1583.2011年9月13日(火) 野田首相の所信表明演説に対する口汚い野次

 臨時国会が今日から4日間開かれる。冒頭野田首相の所信表明演説が行われた。首相が語った①震災復興と財源、②原発事故対応とエネルギー戦略、③経済財政と成長戦略、④外交、の4項目はこれから難しい問題を抱えることになる。野党は官僚論文だの、具体性に欠けて中身がないだのと、いつもながら批判ばかり繰り返している。いつもは原稿を見ないでスピーチを行う野田首相が、今日は文章を読むことに汲々としていた。そんなことも官僚作文といわれる所以だろう。
 その中でテレビも新聞も「正心誠意」という言葉を、野田首相の性格そのままだと取り上げていた。ただ普通は「正心誠意」ではなく、「誠心誠意」ではないのか。妻もおかしいと思ったようで、「正心」ではなく「誠心」ではないかしらと尋ねたので、普通は「誠心」だと応えておいたところ、テレビで「正心誠意」は幕末の国難の中にあって時代をリードした勝海舟が好んで使った言葉だと説明があった。現在日本が国難の真っ只中にあるとの認識から出た言葉であろう。とは言え、簡単な前置きを加えた方がよい。突然こういう紛らわしい使い方をされると、ごく普通に学校教育を受けただけでは咄嗟には分らなくて困る。仮に中学校の入試で「セイシンセイイ」を漢字で書きなさいと問題が出されたら「正心誠意」と書く受験生が現れるのではないか。最近言葉を間違えて使う人が増えている。気配りの首相としては、誰にも分り易いように、もう少し表現に気を配った方が良いと思う。
 それにしても野田首相が演説をしている間、議場から首相へ浴びせられた声高で口汚い野次は少々度を超えていた。国会議事堂内であれだけ下品な野次を飛ばすのは、自分たち国会議員の品位を下げ国会の権威を汚すことにはならないのか。下品な野次を止めさせるための手段はないものか。今日は特に酷かった。
 一昨年民主党政権が発足するや電光石火で、「八ッ場ダム」建設工事の中止を当時の前原誠司・国交相が公表した。その後工事を続けるか、中止するかの精査、検討を行うこともなく2年間が無駄に過ぎたが、今日国交省役人を交え、関係する1都5県の自治体の知事、市町村長、専門家が会議の後でダムを建設した方が他の方法より経済的との結論を発表した。つまり現在工事ストップになっているダムを完成させた方が安上がりだという結論だ。どうして全国的に専門家や関係者を集めた公開の場で喧々諤々の議論を戦わせて結論を出さないのだろうか。この結論だって、自分たちにとってあらゆる面で有利だから計画通り工事続行との結論を出したのではないかと考えてしまう。
 この動きに対して前原・現政調会長はえらくご立腹である。前原氏もいい加減ほったらかしにしておいて今更よく言えたものだと思う。これだって元はと言えば、身勝手な前原・元国交相自身のやりっぱなし、無責任がもたらした自業自得ではないのか。
 さて、いま日経朝刊の「私の履歴書」に室伏稔・元伊藤忠商事会長小伝が連載されている。今日の冒頭にこんなことが書かれている。「誰しも記憶に鮮やかに残り、人生の進路を決める記念碑的な仕事があるはずだ。私には『ゼネラル・モーターズ(GM)-いすゞ自動車提携』がそれである」。私にも確かに思い当たることがある。1972年に企画実行した「加藤隼戦闘隊ビルマ慰霊巡拝団」である。その企画のために当時まったく情報がなかったビルマへひとりで行き、体当たりで交渉窓口を見つけ、何とか交渉をまとめてツアーを企画し成功させることができた。それが幸い他の戦友会の慰霊巡拝団の道を拓くことになった。そして厚生省の「太平洋戦争戦没者遺骨収集事業」獲得へつながった。それは今日も遺産として、元の会社に残っている。もうお世話になった方々はほとんど亡くなられたが、懐かしく楽しい思い出であり、今でもやりがいがあったと思っている。いろいろ珍しい思い出を作ることができたことを幸せだと心から思っている。室伏氏が書いているように仕事をしていれば、これは誰にでもあることだと思う。

2011年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com