1592.2011年9月22日(木) 野田外交お披露目の成果は?

 台風15号の通過により各地で多くの被害が出ているが、東北大震災被災地にも新たな被害を及ぼす事態となった。被災地の宮城県女川町では、津波で町が冠水したため高台に仮設住宅を建設し住民をそこへ仮住まいさせていた。ところが何とそれが台風15号の襲来でその仮設住宅に避難勧告が出されたのである。そして仮設住宅の前を流れる川が増水し橋が流され、住民は避難できなくなってしまった。幸い住民が被害に遭うことはなかったが、仮設住宅の建設場所が問題とされた。
 もうひとつ、福島県須賀川市では仮設住宅が浸水し、住民はそこから2度目の避難をする有様である。隣市の郡山市では大雨を予想して被害を避けたはずのバス100台が、会社の駐車場で水に浸かる状態である。どうもちぐはぐである。それぞれ理由はあろうが、みんなやっつけ仕事になって計画的な対策が考えられていないことが分る。台風の来襲は自然災害なので、ある程度避けられないが、それでも必ず何年かに1度はやってくるものであり、近くに河川や山岳地帯がある場合は、堤防決壊や山崩れに対する備えは、平素からもう少し注意深く心がけていなければいけないのではないかと思う。
 さて、今週から国連総会が始まっている。今年の国連総会は問題山積である。リビアの暫定政府を正式にリビア政府代表として承認した。国旗もカダフィ前の王制時代のものを再びリビアの正式なナショナル・フラッグとして国連ビルに掲げられた。
 2つ目は、パレスチナの国連加盟申請について、アメリカとイスラエルが強硬に反対している。アメリカはオバマ大統領がパレスチナ暫定政府に加盟をしないよう直々に説得している。仮に加盟申請されたらアメリカは常任理事会で拒否権を行使すると見られている。
 野田首相は今日原子力の安全に関する首脳級会合で演説を行った。過去6年間に6人の首相が登場したことで、回転ドア・トップとしてあまり大きな期待をされていないようだが、やはり福島原発事故が世界中から注目されている折でもあり、原発に関するコメントが注視されていた。いくつかの反省を述べていた。誤りがあったと言ったが、地震がある場所に原発施設を作ったことは失敗だったと反省の弁を述べた。しかし、国会の所信表明で述べた、これから脱原発へ向けて歩むとの決意には触れず仕舞いだった。
 アメリカ政府は日本と足並みを揃え、日米同盟の深化を口では言っているが、本音は実務的な結論を出すことを求めている。特に、これから沖縄の普天間基地移設計画の結論を早く出すことを要求してくるだろう。
 野田外交は刃を突きつけられている。早くも正念場である。

2011年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1591.2011年9月21日(水) 官僚、国策企業、御用学者が国をダメにする。

