方向、思想、ビジョン等を述べた。その中で気になるのは、「海洋権益を断固守り、海洋強国を建設する」を強調したことである。周辺諸国とのトラブルをものともせず、公海、更には他国領海へ積極的な進出をしようというのである。それを敢えて国家の政策として打ち出すところに、覇権国家中国の一刻も早く大国たらんとする焦りと好戦的なスタンスを感じないわけにはいかない。今では日本との尖閣諸島の他にも、フィリピンとベトナムとの間で軋轢を生じている。

 今後この中国の覇権路線は益々エスカレートしていくだろうが、中国の内部事情の判り難い点は、中国の近未来の国家戦略の柱である海洋進出について次期主席の習近平氏ではなく、今大会で主席の座を去ろうとする胡錦濤主席が内外へ向けて力説したことであり、他の国では有り得ないことであり極めて異常なことではないだろうか。通常は一旦身を退くことを公にしたら、「老兵はただ消え去るのみ」と静かに表舞台から去るのが常識的なシナリオだ。この辺に胡主席の院政の影を感じざるを得ない。更に言えば、すでに10年前に主席を降り引退した筈の江沢民氏が、ひな壇の胡錦濤主席の隣席に座っているのも、不思議と言えば不思議な光景である。

 相変わらずよく判らない国である。

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2005.2012年11月8日(木) 第18回中国共産党全国大会開幕

 昨日はオバマ大統領再選でアメリカ国内も熱気に包まれていたようだが、落ち着いて考えてみると現今の経済情勢は前途多難である。オバマ大統領は選挙運動中と同様、景気下支えのための、財政出動や富裕層への増税を勝利演説でも訴えたが、その道のりは極めて険しい。オバマ大統領の思惑に反して、今日のニューヨーク株式市場はアメリカ財政の先行き不安が高まり、ダウ工業株平均は急落し全面安となった。「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」とはずっと言われ続けてきたことだが、案の定今日の日経平均株価も大幅に値下がりした。

 日本の経済立て直し以上に、オバマ政権には世界経済復興のためにもアメリカ経済を立て直してもらわなければどうしようもない。実際今日財務省が発表した2012年度上半期の経常収支黒字が前年同期に比べて41%減という厳しい数値を示し、上半期黒字額としては1985年以来過去最低となった。

 こんな非常事態下にも関わらず、いつもながら日本の政治はぱっとしない。衆議院解散の言質を口実に自分らに有利にことを運ぼうとする与野党の駆け引きと鞘当が、実はとんでもない事態を引き起こしたとも云える。2日に下した田中真紀子・文科相の判断を巡って衆議院文科委員会で野党のみならず、与党内からも田中大臣に対する激しい反発があり問責決議まで話題に挙がっている。

 ついに田中大臣は3大学の開学不認可の当初案を引っ込め、一転現行基準で認可をすると態度を変えて発表した。不認可とする「英断」発言から僅か5日後のことである。田中大臣の軽薄な「朝令暮改」的言動により右往左往させられた大学当局はほっとしたのかも知れない。つい口を滑らし「勝ったと思った」とする大学側の軽はずみな世迷いごともあった。紆余曲折の末、教育関係者だけで構成する審議会ではなく、田中大臣が求めている外部から人材を迎える審議会となるよう制度を変えるということは、いずれ実現されるだろう。

 それにしても大臣の真意はともかく、自分の存在感だけをアピールしようとのパフォーマンスにより、独断的で一貫性に欠ける言動によって事態を混乱させた大臣と、自分たちの立場だけを守ろうとする文科省当局の責任は重く、大いに反省してもらわなければ困る。とにかく来年4月の開学は認可され、一時振り回された大学側は安堵したことだろう。

 さて、今日から中国では第18回共産党全国大会が開かれている。5年に一度開かれる党大会であるが、今年の大会は指導部が交替するため、世界中から注目されている。10年間に亘って中国のトップに君臨してきた胡錦濤主席(国家主席)は習近平氏に後事を託して身を退くと見られているが、影響力を残し、院政を敷くのではないかとの観測も根強い。

