2003.2012年11月6日(火) 2つの火急的問題、大学不認可と「万里の長城」遭難

 田中真紀子・文科相が決断した、秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大の開学不認可は大学側と教育関係者から強い反発を受け、大臣は新しい仕組みを早く立ち上げ、3大学を含めて新しい基準で改めて判断したいと3つの大学に対して再審査の道を開くことを会見で述べた。ただ、申請した大学が求めていた来年4月までに時間的に間に合うだろうか、根本的な解決には至っていない。所管の各自治体首長は大臣に対して露骨に反感を表している。

 大臣は「大学の乱立に歯止めをかけて教育の質を向上させたい」「今の設置認可の仕組みでは新設は認められない」ことが自分の真意だとして引く姿勢を見せていない。

 石破自民党幹事長は、短絡的な大臣の決断について浅はかで大臣としての資質がないと、今後問責決議案の提出も視野に国会で追求するという。

 ただ、ことはどうあれ、若い学生たちの将来に関わることでもあり、早くすっきりさせてもらいたいものである。

 もうひとつの問題は、昨日取り上げた「万里の長城」遭難事故である。「万里の長城」ツアーとは言っても八達嶺を離れれば、人跡未踏に近い山中を歩くツアーで、夜間の気温は零下を記録するほどの厳しい自然の中である。企画自体は面白そうなツアーである。しかし、折角の旅行が危険と背中合わせでは意味がない。それにも拘わらず、企画した旅行社は、この初めてのツアーの企画に際して、下見をやっていなかったという手抜き行為が明らかになった。私自身旅行会社でツアーを企画していた経験上、この旅行社の企画方針についてはとても賛同しかねる。

 珍しいこの種のタイプのシリーズ・ツアーを企画するに際しては、コースの下見と、協力してもらう現地旅行社との綿密な打ち合わせなくして、安全で信頼できるツアーの手配ができるとはとても思えない。

 手配客数のボリュームにもよるが、ツアー企画者と手配者がともに実際にコースを歩いて、問題点を充分検討し、あらゆる角度から安全で、かつ魅力的なツアーに仕立て上げることが基本だと思う。私の場合、ツアーコースの下見調査、現地旅行社との手配内容等の打ち合わせの後に、予想される添乗員の中心となるべきスタッフを何人か連れて、再び本番に近い形のツアー下見を行ってきた。それでなければとても安心して多くの顧客を案内することはできない。

 今度の遭難では、主催した旅行社は、3年前北海道で同じような大きな過ちを犯してきた。何をやっても儲けが頭から去らず、安全が二の次になっていたのではないかと勘ぐらざるを得ない。

 いずれにせよ今後責任問題は厳しく追求されるだろう。

2012年11月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com