 久しぶりに台風の直撃を受けたように思う。四国沖合から紀伊半島沿いに大量の雨をもたらせた台風15号は中京地区から東海地方を襲い、午後2時ごろ浜松市に上陸、首都圏西から宇都宮を通り抜け福島方面へ縦断して行った。夕方になって一層激しい雨が降ってきた。案の定各地で河川の氾濫や家屋の浸水被害が出ている。いま午後10時だが、相変わらず避難勧告が出ているところが多い。これから台風は東日本大震災被災地へ向かうようだ。被災地の中でも大槌町では仮設住宅に住んでいる人たちにも避難勧告が出された。今度の台風15号は日本列島の東側を舐めるように襲った。気の毒なのは、震災の被災者である。先日12号では紀伊半島がやられたが、つくづくわが国は自然の脅威に曝されている国土だと痛感する。福島原発では、多少落ち着いてきたという程度で、相変わらずいつ放射能事故を収束できるのか楽観視できない。その原発に大量の降雨があると、更に汚染水が増えると見なければならない。やれやれである。
 さて、菅直人・前首相がテレビ・インタビューで、一時東電が福島第一原発から撤退したいと申し出たことに対して断固認めなかったことをいくらか誇らしげに応えていたと一昨日の本欄で書いた。それでも菅さんはなおテレビだけではこの「ご自慢の決断」をアピールできないと思ったか、今朝の日経紙の全一面(広告なし)で思いのたけをぶちまけている。いかに菅さんが東電の対応に不信感を抱き、躍起になって東電幹部に叱咤しながら指令を出していたかが分る。見出しだけを取り出してみよう。
 「原発事故・問われた初動」「最悪、国会移転も想定」「東電、話せる相手2人だけ」「首相官邸X原子力保安院―『炉心溶融』食い違った」「重大事故の想定ゼロ」「原発再稼動問題・知らぬ間に既成事実化」「福島を自然エネ拠点に」とざっとこんな具合である。これを見ると菅さんと経産省、原子力保安院、東電とまったく意見を異にしていたことは明確である。当事者同志が最初から意思の疎通を欠いていたのでは、初動が遅れるわけだ。そして、それが取り返しのつかない後手後手の対応となってしまった。
 この春?沖縄はたかり、ゆすりの名人と沖縄県民を愚弄したような発言をしてアメリカ国務省日本部長を更迭されたケビン・メア氏が、最近「決断できない日本」なる1冊を文春新書から出版した。その中で「大津波襲来による電源喪失から一週間が経過したその日、日本という大きな国家がなし得ることがヘリ一機による放水に過ぎなかったことに米政府は絶望的な気分さえ味わった」と書いている。日本を見下したようなこの御仁には、日本人のやること、なすことすべてが稚拙で小児病的に見えるようだが、この言葉には案外正鵠を射ている点がある。
 日本では政治家はダメだが、官僚がしっかりしていると思い込まされているが、とんでもない。官僚なんてとんだ食わせ者だったということが上記のインタビュー記事からよく分る。官僚にゴマをする国策企業、御用学者等々、みんな信用できない。その点では、菅さんなんか手法は拙かったが、行おうとしたことは案外的を射ていたのではないか。

2011年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1590.2011年9月20日(火) 台風来襲!最大級の警戒が必要

 昨日辺りから急激に冷え込んできた。今日も寒くこれまで着ていた半ズボンTシャツを長ズボン長袖のシャツに代えた。気象状況が変則的に動くので、自然災害に弱い地域ではその防止にてんてこ舞いのようだ。先日大雨により大きな被害を受けた紀伊半島山岳地帯では、土砂崩壊により川が堰き止められ、深い谷に大きな堰止め湖が生まれている。その堰止め湖が台風15号の停滞により、また大雨で決壊することが心配されている。九州、四国、紀伊半島ばかりでなく、今日は名古屋市内や多治見市内のような平野部でも河川が決壊一歩手前で市内には水が溢れている。夜になって気象庁より最大級の警戒が必要との警報が発せられた。
 さて、福島原発事故の影響で日本中が打ちひしがれている最中、景気が一向に上向きにならない。そこへ円高が企業経営を益々苦しめている。政府でも今日円高対策の具体策に関する中間報告をまとめた。産業空洞化の回避が最大の課題として、企業の国内立地を促す補助金の拡充やら、企業の海外移転に備えた雇用対策基金の積み増しなどを検討している模様である。
 具体策のひとつ、観光について対策はどうかとみると「訪日旅行者の誘致など観光支援」と言葉だけが並べられている感じである。こんな文言が円高対策に入っていることに少々驚く。これは普段の観光振興策であり、格別円高対策と呼ぶようなものではあるまい。はっきり言って円高の大波に対して力の弱い観光業界ができることは限られている。ことさら円高対策ということでなく、観光業にとって何が求められるのかと突き詰めて考えてみることだ。外国から当分旅行者がやってくる可能性が期待できないとするなら、国内観光業を活性化することが大切だと思う。陳腐だが手っ取り早い方法は、かつての電気製品にインセンチブを付けたように、国内旅行関連商品にポイント制の導入でインセンチブを与えたらどうだろうか。日本国内の物価が上がったために、海外からの旅行者が日本へ来にくくなったので、こればかりは短期的な解決策は思いつかない。
 いずれにせよ、政府の具体策は業界の実態を知らない官僚たちが考えたものだろうが、まず非現実的である。いつもそうである。まったく心が篭っていないのである。
 結論を出す前にその効果をよくよく考えてもらいたいものである。