 この10年間で中国経済は飛躍的に発展し、その存在感を世界にアピールした。今日の胡主席の演説でも2010年の国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を、2020年までには2倍にすると自信満々の目標を掲げた。現状は国民の間には経済格差が広がり、中央幹部から下級役人に至るまで汚職が蔓延し、国民はさほど繁栄を享受しているようには見えない。そのうえ露骨になった覇権主義が世界、特に東アジア諸国から警戒されている中で、国家のリーダーとして国家、国民をその理想に沿って発展させていくには相当な決意と努力が求められる。

2012年11月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2004.2012年11月7日(水) オバマ大統領再選と東京湘南有志会

 昨6日はアメリカ国内はもとより、世界中の注目を集めている4年に1度のアメリカ大統領選挙投票日だった。時差の関係でどうしても日本の報道にはズレがあるが、今日午後辺りからメディアが刻一刻投票経過を伝えている。4年前は、マケイン共和党候補に対するオバマ大統領の圧倒的な勝ちっぷりと、スマートに語る‘Yes,we can.’の一語が強く印象に残った選挙だった。しかし、今回はそのオバマ民主党候補とロムニー共和党候補が拮抗して、その結果を読みきれず、結局昨日の投票まで持ち越された。

 予想通り激しいつばぜり合いの末、午後になってアメリカのメディアもオバマ優位から、オバマ再選確実へと風は徐々にオバマへなびいて行った。夕方になって最終的にオバマ大統領の再選が決定した。

 オバマ大統領が引き続いて大国アメリカの舵取りを行うことは、外交音痴の日本政府にとっては大きな変化がない点で救われるかも知れないが、今後よほど腰を据えて対米外交に真剣に取り組む気持ちがないと、鳩山由紀夫・元首相が日米間に若干亀裂を生じさせてしまった、両国の友好関係を修復させることは難しいのではないかと思う。

 当面大きな動きはないと思うが、国際関係が多面的で複雑化している現在、アメリカが今後も世界の一等国として自我を強引に押し通すのも難しくなってくるのではないか。それに合わせてわが国はどうやって日本の言い分を世界に訴えることができるだろうか。期待半分以下、不安半分以上である。

 さて、今夕主に東京で活動する湘南高出身者の集い「東京湘南有志会」が、大手町ビル23階の「宴」で開かれた。先日野球部OBの佐々木信也さんから電話で出席されると伺っていたので、楽しみにしていた。実は、昨年書いたエッセイ「トラック島の日系大酋長が見せた大和魂と謎」を、知り合いの元新聞記者らの勧めで少し膨らませて単行本にする企画について、佐々木さんからプロ野球時代の話をもう少し詳しく聞く必要があった。佐々木さんは極めて好意的で近い内に元チームメートとマネージャーに会わせてくれると約束してくれた。

 また、ノーベル賞受賞者・根岸英一博士ともそのエッセイについて話をして、エッセイで大きく触れた母校を単行本でPRしましょうということになった。同期生の元通産次官・牧野力くんは6月に私が検証のためアンマンを再訪したエッセイを読んで驚いたとも、感動したとも言ってくれ、トラック島と大酋長一族のプライバシーの書き方が難しいがぜひトライして欲しいと激励された。彼はこのエッセイの主役の一人でもある、森喜朗元首相とも親しいようなので、大変好都合である。いずれ森元首相ともまたお会いして父上のお話を伺わなければならないし、トラック島も再訪して大酋長の娘さんにも会って直接話を聞く必要があると思っている。

 この件については、まだまだ検討すべき多くの課題が残されているが、何とかまとめて楽しく読んでもらえるドキュメントに仕上げてみたいと考えている。

2012年11月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2003.2012年11月6日(火) 2つの火急的問題、大学不認可と「万里の長城」遭難

