1999.2012年11月2日(金) 田中真紀子・文科相、3大学の設置を認可せず。

 昨日の本ブログで取り上げた地方公務員の国家公務員を上回る高額給与については、昨日の朝日朝刊を参考にしながら私の考えを書いたものであるが、財務省が朝日記事と平行して、昨日地方自治体に給与引き下げを求めていく方針を固めたようだ。ただ、自治体では国が押しつけるべきものではないと反発の声が上がって、中々給与の引き下げが進んでいない。

 昨日開かれた財務相の諮問機関である財政制度審議会で、財務省政務官が「消費増税法が成立したなか、国も地方も身を削らなければ国民の理解が得られない」と公務員の給与削減を進めることを強調した。ごく当たり前のコメントであるが、引き下げを求められた地方側にも国民の声とは別に言い分があるらしい。国家公務員の給与削減法の付則では、自治体も法の趣旨を踏まえ、自主的かつ適切に対応するとされている。だが、地方は即座には対応していないうえに、地域経済への悪影響を理由に地方議会が反対しているケースが多い。

 給与が最も高いとされた横浜市は、平均約6%の引き下げ条例案を議会が否決したし、茨城県かすみがうら市では過去2年間で5回も削減条例案を否決している。組合側の反発が強く、民主党の支持母体である自治労が反対していることで、民主党は地方公務員の給与カットに及び腰のようだ。

 財務省の試算では、仮に地方が国と同様に給与を削減すれば1年間で、約1.2兆円の人件費が削れるという。これでは地方公務員の身内ではない我々は、利も理もある地方公務員給与削減法案実現のため、世論を喚起してアピールするより手はないだろうか。

 さて、今日田中真紀子・文部科学大臣が大学設置・学校法人審議会が可と答申した3つの大学の開学についていずれも不認可と決めた。答申が覆された例は過去30年間で初めてだという。3つの大学はそれぞれ認可されるものと考え、来年度入学生のためのオープン・キャンパスを始めたり、新校舎建築を進めていた。その中の秋田公立美術大のように、短大から4年制へ移行計画のある短大では2年生が来年のスケジュールが頓挫して、進路をどうすべきか迷っている。

 どうしてこんな予想外の事態に陥ってしまったのだろうか。審議会の賛成の意向を受けた大学では、GOサインですべての準備を進めていた。不許可と判断した田中文科相には、2つの否とする考えがあった。ひとつは、大学数が多過ぎてこれ以上増やす必要があるのかとの疑問であり、もうひとつは、現在の審議会の委員構成上から認可の結論が内々に決められる、今の認可制度に関する抜本的な問題である。つまり、全委員が大学学長ら有識者で構成され、内々に是とする空気が醸成されていたことを快く思っていなかった節がある。

 ただ、それにしても唐突に予想外の結論を出して、関係者を当惑させ罪のない学生を迷わせるのは、大学側にも責任があろうが、第一次的には文科省の責任は重いと断じざるを得ない。特に、文科省内には大臣とは反対に認可の声が強かったようだ。田中大臣の言い分も理解できないことはないが、大臣が一刀両断に結論を押しつける前に、もっと文科省内で議論することはできなかったものだろうか。あまりにも大臣の結論は短絡的であると思う。解散が近い衆議院の現状から任期が短いことが念頭にあって、功を焦ったとしか言いようがない。

2012年11月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com