2008.2012年11月11日(日) 「万里の長城」遭難に想う。

 3日に「万里の長城」付近で遭難した日本人3人の遺体が、昨日無言の帰国をした。成田空港で全日空機から3つの大きなコンテナが降ろされ、悲しみの中に物言わぬ帰国となった。今日司法解剖を行ってその後遺体は故郷へ帰ることになる。

 幸い私自身現場で死者の遺体を取り扱ったことはないが、30年ほど前になろうか、かつてハワイ・ツアーで顧客のひとりが心臓発作で亡くなられた時、夜遅くなって突然添乗員から自宅へ国際電話があった。すぐ添乗員に対してアドバイスをし、指示を与えたことが思い出された。今度の中国の事故は大部分主催旅行会社に責任があると思うので、遺族が遺体の搬送費用を負担することはまずないと思うが、ハワイの例では、死亡原因が死者の病と言う点から自己責任となり、実質的な費用は死者の遺族負担になり、それは遺族にとっては相当重い。親しかった日航パイロットから、その当時一切合財含めて輸送費用として5百万円ぐらいかかると聞いた覚えがある。その点について添乗員を通して死者の夫に実情を話して、遺体とともに帰りたいだろうが、現地で火葬にして遺骨を白木の箱に納めて、夫の手で持ち帰るよう説明させて納得してもらったことがある。

 帰国に際して成田空港に迎えに行った時、空港ロビーで涙ながらにご主人から世話になったと丁重にお礼の言葉をいただいたことを思い出す。従ってあの時、昨日のようなあんな大きなコンテナはなく、死者の遺骨は夫の手に抱かれてあまり他の乗客にも気付かれず、ひっそり帰ってくることができた。あまり楽しい思い出ではないが、いつまでも忘れられない、顧客が亡くなられた帰国例である。

 思えば、随分昔のような気がする。

2012年11月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com