2005.2012年11月8日(木) 第18回中国共産党全国大会開幕

 昨日はオバマ大統領再選でアメリカ国内も熱気に包まれていたようだが、落ち着いて考えてみると現今の経済情勢は前途多難である。オバマ大統領は選挙運動中と同様、景気下支えのための、財政出動や富裕層への増税を勝利演説でも訴えたが、その道のりは極めて険しい。オバマ大統領の思惑に反して、今日のニューヨーク株式市場はアメリカ財政の先行き不安が高まり、ダウ工業株平均は急落し全面安となった。「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」とはずっと言われ続けてきたことだが、案の定今日の日経平均株価も大幅に値下がりした。

 日本の経済立て直し以上に、オバマ政権には世界経済復興のためにもアメリカ経済を立て直してもらわなければどうしようもない。実際今日財務省が発表した2012年度上半期の経常収支黒字が前年同期に比べて41%減という厳しい数値を示し、上半期黒字額としては1985年以来過去最低となった。

 こんな非常事態下にも関わらず、いつもながら日本の政治はぱっとしない。衆議院解散の言質を口実に自分らに有利にことを運ぼうとする与野党の駆け引きと鞘当が、実はとんでもない事態を引き起こしたとも云える。2日に下した田中真紀子・文科相の判断を巡って衆議院文科委員会で野党のみならず、与党内からも田中大臣に対する激しい反発があり問責決議まで話題に挙がっている。

 ついに田中大臣は3大学の開学不認可の当初案を引っ込め、一転現行基準で認可をすると態度を変えて発表した。不認可とする「英断」発言から僅か5日後のことである。田中大臣の軽薄な「朝令暮改」的言動により右往左往させられた大学当局はほっとしたのかも知れない。つい口を滑らし「勝ったと思った」とする大学側の軽はずみな世迷いごともあった。紆余曲折の末、教育関係者だけで構成する審議会ではなく、田中大臣が求めている外部から人材を迎える審議会となるよう制度を変えるということは、いずれ実現されるだろう。

 それにしても大臣の真意はともかく、自分の存在感だけをアピールしようとのパフォーマンスにより、独断的で一貫性に欠ける言動によって事態を混乱させた大臣と、自分たちの立場だけを守ろうとする文科省当局の責任は重く、大いに反省してもらわなければ困る。とにかく来年4月の開学は認可され、一時振り回された大学側は安堵したことだろう。

 さて、今日から中国では第18回共産党全国大会が開かれている。5年に一度開かれる党大会であるが、今年の大会は指導部が交替するため、世界中から注目されている。10年間に亘って中国のトップに君臨してきた胡錦濤主席(国家主席)は習近平氏に後事を託して身を退くと見られているが、影響力を残し、院政を敷くのではないかとの観測も根強い。

 この10年間で中国経済は飛躍的に発展し、その存在感を世界にアピールした。今日の胡主席の演説でも2010年の国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を、2020年までには2倍にすると自信満々の目標を掲げた。現状は国民の間には経済格差が広がり、中央幹部から下級役人に至るまで汚職が蔓延し、国民はさほど繁栄を享受しているようには見えない。そのうえ露骨になった覇権主義が世界、特に東アジア諸国から警戒されている中で、国家のリーダーとして国家、国民をその理想に沿って発展させていくには相当な決意と努力が求められる。

2012年11月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com