 田中真紀子・文科相が決断した、秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大の開学不認可は大学側と教育関係者から強い反発を受け、大臣は新しい仕組みを早く立ち上げ、3大学を含めて新しい基準で改めて判断したいと3つの大学に対して再審査の道を開くことを会見で述べた。ただ、申請した大学が求めていた来年4月までに時間的に間に合うだろうか、根本的な解決には至っていない。所管の各自治体首長は大臣に対して露骨に反感を表している。

 大臣は「大学の乱立に歯止めをかけて教育の質を向上させたい」「今の設置認可の仕組みでは新設は認められない」ことが自分の真意だとして引く姿勢を見せていない。

 石破自民党幹事長は、短絡的な大臣の決断について浅はかで大臣としての資質がないと、今後問責決議案の提出も視野に国会で追求するという。

 ただ、ことはどうあれ、若い学生たちの将来に関わることでもあり、早くすっきりさせてもらいたいものである。

 もうひとつの問題は、昨日取り上げた「万里の長城」遭難事故である。「万里の長城」ツアーとは言っても八達嶺を離れれば、人跡未踏に近い山中を歩くツアーで、夜間の気温は零下を記録するほどの厳しい自然の中である。企画自体は面白そうなツアーである。しかし、折角の旅行が危険と背中合わせでは意味がない。それにも拘わらず、企画した旅行社は、この初めてのツアーの企画に際して、下見をやっていなかったという手抜き行為が明らかになった。私自身旅行会社でツアーを企画していた経験上、この旅行社の企画方針についてはとても賛同しかねる。

 珍しいこの種のタイプのシリーズ・ツアーを企画するに際しては、コースの下見と、協力してもらう現地旅行社との綿密な打ち合わせなくして、安全で信頼できるツアーの手配ができるとはとても思えない。

 手配客数のボリュームにもよるが、ツアー企画者と手配者がともに実際にコースを歩いて、問題点を充分検討し、あらゆる角度から安全で、かつ魅力的なツアーに仕立て上げることが基本だと思う。私の場合、ツアーコースの下見調査、現地旅行社との手配内容等の打ち合わせの後に、予想される添乗員の中心となるべきスタッフを何人か連れて、再び本番に近い形のツアー下見を行ってきた。それでなければとても安心して多くの顧客を案内することはできない。

 今度の遭難では、主催した旅行社は、3年前北海道で同じような大きな過ちを犯してきた。何をやっても儲けが頭から去らず、安全が二の次になっていたのではないかと勘ぐらざるを得ない。

 いずれにせよ今後責任問題は厳しく追求されるだろう。

2012年11月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2002.2012年11月5日(月) どう解決するのか。文科相の大学開学不認可問題

 やはりと言うべきであろうか。田中真紀子・文科相が3つの大学の開設を不認可にしたことが大きな問題を引き起こしている。それはそうだろう。不認可とされた学園は、来年4月の開学を視野に長い間文科省当局と話し合い、当局の指示に従いながら、開学に必要な設備投資を行い、新たに教職員を雇用し、更に入学希望者に対するオープン・キャンパスの開催等、いろいろ準備を進めながら認可、開学に備えてきた。それが、文科省のトップである大臣のそれまでの経緯を理解しない独善的な考えによって、一方的に不認可とされたのである。大臣の唐突な判断に関する言い分は、①少子化の中で近年大学の開設数が多過ぎて、それが大学の質の低下につながっている、②大学設置・学校法人審議会委員は29人中22人が大学理事長や教授で構成されており、課題を内々の話し合いで決めているが、委員構成、また制度上に問題があるとするものだ。

 しかし、これは申請した側に落ち度があったわけではなく、むしろ文科省の責任に帰するべき問題ではないだろうか。今回の認可問題では、現行制度の下で文科省当局と学園側が話し合い、それを審議会が長い時間をかけて検討したうえでOKの答申を出したものだ。それがどうして開学まで半年内になって関係者が開学を「是」とする答申に対して、不意に権限があるからと言って就任間もない大臣がただ一人「否」と決断したのか。この大臣の決断によって相当影響を受ける人たちが出て、莫大な金をも無駄にしかねない暴挙と言っても言い過ぎではない結論である。あまりにも独断的で、無分別な結論だと思う。これまで度重なるパフォーマンスを行ってきた田中大臣の、またまた「自分の存在感をアピール」する個人プレイか。