2011年9月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1589.2011年9月19日(月) 敬老の日、少子高齢化が進む。

 敬老の日である。65歳以上の高齢者と呼ばれる人口は2,980万人、全人口の23.8%で、100歳を超えた高齢者は47,000人おられるそうである。世界でもいまや日本は突出して少子高齢化社会となった。これからもこの傾向は進むと見られている。
 われわれ夫婦にとって年齢的に老人資格はあるが、その恩恵はまったくない。せいぜい思い出すのは、今は昔この敬老の日に何と妻とお見合いをしたことである。今から43年前だが、当時は敬老の日と言えば9月15日に決まっていたので、それを考えると今日は正確な日時とは言えない。
 あの年、1968年は8月20日に「プラハの春」事件が勃発したためにチェコ入国ができず、留学を思い留まらざるを得なくなり打ちひしがれていたことと、その2年前から海外の戦乱地帯?にばかりひとりで出かけていたので、心配した両親がしきりに私に身を固めさせようと画策していたことを思い出す。後で知ったことだが、両親の知人に息子に適当な女性はいないかとあっちこっちにお願いしていたようだ。高輪プリンスホテルで見合いした直後、父は彼女(つまり妻)との話を直ぐにも決めろとまるで命令口調だった。タレント・綾小路きみまろの台詞ではないが、「あれから43年~」ということになるか。結局翌年5月に結婚して以来今日まで42年が経つ。
 近年になって定番の見合い結婚が姿を消しつつあるようだが、私の経験から言って見合い結婚はそんなに悪いものではないと思う。その理由のひとつは、本人同士とお互いの家族同士の間にあまりギャップがないことだと思う。結婚生活破綻の原因となる「こんなはずではなかった」という後の祭りが、バランスが保たれ、事前調査の行き届いた見合い結婚なら比較的少ないのではないかと思う。まあ、これぐらいにしておこう。
 さて、昨夜NHKの特集番組「宇宙の渚」が、国際宇宙ステーションからの実況中継を含めて珍しい宇宙中継を存分に見せて楽しませてくれた。NHKが世界初と自慢するだけあって、画面でオーロラ、カミナリ、流れ星、日の出、月の入り、地上の夜景など、珍しいシーンをたっぷり観ることができた。50年前初めて宇宙へ飛び立ったガガーリン少佐が発した言葉「地球は青かった」は、その当時強烈な印象を与えてくれたが、その青い地球もはっきり確認することができた。こういう普通では観られない特殊な画像を自宅で気軽に観られるとはとにかく「ラッキー」の一言に尽きる。
 意外にもメキシコ・シティの夜景が煌々と輝いている場面は、とても想像できないといつかあるコンサルタントから言われたことがあるが、その時私自身が上空から見た経験を話してメキシコ・シティの夜景は、世界でも例を見ないほど明るいと応えたことがある。昨夜そのメキシコ・シティの上空から真夜中過ぎの夜景を写してくれた。やはり電光が煌々と輝き明るかった。景気に関係なく、陽気でお祭好きなメキシコ人の町、メキシコの首都は相変わらず不夜城なのだ。
 さて、今朝あるテレビ番組で菅直人・前首相へのインタビューを観ていた。ここで珍しく菅さんの理性と福島原発事故の東京電力の無責任な対応を見た。今更と思いながらも改めて菅さんを見直したのは、3月15日に東電が海江田万里・前経産相を通して、東電が原発事故収拾の最中に福島原発から撤退したいと伺いを立ててきた時、断じて認めないとはねつけたことである。当然と言えば当然である。一時東電は事故収束を諦め、現場を放っぽり出して事故現場から逃げ出そうと考えたのである。その時の菅さんの対応は、その後の東電本社への怒鳴り込みなどもあって、あまり高く評価されていないようだが、菅さんの毅然とした対応は責任ある人間の立場として当然であり、その一方で東電の行動は事故を起こした当事者として卑怯であり、国民を危険に追いやるものであり、到底許すことができない。今後この東電の対応と判断についても精査されることを望む。
 それにしても東電のような親方日の丸の会社ともなると、普段から危機管理意識に欠け、監督官庁のご機嫌ばかり伺い、果たすべき責任をまったく果たさず、困ったら逃げ出そうと考えている不届き千万な輩どもの集団である。
 今日ウィーンの国際原子力機関(IAEA)年次総会で細野豪志・原発担当相が、「年内に原発冷温停止を達成」と世界へ向け約束した。これまで散々予定を覆してきたが、今度こそ本当に大丈夫だろうか。

