台風15号の通過により各地で多くの被害が出ているが、東北大震災被災地にも新たな被害を及ぼす事態となった。被災地の宮城県女川町では、津波で町が冠水したため高台に仮設住宅を建設し住民をそこへ仮住まいさせていた。ところが何とそれが台風15号の襲来でその仮設住宅に避難勧告が出されたのである。そして仮設住宅の前を流れる川が増水し橋が流され、住民は避難できなくなってしまった。幸い住民が被害に遭うことはなかったが、仮設住宅の建設場所が問題とされた。
もうひとつ、福島県須賀川市では仮設住宅が浸水し、住民はそこから2度目の避難をする有様である。隣市の郡山市では大雨を予想して被害を避けたはずのバス100台が、会社の駐車場で水に浸かる状態である。どうもちぐはぐである。それぞれ理由はあろうが、みんなやっつけ仕事になって計画的な対策が考えられていないことが分る。台風の来襲は自然災害なので、ある程度避けられないが、それでも必ず何年かに1度はやってくるものであり、近くに河川や山岳地帯がある場合は、堤防決壊や山崩れに対する備えは、平素からもう少し注意深く心がけていなければいけないのではないかと思う。
さて、今週から国連総会が始まっている。今年の国連総会は問題山積である。リビアの暫定政府を正式にリビア政府代表として承認した。国旗もカダフィ前の王制時代のものを再びリビアの正式なナショナル・フラッグとして国連ビルに掲げられた。
2つ目は、パレスチナの国連加盟申請について、アメリカとイスラエルが強硬に反対している。アメリカはオバマ大統領がパレスチナ暫定政府に加盟をしないよう直々に説得している。仮に加盟申請されたらアメリカは常任理事会で拒否権を行使すると見られている。
野田首相は今日原子力の安全に関する首脳級会合で演説を行った。過去6年間に6人の首相が登場したことで、回転ドア・トップとしてあまり大きな期待をされていないようだが、やはり福島原発事故が世界中から注目されている折でもあり、原発に関するコメントが注視されていた。いくつかの反省を述べていた。誤りがあったと言ったが、地震がある場所に原発施設を作ったことは失敗だったと反省の弁を述べた。しかし、国会の所信表明で述べた、これから脱原発へ向けて歩むとの決意には触れず仕舞いだった。
アメリカ政府は日本と足並みを揃え、日米同盟の深化を口では言っているが、本音は実務的な結論を出すことを求めている。特に、これから沖縄の普天間基地移設計画の結論を早く出すことを要求してくるだろう。
野田外交は刃を突きつけられている。早くも正念場である。