 流石に腹に据えかねた、大学開学申請をした3つの学園はそれぞれに連携して、明後日大臣に直接面会し真意を糾し、翻意を促したいと語っている。

 田中文科相は、先週石原・前東京都知事の任期半ばでの知事辞任について、石原氏を「暴走老人」と中傷、揶揄したが、大臣こそ「スーパー暴走老婆」ではないだろうか。やはり、この大臣も所詮虎の威を借りた世襲政治家で、世間知らずの典型なのだろう。どういう結論になるのか、多くの人を巻き込んでしまっただけに、一日も早くすっきり解決してもらいたいものである。

 さて、昨晩遅くなって突然伝えられたニュースに驚いた。世界遺産「万里の長城」周辺で積雪のため、日本人が遭難し亡くなったとの報道である。これまでに「万里の長城」の観光スポット・八達嶺を4度訪れているが、普通に考えて遭難なんかする場所ではない。よくよく詳しく調べてみると、今回の事故は50年ぶりの悪天候とツアー主催者の杜撰な計画が重なって不幸が起きたと考えられる。 まず、①通常の観光ではなく、「世界遺産 万里の長城・グレートウォール100㎞トレッキング」と称する登山ツアーで、冬山登山に近い企画だった。7日間も毎日長城に沿って十数㎞を歩き、民宿に泊まるというスケジュールで予備日がなかった。②企画、斡旋したのが、3年前の夏北海道・大雪山で8人の死者を出し、行政処分を受けた前科のある旅行会社「アミューズトラベル」だった。③ツアーに参加した人は比較的高齢だった。④この時期地元住民も入らない山林で、積雪による寒さ対策が不十分だった。

 よくもまぁこんな杜撰な計画でツアーを企画するものだと、呆れるほどである。旅行と登山をよく知らない社員が無責任にツアーを計画している印象を受ける。また、中国内の手配会社と日本の会社との連携がどうなっているのか判らない。いずれにしろ、あまり信用できないツアーだったことが薄々判る。これをどうやって見抜くのか、旅行参加者も自らがツアーの信頼性を判断できる力を持たなければ、軽々にツアーに参加することはできないと思う。

2012年11月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2001.2012年11月4日(日) ブログ2000回の反応と励まし

 昨日ブログ2000回達成をメールで友人や知人に連絡したところ、早々に多くの友人から元気をいただく返信メールをもらった。中にはイスラエルやアメリカ・フロリダからもメールをいただいた。皆さんによく読んでいただいているようで、嬉しい限りである。また、2000回と言わず、3000回を目指せと励ましてくれた先輩もいた。こうなると何が何でも、次の目標として2500回、3000回を目指さざないわけには行かない。

 だが、いずれにしてもこのブログを書き続けることが、気障に言えば今や自分にとってもひとつの生きがいになっているのかも知れない。ただ、現状は思いつきで何でもかんでもその時の話題に食らいついて書いている感じである。総花式過ぎてパンチが利く文章になっているのかどうか、やや気にかかるところだ。ある程度ジャンルを絞った方が良いのではないかとも思っている。この点について今度この道の専門家に相談してみたいと思っている。

 さて、先週からやっと臨時国会が開かれ、サボりっ放しの国会議員も漸く仕事始めとなった。すると今まで衆議院解散を執拗に求めて国会審議を拒んでいた野党・自民党が態度を豹変させた。国会審議で最も重要な赤字国債発行法案がストップしていたために、国から地方自治体へ回す交付金が支給されず、自治体にとって資金借り入れのための利子を生んでしまったのだ。これで自治体が、民主党ばかりでなく、むしろ法案成立を妨害している野党に不満をぶちまけたのである。自民党の対応がこれで変わったのだ。何ともだらしない腰砕けである。体裁を保つため、自民党は相変わらず法案成立には賛成するが、衆議院解散は早急に求めるとの姿勢は崩していない。何とも政治家の節操のなさには呆れるばかりである。自分たちの都合だけで世の中が渡れるとの狭い料簡で、まったく国民には目を向けていない。