2011年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1588.2011年9月18日(日) 放射性物質の危険と国が犯した大罪

 どうも日本国中に原子力放射性物質汚染の危険が広がりつつあるようだ。それを承知の原子力村の人たちや政治家、経産省、東電が、その事実を懸命に隠そうとしている。それが、原子力研究機関の中枢から外れた良心的な科学者や一部のマス・メディアを通して少しずつ外部へ漏れ伝えられてきている。
 われわれはこれまで政府のいう「原子力安全神話」というものを信じてきた。原発は何よりも費用がかからず、二酸化ガスを排出せず地球温暖化を防止し、安全であり、今世紀以降の資源エネルギーの切り札と信じ込まされてきた。それが、福島第1原発事故をきっかけに偽りだということが少しずつ分ってきた。これまで信じ込まされてきた原発のメリットが、悉くウソであることが明らかにされ出した。想定以上に巨額な費用がかかり、(これまでの条件付の囲みを取れば)二酸化ガスを排出し、一旦放射性物質が漏洩すればこの上なく危険なものになるという「当局にとって都合の悪いこと」が、分ってきたのである。
 私自身これまでテレビのドキュメンタリー番組や、使用済み核燃料処分に関する映画、幾冊かの専門家の著書を読むことにより、このまま今の原子力政策を推進するとわれわれは核の汚染に晒される危険が極めて高いということが少しずつ分ってきた。
 現実に案外軽視されているが、実は一番深刻な問題は使用済み核燃料の処分ではないかと考えている。これまで使用済み核燃料は当然最終処分されているものとばかり思っていたが、マイナスイメージとなることは、国は情報として流さず、メディアも報道してこなかった。そういう意味では、今回の事故による唯一のプラス要因は、その隠蔽された実態と原子力が危険だということが分ったことである。
 今朝の朝日新聞に「原発列島・ニッポン」と題する連載記事9回目が半頁に亘って掲載されている。その4つの大きな見出しを書き出してみよう。「迫る廃炉ラッシュ」「埋設地決まらぬまま」「処分費用も巨額」「事故の教訓どう生かす」と暗い言葉である。原子炉の寿命は数十年、通常40年前後と言われている。1970年代後半に本格化した日本の原発はこれから「廃炉時代」に入る。ところが、わが国では放射能廃棄物の管理や具体的な処分方法を最初から決めないまま進めてきたため、今になってそのツケが重くのしかかってきている。これまでに産出された原子力のゴミがほとんど最終処分されていないのだ。
 例えば、1963年にわが国で最初に原子力発電に成功した日本原子力研究所の動力試験炉は76年に運転を停止し、96年に廃炉を完了した。だが、廃炉で出た放射性廃棄物は敷地内に一時的に保管されたままである。処分場の候補地すら決まっていない。福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」だって同じようなものだ。すでに「ふげん」計画は中止され、2003年に運転を終えた。だが、その後の処分が進まない。やりっぱなしなのである。これから処分場所の決定をし、気の遠くなるような処分完了までの時間とこれにかかる膨大な費用などを考えると、いかに理解が難しい科学の分野とは言え、実情のあらましを少しずつでも国民に啓蒙してこなかった国の責任は重いと言わざるを得ない。
 夕方の日本テレビ「真相報道バンキシャ!」でも放射性汚染焼却灰を採り上げて報道していた。これは福島近辺ばかりでなく、南は神奈川県横須賀市にまでその影響が及んでいる実態を追求していた。放射能を浴びた樹木やゴミ、汚泥を焼却して出てくる灰の処分問題である。これらを処分する廃棄場所が見つからず、各自治体が独自に保管場所を見つけて保管したまま廃棄しようがないのである。各自治体も増える一方の焼却灰の処理には頭を抱えている。秋田県のある民間業者がコンクリート製の穴の中に捨てることを申し出たが、今度は受け入れ地区の住民から反対運動が起きる有様で、解決のための方法は依然として見つからない。
 いずれにせよ「原発ありき」を前提に国民に情報を一切公開せず、国、経産省と電力会社が持ちつ持たれつのずぶずぶの関係の中で進めてきた、国のエネルギー政策と原子力行政は、国民の負担のうえに国民に生命の危険を押し付け国民を裏切ってきた。これは国家が犯した許すべからざる大罪ではないか。

