青森県東通原発が活断層上にあるとの原子力規制委員会の意見に対して、東北電力が反論しているが、やや説得力に乏しいところへ世間の脱原発ムードもあって些か旗色が悪い。このままだと東通原発の再稼動は難しい雲行きである。
一方、関西電力が大飯原発は活断層上にはないとする反論について、原子力規制委員会が今日改めて大飯原発の地質調査を行い、結論は先に延ばされたが、活断層の疑いは依然として拭えない。
昨日分裂することになった「日本未来の党」も総選挙中は卒原発をしきりに訴えていた。世論は脱原発の流れに乗っていた。だが、必ずしも先の総選挙で世論がそのまま通じたわけではない。
それにしても茂木敏充・経済産業兼原子力経済被害担当大臣が、就任早々に民主党政権の「未着工の原発の新増設は認めない」との方針を白紙にすると堂々表明したのにはびっくり仰天である。
前政権が決めた方針を就任したばかりの一大臣が、党内の意見をすり合せることもなく個人の見解で180度変更しても良いものだろうか。総選挙前から自民党は可能な限り原発依存度を減らすとしていたが、茂木大臣の見解との整合性はどうなのか。自民党は原発に依存しない社会をつくると謳ってきた筈ではなかったのか。実際手元にある自民党の選挙重点公約には、「エネルギー」項目では「3年間再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進」「安全第一の原則のもと、独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先し、原発の再稼動の可否については順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す」と掲げている。
今日の朝日の社説でも「脱原発への航路や速度に議論の余地があるにしても、乗客が船に乗り込んだとたん、逆方向へかじを切るようなやり方は、政治の信頼性に関わる。これでは『反省ゼロ』政策である」と茂木大臣の見解を手厳しく批判している。
茂木大臣の発言は、捻じ曲げられた党の公的意見なのか、或いは大臣の個人的勇み足なのか、はっきりしてもらいたい。そのうえで、仮に大臣の個人的見解だとするなら、国民の期待を裏切った大ウソツキが大臣になったわけで、安倍首相の任命責任も問わなければならないし、茂木大臣には職責を全うできる見識や能力がないと判断せざるを得ず、直ちに辞任すべきではないかと考える。
ことは安閑としている場合ではなく、メディアも厳しく追求すべきである。
この茂木大臣のように、ちょっと目を離しているとすぐ悪事を行うチンピラ風情と何ら変わらないのが、昨今の政治屋稼業だ。大臣になってすぐに国民に向かって大オオウソをつくとは、公僕として倫理に悖るし、あまりにも軽薄な言動は情けない。