 この機能しない政治の様子は国内ばかりでなく、海外から見てもよほど無能で異様に映るようで、昨日のフランスの大手新聞「ル・モンド」第一面に、日本の政治は麻痺していると書かれるていたらくである。国会が開かれても、中身のない議論のやりとりだけでは何の意味もない。やはり議員一人ひとりが、自分の立場と役割を弁えて、国家と国民のために尽くすのだとの強い自覚を持つことが大切である。売名行為や、パフォーマンスばかりが目立っているが論外である。今の政治家には国家のため、自分自身のために普段から地道に勉強している様子が見られない。現状のままなら、議員数を半減しても問題はないだろうし、世襲議員にブレーキをかけるぐらいの劇薬的なことを行わないと議員らの奮起を促すことは無理だろう。

 政治に失望はしたくないが、政治家には約束ごとぐらい守る誠実さと実行力を求めたい。

 ところで、秋分の日にお墓参りを欠かしてしまったので、選りに選って大安の今日、長男が居候しているのを幸いに連れ出し、妻と3人でお墓参りをすることにした。今日はいつもと順序を逆にして、妻の実家のお墓、多磨墓地へ先にお参りして、その後近藤家の菩提寺、中野の宝仙寺へ回った。大安とあっていずれも人出はあまり多くなく、多磨墓地では静かな雰囲気を楽しめた。その後ハイアット・リージェンシー東京で久しぶりに美味しいランチを食した。ホテルには七五三祝いの家族連れがチラホラ見られた。これでやっとお勤め?を果たしたような気持ちである。

2012年11月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2000.2012年11月3日(土) ブログ書き込み連続2000回達成

 今日、文化の日は私にとって74回目の誕生日に当る。中期高齢者としては最後の仕上げ、正に晩年に入ったと言える。来年は人生の終着駅に近い後期高齢者入りである。この歳になると何にしても健康こそ宝である。  

 さて、今日は自分にとってもうひとつ画期的なことがあった。2007年5月以来、このブログ「ご意見番の意見」を何とか今日まで休むことなく書き続けてきたが、偶然今日連続2000回という区切りを迎えることになったのである。あまりのタイミングの良さに驚いている。書き始めた当初はどこまで書き続けられるか、あまり自信がなかったが、毎日毎日書き続けて2000日という大台へこぎつけることができて、我ながらメデタシ、メデタシで、手前味噌ながらよくやったと思っている。序にわがホームページへのアクセス数も先日3万回をクリアした。

 ホームページを公開した当初はあまり長い文章を書かなかった。それが今では書き出すと止まらない感じで、何でも思いついたことを前後の見境なく、勢いだけで書いている印象である。書き始めた当時のブログを読み返してみると、あ~そうだったかと鮮烈に思い出すことがある。やはり、学生時代に書いていた日記のようなもので無駄ではなかったと思う。

 再び自民党総裁に選ばれた安倍晋三首相の下で、農水大臣だった松岡利勝氏が自殺したのも5年前の5月だった。私を日本ペンクラブへ推薦して下さったお一人でもある阿刀田高氏が日本ペンクラブ会長に就任されたのも、白鵬が横綱に推挙されたのもこの年の5月だった。

 プライベート面では、二男が新潟へ転勤したのも5月だった。あれこれ思うと思いは尽きない。

 これからどれだけ魂を込めて文章を綴ることができるか。健康維持は当然であるが、ひとつの目標としては、やはり数年単位であっても単行本を上梓する気持ちはいつまでも持ち続けたいと思う。そのためにできるだけ、機会を捉えて自由にエッセイや散文などを書き続けて行きたいと考えている。そしてそれらをベースにして一冊の本にまとめたいと思っている。