2011年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1587.2011年9月17日(土) 自力では何もできない日本

 昨日発行された文部科学白書に東日本大震災被災地の中学生が卒業式で述べた答辞が載っている。そのことは昨日のNHKニュースでも報道された。それは自宅工場が火災に遭い、どん底に落ち込んでいた久留米市の大の大人を唸らせ、その大人を叱咤し元気づけた。その中身とは、「大震災は天の試練というにはあまりにも厳しい。でも天を恨まず運命に耐えて自分を成長させたい」との主旨である。少しできすぎだと思えるくらいしっかりした言葉で、インパクトも強い。大した少年だと思う。政治家たちも少しはこういう少年を見習って平素から唯々諾々とせず、自分でじっくり考え率先実行してみてはどうか。
 さて、ニジェールに亡命を求めていたカダフィ大佐三男に関して、ニジェール政府は明確な声明を発表していないが、身柄をリビアに送還することは否定した。その一方で、カダフィ派は最後まで徹底的な抗戦を続けると強気な意思表示を示している。
 ところが、16日の国連総会では、これまでのカダフィ政権に替わってリビア国民評議会を国連代表であると承認した。国連による対リビア制裁の緩和も決定した。益々カダフィ政権は追い詰められている。親カダフィのケニアや南ア、キューバなどは反対したが、ロシアや中国などこれまでリビアに資金投資した国は今後どういう態度に出るのだろうか。昨日早々にリビアを訪問したイギリスやフランスも然りである。反カダフィ派の国民評議会に良い顔をして、政権樹立後に従来の資産保全と新しい利権を得ようとの思惑が透けて見える。
 わが国は各国が進める対応策の様子を見ながら、その時点でまあまあの線を打ち出す。結局大きなアドヴァンテージは得られず、主要国の後塵を拝することになる。外交戦略がなく自己主張をせず、当たらず触らずのスタンスしか取らない。とどのつまりいつまで経っても主体性を欠いた外交を繰り返すことになる。骨のある外交官が現れず、外交的にリーダーシップが取れないまま外国に取り残され、他国からは信頼感を得られず、気がついた時には、周りには仲間がいない疎外感を味わうことになる。
 政治がダメだから、外交もダメになる。国会議員は原発事故問題で参考人として国会に呼ばれた児玉龍彦・東大教授から「国会は一体何をやっているのですか」と一喝されたが、どれほど政治家としての責務を果たす努力をしているのかと問いたい。全政治家に反省を促したい。現状では政治家は何もやらず、責任を転嫁するだけだ。福島原発事故処理がどうなっているのか、詳しい報告すら国民になされていない。恐ろしく好い加減な国になったものである。

2011年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1586.2011年9月16日(金) 朝令暮改の国会会期延長

