やはりと言うべきであろうか。田中真紀子・文科相が3つの大学の開設を不認可にしたことが大きな問題を引き起こしている。それはそうだろう。不認可とされた学園は、来年4月の開学を視野に長い間文科省当局と話し合い、当局の指示に従いながら、開学に必要な設備投資を行い、新たに教職員を雇用し、更に入学希望者に対するオープン・キャンパスの開催等、いろいろ準備を進めながら認可、開学に備えてきた。それが、文科省のトップである大臣のそれまでの経緯を理解しない独善的な考えによって、一方的に不認可とされたのである。大臣の唐突な判断に関する言い分は、①少子化の中で近年大学の開設数が多過ぎて、それが大学の質の低下につながっている、②大学設置・学校法人審議会委員は29人中22人が大学理事長や教授で構成されており、課題を内々の話し合いで決めているが、委員構成、また制度上に問題があるとするものだ。
しかし、これは申請した側に落ち度があったわけではなく、むしろ文科省の責任に帰するべき問題ではないだろうか。今回の認可問題では、現行制度の下で文科省当局と学園側が話し合い、それを審議会が長い時間をかけて検討したうえでOKの答申を出したものだ。それがどうして開学まで半年内になって関係者が開学を「是」とする答申に対して、不意に権限があるからと言って就任間もない大臣がただ一人「否」と決断したのか。この大臣の決断によって相当影響を受ける人たちが出て、莫大な金をも無駄にしかねない暴挙と言っても言い過ぎではない結論である。あまりにも独断的で、無分別な結論だと思う。これまで度重なるパフォーマンスを行ってきた田中大臣の、またまた「自分の存在感をアピール」する個人プレイか。
流石に腹に据えかねた、大学開学申請をした3つの学園はそれぞれに連携して、明後日大臣に直接面会し真意を糾し、翻意を促したいと語っている。
田中文科相は、先週石原・前東京都知事の任期半ばでの知事辞任について、石原氏を「暴走老人」と中傷、揶揄したが、大臣こそ「スーパー暴走老婆」ではないだろうか。やはり、この大臣も所詮虎の威を借りた世襲政治家で、世間知らずの典型なのだろう。どういう結論になるのか、多くの人を巻き込んでしまっただけに、一日も早くすっきり解決してもらいたいものである。
さて、昨晩遅くなって突然伝えられたニュースに驚いた。世界遺産「万里の長城」周辺で積雪のため、日本人が遭難し亡くなったとの報道である。これまでに「万里の長城」の観光スポット・八達嶺を4度訪れているが、普通に考えて遭難なんかする場所ではない。よくよく詳しく調べてみると、今回の事故は50年ぶりの悪天候とツアー主催者の杜撰な計画が重なって不幸が起きたと考えられる。 まず、①通常の観光ではなく、「世界遺産 万里の長城・グレートウォール100㎞トレッキング」と称する登山ツアーで、冬山登山に近い企画だった。7日間も毎日長城に沿って十数㎞を歩き、民宿に泊まるというスケジュールで予備日がなかった。②企画、斡旋したのが、3年前の夏北海道・大雪山で8人の死者を出し、行政処分を受けた前科のある旅行会社「アミューズトラベル」だった。③ツアーに参加した人は比較的高齢だった。④この時期地元住民も入らない山林で、積雪による寒さ対策が不十分だった。
よくもまぁこんな杜撰な計画でツアーを企画するものだと、呆れるほどである。旅行と登山をよく知らない社員が無責任にツアーを計画している印象を受ける。また、中国内の手配会社と日本の会社との連携がどうなっているのか判らない。いずれにしろ、あまり信用できないツアーだったことが薄々判る。これをどうやって見抜くのか、旅行参加者も自らがツアーの信頼性を判断できる力を持たなければ、軽々にツアーに参加することはできないと思う。