 夕方新潟市内に住む二男が誕生日を電話で祝ってくれた。まだまだ家族には迷惑はかけられない。もうひと頑張りするとしよう。

 夜になってプロ野球日本シリーズ第6戦で、セの覇者・巨人軍がパの覇者・北海道日本ハム・ファイターズを破り、通算4勝2敗で3年ぶりに日本一となった。ゼミ仲間の元巨人軍オーナー・滝鼻卓雄くんも乾杯でもやっているのではないか。子どもの頃からの巨人ファンとしてはとにかく気分がいい。

 今日の血圧は、朝:134(上)60(下)53(脈拍)、夜:125(上)64(下)51(脈拍)で普段とあまり変わりがなかった。

2012年11月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1999.2012年11月2日(金) 田中真紀子・文科相、3大学の設置を認可せず。

 昨日の本ブログで取り上げた地方公務員の国家公務員を上回る高額給与については、昨日の朝日朝刊を参考にしながら私の考えを書いたものであるが、財務省が朝日記事と平行して、昨日地方自治体に給与引き下げを求めていく方針を固めたようだ。ただ、自治体では国が押しつけるべきものではないと反発の声が上がって、中々給与の引き下げが進んでいない。

 昨日開かれた財務相の諮問機関である財政制度審議会で、財務省政務官が「消費増税法が成立したなか、国も地方も身を削らなければ国民の理解が得られない」と公務員の給与削減を進めることを強調した。ごく当たり前のコメントであるが、引き下げを求められた地方側にも国民の声とは別に言い分があるらしい。国家公務員の給与削減法の付則では、自治体も法の趣旨を踏まえ、自主的かつ適切に対応するとされている。だが、地方は即座には対応していないうえに、地域経済への悪影響を理由に地方議会が反対しているケースが多い。

 給与が最も高いとされた横浜市は、平均約6%の引き下げ条例案を議会が否決したし、茨城県かすみがうら市では過去2年間で5回も削減条例案を否決している。組合側の反発が強く、民主党の支持母体である自治労が反対していることで、民主党は地方公務員の給与カットに及び腰のようだ。

 財務省の試算では、仮に地方が国と同様に給与を削減すれば1年間で、約1.2兆円の人件費が削れるという。これでは地方公務員の身内ではない我々は、利も理もある地方公務員給与削減法案実現のため、世論を喚起してアピールするより手はないだろうか。

 さて、今日田中真紀子・文部科学大臣が大学設置・学校法人審議会が可と答申した3つの大学の開学についていずれも不認可と決めた。答申が覆された例は過去30年間で初めてだという。3つの大学はそれぞれ認可されるものと考え、来年度入学生のためのオープン・キャンパスを始めたり、新校舎建築を進めていた。その中の秋田公立美術大のように、短大から4年制へ移行計画のある短大では2年生が来年のスケジュールが頓挫して、進路をどうすべきか迷っている。

 どうしてこんな予想外の事態に陥ってしまったのだろうか。審議会の賛成の意向を受けた大学では、GOサインですべての準備を進めていた。不許可と判断した田中文科相には、2つの否とする考えがあった。ひとつは、大学数が多過ぎてこれ以上増やす必要があるのかとの疑問であり、もうひとつは、現在の審議会の委員構成上から認可の結論が内々に決められる、今の認可制度に関する抜本的な問題である。つまり、全委員が大学学長ら有識者で構成され、内々に是とする空気が醸成されていたことを快く思っていなかった節がある。

 ただ、それにしても唐突に予想外の結論を出して、関係者を当惑させ罪のない学生を迷わせるのは、大学側にも責任があろうが、第一次的には文科省の責任は重いと断じざるを得ない。特に、文科省内には大臣とは反対に認可の声が強かったようだ。田中大臣の言い分も理解できないことはないが、大臣が一刀両断に結論を押しつける前に、もっと文科省内で議論することはできなかったものだろうか。あまりにも大臣の結論は短絡的であると思う。解散が近い衆議院の現状から任期が短いことが念頭にあって、功を焦ったとしか言いようがない。

2012年11月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com