 政権崩壊の道を辿っていたカダフィ大佐が姿を消してから、カダフィ大佐の三男がニジェール政府に亡命の意思を示したり、明日にも国民評議会による暫定政府擁立の動きが見えてきて、同時にキャメロン・英国首相とサルコジ・フランス大統領がともにリビアを訪れ、アブドルジャリル国民評議会議長とポスト・カダフィ政権について話し合いを始めた。これではいかに強気のカダフィ大佐がわめいても流れは止めようがないだろう。ここにも「奢れる者は久しからず」が映し出されている。いよいよカダフィ大佐も追い詰められた。リビア独裁政権崩壊の後で、次に崩壊するのは、イェメンのサレハ政権か、はたまた長らく父子で独裁を継承してきたシリアのアサド政権か。
 日本の臨時国会は、会期が14日間延長されることに決まった。当初から会期がたった4日間と聞き、これでは野田首相の所信表明演説だけで終ってしまい法案決定は先送りだと思っていたところ、野党側の強硬な要求を受け入れ、野党要望の28日間をその半分の14日間に値切って延長することがいとも簡単に決まった。まったく朝令暮改である。そもそも4日間の会期に絞った理由を聞かれたある閣僚が野田内閣はまだ力足らずだからというような主旨のことをしゃべった。閣内に身内を信用していないことを軽薄に漏らす閣僚がいるとは恐れ入った。これでは野田首相としても危なっかしくて、超安全運転で進まざるを得ない。このような現状で問題山積の日本を仕切ることができるだろうか、心配である。
 これにより予算委員会で復興予算を盛り込んだ今年度第3次補正予算について、与野党の議論が交わされる。円高対策を含む震災関連経費に、台風12号被害への対応経費を合せて、政府税制調査会が総額11兆円規模の増税案を決定した。問題はその11兆円をどうやって捻出するかということであり、今日時点では部分的に法人税と所得税、それにタバコ税を値上げする案が出ているようだ。今回も消費税値上げはないという話だ。小沢グループが消費税の値上げは考えないとしたマニフェスト遵守を主張しているので、野田首相が配慮したのではないかと思う。
 しかし、ここは消費税の値上げを検討すべきではないかと思っている。震災復興のための費用の捻出には、国民的理解が得られると思う。それに引き換え、所得税は一般家計に響くのではないか。消費税論議は、不景気な折から盛んに話題にはなるが、まったく議論されることなく彼方へ押しやられている。外国の消費税率を考えても日本よりかなり高い。大きなお世話だが、IMFが日本の妥当な消費税率として17%を提言しているほどだ。今の消費税5%に3~5%の積み上げは、もっと真剣に検討されて然るべきだと考えている。

2011年9月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1585.2011年9月15日(木) 日本ペンクラブは今一寸弛んでいる。

 森喜朗・元総理が今日ニュージーランドへ出発したと秘書から連絡があった。同時に昨日意向を汲んで修正した文章のうち1ヶ所だけ訂正の要望があった。これは森さんの軽はずみな発言によるものであり、修正するのは吝かではない。
 ところが、今日開かれたペンクラブ9月例会で理事の大原雄さんに昨日森さんと交わした話の内容を説明したところ、森さんの言い分はおかしいと言われた。やはり懸念していた通り、文章上「元総理」とすべきだとアドバイスをもらった。「前総理」という表現は菅直人前総理しか使えないとも言われた。森さんに「前総理」との肩書きを使うと約束した以上、「元」と「前」の区別が分る説明が必要だと考えている。それより何より、自由に筆を揮えるはずのエッセイに登場人物のエゴで表現を変えなければならないとは、相手がいかに元総理大臣とは言え少々釈然としない。でも、今回は森さんの言い分を引き受けてしまったので、不本意ではあるができるだけ不自然な表現にならないよう留意してまとめてみたい。
 今日のペン例会は、暑さもあり欠席者が多かった。常連の小中さんも欠席された。浅田次郎会長以下多くの幹部も欠席していた。聞いてみたら幹部連はセルビアで開催中の国際ペン大会に出席したまま、まだ帰っていないという頓馬な回答だった。いずれの会合の日時も大分早くから分っていたはずなのに、どうして2つの開催日時をダブらせないような工夫ができなかったものだろうか。
  加えて、東日本大震災について折角分り易い報告をされた吉岡忍理事の講演は、その講演中に自分が常務理事から専務理事になったと何気なく語っていたが、正式には本人ではなく然るべき担当理事が新人事として報告すべき事柄ではないかと、ペンクラブの軽薄な非常識には些か呆れている。大体昨年の国際ペン東京大会赤字決算について、約束したのに未だに説明が成されていないのもおかしい。しかも、杜撰な赤字決算の責任をとるべき吉岡氏が専務理事に昇格しているのも常識では考えられない。そのご本人がノーテンキな発言である。今日の講演でも折角気の利いた話をしたのに、明治三陸沖津波が発生したのが明治29年で、日露戦争の後だなどととんでもない事実誤認をしゃべったので、パーティの席上で本人に間違いを指摘してあげたが、ちょっと気持ちが弛んでいるのではないだろうか。
  来月の例会では浅田会長の国際ペン大会の報告、赤字決算報告、新人事などについて、明確な説明がされるものと期待したい。

