2053.2012年12月26日(水) 安倍晋三・総理大臣就任と日系人映画「二つの祖国で」鑑賞

 今日開かれた第182特別国会の首相指名選挙で総理大臣自民党総裁・安倍晋三氏が選出され、第2次安倍内閣が発足した。3年ぶりに自民党の復権である。安倍氏が首相に返り咲いたのは、名宰相・吉田茂以来である。よほど幸運の星の下に生まれた、運の良い人だとしか言いようがない。もとよりれっきとしたプロの外交官だった吉田茂と、お坊ちゃまの世襲議員・安倍氏では、その能力、存在感、行動力、影響力等において比ぶべくもないが、前回のドジを謙虚に反省して、国家国民のために献身し、身を粉にして任務を全うされるよう願わずにはいられない。

 安倍内閣の閣僚19名の平均年齢が、57.7歳と極めて若い。私より年長者はひとりもおらず、一番近い年齢でも麻生太郎・副総理財務相の72歳である。仮にいくら資金、行動力、人脈、意欲があったにしても、74歳の私なんか最早これから政治家になれる芽はまったくないということだ。

 少なくとも民主党が国民を裏切ったようなウソツキ政治は行わないよう要望しておきたい。

 さて、前から観たいと思っていた高校後輩のすずきじゅんいち氏監督作品で、山路ふみ子文化賞受賞作品「二つの祖国で―日系陸軍情報部―」を観た。アメリカで生活していたすずき氏が、日系人を対象に製作した「東洋宮武が覗いた時代」「442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」に続く3部作の最終作品として完成させたものである。

 全編を通して普通の映画なら観られる第三者との多くの会話、恋愛、活劇、屋外の移動シーン等々がまったくなく、終始入れ替わり立ち代り関係者へのインタビューだったことが珍しいと言えば珍しい。話の中で戦争場面はあったが、これほど単純と言えば単調なストーリーの映画も珍しい。真剣に話を聞いていないと眠くなるほどである。だが、この映画の素晴らしいところは、話をする人たちが、先般亡くなられた上院議員ダニエル・イノウエ氏、元ハワイ州知事ジョージ・アリヨシ氏ら多くのインテリが、日米人の考え方の違いなどを分りやすく説明して、日系人としての心の葛藤などの内容もありきたりでない点をありのままに指摘したことがストーリーを飽きさせない大きな原因だと思う。

 タイトルの英語名はアメリカ陸軍の秘密情報機関MIS(Military Intelligent Service)であるが、この機関に在籍した日系米軍人が、戦地、または陸軍情報部語学学校(MISLA)で祖国日本を敵とする苦しい狭間の立場で、アメリカと日本のために活動した記録を映画化したものである。

 日系部隊と言えば、とかくヨーロッパのイタリア戦線の活躍がおおっぴらに紹介されるが、この映画では主にMISLAに所属した軍人の献身的で涙ぐましい活動ぶりを描いている。沖縄の人たちの悲惨さや苦しみ、兄弟同士が敵味方に分かれて殺気立ち苦しんだ日系人の話、またミズーリー号甲板上の降伏文書調印の場で中国人から発せられた日本人を殺せの緊迫した場面の話などは特に印象に残った。

 寡聞にして日系人のMIS については知らなかった。これまで旧陸軍の人たちからは戦争の話を随分伺ったが、アメリカに日系人のこういう機関ができて、対戦中暗躍していたことを初めて知った。中々の力作であり、よくぞこれほど多くの関係者を見つけ出し、インタビューしてこれだけの作品を作り上げてくれたものだ。機会があればこのMISについてももっと調べてみたいと思っている。

2012年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com