2050.2012年12月23日(日) 安倍さんは「成長」したか。

 先の総選挙で自民党が大勝したせいか、安倍総裁の表面的にやたら元気な言動が目立っている。26日に首班指名でまず次の総理大臣に指名されることが確実視されているが、それにしても早くも総理大臣になったかのようにあれこれ指示し、5年前の憔悴した印象とは随分違って「元気の良い」発言が目を引く。

 現在の行動は、まるで小泉政権時代に官房長官に抜擢されてから総理大臣に一気に駆け上っていったころを髣髴とさせる。当時小泉首相にお供して北朝鮮に行って金正日総書記に会い、韓国をも訪れて朴槿恵(パク・クネ)・次期大統領にも会ったことが、今改めて外交面でもトピックになっている。幸運な人である。景気回復を念頭に、デフレ脱却をアドバルーンとして打ち上げ、金融緩和については日銀法の改正にまで踏み込む威勢の良さである。顔色が悪く決して健康面で安心だとは言えない安倍総裁だが、株価の上昇、円安現象など現象面のメリットはすべて自分の言動が原因だと言わんばかりに得意満面である。

 こんな浮ついた調子だから国内で安倍総理大臣を不安視する人も結構いるようだ。アメリカでもワシントン・ポスト紙を始めメディアが不安を伝えている。安倍総裁は日米同盟の強化を訴えているが、それは善しとして、アメリカは中国と韓国との関係を緊密にすることを求めている。安倍氏の短絡的な点は、前者だけで善しとしている狭量さである。

 このように世間知らずであまり物事を深く考えずに発言する安倍氏の性格を憂慮したのか、昨日の日経夕刊「夕刊文化」欄のコラムに「安倍さんは『成長』したか」との見出しでこんなことが書かれている。少し長いが、冒頭部分を引用してみる。

 「自民党総裁の安倍晋三さんが再び首相の座に就く。5年前に持病を理由に政権を途中で投げ出し、ひ弱な印象を残したが成長したのだろうか。ある経済団体の首脳はこう見る。『50歳を過ぎた人が、成長するわけがないでしょう。経験は積めますがね』。安倍さんは58歳である。政界に精通する、ある経済人は『安倍さんはやっぱり3代目なんですよ』という。祖父は岸信介元首相、父は安倍晋太郎元外相と、自民党の大物政治家だ。名門の出身だけに『小さい時から真綿でくるまれるようにして育っている』点を危惧する」。

 指摘されているように安倍氏は、苦労を味わうことがない正真正銘のお坊ちゃまである。学生時代に後楽園ホールへボリショイ・サーカスを観に行ったことがある。父が仕事のうえで手に入れたようで、ラッキーにも特等席だったせいもあり、偶々前列に賓客である岸、安倍家族がいた。その中に両親と祖父の岸信介氏とともに無邪気にはしゃぐ安倍ボーヤがいたのだ。あのボーヤが総理に、しかも2度もなるなどとは夢にも思わなかった。

 それにしても世間でその能力とリーダーシップに懸念の声が溢れているのは、5年前の辞め方に原因があるが、安倍総裁に肝心な総理大臣としての能力と器量が備わっていないと心配されているからである。ぺらぺら喋ってはいるが、どうも中身がなく、本当に分っているのかどうか、大いに気になるところである。こんな人物に日本の舵取りを任せて大丈夫なのだろうか。そんな人物が総理になれること自体が異常ではないかと考えてしまう。

 古代ギリシャの哲学者プラトンは、哲学者こそが政治家となるべきだとの構想を提起したが、その点で自らの哲学を持っているようには見えない安倍総裁は、果たして政治家たり得るのか。

 これは世襲社会の掟のようなもので、跡継ぎを決めるお祭りとか、ムードがいつの間にかでき上がってしまう。今のように安易に世襲議員の進出を許していることの是非を真剣に考えないと、相も変わらず頼りない第2の安倍、第3の安倍が今後も輩出され、国民はいつもハラハラしながら政治の道筋を気にしていなければならなくなるのではないか。

 実際ポスト安倍の自民党総裁だって、世襲議員の石破茂幹事長にほぼ決まったようなものではないか。

 さて、今日でNHKの今年の大河ドラマ「平清盛」は最終回となった。清盛の死によって壇ノ浦の戦い、そして義経と弁慶の死まで一気に話が進んだ。平安朝宮廷内の内容がやや複雑で、人間関係がやや分り難かったが、毎回楽しみにしていた。残念ながら近年にないほど視聴率が低かったらしく、熱演した主役の松山ケンイチにとっては気の毒だった。来年は新島襄の妻・八重がヒロインの「八重の桜」だが、どんなストーリーになるか期して待とうと思う。

2012年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com