2011年9月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1584.2011年9月14日(水) 森喜朗・元総理と電話で小議論

 先日「楽天市場」へインターネット注文していた「冒険ダン吉(2)」(少年倶楽部文庫)が予定より1日遅れで送られてきた。文庫サイズでちょっと本物臭くないが素朴な絵で、内容もダン吉が南の島の王様になったという単純な設定は、今どきよくある陰惨とか、残虐、欺瞞とかいうような暗い内容とかけ離れて、子どもの夢を誘うようなストーリーで微笑ましい絵物語だ。原作者・島田啓三の「あとがき」が面白い。それを読むと作者自身南方の熱帯地方とは密林に猛獣や野鳥どもが横行し、黒い首狩り人種が住む所という先入観があり、動物もアフリカ、インド、南米、ボルネオ産などがゴチャゴチャに登場して回が進むにつれて、ダン吉島の所在がどの辺りなのか自分でも見当がつかなくなってしまったと打ち明けている。オランウータンはスマトラかボルネオに棲む類人猿でゴリラといっしょにするのはヒドイとか、ダン吉の舞台はアフリカらしいが、アフリカにはカンガルーはいないとか、外野からいろいろな声が聞こえてきたという。
 いま取りかかっているトラック島アイザワ大酋長のドキュメントにこのダン吉を登場させている。大酋長が冒険ダン吉のモデルとも言われる森小弁の孫を妻として迎えているからだ。象、カバ、らくだ、ライオンまで登場する「冒険ダン吉」は、作者が言うように小さな南の島ではあるが、通常島にはいない動物ばかり活躍している点でトラック島ということ自体無理があるようだ。作者はダン吉のモデルは実在しないと言っている。いずれにせよ、「冒険ダン吉」はとにかくゆったりと気持ちが落ち着ける絵物語で、今の時代にこそ読む価値があるように思う。
 このドキュメントに関連して昼前に森喜朗元総理から電話をいただいた。事前に長谷川秘書から昨日午前中に森さんから電話をいただけると知らせてもらっていたが、ご多忙でそうも行かなかったようだ。明日日本ラグビー・フットボール協会会長としてニュージーランドで開催中のワールドカップへ出かけ、16日の対オールブラックス戦で日本チームを応援するという。その合間を縫って電話をいただいた。細かい修正要望は配慮したいと考えているが、難しいのは森さんの肩書きの表記である。肩書きに対する思い込みがわれわれ庶民とはちょっと違うように思う。「元総理」「前総理」「元官房副長官」と本ドキュメントでは3通りの表現がある。元官房副長官はかなり昔のことで、時代が分るから私としてもあまり気にすることはないと思っているものの、「元総理」と「前総理」の使い分けが難しい。私は現在ドキュメントを読む人の立場上あまり複雑にしたくないと思い、「元総理」という表現に統一させてほしいとお願いしたところ、森さんは実際に「前総理」として活動した時のことははっきり「前総理」と表記してほしいと譲らない。面倒なことになったと思いながらも、かつての日本国総理大臣と言い争っても仕様がないので、「元総理」のご意見を受け入れて不承不承「元総理」と「前総理」の二刀流でまとめようと思っている。

2011年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1583.2011年9月13日(火) 野田首相の所信表明演説に対する口汚い野次

 臨時国会が今日から4日間開かれる。冒頭野田首相の所信表明演説が行われた。首相が語った①震災復興と財源、②原発事故対応とエネルギー戦略、③経済財政と成長戦略、④外交、の4項目はこれから難しい問題を抱えることになる。野党は官僚論文だの、具体性に欠けて中身がないだのと、いつもながら批判ばかり繰り返している。いつもは原稿を見ないでスピーチを行う野田首相が、今日は文章を読むことに汲々としていた。そんなことも官僚作文といわれる所以だろう。
 その中でテレビも新聞も「正心誠意」という言葉を、野田首相の性格そのままだと取り上げていた。ただ普通は「正心誠意」ではなく、「誠心誠意」ではないのか。妻もおかしいと思ったようで、「正心」ではなく「誠心」ではないかしらと尋ねたので、普通は「誠心」だと応えておいたところ、テレビで「正心誠意」は幕末の国難の中にあって時代をリードした勝海舟が好んで使った言葉だと説明があった。現在日本が国難の真っ只中にあるとの認識から出た言葉であろう。とは言え、簡単な前置きを加えた方がよい。突然こういう紛らわしい使い方をされると、ごく普通に学校教育を受けただけでは咄嗟には分らなくて困る。仮に中学校の入試で「セイシンセイイ」を漢字で書きなさいと問題が出されたら「正心誠意」と書く受験生が現れるのではないか。最近言葉を間違えて使う人が増えている。気配りの首相としては、誰にも分り易いように、もう少し表現に気を配った方が良いと思う。
 それにしても野田首相が演説をしている間、議場から首相へ浴びせられた声高で口汚い野次は少々度を超えていた。国会議事堂内であれだけ下品な野次を飛ばすのは、自分たち国会議員の品位を下げ国会の権威を汚すことにはならないのか。下品な野次を止めさせるための手段はないものか。今日は特に酷かった。
 一昨年民主党政権が発足するや電光石火で、「八ッ場ダム」建設工事の中止を当時の前原誠司・国交相が公表した。その後工事を続けるか、中止するかの精査、検討を行うこともなく2年間が無駄に過ぎたが、今日国交省役人を交え、関係する1都5県の自治体の知事、市町村長、専門家が会議の後でダムを建設した方が他の方法より経済的との結論を発表した。つまり現在工事ストップになっているダムを完成させた方が安上がりだという結論だ。どうして全国的に専門家や関係者を集めた公開の場で喧々諤々の議論を戦わせて結論を出さないのだろうか。この結論だって、自分たちにとってあらゆる面で有利だから計画通り工事続行との結論を出したのではないかと考えてしまう。
 この動きに対して前原・現政調会長はえらくご立腹である。前原氏もいい加減ほったらかしにしておいて今更よく言えたものだと思う。これだって元はと言えば、身勝手な前原・元国交相自身のやりっぱなし、無責任がもたらした自業自得ではないのか。
 さて、いま日経朝刊の「私の履歴書」に室伏稔・元伊藤忠商事会長小伝が連載されている。今日の冒頭にこんなことが書かれている。「誰しも記憶に鮮やかに残り、人生の進路を決める記念碑的な仕事があるはずだ。私には『ゼネラル・モーターズ(GM)-いすゞ自動車提携』がそれである」。私にも確かに思い当たることがある。1972年に企画実行した「加藤隼戦闘隊ビルマ慰霊巡拝団」である。その企画のために当時まったく情報がなかったビルマへひとりで行き、体当たりで交渉窓口を見つけ、何とか交渉をまとめてツアーを企画し成功させることができた。それが幸い他の戦友会の慰霊巡拝団の道を拓くことになった。そして厚生省の「太平洋戦争戦没者遺骨収集事業」獲得へつながった。それは今日も遺産として、元の会社に残っている。もうお世話になった方々はほとんど亡くなられたが、懐かしく楽しい思い出であり、今でもやりがいがあったと思っている。いろいろ珍しい思い出を作ることができたことを幸せだと心から思っている。室伏氏が書いているように仕事をしていれば、これは誰にでもあることだと思う。

2011年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com